個人情報の保護に関する法律 第116条(行政機関等匿名加工情報の作成等)
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- 行政機関の長等は、行政機関等匿名加工情報を作成するときは、特定の個人を識別することができないように及びその作成に用いる保有個人情報を復元することができないようにするために必要なものとして個人情報保護委員会規則で定める基準に従い、当該保有個人情報を加工しなければならない。
- 2.前項の規定は、行政機関等から行政機関等匿名加工情報の作成の委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者が受託した業務を行う場合について準用する。
この条文の基本情報
行政機関等匿名加工情報の作成等とは何ですか?
定義行政機関等匿名加工情報の作成等とは、個人情報の保護に関する法律第116条に定められた規定で、「行政機関の長等は、行政機関等匿名加工情報を作成するときは、特定の個人を識別することができないように及びその作成に用いる保有個人情報を復元することができないように…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 個人情報の保護に関する法律第116条(行政機関等匿名加工情報の作成等)は、日本の個人情報の保護に関する法律に含まれる条文です。
- 個人情報の保護に関する法律第116条の条文原文は「行政機関の長等は、行政機関等匿名加工情報を作成するときは、特定の個人を識別することができないように及びその作成に用いる保有個人情報を復元することができないように…」で始まります。
- 個人情報の保護に関する法律第116条は第五節 行政機関等匿名加工情報の提供等に置かれています。
- 個人情報の保護に関する法律の公布日は平成15年5月30日です。
- 個人情報の保護に関する法律について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 個人情報の保護に関する法律第116条の前の条は個人情報の保護に関する法律第115条です。
- 個人情報の保護に関する法律第116条の次の条は個人情報の保護に関する法律第117条です。
- 個人情報の保護に関する法律第116条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第116条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057 - 本サイト収録
個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第116条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000057/116
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点個人情報保護法116条は、行政機関が匿名加工情報を作る際、個人を識別できず元データを復元できないよう個人情報保護委員会規則の基準に従って加工する義務を定め、委託先・再委託先にも準用される。
Q · 役所が持っている私のデータって、勝手に民間へ売られてしまうんですか?
加工基準は委員会規則が定め、委託先にも義務が及びます
個人情報保護法116条により、行政機関の長等は行政機関等匿名加工情報を作成する際、特定の個人を識別できず、かつ元の保有個人情報を復元できないようにするため、個人情報保護委員会規則で定める基準に従って加工しなければなりません。提供されるのは生の個人情報ではなく加工後の情報です。ただし、どこまで削れば「他人」になるのかという具体的基準は法律本文になく、委員会規則に委ねられています。2項により、この義務は作成の委託を受けた者、さらに再委託先にも準用されます。
解説
役所が握っているあなたの記録、医療レセプト、介護認定、納税、学籍、移動履歴。それらは廃棄されるだけではない。行政機関等匿名加工情報という制度に乗せられ、民間企業の提案に応じて有償で提供される。116条はその出口に立つ唯一の門番であり、「特定の個人を識別できないように、かつ元の保有個人情報を復元できないように」加工することを行政機関の長等に義務づける。ただし、あなたが目を凝らすべきは、その加工の中身がこの条文に一文字も書かれていないという点だ。基準は個人情報保護委員会規則に丸ごと預けられている。つまり、あなたのデータがどこまで削られれば「もう他人」になるのかは、国会ではなく委員会が決めている。2項は、この義務が委託先、さらにその再委託先まで貫くことを定める。データを触る手が何段階増えても、加工基準は薄まらない。
法的な位置づけ
個人情報保護法116条は、行政機関等匿名加工情報の作成に関する加工義務を定める規定である。行政機関の長等は、特定の個人を識別することができないようにし、かつ作成に用いる保有個人情報を復元することができないようにするため、個人情報保護委員会規則で定める基準に従って当該保有個人情報を加工しなければならない。この義務は作成の委託を受けた者にも準用され、二以上の段階にわたる委託を含む。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.提案前に加工基準の根拠規則を読み込む 様式を埋める前に、個人情報保護委員会規則が定める加工基準とガイドライン(行政機関等編)を先に開き、どの粒度まで残せるか、どの識別子が削られるかを把握する。粗すぎて分析に使えないデータに手数料を払う事態を避ける
- 2.利用目的と必要な項目粒度を具体的に記載 提案書に、分析に必要な項目粒度(年齢階級・地理単位・期間の粗さ等)と利用目的を具体的に書き切る。加工後に「使えないデータだった」と気付いても手数料は戻らないため、様式を埋めるだけにしない
- 3.受託側は加工基準適合の記録を保全 加工を受託する場合、2項の準用により自らも基準遵守義務を負う。加工前後のデータ、削除・置換のログ、作業手順書を時系列で保全し、再委託先の作業も自らの管理責任の射程に入る前提で契約を設計する
- 4.住民として懸念があれば公示期間中に意見提出 自治体の匿名加工情報提供に懸念がある場合、提供実行後ではなく提案募集の公示期間中に意見を出す。必要なら自身の保有個人情報について開示請求(76条以下)を併用し、保有・利用状況を確認する
よくある質問 AI による整理
Q1行政機関等匿名加工情報とは何ですか?
行政機関等が保有する個人情報を、特定の個人を識別できず復元もできないよう加工した情報です。提案審査を経て民間事業者に有償で提供される仕組みで、根拠は個人情報保護法116条以下です。
Q2匿名加工情報の提案はどうやって申し込むのですか?
行政機関等が公示する提案募集期間内に、利用目的と必要な項目粒度を記した提案書を提出し、審査を受けます。加工基準は行政側が委員会規則に従って決めるため、粒度を具体的に書き切ることが重要です。
Q3役所のデータが民間に提供されるのはなぜですか?
行政データは統計・研究・新サービス開発で民間データに代替できない価値を持つためです。ただし提供されるのは生の個人情報ではなく、116条の基準で加工された匿名加工情報に限られます。
Q4匿名加工情報の加工基準はどこに書いてありますか?
116条本文には結果条件(識別不可・復元不可)だけが書かれ、具体的な削り方は個人情報保護委員会規則に委任されています。実務ではガイドライン(行政機関等編)も参照します。
Q5自分のデータが匿名加工されたか確認できますか?
自身の保有個人情報については、開示請求(同法76条以下)で保有の事実と利用状況を確認できます。ただし加工済みの匿名加工情報そのものは個人を識別できない状態のため、個別追跡は困難です。
Q6匿名加工情報の提供に反対するにはどうすればいいですか?
提供実行後の是正は事実上不可能なため、提案募集の公示期間中に意見を出すのが唯一の実効手段です。時間軸の上流に立てるかどうかが影響力を左右します。
Q7匿名加工情報と仮名加工情報の違いは何ですか?
仮名加工情報は他の情報と照合すれば再識別できる余地を残す加工で内部利用が前提です。匿名加工情報は復元不可能まで加工し第三者提供を想定します。116条は後者を対象とします。
Q8匿名加工情報を再識別する行為は違法ですか?
行政機関等匿名加工情報について、本人を識別する目的で他の情報と照合する行為は法律上禁止されています。116条の加工義務と識別行為の禁止は両輪で機能します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1匿名加工って、名前と住所を消せばそれでいいんですか?
違います。116条1項は識別できないことと、元の保有個人情報を復元できないことの二つを求めており、具体的な基準は個人情報保護委員会規則に委ねられています。氏名を消しても、希少な病名と年齢と居住地の組み合わせで個人が絞り込めれば基準を満たしません。実務のポイント:実務で最初に問題になるのは氏名ではなく、削り残しの日付と地理情報です。入院日と退院日と市区町村があれば、外部データと突き合わせて特定できる場合がある。監査で最初に見られるのはそこ
Q2委託先がミスして個人が特定できる状態のまま渡したら、責任は誰ですか?
116条2項は、委託を受けた者が受託業務を行う場合について1項を準用し、二以上の段階にわたる委託、つまり再委託先まで含めています。受託者は自らの義務として基準に従う立場に立ちます。同時に行政機関の長等の義務が消えるわけではありません。実務のポイント:契約書の責任分配条項は民事上の求償を決めるだけで、法律上の義務の所在は動かせない。ひな形の免責条項を根拠に安心している受託事業者は、規制上の立場を誤解している
Q3民間企業が作る匿名加工情報とは、基準が違うんですか?
根拠条文が別建てです。民間事業者の匿名加工情報の作成義務は同法43条系統、行政機関等が作るものは116条で、それぞれ委員会規則が定める基準に従います。同じ言葉でも準拠する条文と基準が異なります。実務のポイント:官民のデータを一つの分析基盤に混ぜる案件では、この二系統の基準差が最初のボトルネックになる。統合前に、どちらの基準で加工されたデータかを列単位で追跡できるようにしておかないと、後から証明できなくなる
間違えやすい点 AI による整理
- 「匿名加工されているなら安全だ」と多くの人が納得して話を終える。だが116条が求めるのは二つの別々の条件で、識別できないこと(他人と見分けられない)と、復元できないこと(元データに戻せない)は同義ではない。ハッシュ化して識別子を置き換えただけの処理は前者を満たしても後者を満たさない場合がある。安全性の深刻度は、どちらの条件で詰まっているかで全く違う
- 「基準に従っているかは行政が判断するのだから、市民には手も足も出ない」と考える前提そのものがずれている。問うべきは「誰が加工したか」ではなく「どの規則の何条の基準に従ったか」である。基準が委員会規則に明文化されている以上、開示請求や提案審査の過程で、その適合性は外形的に検証しうる論点になる
- 委託すれば義務が委託先に移る、と実務でしばしば誤解される。2項は準用であって転嫁ではない。行政機関の長等の義務は残ったまま、受託者にも同じ義務が重ねて課される。二以上の段階にわたる委託、つまり再委託・再々委託まで射程に入る点も、契約書のひな形を眺めているだけでは見落とす
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 作成主体 | 116条:行政機関の長等(および委託先・再委託先) | 43条系統:民間の個人情報取扱事業者 109条系統:行政機関等匿名加工情報の提供の根拠 |
| 加工基準の所在 | 116条本文は結果条件のみ、具体基準は個人情報保護委員会規則 | 民間も委員会規則が基準を定めるが別建て 提供手続・提案審査を規律 |
| 義務の射程 | 作成の委託・再委託まで準用(2項) | 事業者本体および委託先の監督義務 提案者・行政機関間の提供契約 |
| 本人の確認手段 | 開示請求(76条以下)で保有状況を確認 | 本人からの開示・利用停止請求 提案募集の公示期間中の意見提出 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は日本のような独立した匿名加工情報制度を持たず、公務機関のデータ利用・提供は個資法の目的内利用と去識別化の枠組みで処理される。加工基準の法定度合いは日本より緩い
韓国は仮名情報(가명정보)の特例を設け、統計・研究・公益目的での処理を認める。日本の匿名加工情報より再識別余地を残す点で概念が異なる
ドイツ・EU は匿名化データを GDPR の適用外とし、研究目的の処理を Art. 89で規律。公的部門は BDSG が補完。日本の「復元不可能まで加工」は EU の匿名化概念に近い
米国は包括的個人情報保護法を欠き、医療分野の Safe Harbor 方式や Expert Determination で去識別化基準を定める。行政横断の統一基準はなく分野・州ごとに分断
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 自治体の医療・介護データが匿名加工されて製薬会社の研究に提供された。あなたの症例は珍しい難病で、市内に患者は数人しかいない。もし年齢・性別・居住市区町村が残っていたら、それは本当に「識別できない」状態か? 116条1項が要求する基準を満たしているかは、提案審査(113条前後)の段階でしか止められない
- あなたはデータ加工を請け負ったベンダーの担当者だ。発注元の自治体から「元データはそのまま渡すので、識別子だけ落としてくれ」と言われる。116条2項により、委託を受けた者にも同じ加工義務が準用される。あなたの手元で基準を下回れば、責任は発注元だけに留まらない。再委託先に流した場合も同じ
- 提案の受付期間は残り10日。民間事業者として行政機関等匿名加工情報の提供を受けたいが、加工の粒度は行政側が委員会規則の基準で決める。粗すぎて分析に使えないデータに手数料を払う羽目になるかどうかは、提案書で利用目的と必要な項目粒度をどう書くかで変わる
- 友人が「役所のデータが売られてるらしい」と憤慨している。あなたは、売られているのは個人情報ではなく加工後の情報であること、加工基準は委員会規則に定められていること、そして再識別を試みる行為自体が別途禁止されていること、この三点を三分で説明できる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分の保有個人情報が匿名加工の対象になったか気になる場合、まず当該行政機関に開示請求(同法76条以下)を行い、保有の事実と利用状況を確認する2. 提供の是非を争いたいなら、提供実行後ではなく提案募集の公示期間中に意見を出す3. 再識別されたと疑う具体的事情があるなら、識別行為の禁止規定と併せて個人情報保護委員会へ申出を行う。加工済みデータは回収不能であり、上流で止める以外に実効的な手段はない
訴えられた側:1. 受託事業者として加工基準への適合を問われたら、まず2項の準用範囲を確認する。再委託先の作業も自らの管理責任の射程に入る2. 委託契約書と作業手順書、加工前後のデータ、削除・置換のログを時系列で保全する3. 「発注元の指示に従っただけ」は2項の準用構造の下では抗弁として弱い。指示内容と、自ら基準適合性を検証した記録の双方を提示できるかが分水嶺になる
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。行政機関に対する不服申立ては、処分を知った日の翌日から起算して3か月以内の審査請求(行政不服審査法18条)、処分を知った日から6か月以内の取消訴訟(行政事件訴訟法14条)が原則。損害賠償は国家賠償法1条に基づき、損害および加害者を知った時から3年(民法724条準用、最新の改正状況をご確認ください)。提案募集への意見提出は公示された期間内に限られ、期間経過後の巻き戻しはできない
学説
通説:116条は「識別できないこと」と「復元できないこと」という二つの別個の結果条件を要求し、具体的な加工基準は個人情報保護委員会規則に委任される委任立法の構造をとる。両条件は同義ではなく、識別子の置換のみで前者を満たしても後者を満たさない場合がある点が実務上の要点とされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成28年(2016年) 改正:行政機関個人情報保護法に非識別加工情報制度を導入。行政保有データを加工して民間提供する枠組みが初めて整備された
- 2.令和3年(2021年) 改正:個人情報保護法制の一元化(デジタル社会形成関係法律整備法)により、行政機関等匿名加工情報として本条116条に統合。加工基準の委員会規則への委任構造が明文化された
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