要点商法845条は、船舶の譲受人が登記後に失権公告を行い、一箇月以上の期間内に申出のない船舶先取特権を消滅させる手続を定める規定である。登記簿に載らない船体上の担保を剥がす唯一の手段である。
Q · 中古船を買ったら、前の船主が残した見えない担保を消す方法はあるの?
登記後に失権公告を打てば、申出のない先取特権を消せます
商法845条により、船舶を譲り受けた者は登記後、船舶先取特権を有する者に対し一箇月以上の期間を定めて債権の申出を求める公告(失権公告)を行うことができます。この期間内に申し出なかった船舶先取特権は消滅します(同条2項)。船員の未払賃金や救助料などの船舶先取特権は登記簿に現れず、所有者が代わっても船体を追いかけてくる(追及効)ため、失権公告は中古船取得後に隠れた担保を剥がす唯一の手段です。
中古の貨物船を一隻買い、登記まで済ませて一安心していた半年後、見知らぬ債権者があなたの船を差し押さえる。前の船主が滞納していた船員の給料、海難救助の救助料、港湾使用料。これらは「船舶先取特権」として、人ではなく船体そのものに張り付き、所有者が代わっても船を追いかけてくる。動産なら民法333条で第三取得者に渡った時点で先取特権は行使できなくなるが、登記される船舶はその例外で、譲受人のあなたまで追及される。商法845条は、この見えない担保を剥がすための唯一の掃除道具だ。登記をした後、先取特権を持つ者へ「一定期間内に債権を申し出よ」と公告する。期間は最短でも一箇月。その期間内に名乗り出なかった者の船舶先取特権は、消滅する。買った船を本当に自分のものにできるかは、この公告を打つかどうかにかかっている。
商法845条は船舶譲渡時の失権公告を定める規定であり、船舶所有者が船舶を譲渡した場合、譲受人は登記後、船舶先取特権者に対し一箇月を下らない期間内の債権申出を求める公告をなすべき旨、及びその期間内に申出のない船舶先取特権が消滅する旨を規定する。登記簿に公示されない船舶先取特権の追及効を、期限付きの催告により遮断する制度である。
AI 輔助整理,以條文原文為準
船員の賃金、海難救助の救助料、港湾使用料など一定の債権について、船体そのものを目的物として優先弁済を受けられる法定担保です(商法842条)。登記なく成立し、所有者が代わっても船を追いかけます。
まず譲り受けた船舶の登記を完了させ、その後に船舶先取特権者へ一箇月以上の期間を定めて債権申出を求める公告を行います。官報掲載が一般的で、期間内に申出のない先取特権は消滅します。
必要です。商法845条1項は「登記をした後」公告すべきとしており、譲受人名義の船舶登記が失権公告の前提条件になります。登記前に打った公告では効力が認められません。
船舶国籍証書、船員名簿、過去の港湾利用記録や救助記録まで遡って確認します。船舶先取特権は登記簿に載らないため、登記簿だけ見ても簿外の担保は見抜けません。
船舶先取特権が船舶抵当権に優先します(商法844条)。登記された抵当権より、登記簿に現れない先取特権の方が強いという逆転現象が起きます。
一箇月を下ることができません(商法845条1項後段)。これより短い期間を定めた公告は要件を欠き、先取特権を消滅させる効力を生じません。
はい。船員の賃金債権は船舶先取特権の代表例で、船体に張り付き所有者が代わっても追及できます。失権公告を打たない限り、新所有者の船から優先弁済を受けられます。
登記簿のほか、船員への未払賃金、海難救助料、港湾使用料の有無を遡って調査します。隠れた船舶先取特権を洗い出し、失権公告の段取りを決済条件に組み込むのが要点です。
船そのものについては本当です。船員の賃金や救助料などは船舶先取特権(商法842条)として船体に付き、所有者が代わっても追いかけてきます(追及効)。ただし商法845条の失権公告を打てば、期間内に申し出ない先取特権を消せます。業界裏話ヒント:これらの権利は登記簿に載らないので、船舶国籍証書や船員名簿、港湾の利用記録まで遡らないと簿外の担保は見抜けない
指定期間内に申出をしなかった船舶先取特権は消滅します(商法845条2項)ので、その者は船への優先弁済を主張できません。ただし前船主に対する債権そのものが消えるわけではなく、人的請求は別途残ります。業界裏話ヒント:だからこそ売主は資力のあるうちに、買主は公告の証跡(官報掲載)を確実に残すことが、後の紛争で効いてくる
いいえ、発生後一年で消滅します(商法846条)。さらに譲渡があった場合は845条の失権公告で、最短一箇月という前倒しで消すことができます。業界裏話ヒント:一年の起算は債権発生時なので、いつ発生した債権かの特定が攻防になる。古い船ほど、過去の運航記録をどこまで追えるかが担保リスクの見極めを分ける(最新の改正状況をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 商法845条:譲渡時の失権公告(先取特権を消す手続) | — |
| 効果の方向 | 申出のない先取特権を消滅させる(権利を剥がす) | — |
| 消滅の仕組み | 失権公告+一箇月以上の期間徒過で消滅 | — |
| 主な利用者 | 中古船の譲受人・船舶投資ファンド・融資銀行 | — |
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