要点民事再生法132条の2は、否認された取引の相手方が反対給付の返還または価額償還を請求できると定める。債務者の隠匿意図を知っていた場合は再生債権に格下げされる。
Q · 倒産した取引先から適正価格で買った資産が否認されたら、払った代金はどうなるの?
善意なら共益債権で保護、悪意なら再生債権に格下げされます
民事再生法132条の2により、否認された取引の相手方は、渡した反対給付が再生債務者財産に現存すれば現物の返還を、現存しなければ共益債権者として価額償還を請求できます。共益債権は原則随時・満額で最優先の地位です。ただし取引当時、債務者が対価を隠匿する意思を持ち、相手方がそれを知っていた場合は、地位が再生債権者へ格下げされ、配当が数パーセントに落ちることもあります。相手方が役員・親会社など127条の2第2項該当者なら悪意が推定されます。
取引先の会社から、相場どおりの適正価格で工場の土地を買った。何も後ろめたいことはない。ところが半年後、その会社が民事再生に入り、監督委員から「あの売買を否認する、土地を返せ」と通知が来る。あなたは当然こう思う、では払った代金は返ってくるのか。民事再生法132条の2が、その運命を決める。鍵は二つ。第一に、あなたが渡した代金(反対給付)が再生債務者の財産の中にまだ残っているか。残っていれば現物を取り戻せる。消えていれば、共益債権者として優先的に価額の償還を受けられる。第二に、ここが本当の分水嶺だ。売買当時、相手が代金を隠す意思を持っていて、しかもあなたがそれを知っていた場合、あなたの地位は共益債権者から再生債権者へと格下げされる。共益債権なら原則満額、再生債権なら配当は数パーセントということもある。「知っていたか」の一点で、回収額が天と地ほど変わる。
民事再生法132条の2は、否認された行為の相手方が有する権利を定める規定である。相手方は、反対給付が再生債務者財産中に現存する場合は現物の返還を、現存しない場合は共益債権者として価額償還を請求できる。ただし相手方が債務者の隠匿等の処分の意思を知っていたときは、その地位は再生債権者へ引き下げられる。
否認された取引の相手方が持つ権利を定めた規定です。反対給付が現存すれば返還、現存しなければ共益債権として価額償還を請求でき、悪意なら再生債権に格下げされます。
否認権が行使されれば返還義務が生じます。ただし善意であれば、代金は共益債権として原則満額の優先弁済を受けられるため、取引全体で損をしない保護が働きます。
渡した対価が再生債務者の財産に現存しないとき、その金銭的価値の返還を請求する権利です。善意なら共益債権、悪意なら再生債権として償還を求めます。
否認権は再生手続開始の日から2年、または行為の日から20年で行使できなくなります(民事再生法139条)。この期間内に否認されると本条の権利関係が生じます。
債務者が対価として得た財産を、債権者の追及から隠したり費消したりする意思のことです。相手方がこれを知っていると、地位が再生債権へ格下げされます。
共益債権は再生計画によらず随時、原則満額で弁済される最優先の債権です。手続費用と並ぶ地位で、再生債権のような大幅カットを受けません。
枠組みは共通で、破産法168条が本条とほぼ同じ相手方保護を定めます。現存・非現存と善意・悪意で地位が段階づけられる構造は両者で対応しています。
まず否認対象行為と自分の反対給付が現存するかを確認し、取引当時に隠匿意図を知らなかった証拠(メール・稟議書・査定書)を保全して、早期に倒産に強い弁護士へ相談します。
否認の対象が不当に安い取引だけではないからです。民事再生法127条の2は、適正価格でも、債務者が代金を隠す意図を持ち相手がそれを知っていた処分行為を否認の対象にします。価格の妥当性ではなく、責任財産が散逸したかどうかを問題にするのです。業界裏話ヒント:実務では「いくらで買ったか」より「相手の懐事情をどこまで知っていたか」が争われます。価格交渉の正当性を強調するより、相手の資産隠しを知らなかった証拠を固めるほうが効く
天と地ほど違います。共益債権(132条の2第1項2号)は手続外で随時、原則満額支払われる最優先の地位、再生債権は再生計画でカットされ配当率が数パーセントということもあります。だから2項の「悪意による格下げ」は実質的な制裁として機能します。業界裏話ヒント:弁護士が否認事件で最初に見るのは、相手方が共益債権に留まれるか再生債権に落ちるかの線引きです。回収額が一桁変わるこの一線が、和解交渉の主戦場になる
原則は否認する側(監督委員・管財人)が悪意を立証しますが、相手が役員や親会社など127条の2第2項該当者なら、132条の2第3項で悪意が推定され立証責任が逆転します。取引当時のメール、稟議書、財務説明の記録が善意の裏づけになります。業界裏話ヒント:推定が働く関係者は「知らなかった」と言うだけでは足りません。積極的に無知を裏づける痕跡を残していたかが勝負で、後から作った弁解は通用しにくい
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|---|---|---|
| 規律の内容 | 132条の2:否認された行為の相手方が持つ返還・価額償還請求権 | — |
| 相手方の地位を分ける軸 | 反対給付の現存・非現存 × 相手方の善意・悪意 | — |
| 悪意の効果 | 共益債権者から再生債権者へ格下げ(配当が大幅減) | — |
| 推定規定 | 127条の2第2項該当者は悪意を推定(3項) | — |
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