船舶共有者の間においては、船舶の利用に関する事項は、各船舶共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。
要点商法 692 条は、船舶共有における船舶の利用に関する事項を、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決すると定める。議決権は人数でなく持分価額で測られる。
Q · 3人で漁船を共同所有しているけど、船の使い道を多数決で決めるとき、私の一票はどれくらい重いの?
頭数ではなく、出資した持分の価格で決まります
商法 692 条により、船舶共有における船舶の利用に関する事項は、各船舶共有者の持分の価格に従いその過半数で決します。議決権は共有者の頭数ではなく、出資した持分の価額で測られるため、3 人で共有していても 1 人が持分の過半数を持てばその意思が通ります。決定範囲は運航・傭船などの「利用に関する事項」に限られ、船舶の売却などの処分はより重い同意要件がかかると解されています。決定に伴う費用や損失は持分割合で負担します(商法 693 条)。
漁船を3人で出し合って買ったとする。あなたの持分は3割、残る2人がそれぞれ3割5分ずつ。船をチャーター便に回すか、自分たちの漁だけに使うかで揉めたとき、決めるのは「頭数」ではない。商法692条は「船舶の利用に関する事項は、各船舶共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する」と定める。つまり多数決の一票は、人ではなく出資した金額の重みで数える。あなたが3割なら、残り2人が手を組めば7割、あなたの意見は通らない。逆にあなたが過半数を握っていれば、たとえ少数派の人数でも、他の全員を押し切れる。船舶共有はただの物の共有ではなく、事業を共同で営む組合に近い性質を持つ。だから民法の一般的な共有ルールではなく、商法の特則がまず適用される。出資比率を決めた最初の一筆が、その後の主導権を静かに固定している。
商法 692 条は船舶共有における意思決定方法を定める規定であり、船舶の利用に関する事項を各船舶共有者の持分の価格に従いその過半数で決する旨を規定する。共有者の頭数ではなく持分価額を基準とする点で、共有物の管理に関する民法の一般原則(民法 252 条)に対する商法上の特則として機能する。
複数人が資本を出し合って一隻の船を共同で所有し、共同で海運・漁業などの事業を営む形態です。単なる物の共有ではなく組合に近い性質を持ち、商法の特則が優先適用されます。
原則として各共有者が出資した割合(出資比率)に応じて決まります。船を購入する際の出資比率がそのまま議決権の重みとなり、後から変えるには持分を買い増す必要があります。
共有者の人数ではなく、各人の持分価額を合計して過半数かを判定します。3 人いても 1 人が 6 割持てば単独で過半数となり、利用方針を決定できます。
船舶共有者が選任し、共有船舶の利用に関する業務を執行する者です(商法 696 条)。日常の運航判断を一元化し、共有者間の意思決定の停滞を防ぐ実務的な機関です。
民法の共有は管理を持分価格の過半数で決めますが(民法 252 条)、船舶共有は事業性が強く、商法 692 条以下が特則として優先します。費用分担や持分譲渡にも独自のルールがあります。
商法 694 条により、各共有者は原則として自己の持分を他人に譲渡して共有関係から離脱できます。意に反する利用方針に縛られたくない少数持分者の退出手段となります。
商法 693 条により、船舶の利用に関する費用や損失は各共有者がその持分価格の割合に応じて負担します。過半数で主導権を握っても、費用も持分割合で負担する点に注意が必要です。
相続により親の持分が複数の相続人に細分化されると、誰も過半数を持たなくなることがあります。その結果、船の利用方針が決められないデッドロックに陥る恐れがあります。
いいえ。商法692条で過半数決定できるのは「利用に関する事項」、つまり運航・傭船・どう使うかといった日常的な経営判断です。船そのものの売却や大規模な処分は利用の範囲を超え、より重い同意要件がかかると解されています。業界裏話ヒント:実務では「利用」と「処分」の線引きで揉めることが多く、改装が利用なのか処分なのか見解が分かれます。契約書で「過半数で決められる事項」を具体的に列挙しておくと、後の争いを未然に潰せる
過半数に達しなければ決定は成立せず、利用方針が宙に浮きます。船は事業財産なので、決まらない間も維持費はかかり続け、商機も逃します。業界裏話ヒント:このデッドロックを避けるため、実務では持分を意図的に奇数比率にする、または船舶管理人(商法696条)に一定の判断権限を委ねる設計をします。共同購入の時点でここを詰めておかないと、仲が良いうちは問題なくても、対立した瞬間に船が動かせなくなる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 意思決定の基準 | 商法 692 条:持分の価格の過半数(持分価額で測る) | — |
| 適用対象 | 船舶共有における船舶の利用に関する事項 | — |
| 決定範囲・性質 | 利用に関する事項に限定(事業性の強い特則) | — |
| 費用・離脱 | 費用は持分割合で負担(693 条)、持分譲渡で離脱可(694 条) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。