民事再生法 第79条(保全管理命令)
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- 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、再生債務者(法人である場合に限る。以下この節において同じ。)の財産の管理又は処分が失当であるとき、その他再生債務者の事業の継続のために特に必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、再生債務者の業務及び財産に関し、保全管理人による管理を命ずる処分をすることができる。この場合においては、第六十四条第三項の規定を準用する。
- 2.裁判所は、前項の処分(以下「保全管理命令」という。)をする場合には、当該保全管理命令において、一人又は数人の保全管理人を選任しなければならない。
- 3.前二項の規定は、再生手続開始の申立てを棄却する決定に対して第三十六条第一項の即時抗告があった場合について準用する。
- 4.裁判所は、保全管理命令を変更し、又は取り消すことができる。
- 5.保全管理命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
- 6.前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
この条文の基本情報
保全管理命令とは何ですか?
定義保全管理命令とは、民事再生法第79条に定められた規定で、「裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、再生債務者(法人である場合に限る。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第79条(保全管理命令)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第79条の条文原文は「裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、再生債務者(法人である場合に限る。」で始まります。
- 民事再生法第79条は第四節 保全管理人に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第79条の前の条は民事再生法第78条です。
- 民事再生法第79条の次の条は民事再生法第80条です。
- 民事再生法第79条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第79条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第79条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/79
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法79条は、財産の管理が失当な法人につき、裁判所が開始決定があるまでの間、保全管理人に業務・財産の管理を命じる保全管理命令を定める。即時抗告に執行停止の効力はない。
Q · 取引先が民事再生を申し立てたのに、社長はまだ会社にいるのに『支払いは別の人に聞いてくれ』と言われた。保全管理命令って何?
裁判所選任の保全管理人に会社の管理権を移す命令です
民事再生法79条の保全管理命令です。再生手続開始の申立て後、財産の管理・処分が失当であるときなどに、裁判所が開始決定があるまでの間、選任した保全管理人に会社の業務および財産の管理を命じます。対象は法人に限られ、利害関係人の申立てまたは職権で発せられます。命令が出ると、社長がいても通帳・契約・決裁の権限は保全管理人に移ります。即時抗告はできますが執行停止の効力がなく(79条6項)、争っている間も管理権は戻りません。
解説
民事再生の最大の売りは、破産と違って経営陣がそのまま会社に残り、自分の手で会社を立て直せる点にある。だが、その看板の裏には抜け穴がある。会社の財産管理がずさんだったり、資産の隠匿・流出の疑いがあると裁判所が見れば、再生手続の開始決定が出る前の段階で、裁判所は保全管理人(裁判所が選任する第三者、多くは弁護士)に会社の業務と財産の管理を丸ごと委ねる命令を出せる。これが79条の保全管理命令だ。命令が出た瞬間、あなたが社長でも、会社の通帳も契約も決裁も、すべて保全管理人の手に移る。自分の会社の財産に、あなたは手を出せなくなる。しかも対象は法人だけ(個人事業主の再生には使えない)。逆にあなたが債権者なら、これは資産を食い逃げされる前に裁判所を動かす武器になる。申立ては利害関係人(債権者を含む)からでも、裁判所の職権でもできる。「経営陣が残る」という民事再生のイメージは、79条の前では絶対ではない。
法的な位置づけ
保全管理命令は、民事再生手続開始の申立てがあった場合において、再生債務者の財産の管理・処分が失当であるとき等に、裁判所が開始決定があるまでの間、選任した保全管理人に業務および財産の管理を委ねる処分である。対象は法人に限られ、利害関係人の申立てまたは職権により発せられ、命令により管理処分権が保全管理人へ移転する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.取引先の状況と財産流出の兆候を確認 取引先が民事再生を申し立てたら、関連会社への不自然な送金、在庫の投げ売り、不動産の名義移転など、財産流出の兆候を確認する。売掛金の窓口が誰に移ったかも公告・登記でチェックする
- 2.流出の証拠を収集する 取引記録、登記事項証明書、送金指示のメールなど、財産の隠匿・不当処分を裏づける証拠を集める。流出してしまった後では原状回復に別手続が必要となり回収率が落ちるため、流出『前』に固めることが要点
- 3.利害関係人として保全管理命令を申し立てる 倒産事件に精通した弁護士とともに、利害関係人として保全管理命令を申し立てる。裁判所の職権発動を促す上申でもよい。弁済禁止等の保全処分(民事再生法30条)との組み合わせも検討する
- 4.命令発令後は債権届出の準備を進める 保全管理命令が出れば財産は保全管理人の管理下に凍結される。並行して債権届出の準備を進め、再生計画での弁済率を見据える。旧経営陣への抜け駆け弁済の依頼は否認リスクがあるため正規ルートを使う
よくある質問 AI による整理
Q1保全管理命令とは何ですか?
民事再生手続開始の申立て後、財産管理が失当な法人につき、裁判所が保全管理人に業務・財産の管理を命じる処分です。対象は法人に限られ、利害関係人の申立てまたは職権で発せられます。
Q2保全管理命令はいつ出されますか?
再生手続開始の申立てがあってから、開始決定があるまでの間に出されます。財産の管理・処分が失当であるとき、その他事業継続のため特に必要と認められるときが要件です。
Q3保全管理命令が出ると社長はどうなりますか?
業務および財産の管理権が保全管理人に移ります。社長の肩書は残っても、通帳・契約・決裁の権限を失い、保全管理人の指示を仰ぐ立場になります。
Q4保全管理命令に不服がある場合はどうしますか?
即時抗告ができます(79条5項)。ただし執行停止の効力がないため(79条6項)、抗告審が結論を出すまでの間も管理権は戻りません。
Q5保全管理命令は個人事業主にも使えますか?
使えません。79条1項は対象を法人に限定しています。個人事業主や自然人の民事再生には保全管理命令の制度は適用されません。
Q6保全管理人には誰が選ばれますか?
裁判所が選任します(79条2項)。実務では倒産事件に精通した弁護士が選ばれることが多く、一人または数人が選任されます。
Q7債権者は保全管理命令を申し立てられますか?
できます。利害関係人には債権者も含まれ、財産流出の疑いがあれば申立てが可能です。裁判所の職権発動を促す上申という方法もあります。
Q8保全管理命令と開始決定後の管理命令は違いますか?
違います。79条は開始決定『前』の暫定措置、64条は開始決定『後』の管理命令です。79条1項は64条3項を準用しています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちの取引先が民事再生したんですが、社長はまだ会社にいるのに『支払いは保全管理人に聞いてくれ』と言われました。どういうことですか?
その会社には79条の保全管理命令が出ている可能性が高いです。開始決定の前でも財産管理が失当などと裁判所が判断すれば、経営権が裁判所選任の保全管理人へ移ります。社長がいても、支払いや契約の決裁権は保全管理人が握ります。実務のポイント:この段階で旧経営陣に直接『先に払って』と泣きついても、保全管理人の管理下では原則として通りません。むしろ抜け駆け弁済は後で否認される恐れがある。正規ルートで債権届出に回した方が、結果的に回収率を損なわない
Q2債権者の立場で、相手が財産を隠しそうなんですが、開始決定を待たないと何もできないんでしょうか?
待つ必要はありません。79条の保全管理命令は『開始決定があるまでの間』の措置で、まさに開始前の財産流出を止めるための制度です。利害関係人であるあなたから申し立てられます(職権発動を促す上申も可)。実務のポイント:弁済禁止等の保全処分(民事再生法30条、現行効力を要確認)と組み合わせると財産凍結の網がより厚くなる。どちらが効くかは流出の態様で変わるので、申立て前に倒産に強い弁護士と打ち手を選ぶのが分かれ目になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「民事再生を選べば社長は必ず会社に残れる」と思い込んでいる経営者が多いが、79条はその前提を崩す。財産管理が失当だと裁判所が判断すれば、開始決定の前でも経営権は保全管理人に移る。残れるのは原則であって、保証ではない
- 保全管理命令の重さを『一時的なものだろう』と軽く見ている人がいるが、深刻さの本丸は79条6項にある。即時抗告をしても執行停止の効力がないため、争っている間も管理権は戻ってこない。不服を申し立てた『つもり』でいるうちに、会社は他人の手で動き続け、現場は既成事実で固まっていく
- 債権者の側から見ると話は逆転する。経営者にとっては経営権を奪う脅威だが、債権者にとっては唯一、開始決定を待たずに財産流出を止められる早期介入の手段だ。同じ条文を『攻められる側』としてしか読んでいないと、自分が『使える側』にいる場面を丸ごと見落とす
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発動のタイミング | 79条:開始決定があるまでの間(開始前の暫定措置) | 64条:再生手続開始決定後の管理命令 30条:開始前の弁済禁止等の保全処分 |
| 効果 | 業務・財産の管理処分権が保全管理人へ移転 | 管財人(管理型)へ管理処分権が移転 特定の行為(弁済等)を禁止・制限するのみ |
| 対象 | 再生債務者が法人である場合に限る | 開始決定を受けた再生債務者(管理命令の対象) 法人・自然人を問わない |
| 不服申立て | 即時抗告可、ただし執行停止効なし(79条6項) | 決定に対する即時抗告の規律による 保全処分に対する不服申立ての規律による |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は重整裁定前に裁判所が保全処分を命じられる点で類似するが、日本79条のような管理権全面移転の『保全管理人』制度とは構成が異なる。
韓国も開始決定前の保全処分・保全管理人制度を持ち、日本の枠組みと近い。回生手続は日本の民事再生・会社更生を参照して整備された。
ドイツは手続開始前に仮の倒産管財人(vorläufiger Insolvenzverwalter)を選任でき、権限の範囲を裁判所が定める。日本の保全管理人に機能的に対応する。
米国 Chapter 11は DIP を原則としつつ、詐害・不正管理等があれば trustee を選任して管理権を移す。79条の思想的源流に近い。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先が民事再生を申し立てた。あなたはまだ数百万円の売掛金を回収していない。経営陣が在庫や預金を身内の関連会社へ流し始めたら、開始決定を待っている間に資産が消える。利害関係人として保全管理命令を申し立てれば、裁判所が選んだ保全管理人が財産を凍結し、流出を止められる。動くか待つかで、回収できる額がまるごと変わる
- あなたは創業社長で、苦渋の末に民事再生を申し立てた。『これで自分の手で再建できる』と思っていた矢先、裁判所から保全管理命令が届く。理由は過去の杜撰な資金繰りと帳簿の不備。今日からあなたは自社の決裁すら通せず、保全管理人の指示を仰ぐ立場になる。再生の主導権は、申立てから数日で他人の手に渡った
- もし、保全管理命令に納得できず即時抗告したら、管理権は戻ってくるのか? 答えは戻らない。79条6項で即時抗告には執行停止の効力がないと明記されている。抗告審が結論を出すまでの数週間も、会社は保全管理人が動かし続ける
- 債権者として保全管理命令を申し立てるなら、財産流出の証拠を握っている今が勝負。あと数日で月末の支払サイクルが回り、関連会社への送金が実行されれば、資産は手の届かない先へ移る。証拠と申立書を、週内に裁判所へ出せるか
取るべき行動
被害を受けた側:1. 債権者の立場でまず確認するのは、債務者の財産が今まさに流出しているか(関連会社への不自然な送金、在庫の投げ売り、不動産の名義移転)。2. 流出の証拠(取引記録、登記、メール)を集め、利害関係人として保全管理命令を申し立てる。職権発動を促す上申でもよい。3. 命令が出れば財産は保全管理人の管理下に凍結される。4. 並行して債権届出の準備を進め、再生計画での弁済率を見据える。早く動くほど守れる資産が増える
訴えられた側:1. 経営者側は、保全管理命令の前提となる『財産管理の失当』という心証を崩すことが最優先。帳簿・資金移動の正当性を整理し、裁判所へ先に開示する。2. すでに命令が出たら、保全管理人と敵対せず、再建に必要な情報提供で協調姿勢を示す。3. 命令に不服なら即時抗告できるが、執行停止効はない(79条6項)ため、抗告中も管理権は戻らない点を計算に入れる。4. 個人の連帯保証は別問題として、経営者保証ガイドラインによる整理を並行検討する
時効(請求できる期限):保全管理命令への即時抗告は、原則として裁判の告知を受けた日から1週間以内(倒産手続には公告の効力発生日を起算点とする特則がある場合があり、最新の規定をご確認ください)。なお即時抗告には執行停止の効力がなく(79条6項)、抗告中も保全管理人による管理は続く
学説
通説:民事再生法は原則として DIP 型(占有継続型)を採り経営陣による自主再建を尊重するが、財産管理が失当であるなど例外的場合には裁判所が保全管理命令により管理権を第三者へ移す二段構えを採用しており、79条はこの均衡装置と解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成11年(1999年)制定・平成12年(2000年)施行 民事再生法の制定により新設された条文と解されるが、その後の改正履歴(条文番号の移動・文言修正の有無)に確証がないため、人的検証が必要。捏造を避け total_revisions を -1とする
改正の年表
- 1.平成11年(1999年)制定・平成12年(2000年)施行 新設:民事再生法の制定により保全管理命令の規定が置かれた。旧和議法にはなかった開始決定前の管理型保全手段として導入された。改正履歴の詳細は人的検証が必要。
- 民事再生法 第64条開始決定後の管理命令、本条が3項を準用
- 民事再生法 第36条棄却決定への即時抗告、本条3項が準用
- 民事再生法 第80条保全管理人の権限の範囲(現行効力を要確認)
- 民事再生法 第30条弁済禁止等の保全処分、財産保全の別手段(現行効力を要確認)
- 破産法 第91条破産手続における保全管理命令の並行規定(現行効力を要確認)
- 会社更生法 第30条更生手続における保全管理命令の並行規定(現行効力を要確認)
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