船荷証券は、記名式であるときであっても、裏書によって、譲渡し、又は質権の目的とすることができる。
要点商法762条は、船荷証券が記名式でも裏書によって譲渡・質入れできると定める。法律上当然の指図証券であり、裏書禁止の記載があるときは指名債権の譲渡方法に戻る。
Q · 船荷証券に名前が書いてあっても、裏書だけで他人に貨物を売れるの?
記名式でも裏書で譲渡・質入れできます
商法762条により、船荷証券は記名式であっても裏書によって譲渡し、又は質権の目的とすることができます。普通の記名債権なら民法467条の通知・承諾が必要ですが、船荷証券は法律上当然の指図証券とされ、裏書という署名一つで貨物の引渡請求権ごと譲渡でき、銀行担保にもできます。証券の引渡しは貨物の引渡しと同一の効力を持ちます(764条)。例外は証券面に「裏書禁止」と記載された場合だけで、その場合は普通の記名債権の譲渡方法に戻ります。
貿易で商品を輸入したあなたが、まだ太平洋の上を運ばれている貨物を、到着前に別の業者へ転売したいとする。普通の感覚なら「現物が手元にないのに売れるのか」と思う。だが船荷証券(B/L)を一枚持っていれば、その紙の裏にサインするだけで貨物そのものを譲り渡せる。商法762条が支えているのはこの一点だ。注目すべきは「記名式であるときであっても」という文言。本来、特定の人の名前が書かれた権利(記名債権)を他人に譲るには、民法467条が要求する債務者への通知や承諾が要る。ところが船荷証券は、たとえ荷受人の名前が記載されていても、裏書という署名一つで譲渡でき、質権(担保)の対象にもできる。これを法律上当然の指図証券性と呼ぶ。世界中の貿易金融、信用状取引、銀行担保のすべてが、この一文の上に成り立っている。例外はただし書一つ、証券面に「裏書禁止」と書かれた場合だけ、ただの記名債権に戻る。
商法762条は船荷証券の裏書による譲渡及び質入れを定める規定であり、船荷証券は記名式であっても裏書のみで権利を移転でき、質権の目的ともなしうる旨を規定する。これを法律上当然の指図証券性と呼ぶ。ただし証券に裏書を禁止する旨の記載があるときは、民法上の指名債権の譲渡方法によることとなる。
海上運送人が貨物の受取・船積みを証し、引換えに貨物を引き渡すことを約した有価証券です。これ一枚で海上輸送中の貨物の引渡請求権を表章し、裏書で譲渡・担保化できます。
証券の裏面に署名して権利を次の者へ移す行為です。商法762条により記名式でも裏書で譲渡でき、その引渡しは貨物の引渡しと同一の効力を持ちます(764条)。
被裏書人(譲受人)の氏名を空欄にしたまま署名のみで行う裏書です。証券が無記名証券に近い形で流通し、所持人が裏書の連続により形式的資格者として保護されえます。
証券の引渡しが貨物そのものの引渡しと同一の効力を持つことです(商法764条)。二重譲渡や担保差押えの場面では、証券を先に取得した者が現物を制します。
銀行は裏書された船荷証券を担保に取り、現物を見ずに輸入代金を立て替えます。買主が支払えば証券を受け取り貨物を引き取れる仕組みで、貿易金融の土台になっています。
証券がないと貨物を引き取れないのが原則です(受戻証券性、763条)。再発行や引取りには公示催告・除権決定などの手続が必要になる場合があり、時間と費用がかかります。
指図式は「○○またはその指図人」と記載し裏書での流通を当然に予定します。記名式は特定人を記載しますが、商法762条により記名式でも裏書で譲渡でき、流通力に大差はありません。
海上運送状は有価証券ではなく、裏書による譲渡も受戻しも予定しません。船荷証券のような流通・担保機能がない代わり、迅速な貨物引取りに向いています。
いいえ、記名式でも裏書で譲渡できるのが船荷証券の特徴です(商法762条)。名前が書かれた荷受人がさらに裏書すれば、次の人が正当な所持人として貨物を引き取れます。普通の名前入りの権利(記名債権)とは流通力が根本的に違います。業界裏話ヒント:実務では荷受人欄に「to order(指図式)」と書く運用が多く、特定人ではなく『裏書で回す前提』であることを明示します。記名式でも裏書可能ですが、最初から指図式にしておくと譲渡の意図が一目で分かり、銀行の信用状審査もスムーズになる
使えます。ただし裏書による機動的な譲渡ができなくなるだけです(商法762条ただし書)。譲渡したい場合は民法467条に従い、運送人への通知または承諾が必要な指名債権譲渡の方式になります。貨物の引取り機能自体は残ります。業界裏話ヒント:裏書禁止文言は運送人や荷送人が転々流通を嫌うときに付けますが、これがあると銀行は担保価値を低く見ます。受け取る側がこの一行に気付かず取引を組むと、いざ転売・担保化しようとした段階で手続が重くなり資金化が遅れる
質入れの目的にできると条文が定めています(商法762条)。証券に質入裏書をして占有すれば、被担保債権の弁済がないとき、証券に化体した貨物引渡請求権から優先弁済を受けられます。証券の引渡しは貨物の引渡しと同一の効力を持つ(764条)ため、現物が倉庫にあっても担保権者が制します。業界裏話ヒント:銀行が輸入金融で必ず証券原本を握るのはこのため。原本のコピーや写しでは担保にならず、原本占有が生命線。中小企業が証券原本を相手に先渡ししてしまい、担保を失う事故は実務で繰り返されている
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する効力 | 762条:裏書による譲渡力・質入れ力(指図証券性) | — |
| 場面 | 貨物を転売・担保化したいとき | — |
| 例外・制約 | 裏書禁止の記載があれば指名債権譲渡に戻る | — |
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