民事再生法 第148条(担保権消滅の許可等)
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- 再生手続開始の時において再生債務者の財産につき第五十三条第一項に規定する担保権(以下この条、次条及び第百五十二条において「担保権」という。)が存する場合において、当該財産が再生債務者の事業の継続に欠くことのできないものであるときは、再生債務者等は、裁判所に対し、当該財産の価額に相当する金銭を裁判所に納付して当該財産につき存するすべての担保権を消滅させることについての許可の申立てをすることができる。
- 2.前項の許可の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
- 一担保権の目的である財産の表示
- 二前号の財産の価額
- 三消滅すべき担保権の表示
- 四前号の担保権によって担保される債権の額
- 3.第一項の許可の決定があった場合には、その裁判書を、前項の書面(以下この条及び次条において「申立書」という。)とともに、当該申立書に記載された同項第三号の担保権を有する者(以下この条から第百五十三条までにおいて「担保権者」という。)に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
- 4.第一項の許可の決定に対しては、担保権者は、即時抗告をすることができる。
- 5.前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を担保権者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
- 6.第二項第三号の担保権が根抵当権である場合において、根抵当権者が第三項の規定による送達を受けた時から二週間を経過したときは、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
- 7.民法第三百九十八条の二十第二項の規定は、第一項の許可の申立てが取り下げられ、又は同項の許可が取り消された場合について準用する。
この条文の基本情報
担保権消滅の許可等とは何ですか?
定義担保権消滅の許可等とは、民事再生法第148条に定められた規定で、「再生手続開始の時において再生債務者の財産につき第五十三条第一項に規定する担保権(以下この条、次条及び第百五十二条において「担保権」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第148条(担保権消滅の許可等)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第148条の条文原文は「再生手続開始の時において再生債務者の財産につき第五十三条第一項に規定する担保権(以下この条、次条及び第百五十二条において「担保権」という。」で始まります。
- 民事再生法第148条は第四節 担保権の消滅に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第148条の前の条は民事再生法第147条です。
- 民事再生法第148条の次の条は民事再生法第149条です。
- 民事再生法第148条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第148条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第148条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/148
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法148条は、事業の継続に不可欠な財産について、時価相当額を裁判所に納付すれば、その財産上のすべての担保権を担保権者の同意なく消滅させられる制度を定める。
Q · 銀行の抵当権が付いた工場でも、担保を消して民事再生できるって本当?
時価を裁判所に納付すれば同意なく担保を消せます
民事再生法148条により、事業の継続に欠くことのできない財産については、その価額相当額を裁判所に納付して、財産上のすべての担保権を消滅させる許可を申し立てられます。担保権者の同意は要件ではありません。担保権者は即時抗告(4項)や価額決定の請求(149条)で争えますが、争点の中心は『価額が安すぎる』という点で、消滅自体を止めるのは困難です。根抵当権なら送達から二週間で元本が確定します(6項)。
解説
製造業を営むあなたの工場には、銀行の抵当権が二重三重に設定されている。経営が傾き民事再生を申し立てたが、その工場がなければ製品は一つも作れない。普通なら抵当権者である銀行は、再生手続の外側で競売を実行できる(別除権、53条)。工場を競売で失えば、再生計画は絵に描いた餅になる。ここで効くのが148条だ。事業の継続に欠くことのできない財産については、その時価相当額を裁判所に納付すれば、その財産に付いたすべての担保権を強制的に消滅させられる。銀行が「うんと言わない」状況を、裁判所の許可という形で正面から突破する制度である。担保権者は即時抗告で争えるし、納付額が不当に低ければ価額決定を請求できる(149条)。だが、事業の心臓部となる資産を担保の鎖から解き放つ最後の手段が、たしかにここに用意されている。
法的な位置づけ
民事再生法148条は担保権消滅許可を定める規定であり、再生債務者等が、事業の継続に欠くことのできない財産の価額相当額を裁判所に納付することを条件に、当該財産上のすべての担保権を消滅させる許可を申し立てる制度を規律する。担保権者の同意を要件とせず、別除権(53条)に対する例外的な調整手段として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.対象財産が『事業継続に不可欠』であることを立証する資料を準備 その財産がなければ製品を製造できない、事業を継続できないという客観的根拠(生産フロー図、代替不能性の説明、取引実績など)を整える。不可欠性の認定が許可の要件のため最重要
- 2.申立書に四項目を正確に記載 148条2項に従い、担保権の目的である財産の表示、その財産の価額、消滅すべき担保権の表示、被担保債権の額を記載する。価額は過小でも過大でも危険なため不動産鑑定士の評価を取り根拠を固める
- 3.納付原資を並行して確保 許可決定後に納付する時価相当額を、スポンサー支援や DIP ファイナンス(再生手続中の新規融資)で手当てする。資金の目処が立たないまま申し立てると許可が出ても納付できず宙に浮く
- 4.担保権者の即時抗告・価額決定請求に備える 許可決定後、担保権者は即時抗告(4項)と価額決定の請求(149条)で抵抗する。評価の合理性を説明できる資料を整え、根抵当権なら送達から二週間での元本確定(6項)も前提に対応する
よくある質問 AI による整理
Q1担保権消滅許可とは何ですか?
再生債務者が、事業継続に不可欠な財産の時価を裁判所に納付して、その財産上のすべての担保権を消滅させる許可を得る制度です。民事再生法148条が根拠で、担保権者の同意は不要です。
Q2民事再生と会社更生で担保権の扱いはどう違いますか?
民事再生では担保権は別除権として手続外で行使でき、148条の消滅許可で個別に処理します。会社更生では担保権も更生担保権として手続内に取り込まれ、更生計画で一律に扱われる点が異なります。
Q3担保権消滅許可の申立てはいつまでにできますか?
条文上は明確な締切はありませんが、実務では再生手続開始後、担保権者による別除権の実行が進む前に速やかに申し立てる必要があります。競売が完了すると対象財産を失うためです。
Q4根抵当権の元本確定はいつ起きますか?
根抵当権が消滅対象の場合、根抵当権者が許可決定の送達を受けた時から二週間の経過で元本が確定します(148条6項)。確定後の新規借入はその根抵当の枠でカバーされません。
Q5価額決定の請求とは何ですか?
納付予定額が担保物の時価より低いと考える担保権者が、評価人の鑑定で適正額に引き上げるよう求める手続です。民事再生法149条が定め、送達日起点の期間制限があります。
Q6担保権消滅許可の申立書には何を書きますか?
148条2項により、担保権の目的である財産の表示、その財産の価額、消滅すべき担保権の表示、被担保債権の額の四項目を正確に記載する必要があります。
Q7別除権と担保権消滅許可はどういう関係ですか?
別除権(53条)は担保権者が再生手続の外で担保を実行できる権利です。148条はその別除権の対象財産が事業継続に不可欠な場合に、時価納付で担保権を強制消滅させる例外です。
Q8担保権消滅の許可決定に不服がある場合はどうすればいいですか?
担保権者は許可決定に対し即時抗告ができます(148条4項)。抗告期間は告知日から一週間の不変期間です。価額に不服なら別途149条の価額決定の請求を行います。
この条文についての質問 AI による整理
Q1銀行が絶対に手放したくないと言っている工場でも、本当に担保を消せるんですか?
消せます。148条の許可は担保権者の同意を要件としていません。裁判所が『事業の継続に欠くことのできない財産』と認め、時価相当額の納付があれば、銀行が反対しても担保権は強制的に消滅します。実務のポイント:銀行は即時抗告(4項)と価額決定請求(149条)で抵抗しますが、争える中心は『価額が安すぎる』という点で、消滅自体を止めるのは難しい。だから実務では銀行は早めに任意交渉へ切り替えてくる。この制度の存在を知っているだけで交渉の力関係が変わる
Q2時価を払うって、その全額を一括で用意しないといけないんですか?
原則として許可決定に基づき、裁判所が定める額を納付する必要があります。再生中の会社がこの資金を出すのは大きな負担で、ここが制度最大のハードルです。実務のポイント:実務ではスポンサー企業の資金援助や DIP ファイナンス(再生手続中の新規融資)を組み合わせて納付原資を作る。資金の手当てが付かないまま申し立てると、許可が出ても納付できず宙に浮く。申立て前に資金計画を固めるのが鉄則
Q3担保を消したら、銀行への借金もチャラになるんですか?
なりません。消えるのは『その財産の上の担保権』だけで、被担保債権そのものは残ります。納付額が債権額に満たなければ、差額は無担保の再生債権として残り、他の一般債権者と同じく再生計画でカットされた割合の弁済になります。実務のポイント:銀行にとっての痛手はまさにここ。担保で全額回収できるはずだった債権が、時価分しか優先回収できず、残りは再生債権として数%しか戻らないこともある。だから銀行は価額を一円でも高くしようと必死になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「担保権者の同意がなければ担保は外せない」と思い込んで交渉に臨む人が多いが、その問いの立て方そのものが間違っている。148条では同意は要件ではない。裁判所が事業継続への不可欠性を認め、時価が納付されれば、担保権者が反対しても担保権は消える。交渉すべきは『同意』ではなく『価額』だ
- 担保権が消えることは知っていても、消えるのは『その財産の上』だけで、被担保債権そのものが消えるわけではない、という点を見落としやすい。納付額が債権額に満たなければ、差額は無担保の再生債権として残り、一般債権者と同じカット率の弁済になる。担保権者にとっての本当の痛手はここにある
- 「時価さえ払えばタダ同然で資産を取り戻せる」と考えがちだが、その時価をめぐって担保権者は価額決定請求(149条)で争える。安く済ませようと低い価額で申し立てると、今度は価額をめぐる別の戦いが始まり、結局は鑑定で引き上げられることも多い
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制度の役割 | 148条:事業継続資産の担保権を時価納付で消滅させる許可 | 149条:担保権者による価額(納付額)の決定請求 152条:金銭納付による担保権消滅の効果発生 |
| 申立て・請求の主体 | 再生債務者等(事業を守りたい側) | 担保権者(価額が安すぎると考える側) 効果規定のため主体なし(納付により自動発生) |
| 担保権者の同意 | 不要(裁判所の許可で消滅) | 不要(価額を争う抵抗手段) 不要(納付という事実で完結) |
| 被担保債権への影響 | 財産上の担保権のみ消滅、債権は残る | 適正価額の確定で優先回収額が変動 納付額を超える差額は無担保の再生債権として残存 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の会社重整では、重整裁定後に担保権の実行が中止されるが、日本の148条のように時価納付で担保権自体を消滅させる個別制度は明確でなく、重整計画の枠内で処理される傾向がある
韓国は担保権を『回生担保権』として回生手続に取り込む方式を採り、日本の別除権+消滅許可という構成とは制度設計が異なる
ドイツは倒産管財人による担保物の換価を認めるが、日本のように債務者側が時価納付で担保権を消滅させる許可制度とは主体・構成が異なる
米国連邦倒産法は、一定の要件下で担保物を担保権の負担を除去して(free and clear)売却することを認め、日本の148条の機能的原型に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 資金繰りに行き詰まり民事再生を申し立てた製造業のあなた。主力工場には銀行の抵当権がびっしり付いている。銀行が競売を匂わせてきても、その工場が「事業の継続に欠くことのできない財産」なら、時価を裁判所に納付して担保を全部消し、操業を止めずに再生へ進める道がある
- あなたが融資した銀行の側だとする。取引先が再生を申し立て、ある日、担保権消滅許可の申立書が送達されてくる。納付予定額はあなたの見立てより明らかに安い。ここで黙っていると、その安い金額で担保が消えてしまう。価額決定請求と即時抗告、二つの抵抗手段をいつ使うかを即断しなければならない
- もし、あなたの会社の唯一の生産ラインや本社不動産に担保が付いていて、債権者が一斉に実行をかけてきたら、再生計画はどうなる? 148条はその「実行されたら終わり」という前提を、時価納付という代償付きで覆す装置になる
- 送達を受けた根抵当権者のあなたには、もう猶予がない。送達から二週間が過ぎれば根抵当権の元本は自動で確定する(6項)。確定する被担保債権額を今のうちに固め、即時抗告の不変期間も同時に走っている。机に書類を放り出している暇はない
取るべき行動
被害を受けた側:1. その財産が『事業の継続に欠くことのできない』ものだと客観的に示す資料を準備する(その工場がなければ製品が作れない等の具体的根拠) 2. 申立書に目的財産の表示・価額・消滅すべき担保権・被担保債権額の四項目を正確に記載する(2項) 3. 価額は過小でも過大でも危険、不動産鑑定士の評価を取って根拠を固める4. 許可決定後に納付する資金を、スポンサー支援や DIP ファイナンスで並行して確保する5. 担保権者の即時抗告・価額決定請求(149条)に備え、評価の合理性を説明できるようにしておく
訴えられた側:1. 申立書の送達を受けたら、まず納付予定額が担保物の時価より低くないか精査する2. 低ければ法定期間内に価額決定の請求(149条)を行い、評価人の鑑定で適正額に引き上げる3. 許可要件(事業継続への不可欠性)に疑義があれば即時抗告(4項)で争う4. 根抵当権なら送達から二週間で元本が確定する(6項)ことを前提に、確定時点の被担保債権額を固める5. 納付額が被担保債権に満たない差額は、無担保の再生債権として速やかに届け出る
時効(請求できる期限):即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に行う(民事再生法18条・民事訴訟法332条)。根抵当権の元本は、申立書の送達を受けた時から二週間の経過で確定する(6項)。価額決定の請求にも送達日起点の期間制限があるため、送達日を基準に直ちに動くこと(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(倒産法学):148条の担保権消滅許可は、担保権者の優先弁済的地位を金銭(時価相当額)に置き換えることで、担保権者の経済的利益を実質的に損なわずに事業継続価値を救済する制度と理解される。要件は目的財産の事業継続への不可欠性と適正な価額の納付であり、担保権者の同意は要しない。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:和議法に代わる再建型倒産手続として民事再生法が制定され、事業継続に不可欠な資産上の担保権を裁判所の許可により消滅させる担保権消滅許可制度(148条)が新たに導入された。
- 民事再生法 第53条別除権、消滅対象となる担保権の範囲を画定
- 民事再生法 第149条担保権者による価額決定の請求
- 民事再生法 第150条価額決定の手続および評価人の選任
- 民事再生法 第152条金銭納付と担保権消滅の効果発生
- 民事再生法 第153条納付金の配当等による担保権者への弁済
- 民法 第398条の20根抵当権の元本確定の効果を準用(7項)
- 破産法 第186条破産手続における担保権消滅許可の並行制度
- 会社更生法 第104条更生手続における担保権消滅請求の並行制度
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