民事再生法 第30条(仮差押え、仮処分その他の保全処分)
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- 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合には、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、再生債務者の業務及び財産に関し、仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
- 2.裁判所は、前項の規定による保全処分を変更し、又は取り消すことができる。
- 3.第一項の規定による保全処分及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
- 4.前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
- 5.第三項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
- 6.裁判所が第一項の規定により再生債務者が再生債権者に対して弁済その他の債務を消滅させる行為をすることを禁止する旨の保全処分を命じた場合には、再生債権者は、再生手続の関係においては、当該保全処分に反してされた弁済その他の債務を消滅させる行為の効力を主張することができない。ただし、再生債権者が、その行為の当時、当該保全処分がされたことを知っていたときに限る。
この条文の基本情報
仮差押え、仮処分その他の保全処分とは何ですか?
定義仮差押え、仮処分その他の保全処分とは、民事再生法第30条に定められた規定で、「裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合には、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、再生債務者の業務及び財産に関し…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第30条(仮差押え、仮処分その他の保全処分)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第30条の条文原文は「裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合には、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、再生債務者の業務及び財産に関し…」で始まります。
- 民事再生法第30条は第一節 再生手続開始の申立てに置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第30条の前の条は民事再生法第29条です。
- 民事再生法第30条の次の条は民事再生法第31条です。
- 民事再生法第30条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第30条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第30条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/30
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法30条は、申立てから開始決定までの間、裁判所が再生債務者の財産に保全処分を命じられると定める。弁済禁止の保全処分を知って受けた弁済は効力を主張できない。
Q · 取引先が民事再生を申し立てた後に売掛金を回収したら、そのお金は守られますか?
知って受け取れば効力を主張できず、知らなければ守られる
民事再生法30条により、裁判所は申立てから開始決定までの間、再生債務者の業務・財産について保全処分を命じられます。中でも6項の弁済禁止の保全処分が出た後、その保全処分がされたことを「知って」弁済を受けた再生債権者は、再生手続の関係でその弁済の効力を主張できません(6項ただし書)。逆に保全処分の前に、または知らずに受け取った弁済は原則守られます。さらに即時抗告には執行停止の効力がないため(4項)、争っている間も凍結は続きます。
解説
取引先が経営危機に陥り、民事再生を申し立てた。あなたは慌てて売掛金の回収に走る。ここに落とし穴がある。民事再生法30条は、裁判所が再生手続開始の申立てから開始決定までの「空白期間」に、再生債務者の業務と財産を凍結する保全処分(仮差押え、仮処分その他の必要な措置)を命じられると定める。中でも6項の「弁済禁止の保全処分」が出ると、債務者があなたに払った代金は、あなたがその保全処分を知っていた場合、再生手続の中では効力を主張できなくなる。一度受け取ったお金を吐き出す側に回るのだ。逆に、保全処分を知らずに受け取ったのなら、その弁済は守られる。つまり「あなたが知っていたか否か」が、数百万円の回収の生死を分ける。さらに、この凍結に不服で即時抗告しても、抗告に執行停止の効力はない(4項)。争っている間も、凍結は効き続ける。
法的な位置づけ
民事再生法30条は、再生手続開始の申立てから開始決定までの間に、裁判所が職権または利害関係人の申立てにより、再生債務者の業務および財産に関し仮差押え・仮処分その他の保全処分を命じる制度を定める規定である。弁済禁止の保全処分に反する弁済は、当該保全処分を知っていた再生債権者との関係で効力を主張できない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.申立ての一報を受けたら保全処分の有無を確認 取引先の民事再生申立てを知ったら、まず保全処分の有無と種類(弁済禁止か否か)を、裁判所・官報公告・通知書で確認する。動く前に自分の立ち位置を把握する
- 2.受領済み弁済の「時期」と「認識」を記録で固める 既に受け取った弁済があれば、それが保全処分の前か後か、また保全処分を知る前か後かを、入金記録・メール・受領日付で客観的に固める。30条6項の『知っていたか』が回収の生死を分ける
- 3.未回収分は再生債権として期限内に届出 未回収の売掛金は再生債権となる。裁判所が開始決定で定める債権届出期間内に必ず債権届出を行う。届出を怠ると失権し、再生計画による弁済も受けられなくなる
- 4.担保・相殺の余地を別枠で検討 担保権や相殺の余地があれば、無担保の一般債権より優先的に回収できる場合がある。別除権・相殺の主張可否を早期に整理する
- 5.債務者側なら申立てと同時に保全処分を申請 自社が民事再生を決断した側なら、申立てと同時に30条の保全処分を裁判所へ求め、一部債権者の抜け駆け回収を止める。即時抗告に執行停止効がない(4項)ため保全の効力は維持される
よくある質問 AI による整理
Q1弁済禁止の保全処分とは何ですか?
裁判所が再生債務者に対し、再生債権者への弁済その他の債務消滅行為を禁止する保全処分です(民事再生法30条6項)。開始決定前の抜け駆け弁済を止めます。
Q2民事再生を申し立てただけで取り立ては止まりますか?
止まりません。申立てだけでは効力は生じず、裁判所が30条の保全処分を具体的に命じて初めて弁済や仮差押えが凍結されます。申立てと発令には時間差があります。
Q3保全処分に対する即時抗告に執行停止の効力はありますか?
ありません(民事再生法30条4項)。争っている間も保全処分は効き続け、弁済停止や仮差押えは解けません。実務では別ルートの資金繰りを並行します。
Q4弁済禁止の保全処分が出ても払える例外はありますか?
あります。事業継続に不可欠な取引先への弁済などは、裁判所の個別許可で例外的に認められ得ます。優先度を整理して許可を申請します。
Q5保全処分を知らずに受け取った売掛金は返さなければなりませんか?
原則返す必要はありません。効力を主張できないのは保全処分を「知っていた」場合に限られます(30条6項ただし書)。善意受領は守られます。
Q6民事再生の保全処分と破産の保全処分は違いますか?
再建型(民事再生法30条)は事業を続けながら財産流出を止めるのが目的、清算型(破産法の保全)は換価に向けた財産保全が目的で、狙いが異なります。
Q7保全処分はいつまで続きますか?
再生手続開始の決定があるまでの暫定措置です。開始決定後は開始の効果(弁済禁止85条など)に引き継がれ、保全処分自体は終期を迎えます。
Q8手形を持っている場合、満期に取り立てても大丈夫ですか?
弁済禁止の保全処分を知って取り立てた分は、再生手続の関係で効力を主張できません(30条6項)。満期到来だけでは保護されない点に注意が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先が民事再生したら、もう売掛金は1円も戻ってこないんですか?
全額がゼロになるわけではありません。あなたの売掛金は再生債権となり、再生計画で定められた弁済率に従って分割弁済されます(民事再生法85条ほか)。弁済率は事案次第で数 % から数十 % まで幅があります。実務のポイント:再生計画案には債権者の決議があり、あなたの議決権の一票が計画の成否や弁済率に影響することがある。泣き寝入りせず、債権者集会の議決権を必ず行使する
Q2保全処分が出る前に振り込まれていたお金は、取り上げられますか?
弁済禁止の保全処分に反する弁済が効力を否定されるのは、あなたがその保全処分が出たことを知っていた場合に限られます(30条6項ただし書)。保全処分の前に、または知らずに受け取った弁済は、原則として守られます。実務のポイント:ここで効くのが「いつ知ったか」の記録。官報公告や通知書の到達日を相手は立証してくる。逆に言えば、あなたが知る前に正当に受け取った証拠があれば守れる
Q3弁済禁止の保全処分に納得できません。すぐ争えますか?
即時抗告で争えます(30条3項)。ただし注意すべきは、その抗告に執行停止の効力がないこと(同条4項)。つまり争っている間も保全処分は効き続け、弁済停止や仮差押えは解けません。実務のポイント:抗告で覆る例は多くないため、実務では抗告と並行して、運転資金の別ルート確保や、事業継続に不可欠な弁済について裁判所の個別許可を求める動きを同時に進めるのが定石。争うだけでは資金が尽きる
間違えやすい点 AI による整理
- 「民事再生を申し立てれば、その瞬間に全部の取り立てが自動で止まる」と思われがちだが違う。申立てだけでは止まらない。裁判所が30条の保全処分を具体的に命じて初めて、弁済や仮差押えが凍結される。申立てと発令の間にも、なお時間差がある
- 弁済禁止の保全処分に反した弁済が無効になることは知られているが、その無効が「債権者がその保全処分を知っていたとき」に限られる点(6項ただし書)の重さは見落とされがちだ。善意か悪意か、たった一点の認定で、受け取った代金を返すか守れるかが正反対になる
- あなたから見れば「正当な債権を、約束どおり払ってもらっただけ」。だが再生手続から見れば、それは他の債権者を出し抜いた抜け駆け弁済であり、知っていたなら効力を否定される。この立場の落差を理解しないまま受け取ると、後で巻き戻される
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 止める対象 | 30条:業務・財産全般(弁済・仮差押え・仮処分)を開始前に凍結 | 27条:強制執行等の中止命令(個別の執行手続を止める) 85条:開始後の再生債権の弁済禁止 |
| 時間軸 | 申立て〜開始決定までの空白期間の暫定措置 | 申立て後、係属中の執行を対象 開始決定後の恒常的な弁済規律 |
| 違反弁済の効果 | 悪意の再生債権者との関係で効力を主張できない(6項) | 中止された執行手続は進行できない 手続外弁済は原則無効(例外は個別許可) |
| 巻き戻す最終手段 | 127条の否認権で開始後に遡って否認し得る | 127条の否認権へ連続 127条の否認権へ連続 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は重整裁定前・破産宣告前に裁判所が保全処分を命じ得る点で日本30条と同趣旨。企業再建は公司法の重整手続が主たる受け皿となる。
韓国は統合倒産法(債務者回生法)で開始決定前の保全処分を定め、日本の民事再生に対応する回生手続を規律する。構造は日本法と近い。
ドイツは倒産手続開始前に暫定管財人選任や処分禁止等の保全措置を定める。裁量的な保全の枠組みは日本30条と機能的に対応する。
米国は申立てと同時に自動的停止が発生し、個別の取立て・執行が一律に止まる。裁判所の個別発令を要する日本30条と発動構造が根本的に異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 長年取引してきた製造業の元請けが、ある朝突然「民事再生を申し立てた」と FAX を送ってきた。来月入金予定の売掛金800万円。あなたが慌てて回収しても、弁済禁止の保全処分を知ったうえで受け取れば、再生手続の中で効力を主張できず、回収額はゼロに巻き戻される
- もし取引先から民事再生申立ての一報が入ったら、あなたに残された判断の時間はわずか数日。先に動いて回収すべきか、保全処分の有無を確かめてから動くべきか、選択を誤れば800万円が宙に浮く
- あなたが資金繰りに行き詰まった会社の社長で、民事再生を決断したとする。申立てと同時に裁判所へ30条の保全処分を求めれば、一部の強気な債権者が「今のうちに」と抜け駆け回収に走るのを止められる。動かなければ、再建の原資が申立て直後に流出する
- 下請けのあなたが手形を握っている。元請けが民事再生を申し立て、弁済禁止の保全処分が出た。満期が来ても、知って取り立てた分は守られない
- 弁済禁止の保全処分で口座が事実上凍り、運転資金が回らなくなった。あなたは即時抗告で争うが、抗告には執行停止の効力がない(4項)。決定が覆るまで凍結は続いたまま。争いながら別の資金繰りを並行で組む必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取引先の民事再生申立てを知ったら、まず保全処分の有無と種類(弁済禁止か否か)を裁判所、官報、通知書で確認する2. すでに受け取った弁済があるなら、それが保全処分の前か後か、保全処分を知る前か後かを記録で固める。30条6項の「知っていたか」が回収の生死を分ける3. 未回収分は再生債権として債権届出を期限内に行う(届出を忘れると失権する) 4. 担保や相殺の余地があれば別枠で主張、無担保の一般債権より優先的に回収できる場合がある
訴えられた側:1. 民事再生を決断したら、申立てと同時に30条の保全処分を裁判所へ求め、一部債権者の抜け駆け回収を止める2. 弁済禁止の保全処分が出ても、事業継続に不可欠な取引先への弁済は裁判所の個別許可で例外的に認められ得るので、優先度を整理して申請する3. 即時抗告が出ても執行停止効はない(4項)ため、保全の効力は維持される4. 申立代理人と連携し、開始決定後の否認権(127条あたり)行使も見据えて資産の流出経路を押さえる
時効(請求できる期限):保全処分の裁判に対する即時抗告は、裁判書の送達を受けた日から1週間の不変期間内に行う(民事再生法9条、民事訴訟法332条、現行効力を要確認)。なお即時抗告には執行停止の効力がない(30条4項)ため、争っても期間中の凍結は解けない。再生債権の届出期間は別途、裁判所が開始決定で定める期間内
学説
通説:30条の保全処分は、再生手続開始前の空白期間における財産散逸と抜け駆け弁済を防止し、債権者平等と事業価値保全を確保する暫定措置と解される。6項の効力否定は再生手続の関係に限られ、悪意の再生債権者に対してのみ及ぶ相対的なものである。
改正沿革 AI による整理
- 平成11年(1999年)制定 民事再生法(平成11年法律第225号)として制定され、平成12年(2000年)4月施行。旧和議法に代わる再建型倒産手続として30条の保全処分が置かれた。本条の個別改正の有無と回数は要人的検証
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)として制定され、平成12年(2000年)4月施行。旧和議法に代わる再建型倒産手続として、開始決定前の保全処分を定める30条が置かれた。本条の個別改正の有無・回数は要人的検証。
- 民事再生法 第21条再生手続開始の申立て、保全処分の前提手続
- 民事再生法 第27条強制執行等の中止命令、保全と並ぶ凍結手段
- 民事再生法 第33条再生手続開始の決定、保全処分の終期を画する
- 民事再生法 第85条再生債権の弁済禁止、開始後の弁済規律へ連続
- 民事再生法 第127条否認権、開始後に抜け駆け弁済を巻き戻す権能(現行効力を要確認)
- 破産法 第28条破産手続開始前の保全処分、並行する倒産類型の対応規定(現行効力を要確認)
- 会社更生法 第28条更生手続における保全処分、大規模再建型の対応規定(現行効力を要確認)
- 民事保全法 第20条仮差押命令の一般法、本条が倒産局面で修正する基礎(現行効力を要確認)
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