民事再生法 第39条(他の手続の中止等)
クイックジャンプ
- 再生手続開始の決定があったときは、破産手続開始、再生手続開始若しくは特別清算開始の申立て、再生債務者の財産に対する再生債権に基づく強制執行等若しくは再生債権に基づく外国租税滞納処分又は再生債権に基づく財産開示手続若しくは第三者からの情報取得手続の申立てはすることができず、破産手続、再生債務者の財産に対して既にされている再生債権に基づく強制執行等の手続及び再生債権に基づく外国租税滞納処分並びに再生債権に基づく財産開示手続及び第三者からの情報取得手続は中止し、特別清算手続はその効力を失う。
- 2.裁判所は、再生に支障を来さないと認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、前項の規定により中止した再生債権に基づく強制執行等の手続又は再生債権に基づく外国租税滞納処分の続行を命ずることができ、再生のため必要があると認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、中止した再生債権に基づく強制執行等の手続又は再生債権に基づく外国租税滞納処分の取消しを命ずることができる。
- 3.再生手続開始の決定があったときは、次に掲げる請求権は、共益債権とする。
- 一第一項の規定により中止した破産手続における財団債権(破産法第百四十八条第一項第三号に掲げる請求権を除き、破産手続が開始されなかった場合における同法第五十五条第二項及び第百四十八条第四項に規定する請求権を含む。)
- 二第一項の規定により効力を失った手続のために再生債務者に対して生じた債権及びその手続に関する再生債務者に対する費用請求権
- 三前項の規定により続行された手続に関する再生債務者に対する費用請求権
- 4.再生手続開始の決定があったときは、再生手続が終了するまでの間(再生計画認可の決定が確定したときは、第百八十一条第二項に規定する再生計画で定められた弁済期間が満了する時(その期間の満了前に再生計画に基づく弁済が完了した場合又は再生計画が取り消された場合にあっては弁済が完了した時又は再生計画が取り消された時)までの間)は、罰金、科料及び追徴の時効は、進行しない。ただし、当該罰金、科料又は追徴に係る請求権が共益債権である場合は、この限りでない。
この条文の基本情報
他の手続の中止等とは何ですか?
定義他の手続の中止等とは、民事再生法第39条に定められた規定で、「再生手続開始の決定があったときは、破産手続開始、再生手続開始若しくは特別清算開始の申立て、再生債務者の財産に対する再生債権に基づく強制執行等若しくは再生債権に基…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第39条(他の手続の中止等)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第39条の条文原文は「再生手続開始の決定があったときは、破産手続開始、再生手続開始若しくは特別清算開始の申立て、再生債務者の財産に対する再生債権に基づく強制執行等若しくは再生債権に基…」で始まります。
- 民事再生法第39条は第二節 再生手続開始の決定に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第39条の前の条は民事再生法第38条です。
- 民事再生法第39条の次の条は民事再生法第40条です。
- 民事再生法第39条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第39条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第39条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/39
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法39条は、再生手続開始の決定があると再生債権に基づく強制執行を中止させる中止効を定める。ただし担保権者の別除権実行や連帯保証人への請求は止まらない。
Q · 民事再生の開始決定が出たら、差押えや取り立ては全部止まりますか?
止まるのは再生債権の執行だけ。担保・保証人は止まらない
民事再生法39条により、再生手続開始の決定があると、再生債権に基づく強制執行・仮差押え・財産開示手続の申立ては禁じられ、進行中の手続は中止します。しかし止まるのは「再生債権に基づく」執行に限られます。担保を持つ別除権者は抵当物を競売でき、国内の租税滞納処分も止まりません。そして最大の盲点が連帯保証人で、社長個人への請求は満額・即時のまま残ります。会社を守っても、保証した個人は丸裸のままです。
解説
取引先に売掛金を回収しようと強制執行をかけた翌週、裁判所から「中止」の通知が届く。理由は、相手が民事再生手続の開始決定を受けたから。これが民事再生法39条の中止効だ。再生手続が始まった瞬間、再生債権に基づく差押え・強制執行は新規の申立てが禁じられ、進行中のものは止まり、財産開示手続まで封じられる。狙いは、債務者に「再建のための時間」を確保すること。早い者勝ちで財産を奪い合えば事業は瞬時に解体され、結局は誰も回収できなくなるからだ。だが、ここに落とし穴がある。止まるのは「再生債権に基づく」執行だけ。担保を持つ債権者(別除権者)は止まらず、抵当不動産を競売できる。国内の税金の滞納処分も止まらない。そして最大の盲点、連帯保証人への請求はまったく止まらない。会社を守っても、保証した社長個人は丸裸のまま残される。
法的な位置づけ
民事再生法39条は、再生手続開始の決定によって生じる中止効を定める規定である。再生債権に基づく強制執行等・仮差押え・外国租税滞納処分・財産開示手続の新たな申立ては禁じられ、既に進行中の手続は中止し、特別清算手続は効力を失う。担保権(別除権)の実行、国内租税の滞納処分、連帯保証人への請求は、この中止効の射程外に置かれる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.開始決定前に差押えが迫るなら中止命令を申立て 再生手続の開始決定を待たず、債権者の差押えが迫った局面で中止命令(民事再生法26条)や包括的禁止命令(27条)を申し立て、個別執行を先に止める。このタイミングを逃すと申立て中に主要財産を持っていかれ、再建自体が頓挫する
- 2.開始決定で自動発生する中止効を確認 再生手続開始の決定が出れば、39条の中止効により再生債権に基づく強制執行・仮差押え・財産開示手続が自動的に止まる。自分に関係する債権者の執行がどの区分に当たるかを一覧化する
- 3.止まらない三系統に個別対応 担保権者(別除権)・国内租税の滞納処分・連帯保証人への請求は中止効の射程外である。自宅は担保権実行中止命令(31条)や住宅資金特別条項で個別に手当てし、税は納税折衝、保証債務は別枠で設計する
- 4.経営者保証を並行して整理設計 会社債務を連帯保証した個人は、会社の再生と同時に経営者保証ガイドラインや個人再生を並行して設計する。会社を守っても保証債務は満額残るため、この同時設計を怠ると社長個人が破産へ追い込まれる
よくある質問 AI による整理
Q1民事再生の中止効はいつ発生しますか?
再生手続の「開始決定」の時に発生します(民事再生法39条)。申立ての段階では発生せず、開始決定前に執行を止めるには中止命令(26条)が別途必要です。
Q2民事再生で連帯保証人はどうなりますか?
会社への取り立ては止まっても、連帯保証人への請求は39条の射程外で止まりません。減額も猶予もされず満額・即時に追及されます。経営者保証ガイドラインでの並行整理が実務の定石です。
Q3民事再生と破産の中止効は違いますか?
どちらも開始決定で強制執行が止まりますが、民事再生は事業を続けながら再建する手続で、担保権者は別除権として手続外で実行できます。破産は清算が目的で管財人が財産を換価します。
Q4共益債権は民事再生で優先されますか?
共益債権は再生手続によらず随時弁済され、再生債権に優先します。39条3項は、中止・失効した手続に関する一定の費用請求権などを共益債権としています。
Q5民事再生で税金の滞納処分は止まりますか?
国内の租税滞納処分は一般優先債権に基づくため、39条では止まりません。条文が中止対象とするのは再生債権に基づく「外国」租税滞納処分です。
Q6民事再生の開始決定後に強制執行を続けられますか?
原則中止しますが、裁判所は再生に支障がないと認めれば、申立てまたは職権で中止した手続の続行を命じることができます(民事再生法39条2項)。
Q7民事再生の申立てだけで差押えは止まりますか?
止まりません。中止効は開始決定後に生じます。申立てから開始決定までに差押えが迫るなら、中止命令(26条)や包括的禁止命令(27条)を取る必要があります。
Q8民事再生の債権届出を忘れるとどうなりますか?
債権届出期間を徒過すると再生債権は失権し、原則として配当を受けられなくなります。開始決定の通知が来たら裁判所の手続スケジュールを必ず確認してください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1民事再生を申し立てたら、もう借金取りは来なくなりますか?
申立てだけでは止まりません。中止効が生じるのは『開始決定』(39条)が出た後で、しかも再生債権に基づく執行に限られます。申立てから開始決定までの間に差押えが迫るなら、別途『中止命令』(26条)が必要です。実務のポイント:多くの人が見落とすのが連帯保証人。会社への取り立ては止まっても、保証した社長個人への請求は満額・即時で続きます。だから経営者保証ガイドラインを使った個人の整理を、会社の再生と『同時に』設計するのが実務の定石です
Q2自宅のローンを滞納していて競売されそう。民事再生で家を守れますか?
39条の中止効だけでは守れません。抵当権者は別除権者として競売を続行できるからです。自宅を守るには、個人再生の『住宅資金特別条項』(民事再生法196条以下)で住宅ローンだけ別枠にして払い続けるか、緊急時は『担保権実行中止命令』(31条)で一時的に競売を止めます。実務のポイント:住宅資金特別条項は時間勝負で、保証会社による代位弁済から6か月を過ぎると巻き戻しが使えなくなります。滞納に気づいた瞬間が勝負どころです(最新の要件をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「民事再生すれば、すべての取り立てが止まる」と思われているが、止まるのは再生債権に基づく執行だけ。担保を持つ債権者(別除権者)は抵当物を競売でき、国内の税金の滞納処分(再生債権ではなく一般優先債権)も止まらない
- 会社の民事再生で連帯保証人が請求を受けること自体は多くの人が知っている。だが、その深刻度を見誤っている。保証人への請求は減額も猶予もされず、満額・即時。社長個人が会社と一緒に破産へ追い込まれる最大の原因が、まさにここにある
- 「とりあえず民事再生を申し立てれば差押えは止まる」という前提そのものが誤り。中止効が生じるのは『開始決定』が出た後だ。申立てから開始決定までには時間があり、その間に財産を奪われないためには、別途『中止命令』(26条)や『包括的禁止命令』(27条)を取る必要がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発動のタイミング | 民再39条:再生手続「開始決定」の時に自動発生 | 民再26条:開始決定「前」に個別に申立てて発動 民再31条:別除権者の担保権実行を個別に一時中止 |
| 対象となる執行 | 再生債権に基づく強制執行・仮差押え・財産開示等 | 特定の再生債権に基づく個別の強制執行等 別除権者の担保権実行手続(競売等) |
| 担保権者への効力 | 及ばない(別除権として手続外で実行可・民再53条) | 及ばない(原則、再生債権の執行に限る) 及ぶ(一時的に担保権実行を止められる) |
| 連帯保証人への効力 | 及ばない(満額・即時に請求される) | 及ばない 及ばない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は個人は消債条例の更生・清算裁定後に、企業は会社法の重整裁定後に強制執行の開始・続行が停止される。開始決定を停止の起点とする点で日本39条と機能的に対応する
韓国は統合倒産法(DRBA)58条で、回生手続開始決定により回生債権に基づく強制執行等の中止・禁止を定める。日本の民事再生に近い DIP 型再建で、構造が最も類似する
ドイツは手続開始後の個別強制執行を § 89で禁止し、開始前の保全は § 21の暫定措置で対応する。開始前後で条文が分かれる点は日本の39条と26条の役割分担に対応する
米国 Chapter 11では申立てと同時に Automatic Stay が包括的に発動し、担保権実行を含めて広く止める点が日本より強力。日本39条は『再生債権に基づく』執行に射程を限定する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが取引先に納品した代金300万円が未払い。やっと財産を差し押さえた矢先、相手が民事再生を申し立て、開始決定が出た。あなたの差押えは中止。回収は再生計画次第で、数年かけて何割かしか戻らない現実を、ここで初めて突きつけられる
- 住宅ローンを滞納し、来月にも自宅が競売にかけられそう。個人再生を申し立てれば止まるのか? 39条だけでは止まらない。抵当権者は別除権者として競売を続行できる。自宅を守るには住宅資金特別条項や担保権実行中止命令(31条)という別の武器が要る。代位弁済から6か月の壁が迫り、残された時間はわずか
- あなたの会社が資金繰りに行き詰まり、複数の債権者が一斉に取り立てに動き出した。再生手続の開始決定が出れば、その取り立ては凍結する。だが、あなたが会社債務に連帯保証していれば、あなた個人への請求は1円も止まらない
- 下請けに出した工事代金が未回収。元請けが民事再生を申請した。あなたの強制執行は止まり、債権は再生債権として計画弁済の列に並ぶ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 開始決定の通知が来たら、まず自分の債権が『再生債権』『共益債権』『別除権付』のどれかを確認する。2. 担保を持つなら別除権者として担保実行が可能で、39条では止まらない。3. 連帯保証人がいれば、保証人へは別途満額を追及できる。4. 無担保の再生債権なら、債権届出を期限内に必ず行う。届出を怠ると失権し、配当ゼロになる
訴えられた側:1. 開始決定前に債権者の差押えが迫るなら、中止命令(26条)・包括的禁止命令(27条)を申し立てて個別執行を止める。2. 開始決定後は39条の中止効で再生債権の執行が自動的に止まる。3. ただし担保権者・国内税・連帯保証人は別問題。自宅は担保権実行中止命令(31条)や住宅資金特別条項で個別対応する。4. 会社債務を保証した個人は、経営者保証ガイドラインや個人再生を並行して設計する
時効(請求できる期限):39条の中止効は『再生手続開始の決定』の時に発生し、再生手続終了まで(認可確定時は計画で定めた弁済期間の満了まで)継続する。開始決定前の執行を止めるには中止命令(26条)を別途取る必要がある。再生債権は債権届出期間を徒過すると失権するため、裁判所の決定する最新の手続スケジュールを必ず確認すること
学説
通説:39条の中止効は、債権者平等と再建機会確保のための集団的処理の中核と解される。射程は「再生債権に基づく」執行に限定され、別除権(民再53条)・一般優先債権(国内租税・賃金)・保証債務には及ばないとするのが一致した理解である。開始決定前の個別執行は中止命令(26条)・包括的禁止命令(27条)で別途止める体系となっている。
改正沿革 AI による整理
- 令和元年(2019年)改正・令和2年(2020年)施行 民事執行法改正に伴い、再生債権に基づく『財産開示手続』及び『第三者からの情報取得手続』の申立て禁止・中止が本条に追加された。完全な改正回数と各改正の詳細は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)制定に伴い新設。旧和議法を廃止し、DIP 型再建手続の中で開始決定に中止効を結び付けた。詳細な制定経緯は人的検証が必要
- 2.令和元年(2019年)改正・令和2年(2020年)施行 改正:民事執行法改正に伴い、再生債権に基づく「財産開示手続」および「第三者からの情報取得手続」の申立て禁止・中止が本条に追加された。完全な改正回数と各改正の詳細は人的検証が必要
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める