要点民事再生法27条は、再生手続開始の申立て後に裁判所が全再生債権者の強制執行等を禁止する包括的禁止命令を定める。既にされている差押えも中止されるが、保全処分等が前提条件となる。
Q · 取引先が民事再生を申し立てたら、こっちの差押えは止まってしまうの?
包括的禁止命令が出れば全債権者の執行が止まる
民事再生法27条により、裁判所は再生手続開始の申立て後、全ての再生債権者に対し強制執行等を禁止する「包括的禁止命令」を出せます。命令が発令されると、これから差し押さえる債権者だけでなく、既に差押えに着手していた債権者の手続も申立てに決定があるまで中止されます(2項)。ただし発令には、事前または同時に保全処分・監督命令・保全管理命令のいずれかがされていることが条件です(1項ただし書)。命令の効力が及ぶのは「再生債務者の財産」に限られ、連帯保証人の財産には及びません。
取引先が突然「民事再生を申し立てた」と通知してきた。あなたは未回収の売掛金を取り戻そうと、相手の口座や機械設備の差押えに動く。ところが裁判所から一通の決定が届く。包括的禁止命令だ。これが出た瞬間、あなただけでなく、すべての再生債権者の強制執行が一斉に禁止される。すでに始めていた差押え手続も止まる(2項)。民事再生は破産と違い、会社を潰さずに立て直す手続だ。早い者勝ちで債権者が資産を奪い合えば、立て直せる会社も解体されてしまう。本条はその「取り合いレース」を裁判所の一声で凍結する非常ブレーキである。ただし無条件ではない。事前か同時に、保全処分や監督命令、保全管理命令という別の手当てをしていることが発令の条件だ(1項ただし書)。あなたが債権者なら、焦って執行に走る前に、この命令の射程を知っておくべきだ。
包括的禁止命令とは、民事再生法27条に基づき、裁判所が再生手続開始の申立て後、全ての再生債権者に対し再生債務者の財産に対する強制執行等および外国租税滞納処分を一律に禁止する命令をいう。個別の中止命令(26条)では手続目的を十分達成できない特別の事情がある場合に、保全処分等を前提として発せられ、既存の執行手続も中止させる効力を持つ。
AI 輔助整理,以條文原文為準
民事再生法27条に基づき、裁判所が全ての再生債権者に対し強制執行等を一律禁止する命令です。個別の中止命令では足りない特別の事情がある場合に発せられ、既存の執行も中止させます。
中止命令(26条)は特定の債権者の執行を個別に止めるもの、包括的禁止命令(27条)は全ての再生債権者を一斉に止めるものです。後者は保全処分等が前提条件となります。
再生手続開始の申立てがあった後、開始決定までの間に出されます。事前または同時に保全処分・監督命令・保全管理命令のいずれかがされていることが条件です(1項ただし書)。
止まりません。禁止対象は「再生債権に基づく強制執行等」であり、担保権を持つ別除権者は手続外で担保を実行できる余地があります。担保の有無で回収率が大きく変わります。
相殺権の行使は強制執行とは別枠で、包括的禁止命令の禁止対象そのものではありません。ただし相殺には民事再生法上の制限(相殺禁止規定)があるため、要件を個別に確認する必要があります。
命令に対しては即時抗告ができます(5項)。ただしその即時抗告は執行停止の効力を持たないため(6項)、抗告しても命令の効力は継続する点に注意が必要です。
止まります。27条は「再生債権に基づく外国租税滞納処分」も明示的に禁止・中止の対象としており、外国の税務当局による滞納処分まで射程に入ります。クロスボーダー取引企業に重要です。
命令が効力を失った日の翌日から2か月を経過する日までは、再生債権の時効は完成しません(7項)。凍結期間中に債権が時効消滅する心配は、法律が手当て済みです。
ゼロにはなりません。包括的禁止命令で個別の差押えは止まりますが、債権が消えるわけではなく、再生計画に従って一定割合が弁済されます(弁済率は事案次第)。期限内の債権届出(民事再生法94条)を忘れると配当から漏れるのが最大のリスク。業界裏話ヒント:担保を取っている債権者は「別除権者」として手続外で担保を実行できる余地があり、無担保債権者より回収率が段違い。与信の段階で担保を取れていたかどうかが、この瞬間に効いてくる
守られません。包括的禁止命令も再生手続も、効力が及ぶのは「再生債務者(会社)の財産」だけ。連帯保証人である社長個人の財産は対象外で、債権者は社長個人を差し押さえられます。業界裏話ヒント:だからこそ実務では、会社の民事再生と並行して社長個人の「個人再生」や任意整理を同時に組むケースが多い。会社だけ守って個人を放置すると、経営者の生活基盤が崩れる。会社と個人はセットで設計するのが鉄則
中止(2項)は手続が一時停止するだけで、差押えの効力自体は残ります。取消し(4項)は差押えそのものを消す処分で、再生債務者が担保を立て、事業継続に特に必要と認められた場合に限られます。業界裏話ヒント:中止のままだと、押さえられた口座や設備は「塩漬け」状態で事業に使えない。事業の生命線になる財産は、中止で満足せず取消しまで取りに行くかどうかで再生の成否が変わる。弁護士がここを攻めるかどうかが腕の差
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる債権者の範囲 | 27条:全ての再生債権者を一斉に禁止(包括的禁止命令) | — |
| 発令の時期 | 再生手続開始の申立て後〜開始決定まで | — |
| 発令の前提条件 | 保全処分(30条)・監督命令(54条)・保全管理命令(79条)のいずれかが前提(1項ただし書) | — |
| 既存の執行手続への効果 | 既にされている執行も中止、担保を立てれば取消しも可(4項) | — |
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