要点商法 533 条は、交互計算の残額について計算の閉鎖の日以後の法定利息を請求でき、合意があれば各項目の組入日から複利を付せると定める特則である。
Q · 継続取引の交互計算で残った差額には、利息はどう付くの?
残額は閉鎖日から法定利息、合意あれば複利も付く
商法 533 条により、交互計算で相殺後に生じた残額については、計算の閉鎖の日以後の法定利息(民法 404 条、現行年 3%・変動制)を請求できます。さらに 2 項により、各債権債務を交互計算に組み入れた日から利息を付すこと、すなわち複利の計上も、当事者の合意があれば認められます。民法 405 条が原則として制限する複利を、商人間の継続取引では正面から認める特則です。ただし複利は「妨げない」という文言どおり、契約に明記してこそ効力を持ちます。
取引先と毎月のように売り買いを繰り返す。今月はこちらが 50 万円の売掛、来月は向こうが 30 万円の売掛。その都度入金していたら振込手数料も経理の手間も馬鹿にならない。そこで商人同士は「交互計算」という仕組みを使う。一定期間の債権債務をまとめて相殺し、差額だけを払う契約だ。商法 533 条は、その差額(残額)について、計算を締めた日(計算の閉鎖日)から法定利息を請求できると定める。さらに 2 項が効いてくる。個別の取引項目を帳簿に組み入れた日から、その項目に利息を付けてよい。つまり利息に利息を乗せる複利が、合意さえあれば認められる。民法 405 条が原則として厳しく制限する複利を、商人の世界では堂々と回せる。あなたが継続取引の基本契約書を結ぶとき、この一条を知っているかどうかで、最終的に回収できる利息の総額が変わってくる。
商法 533 条は、交互計算における利息を定める規定である。相殺により生じた残額について、計算の閉鎖の日以後の法定利息の請求を認め、さらに当事者の合意があれば、各債権債務を交互計算に組み入れた日からの利息計上(複利)をも妨げないとする。民法 405 条が制限する複利の、商人間取引における特則として機能する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
商人間または商人と非商人が一定期間の取引から生じる債権債務を一括して相殺し、差額(残額)だけを支払う契約です(商法 529 条)。継続取引の決済を効率化します。
一定期間ごとに債権債務を締めて相殺し、残額を確定させる日のことです。商法 533 条はこの閉鎖の日を残額の法定利息の起算点と定めています。
計算の閉鎖の日以後から起算します(533 条 1 項)。締め日の設定一つで利息の起算点が前後するため、契約書の締め日条項の確認が重要です。
各当事者はいつでも解除でき、解除すれば直ちに計算を閉鎖して残額を請求できます(商法 534 条)。取引先の信用不安時には解除で残額確定を早められます。
原則できません。組み入れられた個別債権は不可分となり、計算の閉鎖による残額確定を待って初めて行使できます。これを交互計算の不可分性といいます。
交互計算に組み入れた個別の債権債務は独立性を失い、譲渡・差押え・個別請求ができなくなる性質です。残額が確定して初めて一個の債権として行使できます。
民法 166 条 1 項により、権利行使を知った時から 5 年または行使できる時から 10 年です。2020 年改正で旧商事消滅時効 5 年は民法に統合されました。
単なる相殺は対当額で個別に消滅させる行為ですが、交互計算は一定期間の債権債務を継続的に組み入れ、不可分化して残額だけを清算する契約です。
名前を意識せず使っている、が正解です。銀行の当座勘定取引(商法 529 条以下の典型例)、継続的な仕入先との月締めネッティングなど、形を変えて生きています。業界裏話ヒント:実務では「交互計算」と明記せず、基本契約に「期間中の債権債務は相殺し差額を支払う」とだけ書く例が多い。この文言があれば交互計算規定が適用され、533 条の利息や不可分原則が自動的に効いてくる。条文名を知らないまま縛られている経営者がほとんどです
民法 405 条は複利(重利)を、利息が一年分以上延滞し催告した場合などに限って認め、原則は制限しています。ところが商法 533 条 2 項は、交互計算では各項目を組み入れた日から利息を付けることを「妨げない」とし、合意があれば複利を正面から認めます。業界裏話ヒント:これは商人は自衛できるという前提の特則。ただし「妨げない」という抑制的な文言どおり、複利は契約に明記してこそ効く。テンプレ契約書に複利条項がないまま「商取引だから複利が当然」と請求すると、その前提から崩される
民法 404 条の法定利率です。2020 年施行時は年 3%で、三年ごとに見直される変動制になりました。かつての商事法定利率 6%(旧商法 514 条)は同改正で廃止され、民法に一本化されています。業界裏話ヒント:古い契約書ひな型や十年前の解説書は「商事は 6%」のまま止まっているものが多い。残額が大きいと、6%と 3%の取り違えだけで利息が二倍違う。閉鎖日がいつの時点かで適用利率が変わる点も要注意です(最新の法定利率をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 533 条:残額への法定利息と組入日からの複利を定める | — |
| 効果の発生時点 | 計算の閉鎖の日以後(利息の起算点) | — |
| 実務上の論点 | 複利の合意の有無・適用利率(民法 404 条) | — |
| 残額確定の早期化手段 | 閉鎖日の到来を待つ | — |
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