民事再生法 第27条(再生債権に基づく強制執行等の包括的禁止命令)
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- 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、前条第一項の規定による中止の命令によっては再生手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべき特別の事情があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、全ての再生債権者に対し、再生債務者の財産に対する再生債権に基づく強制執行等及び再生債権に基づく外国租税滞納処分の禁止を命ずることができる。ただし、事前に又は同時に、再生債務者の主要な財産に関し第三十条第一項の規定による保全処分をした場合又は第五十四条第一項の規定若しくは第七十九条第一項の規定による処分をした場合に限る。
- 2.前項の規定による禁止の命令(以下「包括的禁止命令」という。)が発せられた場合には、再生債務者の財産に対して既にされている再生債権に基づく強制執行等の手続及び再生債権に基づく外国租税滞納処分は、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、中止する。
- 3.裁判所は、包括的禁止命令を変更し、又は取り消すことができる。
- 4.裁判所は、再生債務者の事業の継続のために特に必要があると認めるときは、再生債務者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより、担保を立てさせて、第二項の規定により中止した再生債権に基づく強制執行等の手続又は再生債権に基づく外国租税滞納処分の取消しを命ずることができる。
- 5.包括的禁止命令、第三項の規定による決定及び前項の規定による取消しの命令に対しては、即時抗告をすることができる。
- 6.前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
- 7.包括的禁止命令が発せられたときは、再生債権については、当該命令が効力を失った日の翌日から二月を経過する日までの間は、時効は、完成しない。
この条文の基本情報
再生債権に基づく強制執行等の包括的禁止命令とは何ですか?
定義再生債権に基づく強制執行等の包括的禁止命令とは、民事再生法第27条に定められた規定で、「裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、前条第一項の規定による中止の命令によっては再生手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第27条(再生債権に基づく強制執行等の包括的禁止命令)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第27条の条文原文は「裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、前条第一項の規定による中止の命令によっては再生手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべ…」で始まります。
- 民事再生法第27条は第一節 再生手続開始の申立てに置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第27条の前の条は民事再生法第26条です。
- 民事再生法第27条の次の条は民事再生法第28条です。
- 民事再生法第27条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第27条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第27条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/27
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法27条は、再生手続開始の申立て後に裁判所が全再生債権者の強制執行等を禁止する包括的禁止命令を定める。既にされている差押えも中止されるが、保全処分等が前提条件となる。
Q · 取引先が民事再生を申し立てたら、こっちの差押えは止まってしまうの?
包括的禁止命令が出れば全債権者の執行が止まる
民事再生法27条により、裁判所は再生手続開始の申立て後、全ての再生債権者に対し強制執行等を禁止する「包括的禁止命令」を出せます。命令が発令されると、これから差し押さえる債権者だけでなく、既に差押えに着手していた債権者の手続も申立てに決定があるまで中止されます(2項)。ただし発令には、事前または同時に保全処分・監督命令・保全管理命令のいずれかがされていることが条件です(1項ただし書)。命令の効力が及ぶのは「再生債務者の財産」に限られ、連帯保証人の財産には及びません。
解説
取引先が突然「民事再生を申し立てた」と通知してきた。あなたは未回収の売掛金を取り戻そうと、相手の口座や機械設備の差押えに動く。ところが裁判所から一通の決定が届く。包括的禁止命令だ。これが出た瞬間、あなただけでなく、すべての再生債権者の強制執行が一斉に禁止される。すでに始めていた差押え手続も止まる(2項)。民事再生は破産と違い、会社を潰さずに立て直す手続だ。早い者勝ちで債権者が資産を奪い合えば、立て直せる会社も解体されてしまう。本条はその「取り合いレース」を裁判所の一声で凍結する非常ブレーキである。ただし無条件ではない。事前か同時に、保全処分や監督命令、保全管理命令という別の手当てをしていることが発令の条件だ(1項ただし書)。あなたが債権者なら、焦って執行に走る前に、この命令の射程を知っておくべきだ。
法的な位置づけ
包括的禁止命令とは、民事再生法27条に基づき、裁判所が再生手続開始の申立て後、全ての再生債権者に対し再生債務者の財産に対する強制執行等および外国租税滞納処分を一律に禁止する命令をいう。個別の中止命令(26条)では手続目的を十分達成できない特別の事情がある場合に、保全処分等を前提として発せられ、既存の執行手続も中止させる効力を持つ。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.命令の射程を最初に確認する 取引先の再生申立てを知ったら、まず包括的禁止命令が止めるのは『再生債権に基づく強制執行等』であることを確認する。担保権の実行(別除権)や相殺は別枠で動ける余地があり、連帯保証人への請求も射程外である点を切り分ける
- 2.期限内に再生債権の届出を行う 個別の差押えが2項で中止されても債権自体は消えない。再生計画による弁済を受けるため、裁判所が定めた債権届出期間内に再生債権の届出(民事再生法94条)を必ず提出する。期限を逃すと配当から漏れる
- 3.連帯保証人への請求可否を検討する 包括的禁止命令は再生債務者(会社)の財産のみを守る。社長個人などの連帯保証人がいれば、会社の再生とは別に保証人個人への請求・執行を検討できる。ただし保証人側の個人再生・任意整理の可能性も踏まえて判断する
- 4.命令に不服なら即時抗告するが効力継続に注意 命令の内容に不服があれば5項で即時抗告ができる。ただし6項によりその即時抗告は執行停止の効力を持たないため、抗告中も命令の効力は続く。抗告に賭けるより再生計画交渉での立ち位置固めが実利的なことが多い
よくある質問 AI による整理
Q1包括的禁止命令とは何ですか?
民事再生法27条に基づき、裁判所が全ての再生債権者に対し強制執行等を一律禁止する命令です。個別の中止命令では足りない特別の事情がある場合に発せられ、既存の執行も中止させます。
Q2包括的禁止命令と中止命令の違いは何ですか?
中止命令(26条)は特定の債権者の執行を個別に止めるもの、包括的禁止命令(27条)は全ての再生債権者を一斉に止めるものです。後者は保全処分等が前提条件となります。
Q3包括的禁止命令はいつ出されますか?
再生手続開始の申立てがあった後、開始決定までの間に出されます。事前または同時に保全処分・監督命令・保全管理命令のいずれかがされていることが条件です(1項ただし書)。
Q4担保権の実行(別除権)も包括的禁止命令で止まりますか?
止まりません。禁止対象は「再生債権に基づく強制執行等」であり、担保権を持つ別除権者は手続外で担保を実行できる余地があります。担保の有無で回収率が大きく変わります。
Q5相殺は包括的禁止命令の影響を受けますか?
相殺権の行使は強制執行とは別枠で、包括的禁止命令の禁止対象そのものではありません。ただし相殺には民事再生法上の制限(相殺禁止規定)があるため、要件を個別に確認する必要があります。
Q6包括的禁止命令に不服がある場合はどうすればよいですか?
命令に対しては即時抗告ができます(5項)。ただしその即時抗告は執行停止の効力を持たないため(6項)、抗告しても命令の効力は継続する点に注意が必要です。
Q7外国租税滞納処分も包括的禁止命令で止まりますか?
止まります。27条は「再生債権に基づく外国租税滞納処分」も明示的に禁止・中止の対象としており、外国の税務当局による滞納処分まで射程に入ります。クロスボーダー取引企業に重要です。
Q8包括的禁止命令が出ている間、債権の時効はどうなりますか?
命令が効力を失った日の翌日から2か月を経過する日までは、再生債権の時効は完成しません(7項)。凍結期間中に債権が時効消滅する心配は、法律が手当て済みです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先が民事再生に入ったら、こっちの売掛金はもう回収できないんですか?
ゼロにはなりません。包括的禁止命令で個別の差押えは止まりますが、債権が消えるわけではなく、再生計画に従って一定割合が弁済されます(弁済率は事案次第)。期限内の債権届出(民事再生法94条)を忘れると配当から漏れるのが最大のリスク。実務のポイント:担保を取っている債権者は「別除権者」として手続外で担保を実行できる余地があり、無担保債権者より回収率が段違い。与信の段階で担保を取れていたかどうかが、この瞬間に効いてくる
Q2社長が会社の借金を連帯保証してます。会社が再生したら社長個人も守られますか?
守られません。包括的禁止命令も再生手続も、効力が及ぶのは「再生債務者(会社)の財産」だけ。連帯保証人である社長個人の財産は対象外で、債権者は社長個人を差し押さえられます。実務のポイント:だからこそ実務では、会社の民事再生と並行して社長個人の「個人再生」や任意整理を同時に組むケースが多い。会社だけ守って個人を放置すると、経営者の生活基盤が崩れる。会社と個人はセットで設計するのが鉄則
Q3差押えの『中止』と『取消し』ってどう違うんですか?
中止(2項)は手続が一時停止するだけで、差押えの効力自体は残ります。取消し(4項)は差押えそのものを消す処分で、再生債務者が担保を立て、事業継続に特に必要と認められた場合に限られます。実務のポイント:中止のままだと、押さえられた口座や設備は「塩漬け」状態で事業に使えない。事業の生命線になる財産は、中止で満足せず取消しまで取りに行くかどうかで再生の成否が変わる。弁護士がここを攻めるかどうかが腕の差
間違えやすい点 AI による整理
- 「相手が再生を申し立てても、自分はもう差押えに着手済みだから関係ない」と思いがちだが、2項は『既にされている』強制執行も中止すると定める。先に動いていた債権者も等しく止められる。着手の早さは武器にならない
- 包括的禁止命令が会社を守ることは知っていても、その守りが連帯保証人には及ばないことまで知る人は少ない。社長個人が会社の借金を連帯保証していれば、債権者は会社ではなく社長個人の財産を差し押さえられる。守られているのは「再生債務者の財産」だけだ、という深刻さを見落とすと、経営者個人が破滅する
- 「執行が止められたら、待っているうちに自分の債権が時効で消えるのでは」という心配そのものが、問いの立て方を誤っている。7項は、命令が効力を失った日の翌日から2か月を経過するまで時効は完成しないと定める。凍結期間中に債権が消える恐怖は、最初から法律が手当て済みだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる債権者の範囲 | 27条:全ての再生債権者を一斉に禁止(包括的禁止命令) | 26条:特定の債権者を個別に中止(中止命令) 39条:開始決定後、全再生債権者の執行を禁止・中止 |
| 発令の時期 | 再生手続開始の申立て後〜開始決定まで | 再生手続開始の申立て後〜開始決定まで 再生手続開始決定後 |
| 発令の前提条件 | 保全処分(30条)・監督命令(54条)・保全管理命令(79条)のいずれかが前提(1項ただし書) | 特別の前提条件は不要(個別の必要性で足りる) 再生手続開始決定そのものが効果を発生させる |
| 既存の執行手続への効果 | 既にされている執行も中止、担保を立てれば取消しも可(4項) | 対象とした個別執行のみ中止 既存執行は中止、事案により失効 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は公司重整で裁定前の保全処分により強制執行を停止でき、消費者債務清理条例でも更生・清算手続開始で執行停止が働く。日本の包括的禁止命令ほど一元化された『全債権者一斉凍結』の単独条文ではなく、複数制度に分かれる。
韓国の債務者回生法45条は日本とほぼ同型の『포괄적 금지명령(包括的禁止命令)』を規定し、保全処分等を前提に全債権者の強制執行を禁止する。日本法を強く参照した規定として知られる。
ドイツは倒産手続開始前の仮の保全措置として執行禁止を命じ(§21)、開始後は§89で個別執行が一般的に禁止される。日本の申立て後の包括的禁止命令に近い機能を、仮処分と開始効の二段構えで実現する。
米国連邦倒産法は申立てと同時に自動的執行停止が発生し、全債権者の取立て・執行を一律停止する。日本の包括的禁止命令は裁判所の個別発令を要する点で、米国の『自動』停止とは発動構造が異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 未払いの大口代金がある元請けが、突然民事再生を申し立てたらどうなる。今すぐ機械設備を差し押さえれば回収できると思うかもしれない。だが申立てとほぼ同時に包括的禁止命令が出れば、その執行は2項で止まる。レースに勝てる保証はどこにもない
- あなたの会社は資金繰りが限界、来週には複数の債権者が一斉に口座と在庫を押さえに来る情報が入った。残された時間はわずか。民事再生の申立てと同時に保全処分プラス包括的禁止命令を打てるか、弁護士と今夜中に申立書を仕上げられるかが、会社が解体されるか生き残るかの分水嶺だ
- 銀行があなたの会社の預金を差し押さえた翌週、会社が再生を申し立てた。包括的禁止命令で差押えは中止される。早く動いた銀行も、結局は同じ土俵に戻される
- 友人の会社が再生に入り、「俺は連帯保証してるけど大丈夫か」と相談してきた。あなたは答えられる。会社は守られても保証人は守られない、と。命令の射程の外で、保証人だけが追われる現実がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず命令の射程を確認。止まるのは「再生債権に基づく強制執行等」であって、別除権(担保権の実行)や相殺は別枠で動ける余地がある2. 連帯保証人がいれば、会社ではなく保証人への請求・執行を検討(命令は保証人に及ばない) 3. 既に始めた差押えは2項で中止されるが消えはしない、再生計画での弁済率を見据えて債権届出を期限内に出す4. 命令に不服なら5項の即時抗告、ただし6項で執行停止の効力はない点に注意
訴えられた側:1. 包括的禁止命令を得るには、事前か同時に保全処分(30条)・監督命令(54条)・保全管理命令(79条)のいずれかが必須(1項ただし書)、申立て設計を弁護士と詰める2. 個別の中止命令(26条)では足りない「特別の事情」を疎明する3. 事業継続に不可欠な財産が既に差押え済みなら、4項で担保を立てて取消しまで求める4. 命令は公告・送達(28条)で効力が固まる、対外的なタイミングを管理する
時効(請求できる期限):包括的禁止命令の発令自体に固有の申立期限はないが、再生手続開始の申立てがあった場合に限られる。命令が効力を失った日の翌日から2か月を経過する日までは、再生債権の時効は完成しない(7項)。命令に対する即時抗告は決定の告知を受けた日から1週間以内(民事訴訟法332条準用、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:包括的禁止命令の目的は、個別債権者による早い者勝ちの財産取得競争を封じ、再生債務者の事業価値の一体性を保全して、再生計画を通じた債権者全体への公平・最大の弁済を可能にする点にあると解される。1項ただし書が保全処分等を前提条件としたのは、命令による強力な執行禁止と債務者の財産散逸防止とのバランスを図る趣旨である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法の制定(平成11年法律第225号)に伴い新設。旧和議法を廃止し、DIP 型再建手続の実効性を確保するため、全再生債権者の執行を一斉に凍結する包括的禁止命令が導入された。
- 民事再生法 第26条個別の中止命令、本条の前提・補充関係
- 民事再生法 第28条包括的禁止命令の効力発生のための公告・送達
- 民事再生法 第30条本条発令の前提となる財産保全処分
- 民事再生法 第39条再生手続開始決定後の強制執行等の禁止・中止
- 民事再生法 第79条本条発令の前提となる保全管理命令
- 破産法 第25条破産手続における同種の包括的禁止命令
- 会社更生法 第25条会社更生手続における同種の包括的禁止命令
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