当事者がその氏名又は名称を相手方に示してはならない旨を仲立人に命じたときは、仲立人は、結約書及び前条第二項の謄本にその氏名又は名称を記載することができない。
要点商法 548 条は、当事者が氏名又は名称を相手方に示すなと仲立人に命じたとき、仲立人が結約書及び仲立人日記帳の謄本に当事者の名を記載できないと定める。匿名取引を可能にする規定である。
Q · 仲介業者に「名前を相手に出すな」と命じたら、本当に名前を隠して取引できるの?
名前は隠せるが、契約責任は消えません
商法 548 条により、当事者が氏名又は名称を相手方に示さないよう仲立人に命じると、仲立人は結約書および仲立人日記帳の謄本に当事者の名を記載できなくなります。つまり相手は誰と契約したか分からないまま取引が成立します。ただし匿名にしても当事者である事実は変わらず債務は負い、さらに 549 条で仲立人が当事者に代わって相手方へ履行する責任(介入義務)を負います。匿名性は仲立人の信用を担保にして買うものといえます。
競合他社の工場用地を買いたい。だが自分の名が出れば売主は足元を見て値を吊り上げる。そこで仲立人(商行為の仲介を業とする業者)を立て、商法 548 条を使う。当事者が「私の氏名又は名称を相手方に示すな」と仲立人に命じれば、仲立人は結約書(取引成立を記した証書)にも、仲立人日記帳の謄本(取引記録の写し)にもあなたの名を書けない。つまり相手は、あなたが誰かを知らないまま契約が成立する。ここで多くの人が見落とすのが代償だ。名を伏せた瞬間、隣の 549 条が作動し、仲立人があなたの代わりに相手方へ履行する責任を負う。あなたの匿名性は、仲立人の信用を担保にして買っているのである。だから仲立人は匿名案件で手数料を上げ、時に断る。548 条は「隠れる権利」と「隠れる代償」が一行の中で表裏に貼り合わされた条文だ。
商法 548 条の氏名黙秘とは、商行為の仲介において当事者が自己の氏名又は名称を相手方に示さないよう仲立人に命じた場合に、仲立人が結約書及び仲立人日記帳の謄本へその氏名又は名称を記載できなくなる制度をいう。匿名で取引を成立させる権利の根拠規定であり、仲立人が当事者に代わって履行責任を負う 549 条の介入義務と表裏一体をなす。
他人間の商行為の仲介を業とする者をいいます(商法 543 条)。当事者の一方の代理人ではなく、双方の間に立って取引成立を媒介する中立的な存在です。
仲立人と契約する最初の段階で命じる必要があります。取引が動き出して相手に名が伝わった後では実益を失い、後出しは効きません。
仲立人が取引成立後に当事者へ交付する、取引の要件を記した証書です(商法 546 条)。氏名黙秘を命じると、ここに当事者の名を書けなくなります。
仲立人が媒介した取引の要点を記録する帳簿です(商法 547 条)。当事者は謄本の交付を求められますが、氏名黙秘の場合は謄本に名が載りません。
上がる傾向があります。仲立人は 549 条の履行責任を負うため、そのリスク分を手数料に上乗せするのが実務です。相見積もりで差を確認できます。
548 条で名を伏せると、その効果として 549 条が作動し、仲立人が当事者に代わって相手方へ履行する責任を負います。隠れる権利と代償が一対です。
商法 548 条が対象とするのは商行為の仲介を業とする商事仲立人です。結婚仲介などの民事仲立は商法の適用外で、氏名黙秘の規定はそのまま及びません。
あります。氏名黙秘を引き受けると 549 条の履行責任を負うため、仲立人は嫌がったり手数料を上げたりします。匿名は引き受け手がいて初めて成立します。
逃れられません。商法 548 条で相手に名が伝わらなくなるだけで、あなたは契約当事者のまま債務を負います。加えて 549 条で仲立人も相手方への履行責任を負うので、責任者が一人増えるだけです。業界裏話ヒント:実務では、匿名を引き受けた仲立人は履行責任のリスク分を手数料に上乗せします。相見積もりで「匿名対応だと手数料がどれだけ跳ね上がるか」を聞くと、その仲立人がリスクをどう値付けしているかが透けて見える
違法ではありません。商法 548 条が当事者に氏名黙秘を命じる権利を認めています。ただし 549 条であなたは仲立人に直接履行を請求できるので、実質的に仲立人を相手に取引していると考えてよい。業界裏話ヒント:名を伏せた取引で本当に確かめるべきは相手の名ではなく、仲立人の資力です。仲立人が履行を担保する以上、仲立人の信用調査こそが取引の安全を左右する
商法 548 条が対象とするのは商事仲立人(商行為の仲介を業とする者)です。宅地建物取引業者による不動産仲介は宅地建物取引業法という別の規律が中心で、重要事項説明など取引の透明性を求める規定が多く、548 条の氏名黙秘がそのまま使える場面は限られます。業界裏話ヒント:匿名性を重視する不動産取引では、買主が資産管理会社や信託を使って実質的に名を表に出さない手法が一般的です。条文の氏名黙秘より、取引スキームの設計で匿名性を確保するのが実務の主流(最新の業法上の説明義務をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律内容 | 548 条:氏名黙秘の命令と結約書・謄本への不記載 | — |
| 主に守る利益 | 名を伏せたい当事者の匿名の利益 | — |
| 発動条件 | 当事者が氏名黙秘を命じたとき | — |
| 効果 | 結約書・日記帳謄本に当事者名を記載できない | — |
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