民事再生法 第131条(支払の停止を要件とする否認の制限)
クイックジャンプ
再生手続開始の申立て等の日から一年以上前にした行為(第百二十七条第三項に規定する行為を除く。)は、支払の停止があった後にされたものであること又は支払の停止の事実を知っていたことを理由として否認することができない。
この条文の基本情報
支払の停止を要件とする否認の制限とは何ですか?
定義支払の停止を要件とする否認の制限とは、民事再生法第131条に定められた規定で、「再生手続開始の申立て等の日から一年以上前にした行為(第百二十七条第三項に規定する行為を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第131条(支払の停止を要件とする否認の制限)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第131条の条文原文は「再生手続開始の申立て等の日から一年以上前にした行為(第百二十七条第三項に規定する行為を除く。」で始まります。
- 民事再生法第131条は第二節 否認権に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第131条の前の条は民事再生法第130条です。
- 民事再生法第131条の次の条は民事再生法第132条です。
- 民事再生法第131条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第131条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第131条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/131
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法131条は、再生手続開始の申立て等の日から1年以上前にした行為を、支払の停止を知っていたことを理由に否認することを禁じる規定である。
Q · 倒産しそうな取引先から回収したお金は、後で否認されて返さないといけないの?
1年以上前の回収なら支払停止を理由に否認されません
民事再生法131条により、再生手続開始の申立て等の日から1年以上前にした行為は、支払の停止があった後にされたことや、その事実を知っていたことを理由として否認することができません(127条3項の偏頗行為は除く)。つまり回収日が申立日の1年より前なら、支払停止を理由とする否認からは守られます。ただし詐害行為否認(127条)は別ルートで、相手を害する意図が立証されれば1年より前でも対象になり得るため、正常な取引だった証拠を残すことが重要です。
解説
取引先の経営が怪しい。あなたは焦って売掛金を回収し、念のため担保も取った。半年後、その会社が民事再生を申し立てる。すると監督委員から一通の書面が届く。「あの弁済は否認します。お金を返してください」。これが否認権だ。倒産直前に一部の債権者だけが抜け駆けで回収すると、債権者間の公平が崩れる。だから法は、その回収をなかったことにする権限を用意している。だが131条は、その権限に時間の壁を引く。再生手続開始の申立て等の日から1年以上前にした行為は、相手が「支払の停止」(資金繰りが詰まって払えないと外に示した状態)を知っていたという理由だけでは否認できない。何年も前の見えにくい事情を遡って蒸し返されては、誰も安心して取引できないからだ。あなたが1年より前に正常な取引として回収していたなら、この一条があなたの盾になる。
法的な位置づけ
民事再生法131条は、否認権の遡及に時間の限界を設ける規定である。再生手続開始の申立て等の日から1年以上前にした行為(127条3項の偏頗行為を除く)は、支払の停止があった後にされたこと、または支払の停止の事実を知っていたことを理由として否認することができない。取引の安全と債権者平等を時間で切り分ける役割を担う。
よくある質問 AI による整理
Q1民事再生法131条とは何ですか?
再生手続開始の申立て等の日から1年以上前にした行為を、支払の停止やその認識を理由に否認できないと定める規定です。否認権の遡及に時間の壁を設けています。
Q2否認権とは何ですか?
倒産直前に一部の債権者だけが抜け駆けで回収した弁済等を巻き戻し、債権者間の公平を回復する管財人・監督委員の権限です。民事再生法では127条以下に定めがあります。
Q3支払の停止とはどういう意味ですか?
資金繰りが詰まり、債務を一般的に弁済できないと外部に表示した状態を指します。手形の不渡りや取引停止処分の通知などが典型例です。
Q4否認の起算日はいつからですか?
131条の1年は、再生手続開始の申立て等の日から遡って起算します。この日と否認対象行為の日との間隔が1年を超えるかどうかが分岐点です。
Q5偏頗行為否認と詐害行為否認の違いは何ですか?
偏頗行為否認は特定債権者への弁済・担保供与など債権者平等を害する行為が対象、詐害行為否認は財産を減少させ債権者全体を害する行為が対象です。要件と時間軸が異なります。
Q6破産法にも同じ1年の制限はありますか?
破産法166条に同旨の規定があり、破産手続でも支払の停止を理由とする否認には一定の時間的制限がかかります。民事再生と平仄が合わせられています。
Q7監督委員から否認通知が来たら何を確認すればいいですか?
まず否認対象行為の日と再生手続開始の申立て等の日を特定し、間隔が1年を超えるか計算します。超えていれば131条で支払停止を理由とする否認を封じられます。
Q8否認権の行使期間はいつまでですか?
民事再生法139条により、再生手続開始の日から2年、再生計画認可決定の確定時、または行為の時から20年のいずれか早い時に消滅します。131条の1年とは別概念です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1倒産しそうな取引先から早く回収したら、後で全額返せと言われますか?
回収の時期次第です。再生手続開始の申立て等の日から1年以上前の回収なら、支払の停止を知っていたという理由だけでは否認できません(民事再生法131条)。1年以内なら否認のリスクが高まります。実務のポイント:監督委員はまず「支払停止を知っていたか」で攻めてきます。これが最も立証しやすいからです。1年の壁を立てると相手は詐害の意図という重い立証に追い込まれ、否認を断念するケースが実務では珍しくない。回収日と申立日の差を最初に計算するのが鉄則です
Q21年経っていれば、もう絶対に取り戻されないんですか?
いいえ。131条が封じるのは「支払の停止/その認識」を理由とする否認だけです。詐害行為否認(127条)は別ルートで、相手を害する意図があったと立証されれば1年より前でも対象になりえます。実務のポイント:「1年経ったから安全」と油断する人ほど、詐害故意の否認で足をすくわれる。特に期限前弁済や過大な担保提供など通常の取引とは言い難い不自然な行為は、何年前でも狙われやすい。正常な取引だった証拠を残しておくことが本当の防御です
間違えやすい点 AI による整理
- 「倒産直前にお金を回収できたから安心」と思う一方で、否認権でいつでも巻き戻されると過度に恐れる人も多い。実際は131条で時間制限がかかる。申立て等の日から1年以上前の正常回収は、支払停止を知っていたという理由だけでは否認されない
- 否認のリスクは知っていても、その「起算点」の重みを知らない人が多い。1年の壁が塞ぐのは「支払の停止を理由とする否認」だけ。回収日と申立日の間隔という数字が、何百万円の運命を決める。日付の管理を軽く見た側が、後で足をすくわれる
- 「1年経てば全部セーフ」という問いの立て方そのものが誤っている。131条が消すのは「支払の停止/その認識」という理由だけ。詐害行為否認(127条)には別の時間軸(行為時から20年、139条)が走っており、守られる範囲を取り違えると、安心していたところを突かれる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 否認の類型・根拠 | 131条:支払の停止を理由とする否認の制限 | 127条:詐害行為否認 127条の3:偏頗行為否認 |
| 時間の壁 | 申立て等の日から1年以上前は支払停止理由の否認不可 | 行使期間内なら1年より前でも対象になり得る(139条) 支払不能後・支払停止後等の一定期間の行為が対象 |
| 立証の重さ | (防御側)1年経過という日付の立証で足りる | 債務者の詐害の意思・受益者の悪意の立証(重い) 支払不能等の客観的状態+受益者の認識 |
| 防御・攻撃の要点 | 回収日と申立日の間隔=日付管理 | 正常な取引だった証拠の保全 担保供与・弁済の時期と態様の整理 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も倒産手続における否認・撤銷を認める。詐害行為取消は民法第244条が一般法として機能し、日本の否認権と詐害行為取消権の二層構造に類似する
韓国も回生・破産手続で否認権(부인권)を定め、偏頗行為と詐害行為を類型化する点で日本法と近い構造をとる
ドイツは否認(Anfechtung)を類型ごとに期間で区切る。日本の否認権はこのドイツ倒産法の系譜を継受しており、時間による制限の発想も共通する
米国破産法は偏頗弁済(preference)に原則90日、内部者は1年の遡及期間(look-back period)を定める。時間で否認範囲を画する点は日本の1年の壁と発想が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは2年前、資金繰りが悪化した取引先から売掛金500万円を回収した。先月その会社が再生手続を申し立て、監督委員が否認を主張してきた。だが回収は申立ての2年前。支払の停止を理由にする限り、131条の1年の壁の向こう側であり、原則として返さなくてよい
- もし監督委員から「1年と10日前の弁済を否認する」と言われたら、どうなる? あなたに残された争点はただ一つ、起算日が本当に1年を超えているか。わずか10日の差が、500万円を返すか守るかを分ける。今夜から取引記録の日付を洗い直す
- あなたが別の債権者として、抜け駆け回収した同業者を許せない立場だとする。だが回収が1年以上前なら、支払停止を理由にした否認は使えない。相手の害意を立証する詐害行為否認(127条)という重い別ルートを探すしかない
- 正常な掛取引での入金。1年以上前。否認のリスクはほぼない。安心して帳簿を閉じてよい
取るべき行動
被害を受けた側:1. 否認の通知が来たら、まず「否認対象の行為日」と「再生手続開始の申立て等の日」を正確に特定する2. 両者の間隔が1年以上なら、131条により支払の停止/その認識を理由とする否認はできないと主張する3. ただし詐害行為否認(127条)に切り替えられる余地があるため、回収が正常な取引だった証拠(契約書、取引履歴、通常の弁済であった事情)を保全4. 否認の請求や訴訟には早期に倒産法に強い弁護士を入れ、抗弁の組み立てを詰める
訴えられた側:1. 否認を検討する側(監督委員、再生債務者)なら、対象行為が申立て等の日から1年以内かをまず確認、1年以上前なら支払停止ルートは131条で封じられる2. その場合は詐害行為否認(127条)に切り替え、受益者の認識や債務者の害意を立証する重い道を覚悟する3. 偏頗行為の否認可能な時期との整理を行い、どの否認類型で攻めるか戦略を固める4. 行使期間(再生手続開始から2年、139条)内に否認の請求や訴えを提起する
時効(請求できる期限):否認権そのものの行使期間は、再生手続開始の日から2年、再生計画認可決定の確定時、または行為の時から20年のいずれか早い時で消滅する(民事再生法139条)。本条の「1年」は時効ではなく、支払の停止を理由とする否認の遡及限界であり、申立て等の日から起算する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:131条は『支払の停止/その認識』を理由とする否認について、申立て等の日から1年という遡及限界を定めたものと解される。見えにくい支払停止の事情を無制限に遡らせれば取引の安全が過度に害されるため、債権者平等と法的安定性を時間で調整したと説明される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法制定(平成11年法律第225号、平成12年施行)により、旧和議法に代わる再生手続の中で否認権が整備され、支払の停止を理由とする否認の遡及限界として本条が設けられた
- 民事再生法 第127条詐害行為否認、本条が時間制限をかける否認権の中核
- 民事再生法 第127条の3特定の債権者に対する担保供与等の否認(偏頗行為否認)、支払停止と結びつく類型(現行効力を要確認)
- 民事再生法 第132条否認権の行使方法(訴え・否認の請求・抗弁)
- 民事再生法 第139条否認権の行使期間(再生手続開始から2年等)
- 破産法 第166条破産手続における同旨の規定、支払停止を要件とする否認の制限
- 民法 第424条詐害行為取消権、倒産手続外における否認権の一般法的原型
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める