要点民事再生法134条は、詐害行為で流出した財産を転得した者にも否認権を行使できると定める。ただし転得者の害意・内部者性・無償取得のいずれかと、前者全員の否認原因を要する。
Q · 倒産した取引先の財産を、転売で買ったら取り戻されるの?
有償でも害意を知っていれば否認されるが、間に善意者がいれば守られる
民事再生法134条により、詐害行為の相手方に否認の原因があれば、その財産を転売で得た転得者にも否認権が及びます。ただし条件は厳しく、転得者が「債権者を害する取引だ」と知っていたか(1号)、内部者か(2号)、無償取得か(3号)のいずれかに当たる場合に限られます。さらに自分より前に立つ全ての取得者にも否認の原因が必要で、途中に善意の一人が介在すれば、その先の転得者は否認を免れます。自分の善意・悪意だけで運命は決まりません。
知人の会社が傾きかけたとき、その会社が在庫や不動産を別の誰かに相場より安く流す。その「誰か」から、さらにあなたが買い受けた。再生手続が始まった瞬間、監督委員はあなたの手元のその財産を狙ってくる。民事再生法134条は、倒産者が債権者を害して財産を逃がした行為について、直接の相手方だけでなく、その先の転得者であるあなたからも取り戻せる否認権を定めている。ただし条件は厳しい。あなたが「これは債権者を害する取引だ」と知っていたか、あなたが内部者(127条の2第2項に挙げる役員・親族など)か、タダ同然で手に入れたか。このどれかに当たらなければ、あなたは守られる。さらに転売が連鎖していた場合、あなたの前に立つ全員にも否認の原因が必要だ。連鎖の途中に善意の一人がいれば、その人がフィルターになり、その先のあなたは無傷で残る。自分の善意か悪意かだけでは、運命は決まらない。
民事再生法134条は転得者否認を定める規定であり、詐害行為の相手方に否認の原因がある場合に、その財産を転得した者に対しても否認権の行使を認める。行使には転得者の害意の認識、内部者性、または無償取得のいずれかを要し、かつ中間の全転得者にも否認の原因が存在することを条件とする。
AI 輔助整理,以條文原文為準
倒産者が債権者を害して逃がした財産を、転売で取得した者(転得者)から取り戻す否認権のことです。民事再生法134条が根拠で、直接の相手方だけでなく転売先まで追及できます。
再生手続開始の日から2年、または否認しようとする行為の日から20年で行使できなくなります(民事再生法139条)。転得者を追う場合も同じ期間内に請求・訴え・抗弁を起こす必要があります。
構造はほぼ同じで、破産法170条が転得者否認の並行規定です。行使主体が民事再生では監督委員・管財人、破産では破産管財人という点などに違いがあります。
詐害行為取消権(民法424条以下)は倒産前に個々の債権者が行うもの、否認権は倒産手続開始後に管財人・監督委員が全債権者のために行うものです。転得者を追う点は民法424条の5と共通します。
127条の2第2項が挙げる者で、再生債務者の役員、親族、支配関係にある法人などです。内部者が転得者だと、害意を知らなかったことを自ら立証しない限り否認されます。
有償取得で害意を知らなければ守られます。さらに自分より前に善意の取得者が一人でもいれば、否認の連鎖はそこで切れ、後の取得者は全員守られます(134条1項柱書ただし書)。
されます。所有権移転登記を済ませていても、転得者が害意を知っていれば134条1項1号で否認の対象です。登記は否認に対する盾にはなりません。
無償取得は善意でも否認の対象です(134条1項3号)。ただし132条2項の準用により、返すのは現に手元に残っている利益の限度で足ります。
対価を払ったかどうかは決め手ではなく、あなたが「この取引は債権者を害する」と知っていたかどうかが分かれ目だからです(134条1項1号)。知らずに正当な値段で買ったなら守られます。業界裏話ヒント:監督委員はあなたの善意・悪意を、取引時のメールやチャット、相手との関係性から推認しようとします。「相場よりやけに安い」「倒産の噂を聞いていた」という事情が記録に残っていると、知っていたと判断されやすい
逆です。あなたまで否認を届かせるには、あなたの前に立つ全ての取得者(最初の相手方を含む)にも否認の原因が必要です(134条1項柱書ただし書)。前の誰か一人が善意なら、鎖はそこで切れてあなたは守られます。業界裏話ヒント:ただし1号の害意は監督委員が立証する一方、あなたが内部者(2号)に当たると立証責任が逆転し、あなた自身が「知らなかった」を証明しなければならない。立つ位置で攻守が入れ替わる
無償で取得した場合は、あなたが善意でも否認の対象になります(134条1項3号)。ただし132条2項が準用され、返すのは現に手元に残っている利益の限度で足ります。業界裏話ヒント:すでに使い切った、壊れた、転売して別の物に換わったといった事情があれば、現存利益はその分減ります。「もらった時の価値」ではなく「今残っている価値」で勝負するため、消えた分の記録を残しておくと有利
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 否認の対象者 | 134条:転得者(相手方の先の取得者) | — |
| 成立要件 | 相手方に否認原因+転得者の害意・内部者・無償のいずれか+中間全員の否認原因 | — |
| 連鎖の遮断 | 前に善意の取得者が一人でもいれば連鎖はそこで切れる | — |
| 無償取得の扱い | 善意でも否認、返還は現存利益の限度(132条2項準用) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。