民事再生法 第132条(否認権行使の効果)
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- 否認権の行使は、再生債務者財産を原状に復させる。
- 2.第百二十七条第三項に規定する行為が否認された場合において、相手方は、当該行為の当時、支払の停止等があったこと及び再生債権者を害することを知らなかったときは、その現に受けている利益を償還すれば足りる。
この条文の基本情報
否認権行使の効果とは何ですか?
定義否認権行使の効果とは、民事再生法第132条に定められた規定で、「否認権の行使は、再生債務者財産を原状に復させる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第132条(否認権行使の効果)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第132条の条文原文は「否認権の行使は、再生債務者財産を原状に復させる。」で始まります。
- 民事再生法第132条は第二節 否認権に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第132条の前の条は民事再生法第131条です。
- 民事再生法第132条の次の条は民事再生法第132条の2です。
- 民事再生法第132条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第132条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第132条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/132
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法132条は否認権行使の効果を定め、原則として否認された行為は原状に復するが、無償行為の否認で相手方が善意なら現存利益の償還で足りる。
Q · 倒産した取引先から受け取ったお金は、否認されたら全額返さないといけないの?
類型による。無償行為で善意なら現存利益だけでよい
民事再生法132条1項により、否認された行為は原則として再生債務者財産を原状に復させ、受領した財産は全額返還します。ただし2項では、無償行為(贈与や債務免除など、127条3項)の否認で、相手方が行為当時に支払停止等や再生債権者を害することを知らなかった善意なら、現に受けている利益(現存利益)の償還で足ります。すでに費消して手元にない分は返さなくてよいのです。偏頗弁済など有償取引の否認では善意でも全額返還となる点に注意が必要です。
解説
取引先が民事再生を申し立てた。その数ヶ月前、あなたの会社はその取引先から売掛金800万円を回収していた。安心していたところに、監督委員から一通の書面が届く。「あの支払いは否認の対象だ。再生債務者財産に戻してほしい」。民事再生法132条は、否認権が行使されたときに何が起こるかを定める。第1項は冷酷だ。否認された行為は「原状に復する」、つまりあなたが受け取った金や財産は、なかったことにされて戻される。だが第2項に救命ロープが一本ある。無償行為(贈与や債務免除など、127条3項)が否認された場合、あなたが行為の当時、支払の停止等や債権者を害することを知らなかった善意の相手方なら、返すのは「現に受けている利益」だけでよい。すでに使ってしまって手元に残っていない分は返さなくてよい。善意かどうか、いつ何を知っていたか、その一点があなたの返還額の桁を左右する。
法的な位置づけ
民事再生法132条は否認権行使の効果を定める規定であり、第1項は否認された行為が再生債務者財産を原状に復させる原則を、第2項は無償行為の否認における善意の相手方が現存利益の償還で足りる例外を規定する。原状回復と善意者保護の均衡を図る条文である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.届いた書面の種類と対象行為を特定する 監督委員等から届いた書面が否認の請求か訴えか、対象となる行為(受領した代金・贈与・弁済)は何かをまず特定する。反論の枠組みはここで決まる
- 2.否認類型を見極める 対象行為が詐害行為(127条)・偏頗行為(127条の3)・無償行為(127条3項)のどれかを判断する。無償行為の否認なら現存利益のみの返還に絞れる可能性がある
- 3.善意と現存利益を立証する準備 無償否認の場合、行為当時に支払停止等や債権者を害することを知らなかった善意を主張し、受領後に費消して手元に残っていないことを示す出金記録・使途を準備する
- 4.反対給付の返還・回復をセットで請求 自分が渡した反対給付について、民事再生法133条に基づき返還または財団債権・再生債権としての回復を必ずセットで主張し、取られっぱなしを避ける
よくある質問 AI による整理
Q1否認権とは何ですか?
倒産手続で、開始前に流出・偏在した財産を取り戻す権利です。再生債務者や監督委員が行使し、偏頗弁済や無償譲渡を巻き戻して全債権者に公平に分配し直します。
Q2民事再生の否認権はいつまで行使できますか?
再生手続開始の日から2年で行使できなくなり、対象行為の時から20年でも消滅します。期間制限があるため早期の着手が重要です(最新の改正状況を要確認)。
Q3現存利益とは何ですか?
受領した利益のうち、今も手元に残っている分を指します。生活費や事業費として費消し手元にない分は含まれません。民事再生法132条2項の返還範囲を決める概念です。
Q4偏頗弁済と無償行為の否認の違いは?
偏頗弁済は特定債権者への返済で、否認されると善意でも全額返還です。無償行為は贈与など対価のない行為で、善意なら現存利益の返還で足ります(132条2項)。
Q5否認権を行使されたら反対給付はどうなりますか?
民事再生法133条により、渡した反対給付が現存すれば返還を、現存しなければ財団債権や再生債権として請求できる場合があります。取られっぱなしではありません。
Q6善意なら否認されても返さなくていいのですか?
いいえ。善意で返還が軽くなるのは無償行為の否認に限られ、その場合も現存利益は返します。偏頗弁済など有償取引の否認では善意でも全額返還が原則です。
Q7転得者も否認の対象になりますか?
はい。民事再生法134条が転得者に対する否認の特則を定めます。一定の要件を満たせば、直接の相手方から財産を取得した第三者にも否認が及びます。
Q8破産と民事再生で否認権は違いますか?
基本構造は共通しますが根拠条文が異なります。破産は破産法160条以下、民事再生は民事再生法127条以下・132条です。並行する制度として設計されています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1もう使ってしまったお金でも、全額返さないといけないんですか?
否認の類型によります。偏頗弁済や詐害行為の否認なら、原則として受け取った全額を再生債務者財産に戻します(132条1項)。ただし無償行為の否認(127条3項)で、あなたが行為当時に支払停止等や債権者を害することを知らなかった善意の相手方なら、現に手元に残っている利益(現存利益)を返せば足ります(132条2項)。実務のポイント:この「善意で現存利益だけ」が使えるのは無償否認に限られる。有償取引の偏頗弁済では善意でも全額です。まず自分のケースがどの類型かを弁護士に確認するのが先決
Q2否認されたら、こちらが先に渡していた商品や代金はどうなるんですか?
原状回復が原則なので、あなたが受領物を戻す一方で、あなたが反対給付として渡したもの(代金や商品)の扱いも別途調整されます。相手方の地位は民事再生法133条が定め、反対給付が現存すればその返還を、現存しなければ財団債権または再生債権としての請求が認められる場合があります。実務のポイント:「取られっぱなし」ではない。否認で財産を戻すのと引き換えに、自分が渡した分の回収手段が用意されている。否認の請求を受けたら、自分の反対給付がどう扱われるかを必ずセットで主張すること
間違えやすい点 AI による整理
- 受け取った代金が否認されうることまでは知っていても、その返還が常に「全額」だと思い込んでいる。実は無償行為の否認で自分が善意なら、返すのは現存利益だけ(132条2項)。同じ「否認された」でも、戻す金額が半分以下になることがある、その深刻さの差を見落としている
- 「善意なら返さなくていい」と考えている時点で、問いの立て方がずれている。善意で返還が軽くなるのは無償行為の否認(127条3項)に限った話で、有償取引の偏頗弁済(127条の3)では、たとえ善意でも原則全額を戻す。まず自分のケースがどの類型かを問わなければ、善意の有無は意味を持たない
- あなたから見れば「正当に納品して正当に受け取った代金」だ。だが再生手続から見れば「他の債権者の取り分を先に奪った偏頗弁済」になりうる。この一枚の取引に対する見え方の落差が、何もしていないつもりのあなたを返還請求の被告席に座らせる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象と局面 | 132条:否認一般の効果(原状回復)を定める | 127条:詐害行為否認の要件(無償否認は3項) 127条の3:偏頗行為否認の要件 |
| 善意時の返還範囲 | 無償否認なら現存利益の償還で足りる(2項) | 詐害行為の否認は原則全額の原状回復 偏頗弁済の否認は善意でも原則全額返還 |
| 相手方の保護 | 反対給付の扱いは133条で別途調整 | 133条により反対給付の返還・回復あり 134条で転得者への否認の特則あり |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も破産手続で開始前の詐害・偏頗行為を取り消す撤銷権を認めるが、再生型は会社更生・重整の枠組みで扱われる
韓国は債務者回生法に否認権を統合し、日本法と類似の類型別規律を持つ
ドイツ倒産法の Anfechtung が日本の否認権の母法。無償行為の否認(§ 134 InsO)は特に緩やかな要件で認められる
米国破産法は preference(§547)と fraudulent transfer(§548)に分けて否認的効果を規律する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、再生手続開始の3ヶ月前にあなたが受け取った800万円について、否認の請求が届いたら? 反論の機会は限られ、否認の訴えになれば応訴の準備に追われる。受領した当時、相手の支払停止を知っていたかどうかが争点の中心に座る
- 経営難の知人から借金の返済として200万円を受け取った。後にその知人が民事再生へ。それが特定の債権者だけを優遇した偏頗弁済と見られれば、善意でも原則として全額を戻す
- あなたの NPO が、ある企業から300万円の寄付(無償行為)を受けた。半年後、その企業が再生手続を申し立てる。だがあなたが当時その企業の支払停止を知らなかったなら、すでに活動費に消えた分は返さなくてよい。返すのは手元に残った現存利益だけだ
- あなたが再生債務者の立場で、過去に特定の取引先だけ優先して支払っていた事実がある。監督委員はその支払いを否認し、財産を取り戻して全債権者へ公平に配り直そうとする。あなたが良かれと思った義理堅さが、手続では「えこひいき」として巻き戻される
取るべき行動
被害を受けた側:(否認権を行使する側=再生債務者・監督委員)1. 再生手続開始前に流出・偏在した財産を時系列で洗い出す(偏頗弁済・無償譲渡・廉価売却) 2. 各行為を否認類型に振り分ける:詐害行為(127条)、相当の対価を得てした処分(127条の2)、偏頗行為(127条の3)、無償行為(127条3項) 3. 否認の請求・訴え・抗弁で行使し、相手方および転得者(134条)を特定する4. 否認権には期間制限があり、再生手続開始から2年で行使できなくなるため、早期着手が必須(最新の改正状況をご確認ください)
訴えられた側:(否認される相手方)1. 届いた書面が否認の請求か訴えか、対象行為は何かをまず特定する2. 否認類型を見極める。無償行為(127条3項)の否認なら、行為当時に支払停止等と債権者を害することを知らなかった善意を主張し、現存利益のみの返還(132条2項)に絞り込む3. すでに費消した分を現存利益から除く立証(出金記録・使途)を準備する4. 自分が渡した反対給付の返還・回復(133条)を必ずセットで請求し、取られっぱなしを避ける
時効(請求できる期限):否認権は、再生手続開始の日から2年を経過すると行使できず、否認対象行為の時から20年を経過したときも同様に消滅する(民事再生法の否認権行使の期間制限規定。具体的な条番号と要件は最新の改正状況をご確認ください)。起算点は再生手続開始決定の日
学説
通説:132条2項の現存利益返還は、民法703条の善意受益者保護と同じ法理に立つと解される。無償行為の否認では取引の対価がなく相手方の信頼保護要請が強いため、返還範囲を現存利益に限定して善意者を保護するのが通説的理解である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)制定により、和議法に代わる再生型倒産手続として否認権制度を整備。132条は否認権行使の効果を規定。平成12年(2000年)4月施行。
- 民事再生法 第127条詐害行為否認の要件、本条が定める効果の対象行為(3項が無償否認)
- 民事再生法 第127条の3偏頗行為否認、効果は善意でも全額の原状回復
- 民事再生法 第133条相手方の地位、反対給付の返還・債権の回復(現行効力を要確認)
- 民事再生法 第134条転得者に対する否認の特則(現行効力を要確認)
- 破産法 第167条否認権行使の効果に関する破産手続の並行規定
- 民法 第703条不当利得の善意受益者の現存利益返還、本条2項の一般法理
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