民事再生法 第120条(開始前の借入金等)
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- 再生債務者(保全管理人が選任されている場合を除く。以下この項及び第三項において同じ。)が、再生手続開始の申立て後再生手続開始前に、資金の借入れ、原材料の購入その他再生債務者の事業の継続に欠くことができない行為をする場合には、裁判所は、その行為によって生ずべき相手方の請求権を共益債権とする旨の許可をすることができる。
- 2.裁判所は、監督委員に対し、前項の許可に代わる承認をする権限を付与することができる。
- 3.再生債務者が第一項の許可又は前項の承認を得て第一項に規定する行為をしたときは、その行為によって生じた相手方の請求権は、共益債権とする。
- 4.保全管理人が再生債務者の業務及び財産に関し権限に基づいてした資金の借入れその他の行為によって生じた請求権は、共益債権とする。
この条文の基本情報
開始前の借入金等とは何ですか?
定義開始前の借入金等とは、民事再生法第120条に定められた規定で、「再生債務者(保全管理人が選任されている場合を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第120条(開始前の借入金等)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第120条の条文原文は「再生債務者(保全管理人が選任されている場合を除く。」で始まります。
- 民事再生法第120条は第五章 共益債権、一般優先債権及び開始後債権に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第120条の前の条は民事再生法第119条です。
- 民事再生法第120条の次の条は民事再生法第120条の2です。
- 民事再生法第120条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第120条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第120条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/120
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法120条は、申立て後・開始前に再生債務者が事業継続に不可欠な借入れや仕入れをする際、裁判所の許可があればその請求権を共益債権とし、再生債権に優先して随時弁済されると定める。
Q · 取引先が民事再生を申し立てたら、これから納める分の代金は戻ってこないの?
裁判所の許可があれば共益債権として満額・優先で回収できます
民事再生法120条により、再生手続開始の申立て後・開始前に、再生債務者が資金の借入れや原材料の購入など事業継続に不可欠な行為をする際、裁判所の許可(または監督委員の承認)があれば、相手方の請求権は共益債権になります(120条3項)。共益債権は再生計画に拘束されず、再生債権に先立って随時・満額で弁済されます(121条)。ただし優先権があっても再生債務者の手元資金が尽きれば現実の回収は滞るため、相手の資金繰りも併せて見極める必要があります。
解説
取引先から「民事再生を申し立てた」と連絡が来た。あなたが部品の納入業者なら、頭をよぎるのは一つ。これから納める分の代金、本当に払われるのか。常識ではこう考える。倒産手続に入った会社への売掛金は、他の債権者と一緒に何割かカットされ、何年もかけて分割で戻ってくる。だが民事再生法120条には、その常識を覆す抜け道が用意されている。再生債務者が申立て後、開始決定が出るまでの危険な空白期間に、資金借入れや原材料の購入など「事業の継続に欠くことができない行為」をするとき、裁判所が許可を出せば、その相手方の請求権は共益債権になる。共益債権とは、再生計画に縛られず、他の再生債権に先立って、随時満額で弁済される別格の債権だ。同じ一回の納品でも、この許可があるかないかで、満額回収か数割カットかが分かれる。沈みかけた船に物資を運び続けてもらうための、法が用意した命綱である。
法的な位置づけ
民事再生法120条は、再生手続開始の申立て後から開始決定前までの期間に、再生債務者が事業継続に不可欠な借入れや仕入れ等を行う場合の請求権を、裁判所の許可または監督委員の承認を条件に共益債権とする規定である。共益債権は再生債権に優先し、再生計画によらず随時弁済される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.取引前に許可・承認の有無を書面で照会する 相手方(納入業者・融資元)は、新規納品や融資をする前に、再生債務者または監督委員に対し「この取引について120条の許可(または監督委員の承認)が出ているか」「自社の取引がその範囲に含まれているか」を書面で確認する。行為を先にしてしまうと共益債権化の保護が及ばないおそれがある
- 2.許可がなければ保留または条件化する 許可・承認がまだ出ていない場合は、許可が下りるまで新規納品・融資を保留するか、「120条の許可取得を条件とする」旨を取引条件に明記する。出荷ボタンを押す前のこの一手が満額回収か数割カットかを分ける
- 3.許可を得た取引は共益債権として随時請求する 許可・承認を得た取引については、共益債権として再生計画によらず随時・優先弁済を請求できる(121条)。相手の資金繰りも併せて見極め、計画外での支払いを求める
- 4.許可なく行為した分は債権届出の期限を守る 既に許可なく取引してしまった分は再生債権に回るおそれが高い。この場合は債権届出の期限を逃さず手続に参加し、再生計画による弁済を確保する
よくある質問 AI による整理
Q1民事再生法120条をわかりやすく教えてください
倒産手続の申立て後・開始決定前に、再生債務者が事業継続に必要な借入れや仕入れをする際、裁判所の許可があればその代金を共益債権として優先弁済する仕組みを定めた条文です。
Q2取引先が民事再生を申し立てたら納品を続けるべきですか
120条の許可・承認が出ていて、その納品が事業継続に不可欠と認められていれば、代金は共益債権として満額・優先で回収できます。許可の有無を確認せず出荷を続けるのは危険です。
Q3共益債権はいつ支払われますか
共益債権は再生計画に拘束されず、再生手続の進行を待たずに随時弁済されます(121条)。何年もかけた分割弁済となる再生債権とは扱いが根本的に異なります。
Q4再生手続開始前の借入れに担保は付けられますか
120条自体は共益債権化を定める規定で担保設定を直接規律しませんが、実務では許可・承認を前提につなぎ融資に担保を設定する例もあります。個別条件は弁護士・監督委員と詰めます。
Q5保全管理人がした借入れも共益債権になりますか
なります。120条4項により、保全管理人が権限に基づいて行った資金の借入れその他の行為から生じた請求権は、裁判所の許可を待たず当然に共益債権となります。
Q6共益債権に時効はありますか
共益債権固有の時効規定はありませんが、行使を怠れば一般消滅時効(民法166条、権利行使できると知った時から5年または権利行使できる時から10年)が適用されます。
Q7民事再生の申立てから開始決定まで何日くらいですか
事案により異なりますが、申立てから開始決定までは数週間程度の空白期間が生じるのが通例です。この窓の中の行為だけが120条の対象になります。
Q8120条の許可を得ずに取引したらどうなりますか
許可・承認を得る前に行った借入れや仕入れの請求権は共益債権にならず、原則として一般の再生債権に転落します。順序を逆にすると保護が及ばないおそれがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先が民事再生を申し立てたんですが、これから納品する分のお金はちゃんと取れますか?
裁判所が120条の許可(または監督委員の承認)を出していて、その納品が事業継続に不可欠と認められていれば、あなたの代金は共益債権になり、再生計画に縛られず随時・満額で支払われます(121条)。許可がなければ再生債権となり、カットの対象です。実務のポイント:弁護士は危機時の取引でまず「許可が出ているか、自分の取引はその範囲に入っているか」を確認します。同じ会社への納品でも、許可対象かどうかで運命が真逆になるからです
Q2共益債権って、普通の債権と何がそんなに違うんですか?
普通の再生債権は再生計画に従って減額され、何年もかけて分割弁済されます。共益債権は再生手続によらず随時に弁済され、しかも再生債権に先立って優先的に支払われます(121条)。倒産手続の中での別格扱いです。実務のポイント:ただし共益債権でも、再生債務者の手元資金が尽きれば現実には払えません。優先順位が高いことと、原資があることは別問題。許可を取れたからと安心せず、相手の資金繰りも併せて見るのがプロの目です
Q3裁判所の許可じゃなくて監督委員の承認でもいいと書いてありますが、何のためですか?
事業継続に不可欠な取引はスピードが命で、いちいち裁判所の許可を待っていると供給が止まります。そこで裁判所が監督委員に許可に代わる承認権限を与えれば(120条2項)、個別取引を機動的に処理できます。効果は許可と同じく共益債権化です。実務のポイント:実務では多くの事件でこの承認方式が使われています。だから取引先に確認するときは「裁判所の許可」だけでなく「監督委員の承認」も出ているかを聞かないと、保護があるのに見落とすことになります
間違えやすい点 AI による整理
- 「再生手続に入った会社への売掛金は、どうせカットされる」と諦めるのは、再生債権と共益債権の区別を知らないがゆえの早すぎる撤退である。申立て後・開始前の取引でも、裁判所の許可があれば共益債権となり、計画によらず随時・満額で弁済される(121条)。区別を知る者は供給を続けて満額回収し、知らない者は取引を切って顧客もろとも沈む
- 「裁判所の許可が必要なら、間に合わないだろう」と思い込んでいる人は、120条2項を見落としている。裁判所は監督委員に許可に代わる承認の権限を与えられる。実務では、迅速な事業継続のために監督委員の承認で個別取引を処理する運用が広く使われている。許可は遅い、という前提自体が誤っている
- 「共益債権になれば必ず満額もらえて安心」と考えるのは、深刻度の読み違いである。共益債権は再生債権に優先するが、再生債務者の手元資金そのものが尽きれば、優先順位が高くても現実には払えない。優先権は配当順位の話であって、原資の保証ではない。許可を得ても、相手の資金繰りは別途見極める必要がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 共益債権となる根拠 | 民訴再生法120条:裁判所の許可または監督委員の承認により共益債権化 | 119条:法律上当然に共益債権となる請求権の一般的範囲 85条:再生債権は原則として弁済禁止 |
| 発生する時期 | 申立て後・開始決定前の事業継続に不可欠な行為 | 手続開始後の手続遂行費用等 申立て前の原因に基づく債権 |
| 弁済の方法 | 随時・優先弁済(121条) | 随時・優先弁済(121条) 再生計画に従い減額・分割弁済 |
| 適用の要件 | 裁判所の許可または監督委員の承認 + 事業継続に不可欠 | 法定事由への該当 手続開始により弁済が禁止される |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は会社更生に相当する『重整』手続で、会社業務の継続営運のため生じた債務を重整債権に優先して弁済する。事業継続に不可欠な取引を優先扱いする発想は日本120条と共通する
韓国は統合倒産法で공익채권(共益債権)を定め、会生手続開始前の裁判所許可による資金借入れ等を含める。DIP 型保護の構造は日本と類似する
ドイツは Masseverbindlichkeiten(財団債権)として手続開始後の与信を優先弁済し、Eigenverwaltung(自己管理)で DIP 型再建を可能にする。保護シールド手続下の与信保護が機能する
米国はチャプター11の DIP ファイナンスを § 364で規律し、超優先(superpriority)や担保設定まで認める。日本120条はこの制度の一部を継受した位置づけ
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 主要顧客が民事再生を申し立てた。あなたの会社はその顧客に毎月800万円分の原材料を納めている。供給を止めれば顧客は倒れ、止めなければ未回収が膨らむ。ここで裁判所の120条許可が出ていれば、申立て後の納品分は共益債権として満額・優先で回収できる。許可の有無を確認しないまま出荷を続けるか止めるかを判断するのは、自分の首を賭けた賭けになる
- あなたが再生債務者の経営者だとする。開始決定までの数週間、運転資金が尽きれば従業員給与も仕入も止まり、再生そのものが頓挫する。120条1項の許可を取れば、つなぎ融資をする金融機関の債権が共益債権になり、貸し手が安心して資金を出す。この一枚の許可が、会社が呼吸を続けられるかどうかの分水嶺になる
- もし、あなたが融資を打診された地方銀行の担当者だったら? 相手は再生手続を申し立てたばかりの企業。担保も乏しい。普通なら断る。しかし裁判所が120条の許可を出す前提なら、貸付債権は共益債権となり、再生債権より先に満額返ってくる。融資判断の天秤が、許可一枚で一気に傾く
- 申立てから開始決定まで、残された時間は十数日。再生債務者が許可を得る前に独断で借入れや大量仕入れをしてしまうと、その請求権は共益債権にならず、相手は一般の再生債権者に転落する。先に動くか、許可を待つか。タイミングを一つ間違えると、取引先一社を巻き添えで沈める
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手方(納入業者・融資元)として、まず再生債務者または監督委員に120条の許可・承認の有無を書面で照会、自社の取引が許可の対象に含まれているか個別に確認する2. 許可がまだなら、許可が下りるまで新規納品・融資を保留するか、許可取得を条件とする旨を取引条件に明記する3. 許可を得た取引については、共益債権として随時・優先弁済を請求できる(121条)、計画外で支払いを求めてよい4. 既に許可なく行為をしてしまった分は再生債権に回るおそれが高い、債権届出の期限を逃さず手続に参加する
訴えられた側:1. 再生債務者(事業者)として、申立て直後に事業継続へ不可欠な借入れ・仕入れ・委託を洗い出し、まとめて120条1項の許可を申請する2. 迅速性が要るなら、裁判所が監督委員に与えた承認権限(120条2項)の活用を弁護士・監督委員と詰める3. 許可・承認を得てから行為をする、順序を逆にすると相手の請求権が共益債権化せず取引先を失う4. 取引先に許可取得を示し、供給網の離反と連鎖倒産を防ぐ
時効(請求できる期限):120条が使えるのは、再生手続開始の申立て後・再生手続開始前という限られた窓の中で行われる行為に限る。開始決定が出ればこの窓は閉じ、以後は別の規律に移る。共益債権そのものに固有の時効規定はないが、行使を怠れば一般消滅時効(民法166条、債権は権利行使できると知った時から5年または権利行使できる時から10年)が適用される
学説
通説:120条の許可・承認は「事業の継続に欠くことができない行為」に限定され、共益債権化の要件として厳格に解される。DIP 型再建における新規与信の保護と、既存の再生債権者の平等・配当原資の保全との調整点として位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法の制定に伴い新設。経営陣が地位を保ったまま再建を進める米国連邦倒産法チャプター11の DIP 型再建を参考に、開始前の事業継続資金や仕入れの請求権を共益債権として保護する枠組みを導入した。
- 民事再生法 第119条共益債権となる請求権の一般的範囲
- 民事再生法 第121条共益債権の随時弁済・優先弁済の取扱い
- 民事再生法 第54条監督委員の選任、承認権限の担い手
- 民事再生法 第79条保全管理命令、保全管理人選任の根拠(第4項の前提)
- 民事再生法 第85条再生債権の弁済禁止、共益債権との対比となる原則
- 会社更生法 第127条会社更生手続における共益債権の並行規定(現行効力を要確認)
- 破産法 第148条破産手続における財団債権、優先弁済債権の並行概念(現行効力を要確認)
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