要点商法699条は、船舶管理人に帳簿の備付けと船舶利用に関する一切の事項の記載を義務づけ、一定期間ごとに計算を行い各船舶共有者の承認を求めることを定める。
Q · 共有している船の管理人が「今年は赤字だった」と言うだけで、帳簿は見せてくれない。これって認められるの?
口頭では足りず、帳簿の備付けと共有者の承認が法で義務化されています
商法699条により、船舶管理人は職務に関する帳簿を備え、船舶の利用に関する一切の事項を記載しなければなりません(1項)。さらに一定の期間ごとに利用に関する計算を行い、各船舶共有者の承認を求める義務を負います(2項)。したがって「赤字だった」という口頭の報告だけでは法的義務を果たしたことになりません。共有者には帳簿の開示を請求する正当な根拠があり、記帳を怠った管理人は善管注意義務違反(民法644条)として損害賠償責任を問われる余地があります。
親から受け継いだ漁船を兄弟三人の共有名義にして、実際の運航と経理は長兄ひとりに任せている。よくある話だ。だがその長兄が「今年は燃料代が高くて赤字だった」と口で言うだけで、あなたは一度も帳簿を見たことがない。商法699条は、まさにこの状況のためにある。船舶管理人、つまり共有船を実際に切り盛りする人は、職務に関する帳簿を備え、船舶の利用に関する一切の事項を記載する義務を負う。さらに一定の期間ごとに計算(収支の精算)を行い、各共有者ひとりひとりの承認を求めなければならない。口頭の「赤字だった」では済まない。あなたには帳簿を見せろと要求する法的根拠があり、管理人にはそれを開示して、あなたの承認を取りつける義務がある。この一条を知っているかどうかで、共有者として情報を握る側に立てるか、丸め込まれる側に落ちるかが分かれる。
商法699条は、船舶管理人の帳簿備付け・記載義務および定期的な計算・承認義務を定める規定である。船舶管理人は職務に関する帳簿を備えて船舶の利用に関する一切の事項を記載し、一定の期間ごとに利用に関する計算を行い、各船舶共有者の承認を得なければならない。船舶共有における管理人の権限集中に対する監視装置として機能する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
船舶共有において、共有船の運航や経理など業務を実際に切り盛りする人をいいます。商法697条で選任され、698条で代理権を持ち、699条で帳簿備付け・計算承認の義務を負います。
一隻の船を複数人が持分で共有し、共同で運航・収益を分配する仕組みです。管理に関する事項は各共有者の持分価格の過半数で決まります(商法692条)。
共有者から選ぶ場合も第三者を選ぶ場合もありますが、共有者でない者を選任するには共有者全員の同意が必要です(商法697条)。選任は登記事項となります。
商法699条1項は「船舶の利用に関する一切の事項」の記載を義務づけており、共有者は運賃・燃料費・修繕費など利用に関わる全項目の開示を求められます。
出資して持分を持つなら船舶共有者にあたり、運航を担う管理人に699条の計算報告と帳簿開示を求める権利があります。利回りの根拠を確認できます。
管理に関する事項として、各共有者の持分価格の過半数で決定します(商法692条)。他の共有者と連携して過半数を形成することが鍵になります。
委任類似の関係に基づく善管注意義務違反(民法644条)として損害賠償責任を負う余地があります。帳簿の不存在は管理人自身の潔白の証明手段を奪います。
各船舶共有者ひとりひとりの承認が必要です(商法699条2項)。承認はその期の計算責任を解除する重大な行為であり、安易な押印は後の異議を封じます。
いいえ、共有者以外の第三者を管理人に選ぶこともできます(商法697条、ただし共有者でない者の選任には共有者全員の同意が必要)。専門の管理会社を立てるケースもあります。誰が管理人でも699条の帳簿・計算・承認義務は同じく課されます。業界裏話ヒント:第三者管理人は共有者への忠実度が薄くなりがちで、帳簿のチェックがより重要になる。選任時に契約で「四半期ごとに計算書を提出する」と明文化しておくと、699条の『一定の期間』が具体化され、後で『まだ計算の時期ではない』と逃げられなくなる
原則として、承認した期の経理についてはその後争いにくくなります。承認は管理人のその期の計算責任を解除する意味を持つからです。ただし、管理人が帳簿を偽造していた、重要な事実を隠していたなど承認の前提が崩れる事情があれば、承認後でも責任を追及できる余地があります。業界裏話ヒント:承認を求められたとき、無条件に押すのではなく『帳簿の原本確認を条件とする』『不正が判明した場合は留保する』と一筆添えておく。この一行が、後で経理を蒸し返す扉を残す
699条は帳簿の備付けと記載を明確に義務づけているので、共有者として開示を請求する正当な根拠があります。書面で請求し、それでも拒むなら、その拒絶自体が管理人の不誠実を示す材料になります。業界裏話ヒント:いきなり訴訟ではなく、まず内容証明郵便で『699条に基づき○月○日までに帳簿を開示せよ』と期限を切る。多くの管理人はここで態度を軟化させる。拒否した記録が残れば、後の損害賠償や解任の局面で決定的に効いてくる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する対象 | 商法699条:管理人の帳簿備付け・計算承認義務 | — |
| 誰を守る規定か | 出資して経営を見えない共有者の監視権 | — |
| 性質 | 管理人の義務(情報開示・透明性) | — |
| 違反・行使の効果 | 善管注意義務違反(民法644条)、賠償・解任の足場 | — |
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