要点商法 847 条は、登記した船舶を抵当権の目的にできると定める規定。抵当権の効力は属具に及び、不動産の抵当権規定が準用される。登記した船には質権を設定できない。
Q · 船を担保にお金を借りるとき、質に入れるの?それとも抵当?
占有を渡さず登記だけで船を抵当に入れられ、質権は使えません
商法 847 条により、登記した船舶は抵当権の目的とすることができます。船主は占有を相手に渡さず、登記だけで担保に入れられるため、船を動かして稼ぎながら返済できます。逆に登記した船には質権を設定できません(商法 848 条 1 項)。抵当権の効力は船体だけでなく属具(航海計器や救命設備など)にも及び(847 条 2 項)、実行手続には不動産の抵当権規定が準用されます。ただし船舶先取特権(商法 842 条)は後発でも抵当権に優先する点に注意が必要です。
漁船を担保に運転資金を借りたいとき、あなたはまず「質に入れますか」と聞かれると思っているかもしれない。違う。登記した船には質権を設定できない(商法848条1項)。代わりに使うのが船舶抵当権だ。本来、抵当権は土地や建物のような不動産のための仕組み。だが登記した船は不動産と同じように扱われ、占有を相手に渡さずに担保へ入れられる。つまりあなたは、船を担保に金を借りながら、その船で漁を続け、稼ぎ続けられる。さらにこの抵当権は船体だけでなく属具、つまり航海に必要な計器やエンジン周りの装備にも及ぶ(2項)。担保の範囲を「船体だけ」と思い込んでいると、いざ実行されたときに想定外のものまで競売にかけられる。船を一隻持つということは、この一条の射程に立つということだ。
商法 847 条は船舶抵当権を定める規定であり、登記した船舶を抵当権の目的としうること(1 項)、その効力が属具に及ぶこと(2 項)、不動産の抵当権に関する規定を準用すること(3 項)を規律する。占有移転を伴わない担保物権を登記により公示する点で、動産質権の原則に対する特則として機能する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
登記した船舶を担保に入れる抵当権です。商法 847 条が根拠で、占有を相手に渡さず登記だけで設定でき、効力は船体だけでなく属具にも及びます。
登記した船舶には質権を設定できません(商法 848 条 1 項)。代わりに船舶抵当権を使います。占有を手放さず担保化できるのが特徴です。
船舶抵当権の効力は属具に及びます(商法 847 条 2 項)。航海計器・救命設備など船体に従属する装備が対象で、どこまでが属具かは争いになりやすい点に注意が必要です。
船舶先取特権(商法 842 条)が後から発生しても船舶抵当権に優先します(商法 848 条 2 項)。登記の早さでは覆せない順位の壁があります。
登記した船舶について抵当権設定契約を結び、船舶登記簿に抵当権設定登記をします。占有移転は不要で、登記が第三者対抗要件になります。
商法 847 条の船舶抵当権は登記した船舶が対象です。小型船など登記対象外の船は、別途動産譲渡担保などの手段を検討することになります。
被担保債権が不履行になると、抵当権者は競売を申し立てます。船は移動するため、申立前に船舶国籍証書の取上げなど保全処分を検討します。属具も競売対象に含まれます。
登記した漁船なら船舶抵当権で融資を受けられます。漁協系統や日本政策金融公庫の漁船融資もこの仕組みの上で動いており、船を稼働させながら返済できます。
渡す必要はありません。登記した船は船舶抵当権を使うので、あなたは船の占有を保ったまま、登記だけで担保に入れられます(商法847条1項)。むしろ登記した船には質権を設定できません(商法848条1項)。業界裏話ヒント:だからこそ漁船や貨物船の融資は抵当権が標準で、船を動かして稼ぎながら返済できる。船を港に留め置かれないこの仕組みが、海運と漁業の資金繰りを根っこで支えている
自動では消えません。抵当権は船という物に付いているので、所有者が変わっても残ります。第三取得者として抵当権消滅請求や代価弁済で消す手続が必要です(民法379条以下)。業界裏話ヒント:商法847条3項は民法384条を読み替えていて、通知後の期間計算が不動産の抵当権と微妙に違う。中古船の売買では、登記簿の抵当権を売主の責任で抹消してから引き渡す、と契約に明記するのが鉄則。怠れば、買った後で前所有者の借金の競売に巻き込まれる
必ずしもそうではありません。船舶先取特権(商法842条。船員の給料、救助料、入港料などから生じる)は、後から発生しても船舶抵当権に優先します(商法848条2項)。登記の早さでは覆せない順位の壁があります。業界裏話ヒント:船に融資する金融機関がまず調べるのは、登記された抵当権だけでなく、見えない先取特権が発生していないか。船員の未払賃金や直近の救助・曳航の費用は登記簿に載らないのに抵当権より先に取られる。担保評価でここを見落とすと、回収額が大きく狂う
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 担保の方式 | 商法 847 条:船舶抵当権(占有を渡さず登記で設定) | — |
| 発生原因 | 当事者の抵当権設定契約 + 登記 | — |
| 効力の範囲 | 船体 + 属具(847 条 2 項) | — |
| 優先順位 | 登記の先後で決まるが先取特権には劣後 | — |
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