民事再生法 第150条(財産の価額の決定)
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- 価額決定の請求があった場合には、再生裁判所は、当該請求を却下する場合を除き、評価人を選任し、財産の評価を命じなければならない。
- 2.前項の場合には、再生裁判所は、評価人の評価に基づき、決定で、財産の価額を定めなければならない。
- 3.担保権者が数人ある場合には、前項の決定は、担保権者の全員につき前条第一項の期間(同条第二項の規定により期間が伸長されたときは、その伸長された期間。第百五十二条第一項において「請求期間」という。)が経過した後にしなければならない。この場合において、数個の価額決定の請求事件が同時に係属するときは、事件を併合して裁判しなければならない。
- 4.第二項の決定は、価額決定の請求をしなかった担保権者に対しても、その効力を有する。
- 5.価額決定の請求についての決定に対しては、再生債務者等及び担保権者は、即時抗告をすることができる。
- 6.価額決定の請求についての決定又は前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を再生債務者等及び担保権者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
この条文の基本情報
財産の価額の決定とは何ですか?
定義財産の価額の決定とは、民事再生法第150条に定められた規定で、「価額決定の請求があった場合には、再生裁判所は、当該請求を却下する場合を除き、評価人を選任し、財産の評価を命じなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第150条(財産の価額の決定)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第150条の条文原文は「価額決定の請求があった場合には、再生裁判所は、当該請求を却下する場合を除き、評価人を選任し、財産の評価を命じなければならない。」で始まります。
- 民事再生法第150条は第四節 担保権の消滅に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第150条の前の条は民事再生法第149条です。
- 民事再生法第150条の次の条は民事再生法第151条です。
- 民事再生法第150条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第150条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第150条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/150
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法150条は、担保権消滅請求の価額決定手続を定める。再生裁判所は評価人の評価に基づき決定で財産の価額を確定し、その価額は請求をしなかった担保権者にも効力が及ぶ。
Q · 担保があれば安心なのに、なぜ取引先の再生手続で価額を勝手に決められるの?
裁判所が評価人の評価に基づき価額を決め、争わない担保権者も拘束されます
民事再生法150条は、担保権消滅請求(148条)に伴い価額決定の請求(149条)があった場合、再生裁判所が評価人を選任して財産を評価させ、その評価に基づき決定で価額を確定する手続を定めます。最大の注意点は4項で、確定した価額は価額決定の請求をしなかった担保権者にも効力が及ぶことです。つまり他の担保権者が争えば、黙っていた担保権者もその結論に縛られます。決定に不服なら送達から1週間以内に即時抗告(5項)できます。
解説
取引先の中小企業が民事再生を申し立てた。あなたはその会社の工場に抵当権を持っている。担保があるのだから自分の回収は安泰だ、と普通は考える。ところが民事再生法には「担保権消滅請求」という制度があり、再生債務者は事業に不可欠な財産の「価額」に相当する金銭を裁判所に納めることで、あなたの抵当権を本人の同意なく消滅させられる(148条)。その価額に不服があれば価額決定の請求ができ(149条)、150条がその先の手続を定める。裁判所は評価人を選任して財産を評価させ(1項)、その評価に基づき決定で価額を確定する(2項)。最大の落とし穴は4項だ。確定した価額は、価額決定の請求をしなかった担保権者にも効力が及ぶ。つまり、他の誰かが価額を争えば、黙って座っていたあなたまでその結論に縛られる。担保さえあれば動かなくても守られる、という発想がここでは通用しない。
法的な位置づけ
民事再生法150条は、担保権消滅請求(148条)に伴う価額決定の請求(149条)があった場合の裁判手続を定める規定である。再生裁判所は評価人を選任して対象財産を評価させ、その評価に基づき決定で価額を定める。当該決定は請求をしなかった担保権者に対しても効力を有し、決定に対しては再生債務者等及び担保権者が即時抗告をすることができる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.担保権消滅許可の申立てを受けたら提示価額を独自査定 再生債務者から担保権消滅許可の申立て(148条)があったら、提示された価額を鵜呑みにせず、不動産鑑定士等に独自の査定を依頼して実勢との乖離を把握する
- 2.請求期間内に自ら価額決定の請求を出す 提示額が低いと判断したら、149条の請求期間内に必ず自ら価額決定の請求を出す。他の担保権者任せにすると、自分に不利な時期・評価人・土俵で価額が確定する
- 3.評価人の評価が出たら算定根拠を精査 選任された評価人の評価が出たら、収益還元法か積算法か、前提条件は妥当かなど算定根拠を精査し、裁判所の決定前に意見を述べる準備をする
- 4.決定書が届いたら送達日を記録し即時抗告を検討 2項の価額決定の裁判書が届いたら、内容を読む前にまず送達日を記録する。不服があれば送達から1週間の不変期間内に即時抗告(5項)を申し立てる。期間徒過は致命的
よくある質問 AI による整理
Q1担保権消滅請求とは何ですか?
再生債務者が事業に不可欠な財産の価額相当額を裁判所に納付し、担保権者の同意なくその担保権を消滅させる制度です(民事再生法148条)。150条はその価額を決める手続を定めます。
Q2価額決定の請求はいつまでにできますか?
担保権消滅許可決定の送達等を起算点とする所定の請求期間内(149条)です。原則1か月とされますが、最新の改正状況をご確認ください。期間を過ぎると自ら価額を争う手段は失われます。
Q3評価人が出した評価額がそのまま価額になりますか?
なりません。150条2項は裁判所が評価人の評価に『基づき』決定すると定めます。収益還元か積算かなど算定手法の妥当性を裁判所が判断して価額を確定します。
Q4担保権者が複数いる場合はどうなりますか?
全員につき請求期間が経過した後でなければ決定できず、複数の請求事件が同時に係属するときは併合して裁判されます(150条3項)。
Q5価額決定に不服がある場合の手段は?
再生債務者等及び担保権者は即時抗告ができます(150条5項)。裁判書の送達を受けた日から1週間の不変期間内に申し立てる必要があります。
Q6価額決定の請求をしなくても不利益はありますか?
あります。4項により確定価額は請求をしなかった担保権者にも効力が及びます。沈黙は他人任せの結論を丸呑みすることを意味します。
Q7会社更生手続でも同じ制度がありますか?
会社更生法にも担保権を制限・消滅させる並行制度があります。ただし更生手続は担保権者を更生担保権者として手続に組み込む構造で、民事再生とは仕組みが異なります。
Q8納付する価額はどう抑えられますか?
再生債務者側は清算価値ベースの評価を支える根拠資料を準備します。ただし裁判所が評価人の評価に基づき最終決定するため、一方的に低い額にはできません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちはちゃんと抵当権があるのに、なんで取引先が勝手にそれを消せるんですか?
民事再生には、事業に不可欠な財産の担保を、再生債務者が価額相当額を納付して消滅させる制度があるからである(148条、150条)。担保権者の同意は要らない。ただし価額に不服なら価額決定の請求ができ、最終的に裁判所が評価人の評価に基づき価額を決める(150条2項)。実務のポイント:銀行など主要な担保権者は、価額が安く決まると回収が減るため、実務では正面から価額決定で争う前に、再生債務者やスポンサーと水面下で任意の弁済額を交渉してから手続に乗せることが多い。テーブルに着いた方が回収額が上がる場面がある
Q2他の担保権者が価額を争っているけど、うちは関係ないから放っておいていいですか?
放置は危険である。150条4項により、確定した価額は価額決定の請求をしなかった担保権者にも効力が及ぶ。他人が起こした手続の結論に、黙っていたあなたも縛られる。不服があるなら自ら請求するか、決定後に即時抗告(5項)するしかない。実務のポイント:複数の価額決定請求事件は併合して審理される(3項)。早く動いた担保権者が選んだ評価人や主張の土俵で価額が決まりやすく、後から不満を言っても遅い。最初から自分も当事者として土俵に上がる方が圧倒的に有利
間違えやすい点 AI による整理
- 担保権者から見れば「抵当権は自分の財産、相手が勝手に消せるはずがない」。だが倒産法から見れば、再生債務者が価額相当額を納付した瞬間、その抵当権は消滅する。この「自分の財産という前提」と「手続が優先するという現実」の落差に気付かないまま手続が進むと、気付いたときには担保が現金に変わっている
- 価額決定の請求という制度があることは知っていても、4項の深刻さを知る人は少ない。確定価額は請求をしなかった担保権者にも及ぶ。つまり沈黙はリスクの放棄ではなく、他人任せの結論を丸呑みすることを意味する。知識として149条を知っているだけでは足りず、その効力範囲まで踏み込んで初めて意味がある
- 「評価人が出した評価額が、そのまま価額になる」と思われがちだが、2項は裁判所が評価人の評価に『基づき』決定すると書く。裁判所は評価額に機械的に拘束されるわけではなく、複数の評価手法(収益還元か積算か)の妥当性を判断して価額を定める。評価書が一通出れば終わり、ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 150条:価額決定の裁判手続(評価人選任・決定・即時抗告) | 148条:担保権消滅許可の請求(本体手続の起点) 149条:価額決定の請求と請求期間 |
| 誰の行為か | 再生裁判所(評価命令・価額決定) | 再生債務者等(消滅許可の申立て) 担保権者(価額に不服なときの請求) |
| 効力の及ぶ範囲 | 確定価額は請求をしなかった担保権者にも及ぶ(4項) | 許可決定を受けた再生債務者等と対象担保権者 請求をした担保権者の主張の土俵を形成 |
| 次の手続 | 確定価額に相当する金銭の納付(152条)へ | 価額決定の請求(149条)へ 価額決定の裁判(150条)へ |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の重整手続では担保権の実行が制限されるが、日本のように価額を納付して担保権を個別に消滅させる独立制度は明確でなく、手続構造が異なる
韓国の回生手続では担保権者を回生担保権者として計画に取り込む構造をとり、価額決定による個別消滅というより計画による権利変更に重点がある
ドイツ倒産法は担保目的物の換価権限を管財人に集中させ、担保権者を手続内で保護する。価額を裁判所が決定する日本の司法手続とは制度設計が異なる
米国 Chapter 11では担保権付き財産を『free and clear of liens』で売却でき、クラムダウンで担保権者に adequate protection を与える。裁判所の関与という点で日本の価額決定と機能的に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の工場に第一順位の抵当権を持っている。その会社が民事再生に入り、再生債務者が想定よりかなり低い価額を提示して担保権消滅許可を申し立ててきた。提示額を鵜呑みにして放置すれば、その安い金額で抵当権が消える。価額決定の請求を出すか出さないかで、回収額が数千万円単位で動く
- もし、他の担保権者だけが価額決定の請求をして、あなたは何もしなかったら? 4項により、裁判所が確定した価額はあなたにも効力が及ぶ。あなたが選んでいない評価人、あなたが知らない主張の土俵で決まった額に、当事者でもないのに拘束される
- あなたの会社が再生中で、本社ビルに付いた抵当権が再建計画の最大の障害になっている。担保権消滅請求で価額を納付してこの担保を消したい。問題は、その価額をいかに清算価値ベースで低く抑える根拠を組み立てるか、そしてスポンサー資金を納付期限までに用意できるかだ
- 価額決定の決定書が届いた。評価が低すぎる。即時抗告できるのは送達から1週間。あと3日。今夜、抗告理由を組むか、このまま確定させるか。
取るべき行動
被害を受けた側:担保権者として担保を低い価額で消されそうな側。1. 再生債務者から担保権消滅許可の申立て(148条)があったら、提示価額を不動産鑑定士等で独自に査定する2. 提示額が低いと判断したら、請求期間(149条)内に必ず自ら価額決定の請求を出す。他の担保権者任せにしない3. 評価人の評価が出たら、収益還元か積算かなど算定根拠を精査4. 2項の決定に不服なら、送達から1週間以内に即時抗告(5項)。期間徒過は致命的
訴えられた側:再生債務者側で担保を消して事業を立て直したい側。1. 事業に不可欠な財産を特定し、担保権消滅許可を申し立てる(148条) 2. 納付する価額を抑えるため、清算価値ベースの評価を支える根拠資料を準備3. 担保権者が複数いる場合、全員の請求期間が経過するまで決定が出ない点(3項)を資金スケジュールに織り込む4. 確定価額の納付資金(スポンサー資金等)を期限までに確保。納付できなければ消滅の効果は生じない
時効(請求できる期限):価額決定の請求は149条の請求期間内(担保権消滅許可決定の送達等を起算点とする所定期間、原則1か月。最新の改正状況をご確認ください)。2項の価額決定に対する即時抗告は、裁判書の送達を受けた日から1週間の不変期間(民事再生法9条、民事訴訟法332条)。この期間が過ぎると評価額が確定し、もはや争えない
学説
通説・実務:150条2項の価額決定において、裁判所は評価人の評価に機械的に拘束されず、収益還元法・積算法など複数の評価手法の妥当性を判断して価額を定める。担保権者保護の観点からは清算価値保障の考え方が均衡点として意識される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)制定に伴い、担保権消滅請求制度(148条以下)の一部として価額決定手続を新設。事業に不可欠な財産の担保を価額に転換して消滅させる仕組みを整備した。
- 民事再生法 第148条担保権消滅許可の請求、150条が前提とする本体手続
- 民事再生法 第149条価額決定の請求と請求期間、150条を起動する条文
- 民事再生法 第152条価額に相当する金銭の納付、確定価額の決済(現行効力を要確認)
- 民事再生法 第9条本法の裁判に対する即時抗告の一般規定
- 民事再生法 第10条送達の方法、6項が一部適用を除外する条文
- 会社更生法 第104条更生手続における担保権消滅の並行制度(現行効力を要確認)
- 民事訴訟法 第332条即時抗告期間1週間の不変期間、5項抗告の手続的補充
- 民法 第369条消滅の対象となる抵当権の実体的根拠
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