要点商法 569 条は、陸上・海上・航空運送の引受けを業とする者を運送人と定義する。2018 年改正で航空運送が加わり、類型ごとに責任と時効が異なる。
Q · 宅配で壊れた荷物、誰が『運送人』で、いつまでに請求すればいいの?
運送を業とする者が運送人。責任は受取から 1 年で消える
商法 569 条は、陸上運送・海上運送・航空運送の引受けを業とする者を「運送人」と定義します。運送人と認定されると商法の特別ルール(責任限度・賠償計算・時効)が一括適用され、特に運送品の損害賠償責任は受取日から 1 年で消滅します(商法 585 条)。さらにどの類型に当たるかで適用ルールが変わり、国際海上運送なら国際海上物品運送法、国際航空運送ならモントリオール条約が優先します。
宅配便で届いた箱を開けたら中身が割れていた。引越し業者がタンスに大きな傷をつけた。海外出張の預け荷物が空港で行方不明になった。この三つは、まったく別の話に見えて、すべて「運送」という同じ法律の入口を通る。商法 569 条は、その入口に立つ門番だ。誰が「運送人」なのか、そして運送が陸・海・空のどれに当たるのかを、この一条が定義で線引きする。なぜこれが重要か。運送人と認定された瞬間、その人には商法の特別ルールが一括で降ってくる。責任の上限、損害賠償額の計算方法、そして何より「荷物を受け取った日から 1 年で責任が消える」という極端に短い時効(商法 585 条)だ。さらに 2018 年(平成 30 年)の大改正で、それまで商法の外にあった航空運送が初めてこの条文に取り込まれた。あなたが古い解説書で「商法に空の運送規定はない」と読んだなら、その知識はもう古い。荷物が壊れたとき、あなたが陸・海・空のどの土俵に立っているかで、戦える期間も取れる金額も変わる。
商法 569 条は運送人および運送の三類型を定義する規定であり、陸上運送・海上運送・航空運送の引受けを業とする者を運送人と定める。海上運送は商法 684 条に規定する船舶による運送、航空運送は航空法 2 条の航空機による運送を指し、各類型に異なる責任・賠償・時効ルールが接続される。
商法 569 条で、陸上・海上・航空運送の引受けを業とする者をいいます。単発で好意で運んだ個人は含まれず、運送人責任の特別ルールも適用されません。
海上運送は商法 684 条の船舶(非航海船を含む)による運送、それ以外の陸上での物品・旅客の運送が陸上運送です。区分で適用ルールが変わります。
2018 年(平成 30 年)改正で初めて商法 569 条に明文化され、2019 年 4 月 1 日施行。それ以前の「商法に空の規定なし」という解説はもう古い知識です。
原則問えません。商法上の運送人は『運送の引受けを業とする者』に限られ、好意で運んだ個人は該当しないため、適用される責任ルールが変わります。
類型としては海上運送ですが、国際運送には国際海上物品運送法が商法の特則として優先適用され、責任限度や立証ルールが国内運送と異なります。
含まれます。各号は「物品又は旅客の運送」と定め、物品運送だけでなく人の運送も陸海空の各類型に該当します。
陸→海→陸のように複数類型にまたがる場合、569 条の三区分だけでは決まらず、複合運送に関する商法 578 条等が別途規律します。
はい。商法 569 条 3 号は 747 条の非航海船も海上運送の対象に含めると明示しており、純粋な航海船に限られません。
運送人の責任は、荷物を受け取った日から 1 年で消えます(商法 585 条)。普通の借金の時効(5 年)と比べて桁違いに短いので、「まだ大丈夫」と構えていると権利が消えます。業界裏話ヒント:宅配会社の補償は約款で限度額(運送状記載の責任限度額、多くは 30 万円程度)が定められていることが多く、高価な荷物はその枠を超えると満額取れません。高額品を送るときは、運送状に価額を明記するか別途保険をかけると、限度額の壁を越えられる場合があります
違います。商法 569 条は海上運送を陸上運送と別の類型として定義しており、国際海上輸送なら国際海上物品運送法が商法を上書きします。責任の上限や立証ルールが国内陸送とまったく異なります。業界裏話ヒント:国際海上運送の責任限度は『1 包みあたり』や『重量あたり』の国際的な計算単位で決まり、国内感覚で『全額取れる』と思っていると大きく目減りします。船荷証券(B/L)の裏面約款と適用条約を最初に確認するかどうかで、回収額が数百万円単位で変わります
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|---|---|---|
| 定義の根拠 | 陸上運送:陸上における物品・旅客の運送(569 条 2 号) | — |
| 国際取引時の上書きルール | 陸上:原則として商法・各約款がそのまま適用 | — |
| 典型シーン | 宅配便・引越し・国内トラック輸送 | — |
| 責任の短期消滅(共通) | 受取日から 1 年(商法 585 条) | — |
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