第百七十六条、第百七十七条及び第百七十九条から第百八十一条までの規定は、日本国外においてこれらの条の罪を犯した者にも適用する。
要点個人情報保護法 183 条は、同法 176 条・177 条・179 条から 181 条までの罪を、日本国外で犯した者にも適用する国外犯処罰規定である。178 条は対象外である。
Q · 海外の拠点で情報が漏れたら、日本の個人情報保護法で刑事責任を問えるの?
問える。国籍を問わず日本の刑罰権が国境を越えて及ぶ
個人情報保護法 183 条により、同法 176 条・177 条・179 条から 181 条までの罪は、日本国外で犯した者にも適用されます。条文は「これらの条の罪を犯した者」と定めるだけで、国籍による限定も行為地の現地法の内容も問いません。海外子会社の外国籍スタッフによる顧客データの不正提供でも、日本の裁判所で裁かれうる立場になります。ただし 178 条は列挙から除かれており、国外犯として処罰されません。
日本の刑罰法規は、原則として日本の領土の中でしか働かない。属地主義と呼ばれるこの建前のせいで、多くの企業法務担当者は「海外子会社で名簿が抜かれても、日本の個人情報保護法では手が出ない」と考えてきた。個人情報の保護に関する法律 183 条は、その思い込みを正面から否定する。176 条(委員会の委員等による秘密漏示)、177 条(従業者等による個人情報データベース等の不正提供・盗用)、そして 179 条から 181 条までの罪について、日本国外で犯した者にも適用すると宣言している。注目すべきは条文の書きぶりだ。「日本国民が」とは書いていない。「これらの条の罪を犯した者」である。国籍も、行為地の現地法がどうなっているかも、条文は問うていない。あなたの会社のマニラの拠点で、現地採用のスタッフが顧客データベースを売り渡したとする。その者は、日本の裁判所で裁かれうる立場にある。もう一つ、この条文が挙げていない条番号がある。178 条だ。列挙から外れているものは、国外犯として処罰されない。何を書いたかと同じくらい、何を書かなかったかに意味がある条文である。
個人情報の保護に関する法律 183 条は、同法の罰則のうち 176 条・177 条・179 条から 181 条までの罪について、日本国外でこれらの罪を犯した者にも適用すると定める国外犯処罰規定である。国籍による限定はなく、行為地国の法制度の内容も問わない。178 条は列挙から除外されている。
日本国外で行われた犯罪を日本の刑罰法規で処罰することです。刑法は属地主義を原則としますが、個別法が明示すれば国境を越えて適用されます。183 条はその明示例です。
刑法 3 条の国民国外犯、刑法 4 条の公務員国外犯、刑法 5 条の保護主義などが代表例です。個人情報保護法 183 条も、五つの罰則を国外に及ぼす個別法の例外規定です。
177 条の不正提供罪などは 183 条により国外犯として処罰対象になるため、日本の警察に告訴し日本の裁判所で審理する道が開いています。現地で立件困難でも諦める必要はありません。
従業者等が不正な利益を図る目的で、業務で扱う個人情報データベース等を提供・盗用する罪です。183 条によって日本国外での行為にも適用されます。
進行しません。刑事訴訟法により犯人が国外にいる期間は公訴時効の進行が停止します。海外在住のまま年月が過ぎても時効は完成せず、帰国時に捜査が動くことがあります。
近い概念ですが同一ではありません。域外適用は法全体が国外の行為・主体に及ぶことを広く指し、国外犯は刑罰法規を国外の犯罪に適用する場面を指します。183 条は刑罰の国外犯規定です。
属人主義は行為者の国籍を基準に処罰する原則、保護主義は自国の法益を害する犯罪を国籍を問わず処罰する原則です。183 条は国籍を限定せず、保護主義に近い書きぶりです。
及びうる場面があります。委託先の従業者による不正提供が 177 条に該当すれば、183 条により国外犯として日本で刑事責任を追及できる可能性があります。
条文は「これらの条の罪を犯した者」と書くだけで、国籍にも行為地の現地法にも触れていない。刑法 3 条が「日本国民の国外犯」と明記しているのと対照的で、183 条は国籍を限定しない書きぶりである。業界裏話ヒント:実務では、身柄が国外にある被疑者の起訴に踏み切る事例はまだ多くない。だが刑事訴訟法 255 条により国外滞在中は公訴時効が止まる。帰国した日から捜査が動き出すことがあり、時間は被疑者の味方ではない
合っていない。条文は 176 条、177 条、及び 179 条から 181 条まで、と書く。178 条だけが列挙から抜けている。立法者が範囲を意識的に線引きした痕跡である。業界裏話ヒント:条文を要約や解説記事で読むと、この種の「抜け」はほぼ確実に消える。罰則の適用範囲条文を扱うときは、必ず条番号の並びを自分の目で追う。列挙の穴は、防御側にとっては最も価値の高い一行になりうる
国外犯の場合、外国で確定裁判を受けた者でも同一行為について日本で処罰することは妨げられない(刑法 5 条本文)。ただし外国で刑の全部または一部の執行を受けたときは、日本の刑は減軽または免除される(同条ただし書)。業界裏話ヒント:この減軽・免除は自動的には働かない。外国判決の謄本と刑の執行を証明する資料を、弁護人が量刑段階で提出してはじめて裁判所の判断材料になる。現地での処罰記録を捨てないこと
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 根拠となる主義 | 183 条:保護主義的な国外犯の特則(列挙五罪) | — |
| 国籍要件 | 国籍を問わない(「これらの条の罪を犯した者」) | — |
| 対象範囲 | 176・177・179〜181 条(178 条は除外) | — |
| 行為地 | 日本国外 | — |
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