民事再生法 第135条(否認権の行使)
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- 否認権は、訴え又は否認の請求によって、否認権限を有する監督委員又は管財人が行う。
- 2.前項の訴え及び否認の請求事件は、再生裁判所が管轄する。
- 3.第一項に規定する方法によるほか、管財人は、抗弁によっても、否認権を行うことができる。
この条文の基本情報
否認権の行使とは何ですか?
定義否認権の行使とは、民事再生法第135条に定められた規定で、「否認権は、訴え又は否認の請求によって、否認権限を有する監督委員又は管財人が行う。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第135条(否認権の行使)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第135条の条文原文は「否認権は、訴え又は否認の請求によって、否認権限を有する監督委員又は管財人が行う。」で始まります。
- 民事再生法第135条は第二節 否認権に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第135条の前の条は民事再生法第134条の5です。
- 民事再生法第135条の次の条は民事再生法第136条です。
- 民事再生法第135条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第135条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第135条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/135
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法135条は、否認権を訴え又は否認の請求により監督委員か管財人が行使すると定める。管財人は抗弁でも否認でき、事件は再生裁判所が管轄する。
Q · 倒産した取引先から受け取った弁済が「否認」されるって、誰がどうやって取り戻すの?
監督委員か管財人が、訴え・請求・抗弁で巻き戻す
民事再生法135条により、否認権は否認権限を有する監督委員または管財人が、①訴え②否認の請求(簡易な決定手続)の二経路で行使します。さらに管財人に限り、③抗弁によっても否認できます(3項)。つまりあなたが再生債務者を訴えても、管財人はその同じ訴訟の中で「その取引は否認する」と防御するだけで請求を退けられます。これらの事件は再生裁判所に管轄が集中し(2項)、争いの土俵は相手の手続が進む場所に固定されます。
解説
取引先が経営危機に陥り、土壇場であなたへ売掛金を払った、あるいは担保を差し入れた。半年後、その会社は民事再生を申し立てる。ここから先、あなたが受け取ったその金や担保は安全ではない。135条は、再生手続で選ばれた監督委員(否認権限を与えられた場合)または管財人が、あなたへの偏った弁済や財産移転を巻き戻す「否認権」を、三つの方法で行使できると定める。訴えを起こす、否認の請求という簡易な決定手続を使う、そして管財人なら、あなたが会社を訴えてきたときに抗弁として「その取引は否認する」と返す。つまりあなたが攻める側に回っても、防御として返り討ちに遭う。しかも管轄は再生裁判所に集中するから、争いの土俵は相手の手続が進む場所に固定される。
法的な位置づけ
民事再生法135条は否認権の行使方法を定める規定であり、否認権が訴え又は否認の請求によって、否認権限を有する監督委員又は管財人により行使される旨を規定する。これらの事件は再生裁判所が管轄し、管財人は抗弁によっても否認権を行使できる。簡易迅速な財団回復と相手方の手続保障とを調整する手続的基盤である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手が監督委員型か管財人型かを確認 提訴や交渉に入る前に、相手方の手続類型を確認する。監督委員は抗弁を使えず(135条3項は主体を管財人に限る)、管理命令で管財人が選任されると抗弁が解禁される。肩書きで防御の組み立てが変わる
- 2.対象取引と入金時期を時系列で整理 受領した弁済・担保提供の日付、相手の支払不能を知り得た時点、督促メールや催告書の有無を時系列で整理する。督促の記録は『危機を知っていた』証拠として否認を後押ししうるため、当時の認識を裏付ける資料も揃える
- 3.行使期間の徒過を確認 否認の請求書や訴状が届いたら、再生手続開始の日から2年、行為の日から20年という行使期間(139条)を徒過していないか確認する。徒過していれば否認権は消滅している
- 4.否認類型の要件欠如で反論を組む 受領時に相手の危機を知らなかった、相当の対価があった等、否認類型(127条以下)の要件を欠く反論を組み立てる。偏頗行為否認か詐害行為否認かで争点が異なるため、請求の根拠条文を特定する
- 5.認容決定には異議の訴えで対抗 否認の請求を認容する決定が出たら、決定の送達を受けた日から不変期間内に異議の訴え(137条)を提起する。これにより簡易な決定が正式な訴訟審理に切り替わり、要件を正面から争える。期間を逃すと決定が確定する
よくある質問 AI による整理
Q1否認権とは何ですか?
倒産直前の偏った弁済や財産移転を巻き戻す権利です。民事再生法135条により、否認権限を有する監督委員または管財人が訴え・否認の請求・抗弁で行使します。
Q2偏頗弁済の否認とは?
支払不能後などに特定の債権者だけへ行った弁済を、他の再生債権者の公平を害するものとして巻き戻すことです。受領時に適法でも返還義務が生じ得ます。
Q3否認権の行使期間は何年ですか?
再生手続開始の日から2年で行使できなくなります(民事再生法139条)。否認しようとする行為の日から20年経過でも同様です。
Q4否認の請求とはどんな手続ですか?
訴えより簡易な決定手続で否認を求める方法です(民事再生法136条)。認容決定には異議の訴え(137条)で正式な訴訟審理へ移行できます。
Q5取引先が倒産したら払ってもらった金は返すのですか?
偏頗弁済等と評価されれば、監督委員または管財人の否認権行使により返還を求められることがあります。受領時に適法でも結果として巻き戻されます。
Q6監督委員に否認権限はありますか?
裁判所が否認権限を付与した場合に限り行使できます(民事再生法56条)。付与がなければ否認権を行使できません。
Q7抗弁による否認は誰ができますか?
管財人だけです(民事再生法135条3項)。監督委員は抗弁を使えず、訴えか否認の請求が必要になります。
Q8否認の請求を受けたらどうすればよいですか?
まず行使期間の徒過、否認類型(127条以下)の要件欠如を確認し、認容決定には異議の訴え(137条)で不変期間内に対抗します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1もう受け取ったお金なのに、あとから返せって本当にあり得るんですか?
あり得ます。倒産直前の偏った弁済や財産移転は、監督委員(否認権限ありの場合)または管財人が否認権で巻き戻せます(民事再生法127条以下、135条)。受け取った時点で適法でも、他の債権者を害する偏頗行為と評価されれば返還義務が生じます。実務のポイント:実務の分かれ目は「相手が支払不能を知っていたか」。あなたが督促を強めたメールや催告書が、皮肉にも『危機を知っていた』証拠として否認を後押しすることがある。回収を急ぐほど足元が危うくなる
Q2訴えられてもいないのに否認されるって、どういうことですか?
管財人は「抗弁」でも否認できます(民事再生法135条3項)。あなたが再生債務者に債権を主張して訴えると、管財人は別に訴え返さず、その訴訟の中で『その取引は否認する』と防御するだけであなたの請求を退けられます。実務のポイント:この抗弁は管財人だけの武器で、監督委員には使えず訴えか否認の請求が要る。だから相手が監督委員型か管財人型かで、あなたの提訴リスクは段違い。訴える前に相手の肩書きを確認するのが玄人の初手です
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば「正当に受け取った弁済」だが、倒産法から見れば「他の債権者を出し抜いた偏頗行為」。この落差が、適法だと信じて口座に入れた金を返還義務へと変える。受領時に違法でなくても、結果として再生債権者の公平を害したと評価されれば巻き戻される
- 否認は訴訟で正面から争うものだと思っている人は、抗弁という経路の怖さを知らない。あなたが債権回収のために再生債務者を訴えると、管財人は訴え返すことすらせず、その場で「否認する」と抗弁するだけであなたの請求を退けられる。時間も提訴費用もかけずに、受け身で勝てる構造になっている
- 「民事再生には管財人がいないから抗弁による否認は使われない」という思い込みは、半分正しく半分危険だ。確かに通常の監督型では監督委員が否認権限を持ち、抗弁は使えない(135条3項は主体を管財人に限る)。だが管理命令が出て管財人が選任されれば、抗弁が解禁される。相手の手続類型を確かめないと、不意打ちの有無を読み違える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 行使できる主体 | 抗弁:管財人のみ(135条3項) | 訴え:監督委員(権限付与時)・管財人 否認の請求:監督委員(権限付与時)・管財人 |
| 手続の重さ・迅速性 | 抗弁:受け身で最も簡便、別途の申立て不要 | 訴え:正式だが時間と費用がかかる 否認の請求:決定手続で簡易迅速(136条) |
| 相手方の対抗手段 | 抗弁:本案訴訟の中で防御に反論 | 訴え:通常の訴訟手続で全面的に争う 否認の請求:認容決定に異議の訴え(137条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も破産手続で危機時期の偏頗・詐害行為を撤銷できる。行使主体は破産管財人で、日本の管財人型に近い構造を持つ
韓国は統合倒産法で否認権(부인권)を規律し、偏頗否認・詐害否認の類型を備える。日本と同じく管理人が行使する
ドイツの Insolvenzanfechtung が母法。Insolvenzverwalter が訴え等により行使し、危機時期と相手方の悪意を要件とする点で日本法と共通する
米国は preference(偏頗弁済)と fraudulent transfer を別条で規律。trustee が回復訴訟(avoidance action)で行使し、90日のルックバック期間など固有の要件を持つ
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが下請けで、元請けの資金繰り悪化を察知し、督促を強めて駆け込みで売掛金を回収した。半年後、元請けが民事再生を申し立てる。その「早く動いて取り立てた」入金が、偏頗弁済として否認の標的になる。回収できて安心していた金が、返還請求として戻ってくる
- もし、あなたが再生債務者に対して未払いの代金を請求する訴えを起こしたら、どうなるか。相手が管財人型の手続なら、管財人は反訴も別訴も起こさず、その同じ法廷で「あなたが過去に受けた取引は否認する」と抗弁するだけで、あなたの請求を空振りにできる(135条3項)。攻めに転じた瞬間が、最も無防備になる
- あなたが役員を務める会社が、最後の数か月で社長個人への借入返済や親会社への資産移転を行った。残された時間はわずか。これらの内部資金移動も第三者への弁済と同じ否認の射程にあり、再生開始後に否認の請求として返ってくる。指示した支払いの記録が、自分に向けられる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 再生債務者が開始前に他の債権者へ偏った弁済や財産移転をした疑いがあれば、対象取引を時系列で整理し、監督委員または債権者集会に証拠とともに情報提供する2. 監督委員に否認権限が付与されているか確認、なければ裁判所への付与(民事再生法56条)を促す3. 行使期間(再生手続開始の日から2年、139条)内に動くよう否認権者へ働きかける4. 再生債権者は自ら否認権を行使できないので、否認権者を動かす情報と証拠の提供が現実的な一手になる
訴えられた側:1. 否認の請求書または訴状が届いたら、まず行使期間(開始決定から2年、行為の日から20年、民事再生法139条)を徒過していないか確認、徒過していれば否認権は消滅している2. 受領時に相手の危機を知らなかった、相当の対価があった等、否認類型(127条以下)の要件を欠く反論を組む3. 否認の請求の認容決定には異議の訴え(137条)で対抗、不変期間を死守する4. あなたが債権者として再生債務者を訴える前に、相手が管財人型なら抗弁で否認される危険を織り込んで提訴の可否を判断する
時効(請求できる期限):否認権は再生手続開始の日から2年を経過すると行使できない(民事再生法139条)。否認しようとする行為の日から20年経過時も同様。起算点は再生手続開始決定の日。否認の請求を認容する決定に対する異議の訴えは、決定の送達を受けた日から不変期間内に提起する必要がある(137条)(最新の改正状況をご確認ください)
- 民事再生法 第56条監督委員への否認権限の付与
- 民事再生法 第127条詐害行為の否認、行使対象となる行為の要件
- 民事再生法 第136条否認の請求の手続、簡易な行使方法の詳細
- 民事再生法 第137条否認の請求認容決定に対する異議の訴え
- 民事再生法 第139条否認権の行使期間(2年・20年)の制限
- 破産法 第173条破産手続における否認権行使方法の並行規定
- 会社更生法 第95条更生手続における否認権行使方法の並行規定
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