別除権者は、当該別除権に係る第五十三条第一項に規定する担保権によって担保される債権については、その別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の部分についてのみ、再生債権者として、その権利を行うことができる。
要点民事再生法 88 条は、別除権者が担保権の実行で弁済を受けられない不足額についてのみ、再生債権者として権利行使できると定める。不足額は再生計画の減額対象となる。
Q · 抵当権を持っていれば、取引先が民事再生しても全額回収できますか?
担保で足りない不足額は一般債権と同じく減額されます
民事再生法 88 条により、別除権者(抵当権・質権等を持つ債権者)は、担保権の実行によって弁済を受けられない部分、すなわち不足額についてのみ再生債権者として権利行使できます。担保物の時価が債権額に届かない「担保割れ」の場合、その差額は無担保の一般再生債権者と同列に扱われ、再生計画の減額に服します。ただし再生手続開始後に担保されないこととなった部分については、同条ただし書によりその全部または一部を再生債権として行使することが妨げられません。
取引先が民事再生を申し立てた。あなたがその取引先に抵当権や質権を持っていたら、ほっとするかもしれない。担保があるから別枠(別除権、手続の外で担保を実行して優先回収できる権利)で回収できる、と。だが88条はそこに冷水を浴びせる。担保を実行して回収できた分はいい。問題は担保物の価値が債権額に届かなかったとき。その「足りない分(不足額)」について、あなたは無担保の一般債権者とまったく同じ列に並ばされる。再生計画で8割カットされれば、その不足額も8割消える。逆にいえば、担保割れしている債権者が再生手続でどれだけの議決権と配当を持つかは、この不足額がいくらかという一点で決まる。担保を過信して不足額の確定を後回しにすると、議決権すら満足に行使できないまま計画が可決されてしまう。
民事再生法 88 条は不足額主義を定める規定であり、別除権者は同法 53 条 1 項に規定する担保権によって担保される債権のうち、別除権の行使によって弁済を受けることができない部分に限り、再生債権者としてその権利を行うことができる旨を規定する。ただし、再生手続開始後に当該債権の全部または一部が担保されないこととなった場合は、この限りではない。
担保権を持つ債権者が、担保物から回収できなかった差額分だけを再生債権として扱う原則です。民事再生法 88 条が根拠で、破産法 108 条にも同じ構造があります。
担保で回収できない不足額の限度で再生債権者として議決権を持ちます。不足額が未確定のままだと議決権の額が定まらず、決議に十分参加できない不利益が生じます。
債権届出期間内です(民事再生法 94 条)。担保実行の完了を待って期間を徒過すると失権し、議決権と配当を失うおそれがあります。
不足額部分は一般再生債権と同じ扱いで、再生計画の権利変更に従います。減額率は計画案次第で、8 割前後の免除が定められる例もあります。
再生債務者と別除権者が、担保物の時価による買取や受戻し、実行猶予などを合意する契約です。不足額を早期に確定でき、事業の中核資産を残せます。
再生債務者は、事業継続に不可欠な財産について裁判所の許可を得て価額を納付し担保権を消滅させられます(民事再生法 148 条)。不足額はそこで確定します。
再生手続開始後に担保が失われた場合です。担保権が消滅・放棄されるなどして担保されなくなった全部または一部は、再生債権として権利行使できます。
会社更生では担保権は更生担保権として手続内に取り込まれ、原則として手続外で実行できません。民事再生の別除権とは前提構造が異なります。
担保物の価値が債権額以上なら実質全額回収できますが、足りなければ(担保割れ)その不足額は再生計画で減額されます(88条)。担保は債権額ではなく担保物の時価までしか守ってくれません。業界裏話ヒント:銀行や実務家は不足額を予定不足額として早めに見積もり届け出ます。時価評価が固まるのを待つ人ほど、議決権を行使できないまま計画が可決されて損をする。担保があるからと書類を後回しにするのが一番危ない
別除権は担保(抵当権・質権・先取特権など)を持つ債権者が、民事再生手続の外で担保を実行して優先回収できる権利です(民事再生法 第53条)。一般の再生債権者が計画で減額された配当を待つのに対し、別除権者は手続を待たず担保物から回収できます。業界裏話ヒント:ただし88条で担保で足りなかった分だけ再生債権者になれる。別除権者は一部別格、一部一般という二重の地位を持つ。この二重性を理解せず片方だけで動くと回収を取りこぼす
住宅ローンの抵当権も本来は別除権なので、原則どおりなら競売対象です。ただし個人再生には住宅資金特別条項(民事再生法 第196条以下)があり、ローンを払い続けることで家を守れます。業界裏話ヒント:この特別条項は88条の原則に対する例外として設計されている。だから滞納が深刻だったり、住宅以外の共同担保が絡むと使えないことがある。家を守りたいなら、申立て前に住宅ローンの状況を専門家に診断してもらうのが鉄則
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|---|---|---|
| 規定の役割 | 民事再生法 88 条:不足額のみ再生債権として行使できる(不足額主義) | — |
| 誰のための条文か | 担保割れした債権者の権利範囲を画する | — |
| 手続上の効果 | 不足額の限度で議決権と配当が生じる | — |
| 見落とすとどうなるか | 不足額の届出が遅れ議決権を行使できない(94 条と連動) | — |
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