民事再生法 第25条(再生手続開始の条件)
クイックジャンプ
- 次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
- 一再生手続の費用の予納がないとき。
- 二裁判所に破産手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき。
- 三再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき。
- 四不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
この条文の基本情報
再生手続開始の条件とは何ですか?
定義再生手続開始の条件とは、民事再生法第25条に定められた規定で、「次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第25条(再生手続開始の条件)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第25条の条文原文は「次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。」で始まります。
- 民事再生法第25条は第一節 再生手続開始の申立てに置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第25条の前の条は民事再生法第24条の2です。
- 民事再生法第25条の次の条は民事再生法第26条です。
- 民事再生法第25条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第25条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第25条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/25
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法25条は、予納金の不足、破産手続の優位、再生計画成立見込みの欠如、不当・不誠実な申立ての四事由のいずれかで裁判所が申立てを必ず棄却すると定める。
Q · 民事再生を申し立てれば、必ず手続は始まるの?
いいえ。25条の四事由に一つでも当たれば必ず棄却されます
民事再生法25条により、裁判所は四つの事由のいずれかに該当すると再生手続開始の申立てを必ず棄却します。①費用の予納がない、②破産・特別清算手続の方が債権者の一般の利益に適合する、③再生計画の作成・可決・認可の見込みが明らかにない、④不当な目的や不誠実な申立て。『棄却しなければならない』という義務規定のため裁判所に裁量はなく、一つでも該当すれば再生はスタート地点で止まります。申立て前にこの四つを潰しておくことが開始決定への近道です。
解説
借金で首が回らなくなったとき、自己破産だけが道ではない。民事再生という、事業や住宅を残したまま借金を圧縮できる手続がある。だが申し立てれば必ず始まるわけではない。民事再生法25条は、裁判所が申立てを「棄却しなければならない」四つの場面を定めている。予納金を払えないとき、すでに破産手続や特別清算が係属していてそちらの方が債権者全体に有利なとき、再生計画が成立する見込みが明らかにないとき、そして不当な目的での申立てや誠実でない申立てのとき。注目すべきは「しなければならない」という文言だ。裁判所に裁量はない。四つのどれかに当たれば、あなたの再生はスタート地点で止まる。逆に言えば、この四つを一つずつ潰しておけば、入口は通る。多くの個人や中小企業がつまずくのは、最初の「予納金」と三番目の「見込み」だ。再生計画の中身を磨く前に、まずこの関所を見ておく必要がある。
法的な位置づけ
民事再生法25条は再生手続開始の申立てに対する必要的棄却事由を定める規定であり、費用の予納の欠如、競合する破産・特別清算手続の優位、再生計画成立見込みの欠如、不当・不誠実な申立てという四つの事由のいずれかに該当する場合、裁判所は裁量の余地なく申立てを棄却しなければならない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.予納金を確保して1号を潰す 申立て前に弁護士を通じて管轄裁判所に予納金の額を確認し、確保できるか試算する。事業者の通常再生では数十万〜数百万円に及ぶこともあるため、手元資金が完全に尽きる前に動く
- 2.競合手続の有無を確認し2号を潰す 破産手続や特別清算手続がすでに係属していないか確認する。係属している場合は、再生の方が債権者一般の利益に適合する根拠(弁済率が破産配当を上回ること)を数字で整える
- 3.再生計画の骨子を示し3号を潰す スポンサー、収益見通し、想定弁済率など再生計画の骨子を申立て段階で示せるよう準備する。可決・認可の見込みが客観的に立つことを資料で裏づける
- 4.再建の実体を書面化し4号を潰す 執行回避だけが目的と見られないよう、再建の実体・誠実性を書面で示す。住宅を守りたい場合は住宅資金特別条項(民事再生法196条以下)という正攻法を用いる
よくある質問 AI による整理
Q1民事再生法25条とは何ですか?
裁判所が再生手続開始の申立てを必ず棄却しなければならない四つの事由を定めた規定です。予納金不足、破産手続の優位、計画成立見込みの欠如、不誠実な申立てが該当します。
Q2再生手続開始の申立てが棄却されるのはどんな場合ですか?
25条の四事由、すなわち費用の予納がない、破産・特別清算手続の方が債権者に有利、再生計画成立の見込みがない、不当な目的・不誠実な申立てのいずれかに該当する場合です。
Q3民事再生が棄却されたらどうなりますか?
再生手続は開始されず、そのままでは破産などの他手続を検討することになります。ただし棄却決定には即時抗告で不服を申し立てる余地があります(民事再生法36条・現行効力は要確認)。
Q4棄却決定に対して不服申立てはできますか?
できます。棄却決定の告知を受けた者は即時抗告が可能で、原則として1週間の不変期間内に行う必要があります。期間を過ぎると確定するため早期対応が重要です。
Q5民事再生を申し立てると強制執行は止まりますか?
自動的には止まりません。開始決定前は中止命令等の個別の申立てが必要で、25条の棄却事由に該当すればそもそも開始に至りません。執行回避だけを目的とすると4号で不利に働きます。
Q6『再生計画の見込みがない』とはどういう意味ですか?
スポンサーや安定収入がなく計画案の作成・可決・認可が明らかに立たない状態を指します。25条3号により、この場合は計画案を作る前に門前払いとなります。
Q7不当な目的の申立てとは具体的に何ですか?
再建の実体を伴わず、競売の引き延ばしや財産隠匿など再生本来の目的以外を狙う申立てを指します。25条4号の不誠実な申立てとして棄却の対象になります。
Q8債権者は民事再生の開始を止められますか?
開始決定前が勝負です。25条4号の誠実性欠如の証拠を集める、自ら破産を申し立て2号で債権者一般の利益への適合を主張する、3号の成立見込みなしを示すなどの方法があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1予納金ってどのくらいかかるんですか? 払えなかったら本当に再生できないんですか?
個人再生なら数万円程度ですが、事業者の通常再生では事案により数十万から数百万円に及びます。25条1号は予納金がなければ裁判所が棄却しなければならないと定めるので、払えなければ手続は始まりません。実務のポイント: 予納金は申立て後すぐに必要なため、弁護士は申立てのタイミングを資金の手当てに合わせて調整します。手元資金が完全に尽きる前に動くのが鉄則で、ゼロになってからでは再生の入口にすら立てない(最新の予納金基準は管轄裁判所にご確認ください)
Q2債権者が先に破産を申し立てたら、もう民事再生はできないんですか?
必ずしもできなくなるわけではありません。25条2号は、破産手続が係属し『その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき』に棄却を命じます。再生の方が債権者にとって配当が多いと示せれば、再生が優先される余地があります。実務のポイント: この『債権者の一般の利益』の比較が実務の主戦場です。再生での弁済率が破産配当を上回ることを数字で示せるかが勝負で、スポンサーの存在や事業継続価値を早期に資料化できた側が勝つ
Q3競売を止めたくて民事再生を申し立てるのは、ダメなんですか?
再建の実体を伴う申立てなら問題ありませんが、執行を遅らせるためだけの申立ては25条4号の『不当な目的』『誠実でない申立て』と判断され、棄却されえます。実務のポイント: 裁判所は申立ての動機を、計画の具体性や債務者の対応から読み取ります。住宅を守りたいなら住宅資金特別条項(民事再生法196条以下)を使う正攻法があり、これは『不当な目的』とは扱われない。同じ住宅を守る目的でも、入口の評価がまるで違う
間違えやすい点 AI による整理
- 「申し立てさえすれば再生手続は始まる」と思いがちだが、25条は裁判所に棄却を義務づける四つの場面を定めている。申立ては入場券ではなく、審査の入口にすぎない
- 予納金が必要なことは知っていても、その額の重みを甘く見ている人が多い。事業者の通常再生では予納金が数十万から数百万円に達することもあり、これを払えずに1号で棄却される例は珍しくない。再生したいほど金がない者ほど、最初の関門で弾かれる
- 「破産と民事再生、どちらが得か」と自分で選べると考える人が多いが、25条2号の下では、その問いを最終的に決めるのはあなたではなく裁判所だ。すでに破産手続が係属していれば、債権者全体の利益という物差しで、あなたの希望に関わらず再生が止められる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 民訴25条:申立てを棄却しなければならない事由 | 民事再生法21条:開始申立ての要件 民事再生法33条:棄却事由がない場合の開始決定 |
| 裁判所の裁量 | 裁量なし(該当すれば必ず棄却) | 要件を満たせば申立て自体は可能 棄却事由がなければ開始決定 |
| タイミング | 開始決定の前段階の審査 | 手続の入口(申立て時) 開始決定の場面 |
| 不服申立て | 棄却決定に即時抗告(民事再生法36条・要確認) | — 開始決定に対する即時抗告 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は個人向けの更生・清算手続で聲請の駁回事由を定める。会社の再建は公司法の重整手続が担い、日本の民事再生とは制度の建て付けが異なる
韓国は破産と再生を統合した『統合倒産法』を持ち、42条が会生手続開始申立ての棄却事由を列挙する点で日本25条と機能が近い
ドイツは倒産手続を一本化しており、費用を賄う財産がない場合の申立て却下(§ 26)が日本25条1号の予納金不足に対応する
米国チャプター11は『for cause』による棄却・チャプター7への転換を定め、成立見込みや誠実性の欠如が cause となりうる点で日本25条3号・4号と発想が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの会社が民事再生を申し立てた直後に、取引銀行が先回りして破産を申し立てたら? 25条2号で、裁判所は破産の方が債権者全体に有利と判断すれば、あなたの再生を棄却する。早い者勝ちではなく、どちらが債権者に得かで決まる
- 個人再生を申し立てたが、予納金を準備できなかった。25条1号で即棄却。資力がないから再生したいのに、その手続にすら金がかかるという皮肉に、申立人は最初の関門で立ち止まる
- 競売開始決定が届いた。あと数日で自宅が差し押さえられる。慌てて民事再生を申し立てるが、執行を止めるためだけの申立ては25条4号の「不当な目的」と見られかねない。誠実な再建の輪郭を最初から示せるかが分かれ目
- 売上がほぼゼロの状態で再生を申し立てた中小企業。スポンサーも当てもなく、再生計画を可決させる見込みが立たない。25条3号で、計画案を作る前に門前払いされる
- あなたが債権者で、債務者が明らかに財産隠しのために再生を申し立てたと感じる。25条4号の誠実性欠如を裏づける材料を開始決定前に集めれば、入口で棄却に持ち込める
取るべき行動
被害を受けた側:1. 申立て前に弁護士へ。裁判所に予納金の額を確認し、確保できるか試算する(1号対策) 2. 破産や特別清算がすでに係属していないか確認し、係属していれば再生の方が債権者に有利な根拠を数字で整える(2号対策) 3. 再生計画の骨子(スポンサー、収益見通し、弁済率)を申立て段階で示せるよう準備(3号対策) 4. 執行回避だけが目的と見られないよう、再建の実体を書面で示す(4号対策)
訴えられた側:債権者として再生に異議があるなら開始決定が出る前が勝負。1. 債務者に財産隠匿や延命目的がないか調査し、25条4号の誠実性欠如の証拠を集める2. 自社が破産を申し立て、25条2号で破産手続の方が債権者一般の利益に適合すると主張する道もある3. 再生計画の可決・認可見込みがないことを示す資料を裁判所に提出(3号) 4. 開始決定後は監督委員や計画審理の場で争うことになり、難度が一段上がる
時効(請求できる期限):棄却の判断は再生手続開始の決定の前段階で行われる。特定の時効はないが、棄却決定の告知を受けた者は即時抗告ができる(民事再生法36条、原則として1週間の不変期間。条番号の現行効力を要確認)。債権者側の誠実性主張や対抗手続は、開始決定が出る前に動くのが鉄則
学説
通説:25条の四事由は再生手続への濫用的・無益的な申立てを入口で選別する必要的棄却事由であり、とりわけ4号の『不誠実な申立て』は執行回避目的など再建の実体を欠く申立てを排除する一般条項的機能を持つと解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法の制定により、旧和議法に代わる汎用再建手続として本条を新設。再生手続開始申立てに対する必要的棄却事由を明文で列挙した。
- 民事再生法 第21条棄却の前提となる開始申立ての要件
- 民事再生法 第33条棄却事由がない場合の開始決定
- 民事再生法 第36条棄却決定に対する即時抗告(現行効力を要確認)
- 民事再生法 第174条3号が参照する認可・清算価値の判断
- 破産法 第30条2号が比較する競合の破産手続開始
- 会社法 第510条2号の特別清算手続開始の根拠
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める