当事者は、債権及び債務の各項目を記載した計算書の承認をしたときは、当該各項目について異議を述べることができない。
要点商法 532 条は、交互計算で計算書を承認すると各項目に異議を述べられないと定める。ただし計算書に錯誤又は脱漏があれば、承認後でも異議を述べられる。
Q · 取引先の計算書に「確認しました」と返したら、後から金額に文句は言えないの?
原則言えないが、錯誤・脱漏があれば例外的に言える
商法 532 条により、交互計算で債権債務の各項目を記載した計算書を承認すると、当該各項目について異議を述べられなくなります(確定効)。ただし計算書の記載に錯誤(計算違い)又は脱漏(載るべき項目の抜け)があったときは、承認後でも異議を述べられます。逆に「そもそもこの単価で合意していない」という評価・認識の相違は錯誤・脱漏に当たらず、承認した以上は覆りません。承認の返信を押す前に、合計の検算と項目の抜けだけは確かめておくことが重要です。
毎月取引先と部品をやり取りし、月末に「今月の貸し借りはこれで」と一枚の計算書を受け取る。あなたが「確認しました」と返した瞬間、その計算書に並んだ一つ一つの金額は、もう動かせなくなる。商法532条は、交互計算(一定期間の貸し借りを相殺して差額だけ払う仕組み)で当事者が計算書を承認すると、各項目について異議を述べられないと定める。三か月前の「あの納品、単価が違う」も、承認後は原則として蒸し返せない。承認には、それまでの個別の債権債務を一つの差額に確定させる力がある。ただし逃げ道が一つだけ残されている。計算書に錯誤(書き間違い、計算違い)または脱漏(載るべき項目の抜け落ち)があったときは、承認していても異議を述べられる。つまり「足し算が間違っている」「載るはずの請求が載っていない」なら覆るが、「単価の認識がそもそも違った」では覆らない。この線引きを知らずに承認の返信を押すと、本来取れたはずの請求が静かに消える。
商法 532 条は交互計算における計算書の承認の効力を定める規定であり、当事者が債権及び債務の各項目を記載した計算書を承認すると、各項目について異議を述べられない確定効が生じる旨を規定する。例外として、計算書の記載に錯誤又は脱漏がある場合に限り、承認後の異議が認められる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
継続的取引の当事者が一定期間の債権債務を一括して相殺し、差額だけを支払う決済の仕組みです。商法 529 条以下が定め、532 条は計算書承認の効力を規律します。
商法 532 条により各項目について異議を述べられなくなります(確定効)。それまで積み上がった個別の貸し借りが一つの差額に確定し、原則として蒸し返せなくなります。
計算書の記載に錯誤(計算違い)又は脱漏(載るべき項目の抜け落ち)があったときに限られます。単なる評価・認識の相違では覆りません(商法 532 条ただし書)。
錯誤・脱漏は足し算ミスや項目の抜けという客観的な誤り。「その単価で合意した覚えはない」は評価・認識の相違で、原則ただし書に当たりません。
なり得ます。承認に決まった方式はなく、計算書の内容を是認する意思表示があれば足り、メールやチャットの返信でも該当する余地があります。
できます。「○○の単価のみ留保し、他を承認する」と一文添えれば、その項目だけ確定効を外せます。全承認か無承認かの二択ではありません。
交互計算不可分の原則により、組み入れられた個別債権は単独で差押え・譲渡ができないとされます。一項目だけ抜き取ることは原則できません。
残額債権は一般消滅時効(民法 166 条、原則 5 年)にかかります。錯誤を理由とする取消しは民法 126 条(追認可能時から 5 年、行為時から 20 年)です。
厳密にはそうです。商法532条で承認すると各項目に異議を述べられなくなり(確定効)、後から覆せるのは錯誤・脱漏という客観的な誤りに限られます。評価や認識の食い違いは原則として通りません。業界裏話ヒント:実務では全項目精査が難しいので、自信のない項目だけ「○○は留保して承認」と一筆入れるのが弁護士の常套手段。これでその項目だけ確定効を外せる。全承認か無承認かの二択だと思い込んでいる人が、ここで損をする
532条ただし書でいう錯誤・脱漏は、足し算ミスや載るべき項目の抜けといった客観的な誤りです。一方「その単価で合意した覚えはない」は評価・認識の相違で、原則ただし書に当たらず、承認すれば覆りません。業界裏話ヒント:この境界線が勝敗を分けます。蒸し返したい側は何とか「脱漏だ」と構成しようとし、確定効を守りたい側は「単なる評価の相違だ」と切り返す。同じ事実でもどちらの言葉で語るかで結論が逆になる、そこが交渉の主戦場
なり得ます。承認に決まった方式はなく、計算書の内容を是認する意思表示があれば足りるとされ、メールやチャットの返信でも該当する余地があります(商法532条)。業界裏話ヒント:「了解」「OKです」程度の軽い返信が、後で確定効の根拠として持ち出されることがある。逆に自分が確定させたい立場なら、相手の承認の記録を残しておくことが武器になる。日々のやり取りのスクショ一枚が、数十万円の請求権の行方を決める
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 商法 532 条:計算書承認の確定効と錯誤・脱漏の例外 | — |
| 規律する場面 | 計算書を承認した後の異議の可否 | — |
| 当事者の主な関心 | 承認後に蒸し返せるか/封じられるか | — |
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