民事再生法 第168条(再生債務者の労働組合等の意見)
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裁判所は、再生計画案について、労働組合等の意見を聴かなければならない。前条の規定による修正があった場合における修正後の再生計画案についても、同様とする。
この条文の基本情報
再生債務者の労働組合等の意見とは何ですか?
定義再生債務者の労働組合等の意見とは、民事再生法第168条に定められた規定で、「裁判所は、再生計画案について、労働組合等の意見を聴かなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第168条(再生債務者の労働組合等の意見)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第168条の条文原文は「裁判所は、再生計画案について、労働組合等の意見を聴かなければならない。」で始まります。
- 民事再生法第168条は第二節 再生計画案の提出に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第168条の前の条は民事再生法第167条です。
- 民事再生法第168条の次の条は民事再生法第169条です。
- 民事再生法第168条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第168条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第168条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/168
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法168条は、裁判所が再生計画案について労働組合等の意見を聴かなければならないと定める。組合がない会社では従業員の過半数を代表する者が意見聴取の対象となる。
Q · 勤め先が民事再生を申し立てたら、従業員は計画に口を出せないの?
口を出せます。裁判所は労働組合等の意見を必ず聴かなければなりません。
民事再生法168条により、裁判所は再生計画案について労働組合等の意見を聴かなければなりません。これは「聴くことができる」ではなく義務です。労働組合がない会社でも、従業員の過半数を代表する者が意見聴取の対象になります。しかも計画案が修正された場合(167条)は、修正後の案についても改めて意見を聴く必要があります。この意見聴取を飛ばして計画が決議に付されると、後の認可決定(174条)を争う際の手続的瑕疵になりうるため、従業員側にとって重要な入口です。
解説
勤め先が民事再生を申し立てた。給料は出るのか、雇用は守られるのか、退職金はどうなるのか。経営者と裁判所と債権者だけで全部決まり、従業員はただ結果を待つしかない。多くの人はそう思い込んでいる。だが民事再生法168条は、その決定テーブルに一つの椅子を確保している。裁判所は、再生計画案について労働組合等の意見を聴かなければならない。「聴くことができる」ではなく「聴かなければならない」、つまり義務である。しかも計画案が修正された場合(167条)も、修正後の案について改めて意見を聴く。ここで重要なのは「労働組合等」の「等」だ。組合がない会社でも、従業員の過半数を代表する者がこの意見聴取の対象になる。組合を作っていなくても、あなたの職場には声を上げる入口がある。この一条を知っているかどうかで、倒産の嵐の中であなたが流される側か、テーブルに着く側かが変わる。
法的な位置づけ
民事再生法168条は、再生手続における労働組合等の意見聴取義務を定める規定である。裁判所は再生計画案を決議に付する前に、労働組合または従業員の過半数を代表する者の意見を聴かなければならず、前条の規定による修正後の計画案についても同様の聴取が義務づけられる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.再生手続開始と意見聴取主体を確認する 勤め先の民事再生手続開始を知ったら、労働組合があるか、なければ従業員の過半数を代表する者がいるかを確認する。組合がない場合は代表者を民主的な手続で早期に選定する
- 2.再生計画案の労働債権部分を精査する 再生計画案の写しを入手し、未払賃金・退職金・雇用・解雇に関する記載を最優先でチェックする。一般優先債権(122条)の扱いが不当に削られていないか確認する
- 3.決議前に意見を提出し記録に残す 計画案が決議に付される前(169条の決定前)に、労働組合または過半数代表者を通じて裁判所に意見を提出する。労働債権の扱いに異議があれば具体的に述べ、正式に記録へ残させる
- 4.修正案の再聴取と認可段階の手続を監視する 計画案が修正された場合(167条)は、修正後の案について改めて意見が聴かれるかを監視する。意見聴取が飛ばされたまま進んだ場合は、弁護士に手続的瑕疵の有無と即時抗告の可否を相談する
よくある質問 AI による整理
Q1民事再生の労働組合の意見聴取とは何ですか?
裁判所が再生計画案を決議に付する前に、労働組合等の意見を必ず聴く手続です。民事再生法168条が根拠で、聴取は裁判所の義務です。
Q2会社が民事再生したら給料はどうなりますか?
民事再生では未払賃金は一般優先債権(122条)として一般債権より優先的に扱われます。計画案での扱いは168条の意見聴取でチェックできます。
Q3民事再生と会社更生と破産の違いは何ですか?
民事再生と会社更生は事業を立て直す再建型、破産は清算型です。いずれも労働組合等への意見聴取や配慮の仕組みが用意されています。
Q4従業員の過半数代表者はどうやって選ぶのですか?
投票・挙手など民主的な手続で、管理監督者以外の従業員の過半数の支持を得て選びます。会社が指名するのは適正な選出とはいえません。
Q5再生計画で退職金はカットされますか?
計画案でカットされる場合があります。ただし労働債権は一般優先債権として保護され、168条の意見聴取で異議を述べる余地があります。
Q6再生計画案の意見はいつまでに出せばいいですか?
裁判所が計画案を決議に付する旨の決定(169条)をする前の段階に限られます。開始通知を受けたら早めに動く必要があります。
Q7意見聴取を省略した再生計画は有効ですか?
168条の意見聴取は義務であり、省略は手続的瑕疵になりえます。認可決定(174条)に対する即時抗告で争える場合があります。
Q8労働組合がない会社は168条の対象外ですか?
対象外ではありません。条文は『労働組合等』と定め、組合がない場合は従業員の過半数を代表する者が意見聴取の対象になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちの会社、組合がないんですけど、それでも従業員の意見は聞いてもらえるんですか?
聞いてもらえます。168条の『労働組合等』には、労働組合がない場合の従業員の過半数を代表する者が含まれます。つまり組合の有無にかかわらず、従業員側が意見を述べる入口は法律上確保されています。実務のポイント:実務では、組合がない会社で過半数代表者の選定が曖昧なまま手続が進み、意見聴取が形だけになることがある。代表者を誰がどう選んだかを明確にしておくと、後で『正規の意見聴取がなかった』と主張できる余地が残る
Q2意見を言ったところで、再生計画ってどうせ会社の都合で決まるんじゃないですか?
意見聴取だけで計画を止めることは難しいですが、目的はそこではありません。意見聴取は計画案の修正(167条)を引き出す交渉の入口であり、修正後の案については改めて意見を聴く義務があります。実務のポイント:意見聴取を完全に省略したまま決議に付された計画は、認可決定(174条)に対する即時抗告で手続的瑕疵を突ける場合がある。『言っても無駄』と黙るより、反対意見を正式に記録させること自体が後の切り札になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「労働組合がなければこの条文は無関係」と思われているが、条文は『労働組合等』と書いている。組合がない会社では従業員の過半数を代表する者が意見聴取の対象になる。組合の有無ではなく、代表者を立てるかどうかが分かれ目だ
- 意見聴取があることは知っていても、その「重さ」を見落としている人が多い。これは裁判所の単なる儀礼的手続ではなく、省略すれば再生計画の認可決定(174条)を争う際の手続的瑕疵になりうる。聴取を飛ばされた事実は、後の抗告であなたの武器になる
- 「意見を述べても、どうせ計画はそのまま通る」と諦める人がいるが、これは問いの立て方が逆だ。意見聴取の本当の機能は計画を止めることではなく、計画案の修正(167条)を引き出す交渉の入口になること。反対のためではなく、条件を動かすために使う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 本条の役割 | 168条:労働組合等への意見聴取義務(決議前段階) | 167条:再生計画案の修正 174条:再生計画の認可・不認可の決定 |
| 手続上の位置 | 計画案を決議に付する前の必須手続 | 計画案の内容を修正する段階 決議可決後、裁判所が最終判断する段階 |
| 従業員側の関わり | 労働組合または過半数代表者が意見を述べられる | 意見聴取を通じて修正を引き出す余地 手続的瑕疵があれば即時抗告で争える |
| 省略した場合 | 手続的瑕疵となり認可を争う材料になる | 修正後の再聴取を欠けば同様に瑕疵 不認可事由(174条2項)に該当しうる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は会社重整手続の中で計画を扱うが、労働組合への義務的意見聴取を条文単位で明示する点では日本ほど独立していない。労働債権保護は勞動基準法28条の積欠工資墊償が担う
韓国は統合倒産法の会生手続で、労働組合や労働者代表への意見聴取・通知の仕組みを備え、日本と同様に再建型手続で労働者の手続的関与を確保する
ドイツは倒産計画(Insolvenzplan)を Betriebsrat(従業員代表委員会)に送達し意見を求める仕組みを持つ。従業員代表機関を通じた関与という構造が共通する
米国は労働協約の変更・拒絶に裁判所の承認と労働組合との協議を要求する。意見聴取というより協議・承認型で、手続の重みはより強い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 勤め先が民事再生を申し立て、再生計画案に「退職金は半額カット」と書かれていた。労働組合がこの段階で意見を述べないまま手続が進むと、計画はそのまま固まる。もし裁判所が意見聴取を飛ばして決議に付していたら、それ自体が手続的瑕疵になる
- あなたが再生債務者(倒産しかけた会社)の経営側だったら? 労働組合の意見聴取を省いて計画案を進めたくなるかもしれない。だがこの手続を飛ばすと、後で再生計画の認可(174条)が覆るリスクを自分で作ることになる。面倒でも法定の手続だ
- 組合のない30人の会社。再生手続に入ったが「うちは組合がないから関係ない」と従業員は諦めていた。実は従業員の過半数代表者が意見を述べられる。代表者を選ぶだけで、テーブルに着ける
- 再生計画案の決議が来週に迫っている。労働組合の意見を出せる窓は、計画案が決議に付される前のこの数日しかない。今動かなければ、給料債権の扱いについて声を上げる機会そのものが閉じる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 勤め先の再生手続開始を知ったら、労働組合があるか、なければ従業員の過半数代表者がいるかを確認する2. 再生計画案の写しを入手し、給料・退職金・解雇に関する記載を最優先でチェック3. 計画案が決議に付される前に、労働組合または過半数代表者を通じて裁判所に意見を提出、労働債権の扱いに異議があれば具体的に記録に残す4. 意見聴取が行われた形跡がないまま手続が進んでいる場合は、弁護士または労働組合の専門家に手続的瑕疵の有無を相談する
訴えられた側:1. 再生債務者(会社)側は、労働組合等への意見聴取を法定の必須手続として手続表に組み込む、省略は認可リスクを自ら作る2. 組合がない場合は従業員の過半数代表者を適正な手続で選定してもらい、意見聴取の相手を確定させる3. 計画案を修正した場合(167条)は、修正後の案について改めて意見を聴く、聴き直しを忘れない4. 意見聴取の実施日時・対象・内容を記録化し、後の認可手続で手続履践を立証できるようにする
時効(請求できる期限):特定の消滅時効はない。意見聴取は、裁判所が再生計画案を決議に付する旨の決定(民事再生法169条)をする前の段階で行われる。労働組合等が意見を述べる機会はこの段階に限られるため、再生手続開始の通知を受けたら早期に動くこと(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:168条の意見聴取は裁判所の義務であり、単なる儀礼的手続ではない。省略や不十分な聴取は再生計画の認可決定を争う際の手続的瑕疵として位置づけられ、労働組合等の手続的発言権を実質的に保障する規定と理解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法の制定(平成11年法律第225号)に伴い新設。旧和議法を廃止し再建型倒産手続を整備する中で、労働組合等への意見聴取を法定の必須手続として明文化した。
- 民事再生法 第167条再生計画案の修正、修正後も意見聴取が必要となる前提
- 民事再生法 第169条再生計画案を決議に付する旨の決定、意見聴取後の次段階
- 民事再生法 第174条再生計画の認可・不認可の決定、手続的瑕疵が争われる場面
- 民事再生法 第122条一般優先債権、未払賃金・退職金の優先的取扱い
- 会社更生法 第188条更生計画案についての労働組合等の意見聴取の対応規定(現行効力を要確認)
- 労働組合法 第2条『労働組合』の定義、意見聴取の主体の確定基準
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