要点民事再生法29条は、包括的禁止命令により不当な損害を受けるおそれのある再生債権者が、裁判所の解除決定を得て自らの強制執行等を続行できると定める。即時抗告はできるが執行停止効はない。
Q · 包括的禁止命令で自分の差押えが止まったら、もう回収は諦めるしかないの?
原則そうだが、不当な損害があれば自分だけ解除を受けられる
民事再生法29条により、再生債権に基づく強制執行等の申立人である再生債権者等に「不当な損害を及ぼすおそれ」があると裁判所が認めれば、その債権者の申立てにより、当該債権者に対してのみ包括的禁止命令を解除できます。解除を受けた債権者は強制執行等を続行でき、命令前に開始した手続も続けられます。解除の裁判に不服なら即時抗告できますが(3項)、その抗告には執行停止の効力がありません(4項)。担保物の劣化速度や執行の進捗度など、具体的な損害を数値で示せるかが分岐点です。
取引先が民事再生を申し立てた瞬間、あなたが進めていた差押えは止まる。それもあなただけでなく、全債権者の強制執行が一斉に凍結される。これが包括的禁止命令だ。倒産手続の「公平」の名の下に、回収レースは強制終了させられる。ところが民事再生法29条には、その凍結から自分だけ抜け出す非常口が用意されている。裁判所が「不当な損害を及ぼすおそれ」があると認めれば、申立てをした債権者に対してだけ命令を解除し、差押えを続行できるのだ。例えば担保物が値下がりの激しい在庫だった、執行が完了寸前だった、凍結による損失が再生全体の利益を大きく上回る、そういう個別事情がある場合だ。多くの債権者は「裁判所が決めたなら従うしかない」と諦める。だが29条を握る者は、自分の損害を理由に解除を勝ち取り、回収を続ける。同じ凍結の下で、知る者と知らない者の最終回収額は決定的に分かれる。
民事再生法29条は、包括的禁止命令の個別的解除を定める規定であり、再生債権に基づく強制執行等の申立人である再生債権者等に不当な損害を及ぼすおそれがある場合に、裁判所がその申立てにより当該債権者に対してのみ命令を解除し、既存の執行手続の続行を認める旨を規定する。倒産手続の一律凍結に対する例外的な安全弁として機能する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
再生手続開始前に、全債権者の強制執行等を一斉に禁止・中止する裁判所の命令です(民事再生法27条)。特定の債権者による抜け駆け回収を防ぎ、債権者間の公平を図る制度です。
一律凍結を続けることで、その債権者だけが過大な犠牲を強いられる事情です。担保物の急速な値下がり、執行完了寸前の停止、凍結による損失が再生全体の利益を上回る場合などが典型です。
再生債権に基づく強制執行等の申立人である再生債権者、または再生債権に基づく外国租税滞納処分を行う者です。無関係の第三者や一般の無担保債権者は申立人になれません。
ありません。民事再生法29条4項が明記しています。抗告している間も裁判の効力は止まらないため、抗告と並行して別の回収手段も準備する必要があります。
対象です。29条1項は再生債権に基づく外国租税滞納処分を行う者も申立人に含めています。国境を越えた徴収と国内再生手続が衝突する場面を条文が整理しています。
法定の確定期限はありませんが、実務上は包括的禁止命令が効力を持つ間、かつ再生計画で債権が確定する前に動く必要があります。手続が進むほど回収原資が薄まります。
確定しません。解除はあなたの執行を止めないだけで、再生手続は進行します。過去に受けた弁済が否認権(民事再生法127条)で後から覆される可能性は別に残ります。
別除権(民事再生法53条)を持つ担保権者は原則として手続外で担保権を実行できます。29条の解除は主に無担保の強制執行等を続行するための手段です。
諦める必要はありません。民事再生法29条は、あなたが『不当な損害を及ぼすおそれ』のある債権者なら、あなたに対してだけ命令を解除し差押えを続けられると定めています。担保の劣化や執行の進捗度が判断の鍵です。業界裏話ヒント:解除が認められるのは少数ですが、申立てをすること自体が再生債務者側に『この債権者は本気だ』というシグナルになり、別除権協定や弁済の交渉で有利な位置を取れることがある。解除が通らなくても、申立ては交渉カードになる
終わりではありません。29条3項で即時抗告ができます。ただし4項により執行停止の効力はないので、抗告中も裁判の効力は止まりません。裁判書は当事者に送達され(5項)、抗告期間は民事再生法9条に従います。業界裏話ヒント:抗告に執行停止効がないため、抗告だけに頼ると時間切れで資産が失われる。実務では抗告を打ちつつ、再生手続内での別除権行使や債権者集会での交渉を同時並行で進めるのが定石。一本足打法は危険です
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|---|---|---|
| 命令の性質 | 民再29条:包括的禁止命令の個別的『解除』 | — |
| 対象範囲 | 申立てをした特定の再生債権者等に対してのみ効力 | — |
| 申立人 | 不当な損害を受けるおそれのある再生債権者等 | — |
| 不服申立て | 即時抗告可(3項)、ただし執行停止効なし(4項) | — |
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