要点民事再生法 50 条は、電気・ガスなど継続的給付の相手方が、開始申立て前の未払いを理由に開始後の供給を拒むことを禁じる。申立て後の給付代金は共益債権となるが、労働契約には適用されない。
Q · 取引先が民事再生を申し立てたら、未払いを理由に電気や部品の供給を止められるの?
止められません。継続的給付なら開始後の履行拒絶は認められない
民事再生法 50 条 1 項により、再生債務者に継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は、再生手続開始の申立て前の給付に係る再生債権の未払いを理由として、開始後は履行を拒めません。電気・ガス・水道・通信・リース・継続的な原材料供給などが典型です。さらに 2 項により、申立て後・開始前になされた給付に係る請求権は共益債権となり、再生債権に優先して随時弁済されます。ただし 3 項で労働契約は適用対象から除外されています。
資金繰りに行き詰まった会社が民事再生を申し立てた。その瞬間、社長が最も恐れるのは「電気を止められること」「仕入先が出荷を止めること」だ。供給が断たれれば、再建どころか会社は即死する。民事再生法 50 条は、その急所を守る。電気・ガス・水道・通信・リース・継続的な原材料供給など、継続的給付を約束した取引先は、再生手続開始前の未払い分を理由に、開始後の供給を拒めない。つまり「過去の借金を払うまで止める」は通用しない。さらに、申立てから開始決定までの間に供給された分は共益債権となり、他の再生債権より先に随時弁済される。だから取引先も安心して供給を続けられる。会社を生かすための、見えないライフラインの法的根拠がここにある。あなたが債務者側でも供給側でも、この一条の射程を知っているかどうかで、再生の初動はまるで変わる。
民事再生法 50 条は、再生債務者に対して継続的給付の義務を負う双務契約の相手方について、再生手続開始の申立て前の給付に係る再生債権の不履行を理由とする履行拒絶を禁じる規定である。申立て後・開始前の給付に係る請求権を共益債権とし、労働契約は適用対象から除外される。
電気・ガス・水道・通信・リース・継続的な原材料供給など、一定期間にわたり反復して給付する義務を負う双務契約上の給付を指します。単発の一回限りの取引は含まれません。
止まりません。民事再生法 50 条 1 項により、電力会社は開始申立て前の滞納を理由に開始後の送電を拒めません。ただし開始後の電気代を払わなければ別問題になります。
再生手続によらず随時弁済される優先度の高い債権です(121 条)。大幅にカットされうる再生債権と異なり、原則として満額回収が期待できます。
再生手続開始の申立て後、開始決定前になされた給付に係る請求権です。一定期間ごとに債権額を算定する契約では、申立日が属する期間内の給付分も含まれます。
そのリース契約が継続的給付に当たるなら、開始前の未払いを理由とする履行拒絶は認められません。契約類型と実質を弁護士と確認してください。
適用されません。3 項で労働契約は除外です。賃金は一般優先債権(122 条)や共益債権(119 条)として別ルートで手厚く保護されます。
継続的給付に当たる場合、開始後の履行拒絶は認められず、債務不履行責任を問われるリスクがあります。裁判所への保全処分申立ての対象にもなり得ます。
類似規定があります。破産法 55 条、会社更生法 62 条が同趣旨の継続的給付の規律を置いており、手続ごとに要件と効果を確認する必要があります。
申立て前の分は再生債権として大幅にカットされる可能性が高いですが、申立て後・開始前の供給分(50 条 2 項)と開始後の供給分は共益債権として優先弁済されます(94 条、121 条)。業界裏話ヒント:弁護士は再生申立てを知った瞬間「いつまでの納品分か」で債権を仕分けます。同じ取引先への売掛金でも、申立て日をまたぐかどうかで回収率が一割と十割に分かれる。納品書や検収印の日付を握っている業者が圧倒的に有利になる
止められません。電気の供給は典型的な継続的給付で、50 条 1 項により電力会社は開始前の滞納を理由に開始後の送電を拒めません。業界裏話ヒント:ただし開始後の電気代まで滞納すれば、それは共益債権の不払いなので話が別になります。再生債務者側が開始後分を確実に払い続けることが、このライフライン維持の条件。実務では申立て代理人が真っ先に公共料金の支払い体制を確保します
継続的給付なら 50 条 1 項で開始後の供給は拒めず、止めると債務不履行になりかねません。むしろ開始後の供給は共益債権で優先弁済されるので、続ける方が回収に有利なことが多い(2 項、121 条)。業界裏話ヒント:感情的に供給を切る下請けは多いが、それは優先弁済される共益債権を捨てる行為。冷静に「いつからが共益債権か」を顧問弁護士に確認してから判断するのが得策です
いいえ、3 項で労働契約は 50 条の適用外です。ただし賃金が保護されないわけではなく、一般の先取特権に基づく一般優先債権(122 条)や共益債権(119 条)など別ルートで手厚く守られます。業界裏話ヒント:労働債権は倒産手続全体で最優先級の保護を受けます。50 条で守られないと聞いて不安になる必要はなく、むしろ別枠でより強く守られている。条文の場所が違うだけです
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 50 条:継続的給付の相手方による履行拒絶の禁止 | — |
| 債権の扱い | 申立て後・開始前の給付は共益債権(2 項) | — |
| 弁済の順位 | 共益債権として手続によらず随時弁済(121 条) | — |
| 労働契約の扱い | 3 項で適用除外(賃金は 119 条・122 条で保護) | — |
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