民事再生法 第160条(別除権者の権利に関する定め)
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- 別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の部分が確定していない再生債権を有する者があるときは、再生計画において、その債権の部分が確定した場合における再生債権者としての権利の行使に関する適確な措置を定めなければならない。
- 2.前項に規定する再生債権を担保する根抵当権の元本が確定している場合には、その根抵当権の被担保債権のうち極度額を超える部分について、第百五十六条の一般的基準に従い、仮払に関する定めをすることができる。この場合においては、当該根抵当権の行使によって弁済を受けることができない債権の部分が確定した場合における精算に関する措置をも定めなければならない。
この条文の基本情報
別除権者の権利に関する定めとは何ですか?
定義別除権者の権利に関する定めとは、民事再生法第160条に定められた規定で、「別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の部分が確定していない再生債権を有する者があるときは、再生計画において、その債権の部分が確定した場合における再…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第160条(別除権者の権利に関する定め)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第160条の条文原文は「別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の部分が確定していない再生債権を有する者があるときは、再生計画において、その債権の部分が確定した場合における再…」で始まります。
- 民事再生法第160条は第一節 再生計画の条項に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第160条の前の条は民事再生法第159条です。
- 民事再生法第160条の次の条は民事再生法第161条です。
- 民事再生法第160条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第160条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第160条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/160
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法160条は、別除権で回収しきれない不足額が未確定の再生債権について、確定後の権利行使に関する適確な措置を再生計画で定めるよう義務づける規定である。
Q · 担保があるのに、民事再生で回収しきれなかった分はどうなるの?
確定するまで宙づり、160条が計画に措置を定めさせる
民事再生法160条は、別除権(担保権)の行使では回収しきれない『不足額』がまだ確定していない再生債権について、その部分が確定した場合の権利行使に関する適確な措置を再生計画で定めるよう義務づけます。担保を売り切るまで不足額は確定しないため、確定前に計画が認可されても回収の足場を失わないための安全装置です。さらに根抵当権の元本が確定していれば、極度額を超える部分について156条の一般基準に従い、仮払と精算の定めを置くことができます。
解説
取引先に運転資金を貸し、その不動産に根抵当権を設定した。ある日、その取引先が民事再生を申し立てる。担保があるから自分は安全だと、多くの債権者はここで気を抜く。だが落とし穴がある。あなたが担保を実行しても、売却額が債権額に届かなければ、足りない分は『再生債権』に格下げされ、他の一般債権者と同じ土俵で減額される(不足額責任主義、民事再生法88条)。問題は、担保を売り切るまでその不足額が確定しないことだ。再生計画が決まる時点では、あなたの不足分は金額すら宙に浮いている。160条は、その宙づりの債権を計画が無視できないよう、不足額が確定した場合の権利行使について『適確な措置』を必ず定めよと命じる。さらに根抵当権で元本が確定していれば、極度額を超える部分に仮払の定めも置ける。この一条が、担保割れしたあなたの残り債権の運命を握っている。
法的な位置づけ
民事再生法160条は、別除権の行使によって弁済を受けられない再生債権の不足額が未確定の場合に、その確定後の権利行使に関する適確な措置を再生計画で定めることを義務づける規定である。根抵当権の元本が確定している場合には、被担保債権のうち極度額を超える部分について、156条の一般的基準に従った仮払および精算の定めを置く前提に立つ。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.担保物の時価を独自に評価する 再生手続開始の通知が届いたら、担保物の時価を独自に評価し、担保では回収できない不足見込み額を算出する。債務者側の評価を鵜呑みにせず、必要なら不動産鑑定を取る
- 2.予定不足額を届出期間内に届け出る 再生債権の届出期間内に予定不足額を必ず届け出る(民事再生法94条2項)。確定額でなく見込みでよいが、これを逃すと議決権を失い計画決議で声が消える
- 3.再生計画案の措置条項を確認する 再生計画案を入手したら、不足額確定時の措置(160条1項)と、根抵当権の極度額超過部分の仮払・精算(同2項)が定められているか確認する
- 4.別除権協定・計画決議で個別交渉する 措置に不備があれば計画決議で反対し、別除権協定による個別交渉を計画認可前に進める。認可後は主導権が債務者側へ移るため、固まる前のこの一瞬が勝負
よくある質問 AI による整理
Q1別除権とは何ですか?
民事再生手続の外で担保権を行使し優先弁済を受けられる権利です(民事再生法53条)。担保物の価値の範囲でのみ回収でき、足りない分は再生債権になります。
Q2民事再生で担保割れするとどうなりますか?
回収しきれない不足額は再生債権として一般債権者と同じく減額対象になります(不足額責任主義、88条)。160条はその不足額確定後の措置を計画に定めさせます。
Q3適確な措置とは具体的に何ですか?
不足額が確定した場合に再生債権者として権利行使できるよう、配当や弁済方法を計画にあらかじめ書き込むことです。これがないと確定後の回収根拠を失います。
Q4別除権協定とは何ですか?
担保権者と再生債務者が担保の処理や不足額の扱いを個別に合意する契約です。計画認可前に締結すると条件交渉の主導権を握れます。
Q5予定不足額を届け出ないとどうなりますか?
不足額確定前の段階で議決権が認められず、再生計画の決議で発言権を失います(94条2項)。担保があっても届出は必須です。
Q6根抵当権の元本確定とは何ですか?
根抵当権が担保する債権額が特定の額に確定することです。確定すると極度額を超える部分が明らかになり、160条2項の仮払・精算の対象になります。
Q7再生計画が認可されないのはどんな場合ですか?
160条1項の不足額確定時の措置を書き落とすと、計画案が裁判所に認可されません。担保割れ債権者の措置は必須の記載事項です。
Q8仮払と精算の定めとは何ですか?
極度額超過部分に暫定的な配当(仮払)を行い、不足額確定後に過不足を精算する仕組みです(160条2項)。未確定の不安定さを時間差で吸収します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1担保があれば民事再生でも全額回収できるんですよね?
担保で回収できるのは担保物の価値の範囲だけです。足りない分は再生債権として一般債権者と同じく減額の対象になります(民事再生法88条、不足額責任主義)。160条は、その不足額が確定するまでの扱いを計画に定めさせる規定です。実務のポイント:実務では担保の評価額をめぐって債務者と債権者が綱引きします。評価を低く見せれば不足額が膨らみ、あなたの一般債権部分が増える。独自に不動産鑑定を取っておくと、この綱引きで主導権を握れる
Q2予定不足額って何を届け出ればいいんですか?
担保を実行しても回収できないと見込まれる金額を、再生債権の届出期間内に届け出ます(民事再生法94条2項)。確定額でなく見込みでよいのがポイントです。実務のポイント:見込みを過小に届け出ると議決権が小さくなり、過大だと後の確定でズレが生じる。実務家は担保評価を保守的に低めに見積もって不足額を大きめに届け、議決権を最大化しておく。届出は一度きりのカードなので、ここで遠慮すると計画決議で発言力を失う
Q3根抵当権の極度額を超えた分は、もう諦めるしかないんですか?
諦める必要はありません。160条2項は、元本が確定した根抵当権で極度額を超える被担保債権部分について、156条の一般基準に従った仮払の定めを置けるとしています。さらに不足額確定後の精算措置も定められます。実務のポイント:極度額超過部分は担保の外ですが、再生計画の中で仮払という形で暫定的な配当を受けられる余地がある。多くの債権者は極度額を見て超過分を捨ててしまうが、仮払と精算の条項があるかを計画で確認すれば、回収できる分が残っていることに気づく
間違えやすい点 AI による整理
- 担保割れすると不足分が再生債権になることは知っていても、その不足額が『担保を実際に売り切るまで確定しない』という時間差の重さを知らない人が多い。確定前に再生計画が認可されると、あなたの不足分は金額未定のまま計画に組み込まれる。確定後の措置が事前に定められていなければ、後から判明した額に対して回収の根拠を失いかねない
- 『担保があるんだから再生手続には関係ない』という問いの立て方そのものが危うい。別除権で手続外で実行できるのは担保で回収できる範囲だけ。足りない分はむしろ手続のど真ん中にいる。あなたは『関係ない人』ではなく、担保権者と一般債権者という二つの立場を同時に背負う人だ
- 『根抵当権の極度額まで担保されている』と思い込んでいる債権者がいるが、極度額を超える部分は担保の外側にある。160条2項は、その超過部分について仮払と精算の定めを置く前提に立つ。極度額はあなたの保護の天井であって、債権全額の保証ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 160条:不足額確定後の措置を再生計画に義務づける | 88条:不足分のみを再生債権とする不足額責任主義 53条:手続外での担保権(別除権)行使を認める |
| 対象 | 確定していない不足額(宙づりの残債権) | 別除権で弁済を受けられない部分 担保権(別除権)そのもの |
| 債権者の行動 | 計画に適確な措置があるか確認する | 不足額を再生債権として権利行使する 手続外で担保を実行し優先回収する |
| 怠った場合 | 計画案が認可されない/回収根拠を失う | 不足分を一般債権と同様に扱えない 優先回収の機会を逸する |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も別除權の概念を持ち、担保で回収できない部分は破産債権・重整債権として扱う。不足額の計画組込みの明文化の度合いは日本と差がある
ドイツも別除権(Absonderungsrecht)と不足額債権(Ausfallforderung)を明確に区別し、担保で回収できない部分のみを倒産債権として扱う点で日本の不足額責任主義に近い
米国は担保債権を担保価値の範囲(secured claim)と超過部分(unsecured deficiency claim)に分け、後者を一般無担保債権として計画で扱う。民事再生法の設計思想の母法にあたる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが5,000万円を貸して時価3,000万円の不動産に根抵当権を持っていたら? 担保を実行しても2,000万円は回収できない。この2,000万円こそ160条が扱う『確定していない不足額』であり、再生計画にその処理が書かれていなければ、あなたは回収の足場を失う
- あなたが再生債務者として計画案を作る側に立ったとき、担保割れ債権者の不足額措置を160条どおりに書き落とすと、計画案そのものが裁判所に認可されない。たった一行の不備が、苦労して組んだ再建計画を白紙に戻す
- 銀行から『予定不足額を届け出てください』と言われた。意味が分からず放置した。届出期間を過ぎ、計画の決議であなたの議決権は消えた
- 再生計画案の提出期限まであと10日。あなたの根抵当権は元本が確定済みで、被担保債権が極度額を超えている。仮払と精算の定めをこの期限内に詰めなければ、超過部分は宙に浮いたまま計画が走り出す
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知が届いたら担保物の時価を独自に評価し、回収不能となる不足見込み額を算出2. 再生債権の届出期間内に予定不足額を必ず届け出る(民事再生法94条2項)、これを逃すと議決権を失う3. 再生計画案を入手したら、不足額確定時の措置(160条1項)と根抵当権超過部分の仮払・精算(同2項)が定められているか確認4. 不備があれば計画決議で反対し、別除権協定での個別交渉を計画認可前に進める
訴えられた側:1. 別除権者を洗い出し、各担保物の評価と被担保債権額から不足見込み額を把握2. 計画案には不足額確定時の権利行使措置(160条1項)を必ず明記、欠けると認可されない3. 根抵当権で元本確定済みのものは、極度額超過部分の仮払と精算条項を156条の平等基準に沿って設計4. 主要な別除権者とは別除権協定を先に締結し、計画の安定性を確保する
時効(請求できる期限):予定不足額の届出は再生債権の届出期間内(裁判所が再生手続開始決定で定める、通常は開始から数週間から1か月から2か月程度)。これを過ぎると議決権が認められない。不足額そのものの確定は担保権の実行・売却完了時であり、起算点は手続開始ではなく担保処分の完了時(最新の運用は裁判所の決定をご確認ください)
学説
通説:160条1項の『適確な措置』とは、不足額確定後に再生債権者として弁済・配当を受けられるよう、計画にあらかじめ具体的な処理方法を組み込むことを指す。措置を欠く計画案は、不足額責任主義(88条)の趣旨を没却するため認可されないと解されている。
実務通説:根抵当権の極度額超過部分は担保の外側にあるが、160条2項は156条の平等基準に従った仮払と、確定後の精算措置をセットで求める。極度額はあくまで担保の天井であり、超過部分も再生計画の中で暫定的な配当を受けうる、と理解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成11年(1999年)公布・平成12年(2000年)施行 和議法に代わる再建型倒産手続として民事再生法が制定され、本条も新設された。別除権者の不足額が未確定の場合の再生計画上の措置を定める。その後の改正の有無と内容は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:和議法に代わる再建型倒産手続として民事再生法が制定(平成11年法律第225号、平成12年施行)。別除権者の不足額が未確定の場合の再生計画上の措置として本条が新設された。その後の改正の有無・内容は人的検証が必要。
- 民事再生法 第53条別除権の定義、手続外での担保権行使
- 民事再生法 第88条不足額責任主義、不足分のみ再生債権として権利行使
- 民事再生法 第94条再生債権の届出、予定不足額の届出
- 民事再生法 第156条再生計画による権利変更の一般的基準、本条2項が準用
- 民法 第398条の2根抵当権の極度額の基本規定、本条2項の前提
- 破産法 第65条並行する倒産手続での別除権の対応規定
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