要点民事再生法 31 条は、裁判所が再生債権者の一般の利益に適合し、競売申立人に不当な損害がないと認めれば、相当の期間を定めて担保権の実行手続の中止を命じられると定める規定である。
Q · 民事再生を申し立てたら、担保をとっている銀行の競売も止められるの?
自動では止まらないが、31条の中止命令で一時停止できる
民事再生法 31 条により、裁判所は再生手続開始の申立てがあった場合、再生債権者の一般の利益に適合し、かつ競売申立人に不当な損害を及ぼすおそれがないと認めれば、相当の期間を定めて担保権の実行手続の中止を命じられます。担保権者は別除権者として原則手続外で自由に実行できるため(民事再生法 53 条)、止めるには個別に中止命令を得る必要があります。ただし停止は時間稼ぎにすぎず、担保そのものを消すには担保権消滅請求(148 条)が必要です。また担保される債権が共益債権・一般優先債権のときは中止できません。
工場の機械、本社ビル、売掛金。会社の命綱になっている資産に銀行の抵当権がついている。あなたの会社が民事再生を申し立てた瞬間、その銀行は手続の外で勝手に競売にかけられる。これが「別除権」(民事再生法53条、再生手続に縛られず担保を実行できる権利)の正体だ。命綱の資産を競売で持っていかれたら、再生もへったくれもない。そこで効いてくるのが31条。裁判所は、再生債権者全体の利益に適合し、かつ競売を申し立てた側に不当な損害が出ないと認めれば、相当の期間を定めて担保権の実行手続を「一時停止」できる。利害関係人の申立てでも職権でもよい。ただし停止は時間稼ぎにすぎない。担保そのものを消すには別の武器(148条の担保権消滅請求)が要る。31条が止めてくれるのは時計の針だけで、しかも担保される債権が共益債権・一般優先債権(再生手続を支える優先的な債権)のときは止められない。この一行の命令が出るか出ないかで、再生計画を立てる前に会社の心臓が止まるかどうかが決まる。
民事再生法 31 条の担保権実行中止命令とは、裁判所が再生手続開始の申立てを受け、再生債権者の一般の利益に適合し、かつ競売申立人に不当な損害を及ぼすおそれがないと認める場合に、相当の期間を定めて別除権に係る担保権の実行手続を一時的に停止させる裁判上の命令をいう。担保権を消滅させる効力はなく、期間経過により手続は再開しうる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
民事再生法 31 条に基づき、裁判所が相当の期間を定めて別除権に係る担保権の実行手続を一時停止させる命令です。担保権自体を消す効力はありません。
再生手続開始の申立てと同時か直後が定石です。競売の売却許可決定が出てしまうと止めるべき手続自体が消えるため、スピードが勝負を分けます。
再生債権者の一般の利益に適合すること、競売申立人に不当な損害を及ぼすおそれがないことの両方が必要です。担保される債権が共益債権・一般優先債権なら対象外です。
裁判所が定める「相当の期間」に限られます。永久ではなく、期間満了により競売は再開しうるため、その間に別除権協定や担保権消滅請求へ進む必要があります。
できません。民事再生法 31 条ただし書きにより、担保される債権が共益債権又は一般優先債権であるときは、中止命令の対象から除外されます。
競売申立人に限り即時抗告ができます(4 項)。ただし即時抗告に執行停止の効力はなく(5 項)、抗告中も中止の効力は続きます。
中止命令は担保権実行を一時停止するだけで担保権は残ります。担保権消滅請求は裁判所が定めた価額を納付して担保権そのものを消滅させる制度です。
止まりません。無担保の強制執行は 26 条で中止しうるものの、担保権の実行は別除権として手続外で継続し、31 条で個別に中止命令を得ない限り走り続けます。
しません。担保を持つ債権者は『別除権者』として再生手続の外で担保を実行できます(民事再生法53条)。止めるには31条の中止命令を個別に申し立て、要件を満たして裁判所に認めてもらう必要があります。業界裏話ヒント:実務では再生申立てと中止命令の申立てをセットで出すのが鉄則です。別々に考えて中止命令を出し遅れると、その間に競売の売却許可が確定し、止めるべき手続そのものが消えてしまう。スピードが命です
終わりません。31条は『相当の期間』担保権の実行を止めるだけで、担保権そのものは残っています。期間が満了すれば競売は再開しうる。終局的に資産を守るには、別除権協定で弁済して担保を外すか、担保権消滅請求(148条、裁判所が定めた価額を払って担保を消す制度)まで進める必要があります。業界裏話ヒント:弁護士はこの『止めた時間で何をするか』の出口戦略を最初から描いています。中止命令だけ取って満足する相談者ほど、期間切れで振り出しに戻る
争えます。中止命令や変更決定に対しては『競売申立人に限り』即時抗告ができます(4項)。ただし即時抗告には執行停止の効力がない(5項)ので、抗告中も中止の効力は続きます。また裁判所が中止を出す前にあなたの意見を聴く手続もあります(2項)。業界裏話ヒント:抗告で全部ひっくり返すより、意見聴取の段階で『不当な損害のおそれ』を数字で示して中止自体を出させない方が効率的です。出てしまった後は、抗告と並行して別除権協定の交渉に軸足を移すのが現実的な勝ち筋
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象手続 | 31 条:別除権(担保権)の実行手続を中止 | — |
| 効力の性質 | 相当の期間の一時停止(担保権は残る) | — |
| 発動要件 | 一般の利益に適合+不当な損害のおそれなし | — |
| 対象外・限界 | 共益債権・一般優先債権を担保する場合は不可 | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。