民事再生法 第121条(共益債権の取扱い)
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- 共益債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。
- 2.共益債権は、再生債権に先立って、弁済する。
- 3.共益債権に基づき再生債務者の財産に対し強制執行又は仮差押えがされている場合において、その強制執行又は仮差押えが再生に著しい支障を及ぼし、かつ、再生債務者が他に換価の容易な財産を十分に有するときは、裁判所は、再生手続開始後において、再生債務者等の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、その強制執行又は仮差押えの中止又は取消しを命ずることができる。共益債権である共助対象外国租税の請求権に基づき再生債務者の財産に対し国税滞納処分の例によってする処分がされている場合におけるその処分の中止又は取消しについても、同様とする。
- 4.裁判所は、前項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。
- 5.第三項の規定による中止又は取消しの命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
- 6.前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
この条文の基本情報
共益債権の取扱いとは何ですか?
定義共益債権の取扱いとは、民事再生法第121条に定められた規定で、「共益債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第121条(共益債権の取扱い)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第121条の条文原文は「共益債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。」で始まります。
- 民事再生法第121条は第五章 共益債権、一般優先債権及び開始後債権に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第121条の前の条は民事再生法第120条の2です。
- 民事再生法第121条の次の条は民事再生法第122条です。
- 民事再生法第121条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第121条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第121条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/121
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法121条は、共益債権を再生手続によらず随時弁済し、再生債権に先立って弁済すると定める。ただし再生に著しい支障を及ぼす強制執行は裁判所が中止・取消しできる。
Q · 取引先が民事再生を申し立てたら、売掛金はもう回収できないの?
開始決定後の取引分は共益債権として満額回収できる
民事再生法121条により、共益債権は再生手続によらず随時弁済され(1項)、再生債権に先立って弁済されます(2項)。取引先の再生手続開始決定より後に供給を続けて生じた売掛金は共益債権となり、満額・優先的に回収できます。一方、開始決定前の売掛金は再生債権となり、再生計画に従って一定割合が分割弁済されます。ただし共益債権に基づく強制執行でも、再生に著しい支障を及ぼす場合は裁判所が中止・取消しを命じられます(3項)。
解説
取引先から「民事再生を申し立てました」という通知が届いた夜、あなたは売掛金800万円が紙くずになると覚悟する。だが、その覚悟は半分間違っている。民事再生法121条は、共益債権という特別な債権を定める。再生手続によらず随時弁済され(1項)、しかも一般の再生債権に先立って弁済される(2項)。つまり満額、優先的に回収できる債権だ。分かれ目は一本の線、再生手続開始決定の日。その前に生じた売掛金は再生債権(大幅カット、何年も分割)、その後にあなたが供給を続けて生じた債権は共益債権(満額・即時)。同じ取引先、同じ商品でも、いつの債権かで天と地ほど扱いが違う。さらに3項、共益債権で強制執行をかけても、それが再生に著しい支障を与えると裁判所が止められる。超優先ですら、再生という大局の前では絶対ではない。
法的な位置づけ
民事再生法121条は共益債権の弁済方法を定める規定であり、共益債権は再生手続によらず随時弁済され、かつ再生債権に先立って弁済される旨を規定する。3項は、共益債権に基づく強制執行が再生に著しい支障を及ぼす場合における裁判所の中止・取消権限を定める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.再生手続開始決定の日付を確定する 取引先の再生手続開始決定の日付を、官報公告・裁判所通知・監督委員からの連絡で確定する。この一本の線が共益債権と再生債権を分ける分水嶺になる
- 2.各債権を開始決定の前後で仕分けする 自社の各売掛金・請求権が開始決定の前か後か、また119条の共益債権列挙に当たるかを一件ずつ台帳で仕分ける。金額や重要度ではなく「いつ・何によって生じたか」で判断する
- 3.共益債権は随時・優先弁済を請求する 開始決定後の取引分は共益債権として、再生債務者等に随時・優先弁済を請求する(121条1項・2項)。再生計画の認可を待たずに弁済を求められる
- 4.開始決定前の分は再生債権として届け出る 開始決定前に生じた分は再生債権として、届出期間内に債権届出を行う。届出を怠ると失権するおそれがあるため、期限管理を徹底する
- 5.(債務者側)中核資産への執行は121条3項で止める 自社が再生債務者で、共益債権者が中核資産に強制執行・仮差押えをかけてきたら、再生への著しい支障と他の換価容易な財産の有無を整理し、裁判所に中止・取消しを申し立てる。競売が進む前に動く
よくある質問 AI による整理
Q1共益債権とは何ですか?
再生手続を支える費用や開始後の取引から生じる債権で、民事再生法121条により再生手続によらず随時・優先的に弁済されます。119条以下に対象が列挙されています。
Q2民事再生 売掛金 いつまで回収できる?
開始決定前の売掛金は再生債権として再生計画に従い一定割合が弁済されます。開始決定後に供給を続けて生じた分は共益債権となり満額・優先弁済されます。
Q3再生手続開始決定日はどこで確認できますか?
官報の公告、裁判所からの通知、再生債務者や監督委員からの連絡で確認できます。この日付が共益債権と再生債権の分水嶺になります。
Q4民事再生中の取引先と取引を続けるべきですか?
開始決定後の取引分は共益債権として満額回収できるため、供給停止で相手を潰し過去債権まで失うより、条件を再交渉して継続する方が有利な場合があります。
Q5共益債権は民事再生法119条とどう関係しますか?
119条が共益債権となる請求権を列挙し、121条がその弁済方法(随時・優先)を定めます。どの債権が共益債権かは119条・120条で判断します。
Q6共益債権の消滅時効は何年ですか?
共益債権固有の時効はなく、売買・賃金など債権の原因ごとの一般消滅時効(民法166条、知った時から5年または行使可能時から10年)が適用されます。
Q7民事再生と破産で債権の優先順位は違いますか?
民事再生の共益債権(121条)に対応する破産手続の概念は財団債権(破産法151条)です。手続が違えば呼び名も優先順位の建付けも変わります。
Q8再生中の会社で働いた給料は共益債権ですか?
開始決定後に働いた分の賃金は共益債権として満額・優先的に支払われます。開始決定前の未払い賃金とは扱いが異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先が民事再生したら、売掛金は一円も戻ってこないんですか?
全損ではありません。開始決定前の売掛金は再生債権として、再生計画に従い一定割合(数割が一般的)が分割弁済されます。開始決定後にあなたが供給を続けて生じた債権は共益債権となり、121条1項・2項で随時・優先的に満額弁済されます。実務のポイント:取引を切るか続けるかの判断で、多くのサプライヤーは過去の売掛金だけを見て切ってしまう。だが供給を続ければその分は共益債権で満額。過去債権の回収率と今後の共益債権化を一緒に計算するのが正解
Q2共益債権なら、強制執行して確実に回収できますよね?
原則は随時・優先弁済(121条1項・2項)で、強制執行も可能です。ただし3項で、その執行が再生に著しい支障を与え、かつ再生債務者に他の換価容易な財産があるとき、裁判所が中止・取消しを命じられます。実務のポイント:共益債権は『絶対に取れる』と思われがちですが、再生の中核資産を差し押さえると逆に止められる。狙うなら再生計画に影響しない財産から、というのが実務の勘どころ
Q3うちの会社が再生中で、共益債権者に工場を差し押さえられそうです。打つ手は?
121条3項に基づき、その執行が再生に著しい支障を及ぼし、かつ他に換価容易な財産があることを示して、裁判所に中止・取消しを申し立てられます。職権発動を促す上申も可能です。実務のポイント:申立てのタイミングが命。競売が進んでしまうと『他に換価の容易な財産を十分に有する』要件の立証が難しくなり、止める窓が閉じる。差押えの通知を受けた瞬間に動くのが鉄則
Q4共益債権と一般優先債権、財団債権って何が違うんですか?
共益債権は民事再生手続で随時・優先弁済される債権(121条)、一般優先債権は租税や労働債権など実体法上の優先権を持つ債権(122条)です。財団債権は破産手続での同様の概念(破産法151条)。手続が違えば呼び名と扱いも変わります。実務のポイント:同じ債権でも、相手が民事再生か破産か会社更生かで優先順位の建付けが変わる。相手がどの手続を選んだかを最初に確認しないと、回収戦略を間違える
間違えやすい点 AI による整理
- 「取引先が民事再生したら売掛金は全部パー」と思い込んでいるが、再生債権でも再生計画に従って一定割合は弁済される。さらに開始決定後の取引で生じた債権は共益債権として満額回収できる。全損と決めつけて取引を切るのは、最悪の選択になりうる
- 共益債権が優先弁済されることは知っていても、その「優先」が再生という大局の前では止められることまでは知らない人が多い。121条3項で、共益債権に基づく強制執行ですら、再生に著しい支障を与えれば裁判所が中止・取消しできる。優先権は絶対ではなく、再生全体の利益に従属する場面がある
- 「自分の債権が共益債権か再生債権か」を金額や重要度で考えようとするが、その問いの立て方が間違っている。決め手は債権の発生時期と発生原因(119条の列挙に当たるか)であって、あなたにとっての重要性ではない。問いを「いつ、何によって生じた債権か」に組み替えた瞬間、答えが見える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 弁済のタイミング | 共益債権(121条):再生手続によらず随時弁済 | 再生債権(84条):再生計画に従い分割弁済 一般優先債権(122条):随時弁済(実体法上の優先権) |
| 優先順位 | 再生債権に先立って弁済(2項) | 共益債権・一般優先債権に劣後 租税・労働債権など実体法上の優先権に基づく |
| 発生時期・原因 | 主に開始決定後の取引等、119条・120条の列挙に該当 | 開始前の原因に基づく債権(84条) 実体法上の一般優先権を有する債権 |
| 執行の制約 | 121条3項で再生に著しい支障があれば中止・取消し可 | 開始決定により個別弁済・執行が原則禁止(85条) 随時弁済だが再生の枠組みで調整され得る |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には日本の民事再生法に完全対応する単行法はないが、会社重整では『重整債務』が重整債権に優先して弁済され、破産では財団債務が優先弁済される点で機能が近い。
韓国の統合倒産法は公益債権(공익채권)を随時・優先弁済すると定め、日本の共益債権とほぼ同じ建付け。日本法の影響を受けた設計。
ドイツ倒産法は財団債務を財団債権に優先して弁済する。手続開始後の取引や手続費用を保護する点で共益債権と同機能だが、統一倒産手続の中で扱われる。
米国連邦倒産法は手続開始後の管理費用(administrative expenses)を優先請求権とし、Chapter 11の再建を支える。日本の共益債権制度の参照元にあたる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の製造業者が民事再生を申し立てた。あなたは部品サプライヤー。ここで供給を止めれば相手は事業継続できず、過去の売掛金も回収不能になる。だが開始決定後に供給を続ければ、その分は共益債権として満額・優先回収できる。止めるか、続けるか。この判断の前提に121条がある
- もし、再生手続開始決定の前日に納品した100万円と、翌日に納品した100万円があったとしたら? 前者は再生債権で大幅カット、後者は共益債権で満額。たった一日の差が、回収率を10% と100% に分ける
- あなたが共益債権者として相手の工場設備に強制執行をかけた。だがその設備は再生計画の要。裁判所は職権で執行の中止・取消しを命じられる(3項)。即時抗告はできるが執行停止の効力はない(6項)。あと数日で競売、と思った矢先に止まる
- 再生手続開始後にあなたが働いた分の給料は共益債権。会社が再生中でも、満額・優先的に支払われる。開始前の未払い賃金とは扱いが違う
- あなたが再生債務者(再生中の会社)の立場で、共益債権者が事業の中核資産に強制執行をかけてきた。このままでは再生計画が崩れる。121条3項で裁判所に執行中止を申し立てる、それが反撃の一手
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取引先の再生手続開始決定の日付を確定する、これが共益債権と再生債権の分水嶺2. 自分の各債権が開始の前か後か、119条の共益債権列挙に当たるかを一件ずつ仕分けする3. 開始後の取引分は共益債権として再生債務者等に随時・優先弁済を請求できる(1項、2項) 4. 開始前の分は再生債権として債権届出を行い、再生計画に従った弁済を待つ5. 取引継続の判断は、過去債権の回収可能性と今後の共益債権化をセットで天秤にかける
訴えられた側:1. 共益債権者が中核資産に強制執行・仮差押えをかけてきたら、再生への著しい支障と他の換価容易な財産の有無を整理する2. 要件を満たすなら裁判所に121条3項の中止・取消しを申し立てる、職権発動を促す上申も有効3. 競売など換価が進む前に動く、進行後は要件立証が難しくなる4. 共益債権そのものは消えない、あくまで執行を止めて再生計画の中で弁済する建付けにする5. 相手の即時抗告には執行停止効がない(6項)ことを踏まえ、手続を止めずに進める
時効(請求できる期限):共益債権の弁済請求自体に固有の時効はないが、債権の原因(売買・賃金等)ごとの一般消滅時効(民法166条、権利を行使できると知った時から5年または行使できる時から10年)が適用される。121条3項の執行中止・取消しは再生手続開始後に申立て可能、換価が完了する前に動く必要がある
学説
通説:共益債権は再生手続の遂行・再生債務者の事業継続を支えるための債権であり、随時・優先弁済という強い保護を与えられる。これは開始後の取引相手を保護しなければ事業継続と再建が不可能になるためと理解される。他方、121条3項は個別執行が再生全体を害する場面での調整弁とされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)制定。旧和議法に代わる汎用的再建型倒産手続を整備し、共益債権の随時・優先弁済(121条1項・2項)と執行中止・取消制度(3項)を規定。
- 2.平成25年(2013年)ごろ 改正:租税条約等に基づく徴収共助制度の整備に伴い、3項後段に「共助対象外国租税」に係る滞納処分の中止・取消しに関する規律が加えられた(正確な施行年は要確認)。
- 民事再生法 第119条共益債権となる請求権の列挙
- 民事再生法 第120条開始前の借入金等の共益債権化
- 民事再生法 第122条一般優先債権の取扱いとの対比
- 民事再生法 第85条再生債権の弁済禁止との対比
- 民事再生法 第84条再生債権の定義、共益債権との区別
- 破産法 第151条破産手続の財団債権の対応規定
- 会社更生法 第132条更生手続の共益債権の対応規定(現行効力を要確認)
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