民事再生法 第32条(再生手続開始の申立ての取下げの制限)
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再生手続開始の申立てをした者は、再生手続開始の決定前に限り、当該申立てを取り下げることができる。この場合において、第二十六条第一項の規定による中止の命令、包括的禁止命令、第三十条第一項の規定による保全処分、前条第一項の規定による中止の命令、第五十四条第一項若しくは第七十九条第一項の規定による処分、第百三十四条の四第一項の規定による保全処分又は第百九十七条第一項の規定による中止の命令がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。
この条文の基本情報
再生手続開始の申立ての取下げの制限とは何ですか?
定義再生手続開始の申立ての取下げの制限とは、民事再生法第32条に定められた規定で、「再生手続開始の申立てをした者は、再生手続開始の決定前に限り、当該申立てを取り下げることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第32条(再生手続開始の申立ての取下げの制限)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第32条の条文原文は「再生手続開始の申立てをした者は、再生手続開始の決定前に限り、当該申立てを取り下げることができる。」で始まります。
- 民事再生法第32条は第一節 再生手続開始の申立てに置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第32条の前の条は民事再生法第31条です。
- 民事再生法第32条の次の条は民事再生法第33条です。
- 民事再生法第32条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第32条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第32条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/32
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法32条は、再生手続開始の申立てを開始決定前に限り取り下げられると定める。ただし保全命令や包括的禁止命令が出た後は、裁判所の許可がなければ取り下げできない。
Q · 勢いで民事再生を申し立てたけど、あとから取り下げできる?
開始決定前なら可能、保全命令後は裁判所の許可が必要
民事再生法32条により、再生手続開始の決定が出る前であれば申立人は自由に取り下げられます。しかし中止命令・包括的禁止命令・保全処分などが発令された後は、開始決定前であっても裁判所の許可がなければ取り下げできません。これらの命令は債権者の取り立てや担保実行を凍結する強力な措置であり、その凍結の利益だけを享受して債権者を縛ったまま撤退する濫用を防ぐためです。開始決定が出た瞬間、取り下げの道は完全に閉ざされます。
解説
資金繰りに行き詰まって民事再生を申し立てた。その数日後、スポンサーが名乗りを上げ、自力での再建に光が見えた。今さら申立てを引っ込められるのか。民事再生法32条が答えを持っている。再生手続開始の決定が出る前なら、申立人は自由に取り下げられる。だが決定が出た瞬間、その扉は永久に閉じる。さらに見落とされがちな第二の関門がある。中止命令や保全処分、包括的禁止命令が出た後は、たとえ開始決定前でも、裁判所の許可がなければ取り下げられない。なぜか。これらの命令は債権者の取り立てや担保実行を凍結する強力な措置だ。その凍結の利益だけを味わって、債権者を縛ったまま黙って撤退することを、法は許さない。あなたが今どの地点に立っているかで、引き返せるか否かが決まる。
法的な位置づけ
民事再生法32条は再生手続開始の申立ての取下げを規律する規定であり、申立人が再生手続開始の決定前に限り申立てを取り下げられる旨を定める。中止命令、包括的禁止命令、保全処分等が発令された後は、開始決定前であっても、裁判所の許可を取下げの要件とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分の現在地(開始決定の有無)を確認 まず再生手続開始の決定が出ているかを裁判所の記録で確認する。決定が出ていれば取下げは一切不可能で、手続を前提に方針を立てる。決定前なら次のステップへ進む
- 2.保全命令・中止命令・包括的禁止命令の発令有無を確認 26条の中止命令、27条の包括的禁止命令、30条の保全処分などが発令されているかを確認する。未発令であれば裁判所の許可なく取り下げられる
- 3.命令未発令なら取下書を提出 各命令が出ていない場合は、取下書を裁判所に提出するだけで取下げが完了する。相手方の同意は不要で、申立人の一方的な意思で離脱できる
- 4.命令発令後なら許可申請と疎明書面を準備 保全命令等が発令された後は、取下げの理由(スポンサー確保、私的整理成立、再建見込みの消滅等)を疎明し、債権者への影響を説明する書面を添えて裁判所に取下げの許可を申請する
よくある質問 AI による整理
Q1民事再生の申立ては取り下げできますか?
再生手続開始の決定が出る前なら取り下げできます(民事再生法32条)。ただし保全命令等が発令された後は裁判所の許可が必要になります。
Q2再生手続開始決定が出た後でも取り下げできますか?
できません。32条は取下げを「開始決定前に限り」と定めており、決定の瞬間に取下げ権は消滅します。以後は手続を前提に動くしかありません。
Q3保全命令が出た後に取り下げるには何が必要ですか?
裁判所の許可が必要です。債権者の取り立てを止めておきながら撤退する濫用でないか、取下げの正当な理由を疎明して審査を受けます。
Q4民事再生の取り下げに裁判所の許可が下りないことはありますか?
あります。保全命令で債権者を縛った利益だけを享受する濫用的な取下げと見られると許可されず、そのまま手続が進みます。
Q5包括的禁止命令が出ていると取り下げに影響しますか?
影響します。27条の包括的禁止命令が発令された後の取下げは、32条により裁判所の許可が要件になります。
Q6取引先が民事再生を取り下げたら債権回収はどうなりますか?
止まっていた取り立てが再開します。ただし取下げに許可が必要な段階なら、裁判所に自社への影響を主張する機会があります。
Q7民事再生を取り下げると申立ての事実は消えますか?
法的には手続が係属しなかった扱いですが、取引先や金融機関の記憶と信用情報には残り、与信の回復は容易ではありません。
Q8個人再生でも同じ取下げ制限がかかりますか?
かかります。32条は134条の4の保全処分(住宅資金特別条項関連)も列挙しており、個人再生でも安易な取下げはできません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1勢いで民事再生を申し立てたけど、やっぱり自力で再建したい。取り下げできますか?
開始決定が出る前なら取り下げ可能です(32条)。ただし保全処分や中止命令、包括的禁止命令が出た後は、裁判所の許可が必要になり、許可なしには引っ込められません。実務のポイント:裁判所は、保全命令で債権者の取り立てを止めておきながら申立てを取り下げる行為に厳しい目を向けます。取り下げの真意(スポンサー確保等の正当な事情)を疎明できないと許可が下りないことがある。取り下げを考えるなら、保全命令が出る前に動くのが鉄則
Q2取り下げたら、申し立てた事実はなかったことになりますか?
法的には手続が初めから係属しなかった扱いになりますが、現実には消えません(32条で取り下げても、取引先や金融機関の記憶には残る)。実務のポイント:申立ては保全命令の段階で取引先や金融機関に伝わることが多く、取り下げても「一度倒れかけた」という事実上の烙印は残り、与信が回復しにくい。申立て自体が重い決断であることを、押す前に理解しておくべき
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分が出した申立てなんだから、いつでも自由に取り下げられる」と思いがちだが、開始決定が出た後は一切取り下げできない。さらに保全命令が出た後は、決定前であっても裁判所の許可がなければ引っ込められない。自分の申立てだからといって、自分の自由にはならない
- 取り下げに裁判所の許可が要ることは知っていても、その許可が下りない場合があるという深刻さに気付いていない人が多い。保全命令で債権者の権利行使を止めておきながら申立てを取り下げる行為は、制度の濫用とみなされうる。許可が下りなければ、手続はそのまま進むしかない
- 「取り下げれば全部なかったことになる」とあなたは考えるが、債権者から見れば、止められていた取り立てが再開し、しかも会社の信用には申立ての事実が刻まれている。あなたから見れば白紙撤回、市場から見れば一度倒れかけた会社、この落差が取引再開を難しくする
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 32条:申立ての取下げ(離脱の可否と要件) | 33条:再生手続開始の決定(取下げ可能期間の終期) 27条:包括的禁止命令(取下げに許可を要する契機) |
| 発動する場面 | 申立人が手続から離脱しようとするとき | 裁判所が再生手続を正式に開始するとき 個別の権利行使を一律に凍結するとき |
| 債権者への効果 | 取下げで凍結が解け取り立てが再開(許可審査あり) | 開始決定で手続が本格化し取下げ不能に 強制執行・担保実行が包括的に停止 |
| 裁判所の関与 | 命令発令後は許可が必要(濫用審査) | 要件審査のうえ職権で決定 必要性を審査して発令 |
他国ではどう定めているか 4 か国
韓国の統合倒産法でも回生手続開始申立ての取下げは開始決定前に限られ、日本と類似の構造を持つ
中国は人民法院が破産申立てを受理する前であれば申立人が撤回を請求できるとし、受理という手続上の一点で区切る点が日本の開始決定と機能的に類似する
ドイツは倒産手続開始決定までは申立ての取下げを認めるが、開始後は取下げできない点で日本と同旨
米国 Chapter 11では自発的申立て後の任意 dismissal も裁判所の関与のもとで審査され、無条件の一方的撤退は認められない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 資金繰りに窮して民事再生を申し立てた三日後、メインバンクが追加融資に応じる構えを見せた。開始決定はまだ出ていない。今なら取り下げられる。だが保全処分が出ていれば、裁判所の許可という関門が一つ増える。あと数日でその判断を下さなければならない
- もし、あなたの会社に売掛金のある取引先が民事再生を申し立て、その直後に申立てを取り下げたら? 取り下げの瞬間、止まっていた取り立てが一斉に解禁される。だが保全命令が出ていれば、裁判所は債権者への影響を見たうえで許可を判断する。あなたの債権の回収順位が、ここで静かに動く
- スポンサーが土壇場で降りた。再生計画の見込みが消えた。だが開始決定はもう出ている。取り下げの道は、すでに閉ざされている。
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず現在地を確認、開始決定が出ているか? 出ていれば取り下げは不可能、手続を前提に動く2. 開始決定前なら、保全処分・中止命令・包括的禁止命令が出ているか確認3. これらの命令が未発令なら、取下書を裁判所に提出するだけで取り下げ可能4. 命令が出ている場合は、取り下げの理由(スポンサー確保、再建見込みの消滅等)を疎明して裁判所の許可を申請し、債権者への影響を説明する書面を準備する
訴えられた側:1. 取引先が民事再生を申し立てたら、開始決定の有無と保全命令の有無を即確認2. 保全命令が出ていれば、申立人が勝手に取り下げることはできず、許可手続であなたの意見を述べる余地がある3. 取り下げで取り立てが再開するなら、債権回収(担保実行、相殺、強制執行)の準備を並行して進める4. 取り下げが濫用的(保全の利益だけ享受して撤退)と見えるなら、その旨を裁判所に上申する
時効(請求できる期限):取り下げができるのは再生手続開始の決定がされる前まで(民事再生法32条)。決定の瞬間に取り下げ権は消滅する。保全命令等が発令された後は、決定前であっても裁判所の許可が取り下げの要件となる。特定の日数による時効ではなく、開始決定という手続上の一点が期限
学説
通説:本条は申立人の手続離脱の自由を原則として認めつつ、保全命令等で債権者の権利行使を凍結した後は、その利益のみを享受して撤退する濫用を防ぐため裁判所の許可を要件とし、離脱の自由と債権者保護の均衡を図るものと解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法の制定に伴い新設。旧和議法に代わる再建型倒産手続の一環として、申立ての取下げ可能期間を開始決定前に限定し、保全命令等発令後は裁判所の許可を要件とした。
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