国家公務員法 第106条の3(在職中の求職の規制)
クイックジャンプ
- 職員は、利害関係企業等(営利企業等のうち、職員の職務に利害関係を有するものとして政令で定めるものをいう。以下同じ。)に対し、離職後に当該利害関係企業等若しくはその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該地位に就くことを要求し、若しくは約束してはならない。
- 2.前項の規定は、次に掲げる場合には適用しない。
- 一退職手当通算予定職員(前条第四項に規定する退職手当通算予定職員をいう。以下同じ。)が退職手当通算法人に対して行う場合
- 二在職する局等組織(国家行政組織法第七条第一項に規定する官房若しくは局、同法第八条の二に規定する施設等機関その他これらに準ずる国の部局若しくは機関として政令で定めるもの、これらに相当する行政執行法人の組織として政令で定めるもの又は都道府県警察をいう。以下同じ。)の意思決定の権限を実質的に有しない官職として政令で定めるものに就いている職員が行う場合
- 三センターから紹介された利害関係企業等との間で、当該利害関係企業等又はその子法人の地位に就くことに関して職員が行う場合
- 四職員が利害関係企業等に対し、当該利害関係企業等若しくはその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該地位に就くことを要求し、若しくは約束することにより公務の公正性の確保に支障が生じないと認められる場合として政令で定める場合において、政令で定める手続により内閣総理大臣の承認を得た職員が当該承認に係る利害関係企業等に対して行う場合
- 3.前項第四号の規定による内閣総理大臣が承認する権限は、再就職等監視委員会に委任する。
- 4.前項の規定により再就職等監視委員会に委任された権限は、政令で定めるところにより、再就職等監察官に委任することができる。
- 5.再就職等監視委員会が第三項の規定により委任を受けた権限に基づき行う承認(前項の規定により委任を受けた権限に基づき再就職等監察官が行う承認を含む。)についての審査請求は、再就職等監視委員会に対して行うことができる。
この条文の基本情報
在職中の求職の規制とは何ですか?
定義在職中の求職の規制とは、国家公務員法第106条の3に定められた規定で、「職員は、利害関係企業等(営利企業等のうち、職員の職務に利害関係を有するものとして政令で定めるものをいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国家公務員法第106条の3(在職中の求職の規制)は、日本の国家公務員法に含まれる条文です。
- 国家公務員法第106条の3の条文原文は「職員は、利害関係企業等(営利企業等のうち、職員の職務に利害関係を有するものとして政令で定めるものをいう。」で始まります。
- 国家公務員法第106条の3は第一款に置かれています。
- 国家公務員法の公布日は昭和22年10月21日です。
- 国家公務員法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国家公務員法第106条の3の前の条は国家公務員法第106条の2です。
- 国家公務員法第106条の3の次の条は国家公務員法第106条の4です。
- 国家公務員法第106条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第106条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000120 - 本サイト収録
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第106条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000120/106_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国家公務員法106条の3は、職員が在職中に職務上の利害関係企業等へ再就職目的で自己情報の提供・求職・約束をすることを禁じる。センター紹介や監視委員会の承認等の例外がある。
Q · 国家公務員が在職中に、担当業界の企業へ転職の相談をしてもいいの?
原則禁止。センター経由か監視委員会の承認があれば可能
国家公務員法106条の3第1項により、職員は在職中、職務に利害関係のある企業等(政令で指定)やその子法人に対し、再就職を目的として自分の情報を提供すること、ポストの情報を尋ねること、採用を要求・約束することを禁じられています。企業側から誘われた場合も同じです。例外は、退職手当通算法人への移籍、意思決定権限のない政令指定官職、官民人材交流センターの紹介、再就職等監視委員会の承認の四つです。違反は懲戒処分の対象になります。
解説
国家公務員が転職活動をすること自体は禁止されていない。問題になるのは相手と行為である。職員は在職中、自分の職務に利害関係のある企業に対して、再就職のために自分の経歴を売り込むこと、ポストの情報を尋ねること、採用を求めること、採用の約束をすることを禁じられる。対象はその子会社のポストにも及ぶ。どの企業が「利害関係企業等」に当たるかは政令(職員の退職管理に関する政令)が決める。許認可や補助金の相手方、立入検査の対象、契約の相手方などがこれに含まれる。見落とされやすいのは、企業の側から声をかけてきた場合でも、それに応じて約束すれば職員側の違反になるという点だ。例外は四つ。官民人材交流センターの紹介を通す場合、内閣総理大臣の承認(実際には再就職等監視委員会が行う)を事前に得た場合、意思決定の実権がない政令指定の官職にある場合、退職手当を通算する予定の法人へ移る場合である。どこに接触したか、どのルートを通ったか。記録に残るこの二点で、ただの転職活動なのか懲戒処分になる違反なのかが分かれる。
法的な位置づけ
国家公務員法106条の3は在職中の求職規制を定める規定であり、職員が利害関係企業等(職員の職務に利害関係を有する営利企業等として政令で定めるもの)又はその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報の提供、当該地位に関する情報提供の依頼、当該地位への就任の要求又は約束を行うことを禁止する。適用除外として四つの場合が定められている。
手順
- 1.接触先が利害関係企業等に当たるか確認する スカウトや打診を受けたら返信する前に、相手企業(その親会社・子会社を含む)が自分の職務に関する許認可・補助金・検査・契約の相手方に当たるかを整理し、人事課に照会する
- 2.自分の官職が適用除外に当たるか書面で確認する 意思決定の権限を実質的に有しない官職として政令で指定されているかを人事課に確認し、回答を書面またはメールで保存する。肩書きだけで判断しない
- 3.適法なルートを選ぶ 利害関係企業等に当たる場合は、返信前に官民人材交流センターへの相談か、再就職等監視委員会への承認申請のどちらを使うかを決める。承認前に条件交渉や内定の約束をしない
- 4.承認取得後に接触し、記録を残す 承認またはセンター紹介を得てから、その対象企業に限って接触する。やり取りの日時と内容を時系列で保存し、管理職職員であれば再就職の約束に関する届出も忘れずに行う
よくある質問 AI による整理
Q1天下り規制とは何ですか?
国家公務員の再就職に伴う癒着を防ぐルールの総称です。在職中の求職規制(106条の3)、府省による再就職あっせんの禁止(106条の2)、元職員による働きかけの禁止(106条の4)などから成ります。
Q2利害関係企業等とは何ですか?
職員の職務に利害関係を持つ営利企業等として政令で定めるものです。許認可や補助金の相手方、立入検査の対象、契約の相手方などが典型で、範囲は職員の官職ごとに判断されます。
Q3国家公務員の在職中の転職活動は違法ですか?
転職活動そのものは違法ではありません。禁止されるのは、職務上の利害関係企業等やその子法人への求職・情報提供・約束です。利害関係のない企業への転職活動は本条の対象外です。
Q4利害関係企業等の子会社への転職も規制されますか?
規制されます。本条1項は「当該利害関係企業等若しくはその子法人の地位」と明記しており、親会社を避けて子会社経由で接触しても規制を免れることはできません。
Q5官民人材交流センターとは何ですか?
国家公務員の再就職支援を担う内閣府の機関です。センターから紹介された利害関係企業等との間であれば、本条2項3号により在職中の求職規制の適用が除外されます。
Q6在職中の求職規制に違反するとどうなりますか?
国家公務員法82条に基づく懲戒処分(免職・停職・減給・戒告)の対象となります。職務上の不正行為と結びつく場合は、懲戒にとどまらず刑事罰の問題に発展するおそれがあります。
Q7係長や課長補佐も天下り規制の対象ですか?
原則として対象です。適用除外は、意思決定の権限を実質的に有しない官職として政令で個別に指定されたものに限られ、肩書きの高低で自動的に外れるわけではありません。
Q8官僚を採用しようとした企業は罰せられますか?
本条は職員側の行為を規制するもので、企業を直接罰する規定は置かれていません。ただし発覚すれば、社名報道や取引上の信用低下など事実上の不利益を受ける可能性があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ビズリーチに登録してるだけでもアウトですか?
登録そのものは本条違反ではない。規制されるのは、職務上の利害関係企業等に対して、再就職のために自分の情報を提供したり、採用を要求したりすることである(106条の3第1項)。実務のポイント:実務上の落とし穴は、スカウトを受けた後である。送り主が自分の担当業界の企業なら、応じた時点で規制に触れる。応じる前に、その社名が利害関係企業等に当たるかを照合する習慣を持つ人は少ない
Q2辞めてから就活すれば全部自由なんですよね?
本条は在職中の求職を規制するものなので、離職後の求職は対象外である。ただし離職後は、元の職場に働きかけることが別に規制される(106条の4)。さらに、在職中に交わした暗黙の約束が後から見つかれば、在職中の違反として扱われる。実務のポイント:退職の直前に「辞めたら改めて」と話を付けておくやり方は、約束をしたと認定されやすい典型である。退職日の前後で区切っても、証拠の上では一続きの行為として扱われる
Q3承認ってどれくらい通るものなんですか?
承認は、公務の公正性の確保に支障がないと認められる場合に、政令で定める手続によって与えられる(本条2項4号)。権限は再就職等監視委員会に委任されている(3項)。実務のポイント:承認されるかどうかは、職務との関連の薄さを具体的に示せるかで決まる。担当の範囲、在任期間、相手企業との接点を数字で整理した申請書は審査が早く進む。承認の件数と概要は委員会の年次報告に載っているので、申請前に傾向を確認できる
間違えやすい点 AI による整理
- 「企業から誘われただけなら自分は悪くない」と考えがちだが、条文は職員が求職の要求や約束をすることを禁じている。誘ったのが誰かは関係ない。相手の誘いに乗って「では、ぜひ」と返した瞬間に、違反をしたのは職員のほうになる
- 天下り規制と聞くと、局長や審議官のような幹部だけの話だと思われている。実際には係長や課長補佐級にも原則として及ぶ。適用除外になるのは、意思決定の権限を実質的に持たない官職として政令で個別に指定されたものに限られる。自分の官職が除外に当たるかどうかは、肩書きではなく政令の指定で確かめる必要がある
- 転職する職員は「バレるかどうか」を気にしがちだが、そもそも問い方がずれている。管理職の職員には再就職の約束を届け出る義務があり(106条の23)、再就職等監視委員会は事後に接触の経緯を調べる権限を持つ。論点は発覚するかどうかではない。接触の記録を後から説明できるかどうかである。平成29年(2017年)の文部科学省の組織的な天下りあっせん問題は、メールの履歴から発覚した
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規制される人 | 106条の3:求職する職員本人 | 106条の2:他の職員・元職員の再就職をあっせんする職員 106条の4:再就職した元職員 |
| 規制される時期 | 在職中 | 在職中(あっせん行為の時点) 離職後 |
| 禁止される行為 | 利害関係企業等への自己情報提供・情報提供依頼・就任の要求・約束 | 営利企業等への他の職員の情報提供・地位就任の依頼 元の職場の職員に対する契約・処分等に関する働きかけ |
| 主な例外 | 退職手当通算法人・政令指定官職・センター紹介・監視委員会の承認 | センターの業務として行う場合など 法令に基づく手続や公表された事項に関する場合など |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は離職後一定期間、離職前の職務と直接関係する営利事業の役職就任を制限する事後型の規制が中心。在職中の求職行為そのものを直接禁じる日本型の条文は置いていない
韓国は一定級以上の退職公職者について、業務関連性のある機関への就業を審査制で制限する。事前審査という点で日本の監視委員会の承認と発想が近い
ドイツは退職後の職業活動に届出義務を課し、公務上の利益を害するおそれがあれば禁止できる。規律の軸は退職後の活動にある
米国は在職中の「求職(seeking employment)」を明示的に規律し、求職先に影響する職務からの回避(recusal)を義務づける。在職中の接触を問題にする点で日本の本条に最も近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 許認可を担当する課長補佐のもとに、担当業界の大手企業の人事部から「退官後、ぜひ当社に」と LINE が届いた。返信で「前向きに考えます、条件を教えてください」と送った時点で、情報提供の依頼に当たりうる。黙って既読を付けるのと、一行返信するのとでは法的な意味がまったく違う
- 転職サイトに匿名でレジュメを登録していたら、自分の課が補助金を出している企業からスカウトが来た。登録そのものは違反ではない。ただ、そのスカウトに応じて面談を受ければ、仲介サイトを通していても利害関係企業等への求職に当たるおそれが高い
- もし上司が「OB が行っている会社だから、辞める前に一度顔を出しておけ」と勧めてきたら、どうなる? 行ったのがあなた自身なら違反はあなたの責任として問われ、上司のほうは別の条文(106条の2、他の職員の再就職あっせんの規制)で問題になる。一つの出来事で二人とも処分される構図だ
- 退職予定日まで三か月。承認の手続を後回しにしたまま内定の約束を先に取り付けると、承認が下りる前の約束はそのまま違反行為として残る。順番は必ず「承認を得てから接触」
- 採用する企業の人事担当者として、担当官庁の係長級に声をかけた。企業側を直接罰する規定はこの条文にはない。しかし内部調査や報道で表に出れば、入札の指名停止や社名公表と同じ種類の評判リスクを負う
取るべき行動
被害を受けた側:入札で競り負けた事業者や内部の同僚として、担当官と特定企業のあいだに再就職をめぐるやり取りを疑ったときの手順。1. 日時、やり取りの内容、関わった人物を記録する2. 再就職等監視委員会、または府省の内部通報窓口に情報を提供する。公益通報者保護法による保護が及ぶかどうかも確認しておく3. 入札結果に影響した疑いがあれば、発注機関の苦情処理手続も並行して使う。臆測だけで公表すると名誉毀損のリスクがあるので避ける
訴えられた側:1. 接触の経緯(誰が先に連絡してきたか、何をやり取りしたか)を時系列にまとめ、メールやチャットの記録はそのまま保存する。削除は不利にしか働かない2. 自分の官職が適用除外(2項2号)に当たるか、センター経由や承認があったかを確認する3. 懲戒処分を受けた場合は、人事院への審査請求を検討する4. 職務上の不正行為と結びついていると疑われる場合は刑事罰の問題(112条)に移るので、すぐに弁護士へ相談する
時効(請求できる期限):本条違反そのものに時効はなく、懲戒処分の権限にも期間制限はない。懲戒処分に不服があるときは、処分説明書を受け取った日の翌日から3か月以内、処分の日の翌日から1年以内に人事院へ審査請求をする(国家公務員法90条の2)。承認の拒否に不服があるときは、再就職等監視委員会へ審査請求をする(本条5項)。期間は原則として処分を知った日の翌日から3か月(行政不服審査法18条)(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成19年(2007年)改正(平成20年(2008年)12月31日施行) 府省による再就職あっせんの禁止とあわせて、在職中の求職規制を新設した。官民人材交流センターと再就職等監視委員会の仕組みも導入された
- その後の改正(要人的検証) 内閣人事局の設置や行政不服審査法の全部改正(平成26年(2014年))に伴い、承認権限や不服申立ての文言が調整された可能性がある。改正年と内容は人による確認が必要
改正の年表
- 1.平成19年(2007年) 新設:国家公務員法の一部改正により、府省による再就職あっせんの禁止とあわせて在職中の求職規制を新設。官民人材交流センターと再就職等監視委員会の制度も導入され、平成20年(2008年)12月31日に施行された
- 国家公務員法 第106条の2他の職員の再就職あっせんの規制
- 国家公務員法 第106条の4離職後の元職員による働きかけの規制
- 国家公務員法 第106条の23管理職職員の再就職約束の届出義務
- 国家公務員法 第82条本条違反に対する懲戒処分の根拠
- 国家公務員法 第112条不正行為に関連する求職の刑事罰(現行効力を要確認)
- 地方公務員法 第38条の2地方公務員の退職管理、規制の構造が異なる
- 国家公務員倫理法 第5条利害関係者との接触を規律する倫理規程の根拠
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