要点商法765条は、数通の船荷証券について、陸揚港では運送人は一通の所持人への引渡しを拒めず、陸揚港外では全通の返還を受けなければ引き渡せないと定める。
Q · 船荷証券を三通発行したら、一通だけでも貨物を取られるの?
陸揚港では一通の所持人にも引き渡せてしまう
商法765条により、数通の船荷証券が発行された場合、陸揚港では運送人は一通の所持人からの引渡請求を拒めません(1項)。先に港で一通を提示した者が貨物を持っていけるため、残り二通を握っていても止められません。一方、陸揚港外(保税倉庫など)では、全通の返還を受けなければ引き渡せません(2項)。同じ証券でも引渡しの場所でルールが反転します。
あなたが輸入者として、商社経由で貨物を運ばせる。その引換券が船荷証券(B/L)だ。問題は、この証券が一通しか出ないとは限らないこと。実務では「フルセット三通」、つまり同じ効力を持つ原本が三通発行されるのが普通だ。商法765条はここで二つの顔を見せる。陸揚港(貨物が降ろされる港)では、運送人は三通のうち一通の所持人が引渡しを求めてきたら、断れない。残り二通を金庫で握っているのがあなたでも、港に先に着いて一通を出した別人が貨物を持っていける。逆に、港の外の倉庫などで引き渡すときは、全通を回収しなければ運送人は渡せない。同じ貨物でも、どこで渡すかでルールが正反対に切り替わる。この一条を知らずに数通発行を軽く扱うと、紙が分裂した数だけリスクも分裂する。
商法765条は、数通の船荷証券が発行された運送品の引渡しに関する規定である。陸揚港においては、運送人は数通のうち一通の所持人が引渡しを請求したときもこれを拒めず、陸揚港外においては、全通の返還を受けなければ引渡しをすることができない。引渡しの場所を基準として、取引の迅速性と二重渡しの防止を切り分ける構造を採る。
AI 輔助整理,以條文原文為準
運送人が貨物の受取を証し、貨物の引渡請求権を表章する有価証券です。証券の所持人が貨物の引渡しを請求でき、証券の引渡しで貨物の処分権が移転します(物権的効力)。
各通が同一の効力を持つ原本です。陸揚港では一通の所持人への引渡しを拒めないため(商法765条1項)、一通でも第三者に流出すると貨物を先取りされる危険があります。
発行地で原本を回収(元地回収)し、揚地では原本提示なしで貨物を引き取れる方式です。数通原本の先取りリスクが生じないため、信頼できる取引で多用されます。
海上運送状(Sea Waybill)は有価証券ではなく流通しません。原本提示が不要で先取りリスクがない反面、運送中の転売には使えない点が船荷証券との違いです。
まず運送人へ書面で引渡しの差止めを求め、公示催告手続による除権決定で紛失証券を無効化します。決定前に第三者が引き取れば手遅れになるため、判明と同時に動く必要があります。
原本が間に合わないとき、銀行等の保証状を運送人に差し入れて先に貨物を引き取る実務です。運送人の二重渡しリスクを荷主が肩代わりする取引で、後の求償リスクに注意が要ります。
証券の引渡しが貨物そのものの引渡しと同一の効力を持つことです。貨物が運送人の占有下にある間、証券を譲渡すれば貨物の処分権も移転します(商法766条参照)。
外航海運には国際海上物品運送法が特別法として適用され、船荷証券の規定は商法を準用・修正します。国際取引では両法の適用関係を確認する必要があります。
数通発行されている場合、陸揚港では運送人は一通の所持人への引渡しを拒めません(商法765条1項)。なくした一通が第三者の手に渡り、その者が先に港で提示すれば貨物は持っていかれます。業界裏話ヒント:弁護士は紛失と分かった瞬間「除権決定(公示催告)」の手続きを勧めます。これで紛失証券を法的に無効化できますが、決定が出る前に第三者が引き取れば手遅れ。だから紛失判明と同時に運送人への差止め通知を打つスピードが勝敗を分けます
港の外(保税倉庫など)での引渡しは、誰が正当な所持人か運送人が確認しにくく、二重渡しの危険が高いからです。商法765条2項は全通の返還を引渡しの条件とし、運送人を保護しています。業界裏話ヒント:実務では港外引渡しを避け、陸揚港での迅速な引渡しを前提に取引設計します。逆に言えば、相手が港外引渡しを提案してきたら、書類管理がずさんか何か含みがあるサイン。全通の所在を確認するまで応じない判断材料になります
原本を複数のルート(郵送・銀行経由・手持ち)に分けて送ることで、輸送事故や郵便紛失で全部を一度に失うリスクを下げる慣行です。ただし一通でも流出すれば765条1項で先取りされる諸刃の剣です。業界裏話ヒント:近年はこのリスクを嫌い、サレンダーB/L(元地回収)や海上運送状(Sea Waybill)に切り替える企業が増えています。フルセット三通を当然と思わず、取引の信頼度に応じて書類形態を選ぶのがリスク管理の差になります
| dimension | thisArticle | alternatives |
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| 規律内容 | 商法765条:数通発行時の引渡しの方法(陸揚港か否かで要件が反転) | — |
| 適用場面 | 運送人が貨物の引渡しを請求された場面 | — |
| 運送人の対応 | 陸揚港=一通で引渡し可/陸揚港外=全通の返還が必要 | — |
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