要点商法 809 条は共同海損の損害額の算定基準を定め、積荷は陸揚地の時価、船舶は到達地の時価で評価する。書類に実価より低く記載すればその額が損害額の上限となる。
Q · 契約書や保険ではなく、海に捨てられた荷の弁償額はどうやって決まるの?
原則は到達地・陸揚地のその時の時価で決まります
商法 809 条によれば、共同海損となる損害の額は、船舶は到達の地及び時における価格、積荷は陸揚げの地及び時における価格によって算定します。買った値段や保険金額ではなく、到達地・陸揚地のその時の時価が基準です。さらに 2 項により、船荷証券などの価格評定書類に実価より低い価額を記載していた場合は、その記載額で損害額が定まります。関税対策で申告額を下げていると、海難時に取り戻せる額もその低い額に縛られます。
国際輸送で船が嵐に遭い、船を沈めないために一部の積荷が海へ投げ込まれた。あなたの荷は無事だったのに、数か月後「共同海損の分担金を払え」という請求書が届く。捨てられてもいないのに、だ。これが共同海損の世界であり、商法809条はその「犠牲になった荷や費やした費用を、いくらと評価するか」を決める物差しである。鍵は、評価基準が買った値段でも保険金額でもなく、到達地・陸揚げ地のその時の価格だという点。船は到着港のその時の船価、積荷は陸揚げ港のその時の積荷価格で測る。さらに見落とされがちな罠が2項。船荷証券その他の価格評定書類に実価より低い価額を書いていた場合、損害額はその低い記載額で算定される。関税逃れや運賃節約のため申告額を下げていた荷主は、いざ海に捨てられたとき、その下げた額しか取り戻せない。書類に書いた数字が、そのまま自分の首を絞める。
商法 809 条は、共同海損として算定すべき損害額の評価基準を定める規定である。船舶は到達地・到達時の価格、積荷は陸揚地・陸揚時の価格を基準とし、価格評定書類に実価より低い価額が記載された場合は当該記載額を損害額とする旨を規定する。
犠牲を免れて助かった荷主を含む利害関係人全員が、それぞれの財産価値に応じて分担します(商法 810 条)。自分の荷が無事でも免責されません。
多くの貨物海上保険で分担金はカバーされますが、付保額が実価より低い一部保険だと差額は自己負担です。付保額と 809 条の評価額の一致が分かれ目です。
されません。商法 809 条 1 項により陸揚げの地及び時における時価で算定します。仕入れ後に相場が下がれば、買値より少ない額しか戻りません。
海損精算人が用いる評価額の基準地・基準時を確認し、船荷証券の記載価額と陸揚港の相場資料を集めます。精算書確定前なら異議の余地があります。
共同海損の分担に基づく債権は、その計算が終了した時から 1 年で時効消滅します(商法 811 条)。海難発生時ではなく精算確定時が起算点です。
関係します。あなたの輸入コンテナが座礁・火災等で共同海損に巻き込まれれば、809 条の評価ルールが個人にもそのまま適用されます。
共同海損の精算を国際的に統一するための任意ルールです。実務の精算は商法より、船荷証券に組み込まれたこの規則で行われることが多いです。
なります。共同の危険を避けるための消火・座礁回避・機関故障対応などの損害・費用は共同海損となり、毎年実際に宣言されています。
共同海損は、船と全積荷という『共同の冒険』を救うため一部を犠牲にしたとき、助かった者も含め全員で損失を分かち合う制度だからです(商法808条、810条)。あなたの荷が無事なのは誰かの荷が捨てられたおかげ、という理屈です。業界裏話ヒント:この分担金は多くの貨物海上保険でカバーされますが、付保額が積荷の実価より低い『一部保険』だと差額は自己負担になります。付保額を実価に合わせているか、船積み前に確認するのが分かれ目です
減ります。商法809条2項は、価格評定書類に実価より低い価額を記載したときは損害額をその記載額で算定すると定めています。関税対策で低く書く実務は珍しくありませんが、海難時にはその数字が弁償の上限になります。業界裏話ヒント:逆に実価より高く水増ししても評価は実価が基準で、書類の高い額がそのまま通るわけではありません。下振れは書類額、上振れは実価という非対称な構造を知らないと損をします
現役です。コンテナ船の火災・座礁・機関故障などで今も毎年宣言されています。2018年(平成30年)の商法改正で海商編が全面的に現代化され、809条もこのとき整理されました。業界裏話ヒント:実務の精算は商法そのものより、船荷証券に組み込まれたヨーク・アントワープ規則という国際統一ルールで行われることが多い。法律を読むだけでは足りず、自分の船荷証券にどの版の規則が引用されているかを見るのが玄人の一手です
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|---|---|---|
| 条文の役割 | 809 条:共同海損となる損害額の算定基準 | — |
| 評価の物差し | 船舶は到達地、積荷は陸揚地のその時の時価。書類過少記載は記載額 | — |
| 争点になりやすい点 | 基準地・基準時の認定、価格評定書類の記載額 | — |
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