破産法 第175条(否認の請求を認容する決定に対する異議の訴え)
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- 否認の請求を認容する決定に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。
- 2.前項の訴えは、破産裁判所が管轄する。
- 3.第一項の訴えについての判決においては、訴えを不適法として却下する場合を除き、同項の決定を認可し、変更し、又は取り消す。
- 4.第一項の決定を認可する判決が確定したときは、その決定は、確定判決と同一の効力を有する。同項の訴えが、同項に規定する期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときも、同様とする。
- 5.第一項の決定を認可し、又は変更する判決については、受訴裁判所は、民事訴訟法第二百五十九条第一項の定めるところにより、仮執行の宣言をすることができる。
- 6.第一項の訴えに係る訴訟手続は、破産手続が終了したときは、第四十四条第四項の規定にかかわらず、終了する。
この条文の基本情報
否認の請求を認容する決定に対する異議の訴えとは何ですか?
定義否認の請求を認容する決定に対する異議の訴えとは、破産法第175条に定められた規定で、「否認の請求を認容する決定に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 破産法第175条(否認の請求を認容する決定に対する異議の訴え)は、日本の破産法に含まれる条文です。
- 破産法第175条の条文原文は「否認の請求を認容する決定に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。」で始まります。
- 破産法第175条は第二節 否認権に置かれています。
- 破産法の公布日は平成16年6月2日です。
- 破産法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 破産法第175条の前の条は破産法第174条です。
- 破産法第175条の次の条は破産法第176条です。
- 破産法第175条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
破産法(平成十六年法律第七十五号)第175条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075 - 本サイト収録
破産法(平成十六年法律第七十五号)第175条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000075/175
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点破産法175条は、否認の請求の認容決定に不服がある者が送達日から一月の不変期間内に異議の訴えを提起できると定める。期間を過ぎれば決定は確定判決と同一の効力を持つ。
Q · 破産管財人から『受け取った代金を返せ』という否認の決定が届いた。もう従うしかないの?
送達から一月以内に破産裁判所へ異議の訴えを起こせば争えます
破産法175条により、否認の請求を認容する決定に不服がある者は、送達を受けた日から一月の不変期間内に破産裁判所へ異議の訴えを提起できます。訴えを起こすと簡易な決定手続は通常訴訟に切り替わり、証人尋問や書証で正面から争えます。逆に一月を過ぎると決定は確定判決と同一の効力を持ち(4項)、原則として覆せません。この一月は裁判所でも延長できない不変期間であり、勝負は法律知識より締切管理で決まります。
解説
取引先の会社が倒産し、破産管財人から一通の決定が届く。書いてあるのは『半年前にあなたが受け取った売掛金300万円を破産財団に返せ』。これが否認の請求を認容する決定だ。破産管財人は、倒産直前に特定の債権者だけが得をした弁済(偏頗弁済)や、財産を不当に外へ流した行為(詐害行為)を、裁判所の簡易な決定手続で巻き戻す権限を持つ。175条があなたに握らせるのは、その決定に屈する前の最後の関門だ。決定の送達を受けた日から一月の不変期間(裁判所でも延長できない硬い締切)内に異議の訴えを起こせば、簡易な決定手続は本格的な訴訟へと姿を変え、証人尋問も書証も使って正面から争える。だが期間を一日でも過ぎれば、その決定は確定判決と同じ効力を持つ(4項)。あなたが反論できるかどうかは、法律知識ではなく、一月という時間との競争で決まる。
法的な位置づけ
破産法175条は否認の請求に対する異議の訴えを定める規定であり、否認の請求を認容する決定(同法174条)に不服がある者が、送達を受けた日から一月の不変期間内に破産裁判所へ異議の訴えを提起し、簡易な決定手続を通常訴訟へ移行させる手続を規律する。判決は訴えを不適法として却下する場合を除き、決定を認可・変更・取消しのいずれかとする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.送達日を確認し一月の満了日をカレンダーに刻む 決定書の封を開けたら、まず送達日を起点に一月後の満了日を逆算してカレンダーに記入する。この一月は裁判所も延長できない不変期間で、徒過すれば反論の機会そのものが消える
- 2.否認の根拠が偏頗行為か詐害行為かを特定 決定書を読み、否認の根拠が偏頗行為否認(破産法162条)か詐害行為否認(同160条)かを見極め、立証すべき争点を絞る。争点は『受け取る権利があったか』ではなく『時期・態様が公平を害したか』『相手の危機を知っていたか』
- 3.期間内に破産裁判所へ異議の訴えを提起 一月の不変期間内に、破産裁判所へ異議の訴えの訴状を提出する。訴状で決定の事実認定・法的評価の誤りを主張し、簡易な決定手続を通常訴訟へ引き上げる
- 4.危機を知らなかった事情の証拠を収集 弁済や譲渡を受けた当時、相手の支払不能や支払停止を知らなかった事情を裏づける証拠(当時のメール、決算情報を得ていなかった経緯、通常取引の実績)を集める
- 5.仮執行への対応を並行して設計 認可・変更判決には仮執行宣言が付きうるため(5項)、訴え提起とは別に仮執行の停止・回避の手続を並行検討する。訴えれば執行が止まるという思い込みを排し、両方の打ち手を同時に組む
よくある質問 AI による整理
Q1否認の請求とは何ですか?
破産管財人が、倒産直前の偏頗弁済や詐害行為を、訴訟より簡易な決定手続で巻き戻すよう裁判所に求める申立てです(破産法174条)。その認容決定に不服なら175条の異議の訴えで争えます。
Q2異議の訴えはどこの裁判所に出しますか?
破産裁判所が管轄します(破産法175条2項)。否認の請求を審理した破産事件の係属する裁判所であり、被告住所地の裁判所ではありません。
Q3一月の不変期間を過ぎたらどうなりますか?
決定を認可する判決が確定したのと同様に、決定は確定判決と同一の効力を持ちます(4項)。返還が確定し、原則として争う手段は残りません。
Q4偏頗弁済とは何ですか?
支払不能後などに特定の債権者だけに弁済し、債権者間の公平を害する行為です。破産法162条の偏頗行為否認の対象で、否認されると受け取った額を財団へ返還します。
Q5詐害行為否認と偏頗行為否認の違いは何ですか?
詐害行為否認(160条)は財産を不当に外へ流す行為、偏頗行為否認(162条)は特定債権者を優遇する弁済等が対象です。争点となる主観要件や時期要件が異なります。
Q6破産手続が終了したら異議の訴えはどうなりますか?
44条4項の一般則にかかわらず、訴訟手続は終了します(破産法175条6項)。破産手続の帰趨に付随する争いだからです。
Q7仮執行の宣言があると何が起きますか?
決定を認可・変更する判決には民訴259条1項により仮執行宣言を付けられます(5項)。判決確定前でも返還の強制執行が動きうるため、訴えれば執行が止まるとは限りません。
Q8不変期間を過ぎても救済される方法はありますか?
原則ありませんが、自分の責めによらない事由で徒過した場合は民訴97条の追完で例外的に救済される余地があります。ハードルは高く、まず期間内提起が鉄則です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1異議の訴えって、ただの不服申立てと何が違うんですか?
否認の請求の認容決定(破産法174条)は裁判所の簡易な決定手続で出されたもので、本格的な証拠調べを経ていません。異議の訴え(175条)を起こすと、その争いが通常の訴訟に切り替わり、証人尋問や書証で正面から争えます。実務のポイント:管財人があえて『否認の訴え』ではなく簡易な『否認の請求』を選ぶ背景には、相手が一月の不変期間内に動けないことを見越している面もある。決定が届いて慌てて放置する相手ほど管財人に有利。早く専門家に繋がれるかが分水嶺です
Q2異議の訴えさえ起こせば、結論が出るまで財産を返さずに済むんですか?
必ずしもそうではありません。決定を認可・変更する判決には、受訴裁判所が民事訴訟法259条1項により仮執行の宣言を付けられます(破産法175条5項)。つまり判決が確定する前でも返還の強制執行が動きうる。実務のポイント:『訴えれば執行は止まる』という思い込みが危ない。仮執行を止めたいなら別途その手続を踏む必要があり、訴え提起と執行への対応はまったく別の打ち手です。両方を同時に設計できる人だけが、財産を守る時間を稼げる
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば『正当に受け取った代金』でも、破産法から見れば『他の債権者を出し抜いた偏頗弁済』。この視点の落差を理解しないまま異議の訴えに臨むと、何を立証すべきかを見誤る。争点は『受け取る権利があったか』ではなく『受領の時期と態様が債権者間の公平を害したか』『あなたが相手の支払不能を知っていたか』だ
- 異議の訴えが起こせること自体は知っていても、その期間が『不変期間』である重みを知らない人が多い。不変期間は裁判所が職権で延長できず、うっかり過ぎれば原則として民訴97条の追完(自分の責めによらない事由がある場合の例外的救済)以外に道はない。普通の期限とは別格の硬さだ
- 『裁判所が決定を出したのだから従うしかない』と思いがちだが、否認の請求の認容決定は確定判決ではない。異議の訴えを起こせば簡易な決定手続が通常の訴訟に切り替わり、証拠調べを通じて決定を認可・変更・取消しのいずれかへ動かせる余地がある(3項)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 175条:否認の請求の認容決定に対する異議の訴え(決定→訴訟への移行装置) | 174条:否認の請求そのものの簡易な決定手続 173条:否認権の行使方法(訴え・請求・抗弁)の総則 |
| 手続の性質 | 通常訴訟(証人尋問・書証で正面から争える) | 簡易な決定手続(本格的な証拠調べを経ない) 行使方法の選択規定 |
| 時間的制約 | 送達から一月の不変期間(延長不可) | 決定手続に応じた審尋 破産手続の進行に従う |
| 徒過・確定の効果 | 期間徒過・却下で決定は確定判決と同一の効力(4項) | 認容決定は異議の訴えで覆る余地あり 行使方法により効果が分岐 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も倒産前の詐害・偏頗行為を否認・撤銷する制度を持つが、日本のような『否認の請求の認容決定+異議の訴え』という簡易決定・訴訟移行の二段構えは採らない。
韓国は債務者回生・破産法に否認権を規定。行使方法や争訟構造は日本の破産法と近縁だが、決定手続の設計に差がある。
ドイツは倒産否認を実体法として整備し、管財人が通常の訴訟で行使する。日本の簡易な決定手続に相当する独立の申立て類型は持たない。
米国連邦倒産法は偏頗弁済否認と詐害譲渡否認を規定し、否認訴訟(adversary proceeding)で処理する。日本の一月の不変期間に相当する硬い期間制限とは制度設計が異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先から半年前に受け取った500万円の返済。その取引先が倒産し、管財人があなたへの弁済を偏頗行為として否認、認容決定が届いた。残された時間は送達から一月。この期間内に異議の訴えを出さなければ、500万円は財団に返り、あなたは一般債権者として配当のおこぼれを待つ側に転落する。立証すべきは『受け取る権利があったか』ではなく『その時期にあなたが相手の危機を知っていたか』だ
- もし、亡くなった親が生前に経営していた会社が倒産し、あなたが生前に受け取った贈与が詐害行為として否認されたら? 相続とはまったく別の軌道で、受け取った財産の返還を迫られる。否認の請求を認容する決定に対し、あなたは異議の訴えで争えるが、見送れば返還が確定判決と同じ重みで確定する
- 管財人の分厚い決定書を机に放り、後で弁護士に相談しようと一月放置した。気付いたときには不変期間が満了していた。異議の訴えはもう起こせず、決定は確定判決と同一の効力を持っていた
取るべき行動
被害を受けた側:返還を命じられた相手方として争う場合:1. 決定書の送達日を即確認し、一月の不変期間の満了日をカレンダーに記入2. 否認の根拠が偏頗行為(破産法162条)か詐害行為(同160条)かを特定し、争点を絞る3. 期間内に破産裁判所へ異議の訴えを提起、訴状で決定の事実認定・法的評価の誤りを主張4. 弁済や譲渡を受けた当時、相手の支払不能や支払停止を知らなかった事情を裏づける証拠を集める5. 全面対決のコストが返還額を超えそうなら、訴訟外の和解も並行検討する
訴えられた側:否認の認容決定を得た管財人・債権者側として決定を守る場合:1. 相手が異議の訴えを起こしたら、破産裁判所で否認の要件を立証する側に回る2. 行為の有害性、相手方の悪意または時期的近接性を証拠で固める3. 認可・変更判決を得たら、民事訴訟法259条1項に基づく仮執行の宣言を申し立て、確定を待たず返還を実現する(5項) 4. 相手が期間内に訴えを起こさなければ、決定は確定判決と同一の効力を持つ(4項)ので、執行手続へ進む
時効(請求できる期限):異議の訴えは、否認の請求を認容する決定の送達を受けた日から一月の不変期間内(破産法175条1項)。この期間は裁判所が延長できず、徒過すれば原則として民事訴訟法97条の追完以外に救済はない。期間内に訴えが提起されない、または訴えが却下されたときは、決定は確定判決と同一の効力を持つ(4項)。なお訴訟手続は破産手続が終了すれば終了する(6項)
学説
通説:175条の異議の訴えは、否認の請求という簡易な決定手続の迅速性と、相手方の証拠に基づく防御権保障とを、一月の不変期間で区切って両立させる均衡装置と解される。訴えの提起により決定手続は当然に通常訴訟へ移行し、受訴裁判所は決定を認可・変更・取消しのいずれかで応答する。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)破産法全部改正(平成17年施行) 旧破産法を全面的に置き換える新破産法の制定により、否認権の行使方法として簡易な『否認の請求』の決定手続が整備され、その認容決定に対する異議の訴えとして本条が現行の形となった。新設・改正の正確な沿革および以降の改正有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:破産法全部改正(平成16年法律第75号、平成17年施行)。否認権の行使方法として簡易な『否認の請求』の決定手続が整備され、その認容決定に対する異議の訴えとして本条が現行の形となった。以降の改正有無・詳細は人的検証が必要。
- 破産法 第173条否認権の行使方法(訴え・請求・抗弁)の定め
- 破産法 第174条否認の請求の手続、本条の異議対象となる決定
- 破産法 第160条詐害行為否認、否認の実体的根拠
- 破産法 第162条偏頗行為否認、否認の実体的根拠
- 破産法 第44条破産手続中の訴訟手続の取扱い、6項が同条4項の特則
- 民事訴訟法 第259条認可・変更判決への仮執行宣言の根拠(5項が準用)
- 民事訴訟法 第97条不変期間を徒過した場合の訴訟行為の追完
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