民事再生法 第186条(再生計画の遂行)
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- 再生計画認可の決定が確定したときは、再生債務者等は、速やかに、再生計画を遂行しなければならない。
- 2.前項に規定する場合において、監督委員が選任されているときは、当該監督委員は、再生債務者の再生計画の遂行を監督する。
- 3.裁判所は、再生計画の遂行を確実にするため必要があると認めるときは、再生債務者等又は再生のために債務を負担し、若しくは担保を提供する者に対し、次に掲げる者のために、相当な担保を立てるべきことを命ずることができる。
- 一再生計画の定め又はこの法律の規定によって認められた権利を有する者
- 二異議等のある再生債権でその確定手続が終了していないものを有する者
- 三別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の部分が確定していない再生債権を有する者
- 4.民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。
この条文の基本情報
再生計画の遂行とは何ですか?
定義再生計画の遂行とは、民事再生法第186条に定められた規定で、「再生計画認可の決定が確定したときは、再生債務者等は、速やかに、再生計画を遂行しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第186条(再生計画の遂行)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第186条の条文原文は「再生計画認可の決定が確定したときは、再生債務者等は、速やかに、再生計画を遂行しなければならない。」で始まります。
- 民事再生法第186条は第八章 再生計画認可後の手続に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第186条の前の条は民事再生法第185条です。
- 民事再生法第186条の次の条は民事再生法第187条です。
- 民事再生法第186条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第186条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第186条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/186
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法186条は、認可決定の確定後、再生債務者等が速やかに再生計画を遂行する義務を定める。監督委員が選任されていれば遂行を監督し、裁判所は必要に応じ相当な担保の提供を命じられる。
Q · 再生計画が認可されたら、もう会社は助かったということ?
認可はゴールではなく、遂行義務のスタートです
民事再生法186条1項により、再生計画認可の決定が確定すると、再生債務者等は速やかに再生計画を遂行する義務を負います。監督委員が選任されていれば、同委員が遂行を監督します(2項)。さらに裁判所は、遂行を確実にするため必要があると認めるときは、再生債務者等や再生のために債務を負担・担保提供する者に対し、相当な担保を立てるよう命じることができます(3項)。遂行を怠れば再生計画の取消し(189条)、その先には牽連破産が待っています。
解説
再生計画が裁判所に認可され、確定する。ここで多くの経営者は「これで終わった、会社は助かった」と胸をなで下ろす。だが民事再生法186条は、そこからが本番だと告げる。1項は「速やかに、再生計画を遂行しなければならない」と再生債務者に命じる。認可は出発点であって、ゴールではない。さらにこの条文は二重の安全装置を仕込んでいる。監督委員が選任されていれば、その委員があなたの遂行を監視する(2項)。そして裁判所は、計画遂行を確実にするため必要と認めれば、債務者や保証人らに「相当な担保を立てろ」と命じることができる(3項)。あなたが債権者なら、この3項があなたの最後の保険だ。あなたが債務者なら、認可後も裁判所と監督委員の視線が外れないことを意味する。払えなくなれば、計画ごと取り消され(189条)、その先には破産が待っている。
法的な位置づけ
民事再生法186条は再生計画の遂行に関する規定であり、認可決定の確定により再生債務者等に遂行義務が発生する旨を定める。監督委員が選任されている場合は同委員が遂行を監督し、裁判所は遂行を確実にするため必要があると認めるときは、再生債務者等または再生のために債務を負担し若しくは担保を提供する者に対し、相当な担保を立てるべきことを命ずることができる。
手順
- 1.認可決定の確定日と監督委員の有無を確認する 再生計画認可の決定が確定した日を裁判所の記録で確認し、監督委員が選任されているか、その氏名と連絡先を押さえる。186条1項の遂行義務はこの確定日から起算され、2項の監督主体もここで確定する
- 2.弁済スケジュールを手元で管理する 再生計画に定められた弁済期日・金額・弁済順位を一覧化し、最初の遅延を見逃さない体制をつくる。債権者側は入金消込、債務者側は弁済原資の確保をカレンダーに紐づける
- 3.遅延の兆候があれば監督委員に履行状況の確認を求める 債務者の資金繰りに陰りが見えた段階で、債権者集会を待たず監督委員へ情報提供し、186条2項に基づく履行状況の確認を促す。監督委員は裁判所への報告ルートを持つ
- 4.裁判所に担保提供命令の発令を促す 遂行に不安があるときは、186条3項の担保提供命令を裁判所に求める。担保すべき資産が残っているうちに動くことが要点で、破綻後では命令が出ても空振りに終わる
- 5.履行困難なら滞納前に再生計画の変更を検討する 債務者側は、弁済原資が不足する見込みが立った時点で監督委員と弁護士に相談し、再生計画の変更(187条)を検討する。滞納してから動くのでは要件を満たしにくい
- 6.履行が明白に滞ったら取消しの申立てを判断する 債権者は再生計画の取消し(189条)を申し立てられる。ただし取消しから牽連破産に至れば配当はほぼ消えるため、実務では取消しを交渉カードとして任意弁済を促すことも多い
よくある質問 AI による整理
Q1再生計画の遂行とは何ですか?
認可決定の確定後、再生債務者等が計画で定めた弁済その他の義務を実際に履行することです。民事再生法186条1項が「速やかに」遂行するよう義務づけています。
Q2再生計画認可の決定はいつ確定しますか?
認可決定に対する即時抗告期間が満了するか、抗告が棄却・却下されて争う余地がなくなった時点で確定します。この確定時から186条の遂行義務が発生します。
Q3監督委員は再生計画の遂行を監督しますか?
監督委員が選任されている場合、186条2項により再生債務者の再生計画遂行を監督します。履行状況を確認し、裁判所へ報告するルートを持ちます。
Q4裁判所は担保提供を命じられますか?
186条3項により、遂行を確実にするため必要と認めるときは、再生債務者等や債務負担者・担保提供者に対し、相当な担保を立てるよう命じることができます。
Q5担保提供命令は誰のために出されますか?
186条3項各号の者、すなわち再生計画や法律で認められた権利を有する者、確定手続未了の異議等ある再生債権者、別除権で回収できない不足額が未確定の再生債権者です。
Q6再生計画を払えなくなったらどうなりますか?
履行が現実に不能となる前なら再生計画の変更(187条)を申し立てる道があります。履行を怠れば取消し(189条)を申し立てられ、牽連破産に進む可能性があります。
Q7再生計画の弁済期間は何年までですか?
原則として再生計画認可決定の確定から10年以内です(民事再生法155条3項)。この期間内で186条の遂行義務を果たし続ける必要があります。
Q8担保提供命令に民事訴訟法の規定は準用されますか?
186条4項により、民事訴訟法76条・77条・79条・80条(担保提供の方法、担保物権、取消し、変換)が準用されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1再生計画が認可されたのに、相手がちゃんと払ってくれません。泣き寝入りですか?
泣き寝入りではない。再生債務者には遂行義務があり(186条1項)、監督委員が選任されていれば遂行を監督する(2項)。履行が滞れば再生計画の取消しを申し立てられる(189条)。実務のポイント:取消しまで行くと配当はほぼ消えるので、実務では取消しをちらつかせて任意の支払いを促すのが定石。まず監督委員に履行状況を確認させるのが第一手だ
Q2監督委員って、結局は誰の味方なんですか?
特定の債権者の代理人ではなく、再生手続全体の適正を担保する中立的な立場だ。186条2項で再生計画の遂行を監督し、債務者が約束を守っているかを裁判所に報告する。実務のポイント:監督委員は通常、申立代理人とは別の弁護士が選任される。債権者が遂行の不安を伝える窓口として機能するので、債務者の様子がおかしいと感じたら、債権者集会を待たず監督委員へ直接情報提供するのが効く
Q3再生計画を払えなくなったら、もう一巻の終わりですか?
即終わりではない。期限内なら再生計画の変更(187条)で弁済条件を緩める道がある。変更が認められず履行不能になれば取消し(189条)から牽連破産へ進む。実務のポイント:変更は要件が厳しく、早く動くほど通りやすい。資金繰りが厳しくなった兆候の段階で監督委員に相談するのが、破産を回避する最大の分岐点。滞納してから動くのでは遅い(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「再生計画が認可されたら、もう安心だ」という問いの立て方そのものが間違っている。認可は遂行義務のスタートライン(1項)であって、終着点ではない。本当に問うべきは「これから何年、誰の監視下で、いくら払い続けるのか」だ
- 監督委員が遂行を監督すること(2項)は知っていても、その監督が「失敗すれば取消し・破産に直結する」深刻さを多くの債務者は軽く見ている。監督委員への報告を怠ること自体が、計画取消しの引き金になりうる
- 債権者から見れば「計画が認可されたのだから黙って待てば払われる」が、法律から見れば「遂行を確保する手段を使うかどうかは債権者次第」。この落差を放置すると、債務者が再び傾いたとき、担保提供命令(3項)を求める好機を逃す
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 186条:認可確定後の遂行義務と監督・担保提供命令 | 187条:履行困難時の再生計画の変更 189条:不遂行時の再生計画の取消し |
| 発動する場面 | 認可決定の確定直後から遂行完了まで継続 | 履行が現実に不能となる前(早期ほど有利) 履行を怠った事実が生じた後 |
| 主導する当事者 | 再生債務者等が遂行、監督委員が監督、裁判所が担保提供命令 | 再生債務者等が変更を申し立てる 再生債権者等が取消しを申し立てる |
| 結果 | 遂行完了なら手続の終結(188条)へ | 弁済条件が緩和され再建継続 計画が失効し牽連破産に進む可能性 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の会社重整では重整人が重整計画を執行し、重整監督人が監督する。裁判所の担保提供命令に相当する一般的規定は置かれていない点が日本と異なる
韓国も認可決定後に管理人が回生計画を遂行し、法院が監督する構造をとる。日本の民事再生法を強く参照した立法とされる
ドイツは倒産計画認可後に手続を廃止しつつ、計画で定めれば Planüberwachung(計画履行の監視)を継続できる。監視は倒産管財人が担い、日本の監督委員に近い機能を果たす
米国 Chapter 11では債務者が計画を実行し、裁判所は計画実行に必要な行為を命じられる。担保提供命令に相当する規定はなく、実務は confirmation 段階での feasibility 審査に重心を置く
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの会社の最大の売掛先が民事再生で再生計画を認可されたら、あなたの数千万円の債権はどうなる? 答えは「計画どおり遂行されれば一部回収、されなければ取消しと破産で雀の涙」。遂行を見張る監督委員の存在が、あなたの回収率を左右する
- あなたは認可された再生計画に沿って3年間、毎月の弁済を続けてきた。だが新規受注が落ち込み、来月の弁済原資が足りない。ここで黙って一回飛ばせば、債権者は計画取消しを申し立てられる。先に監督委員と裁判所へ相談し、再生計画の変更(187条)を検討するのが分かれ道だ
- 債務者からの弁済が今月、初めて止まった。あなたに残された判断時間は長くない。監督委員に連絡し、担保提供命令(3項)か計画取消し(189条)か、動き出すのは今だ
- 別除権付きの担保不動産を持つ金融機関として、競売で回収しきれない不足額がまだ確定していない。3項3号は、この不確定な債権のためにも裁判所が担保を立てさせうると定める。あなたの不足額は宙に浮いたまま放置されるわけではない
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず再生計画認可決定の確定日と、監督委員が選任されているかを確認する2. 計画上の弁済スケジュールを手元で管理し、最初の遅延を見逃さない3. 遅延の兆候があれば監督委員に履行状況の確認を求める(186条2項) 4. 遂行に不安があれば、裁判所に担保提供命令(186条3項)の発令を促す5. 履行が明白に滞ったら再生計画の取消し(189条)を申し立て、配当を確保する。取消しの可能性は交渉カードにもなる
訴えられた側:1. 認可確定後は速やかに遂行に着手し、弁済原資を最優先で確保する(186条1項) 2. 監督委員への報告を欠かさない、報告漏れ自体が不信を招く3. 資金繰りが悪化したら滞納する前に動く、再生計画の変更(187条)を早期に検討する4. 裁判所から担保提供命令が出たら無視せず、保証人や担保提供者と調整する5. 履行不能が避けられない場合でも、取消し・牽連破産に至る前に弁護士と再建策を詰める
時効(請求できる期限):再生計画の弁済期間は原則10年以内(民事再生法155条3項)。遂行は認可決定の確定後「速やかに」着手する義務(186条1項)。再生計画の変更(187条)は履行が現実に不能となる前に申し立てるのが実務上の鉄則。取消しの申立て(189条)は履行を怠った事実を前提とする(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:186条1項の遂行義務は再生債務者等に課された公法上の義務であり、私法上の弁済義務とは別個に、手続法上の履行確保構造を支えると解される。2項の監督と3項の担保提供命令は、債務者の自主性を尊重しつつ債権者保護を実効化する二段の梃子として位置づけられる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)制定に伴い新設。和議法に代わる再建型倒産手続として、認可後の遂行義務・監督委員による監督・担保提供命令を一体で規定した
- 民事再生法 第54条監督委員の選任、2項の監督主体の根拠
- 民事再生法 第174条再生計画認可の決定、遂行義務発生の前提
- 民事再生法 第187条再生計画の変更、履行困難時の代替手段
- 民事再生法 第188条再生手続の終結、遂行完了後の効果
- 民事再生法 第189条再生計画の取消し、不遂行時の帰結
- 会社更生法 第209条株式会社の更生計画遂行に関する特別手続(現行効力を要確認)
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