国家公務員法 第93条(公務傷病に対する補償)
クイックジャンプ
- 職員が公務に基き死亡し、又は負傷し、若しくは疾病にかかり、若しくはこれに起因して死亡した場合における、本人及びその直接扶養する者がこれによつて受ける損害に対し、これを補償する制度が樹立し実施せられなければならない。
- 2.前項の規定による補償制度は、法律によつてこれを定める。
この条文の基本情報
公務傷病に対する補償とは何ですか?
定義公務傷病に対する補償とは、国家公務員法第93条に定められた規定で、「職員が公務に基き死亡し、又は負傷し、若しくは疾病にかかり、若しくはこれに起因して死亡した場合における、本人及びその直接扶養する者がこれによつて受ける損害に対し、…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国家公務員法第93条(公務傷病に対する補償)は、日本の国家公務員法に含まれる条文です。
- 国家公務員法第93条の条文原文は「職員が公務に基き死亡し、又は負傷し、若しくは疾病にかかり、若しくはこれに起因して死亡した場合における、本人及びその直接扶養する者がこれによつて受ける損害に対し、…」で始まります。
- 国家公務員法第93条は第三目に置かれています。
- 国家公務員法の公布日は昭和22年10月21日です。
- 国家公務員法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国家公務員法第93条の前の条は国家公務員法第92条の2です。
- 国家公務員法第93条の次の条は国家公務員法第94条です。
- 国家公務員法第93条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第93条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000120 - 本サイト収録
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第93条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000120/93
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国家公務員法93条は、公務上の死亡・負傷・疾病について本人と直接扶養する者の損害を補償する制度の樹立を国に義務づけ、その内容は法律で定めると規定する。
Q · 国家公務員が仕事中にけがをしたら、どの制度で補償されるの?
労災保険ではなく国家公務員災害補償法で補償される
国家公務員法93条は、公務上の死亡・負傷・疾病について、本人とその直接扶養する者の損害を補償する制度を国がつくり運用するよう定め、2項でその内容を法律で定めるとしています。これを受けた国家公務員災害補償法が療養・休業・障害・遺族などの補償を定めます。労災保険法は国の官公署の事業に原則適用されないため(同法3条2項)、手続の窓口は労働基準監督署ではなく所属省庁です。
解説
国家公務員が仕事中にけがをしても、労働基準監督署に労災を申請することはできない。労働者災害補償保険法は、国の官公署の事業には原則として適用されないからである(同法3条2項)。国家公務員には、民間とは別の補償制度が用意されている。その出発点が本条だ。1項は、公務が原因の死亡・負傷・疾病について、本人と「直接扶養する者」(その職員の収入で暮らしている家族)が受ける損害を補償する制度を、国がつくって実際に運用しなければならないと定める。2項は、制度の中身を法律で定めるよう命じている。これを受けて作られたのが国家公務員災害補償法である。見落とされやすいのは、この補償で損害の全部が埋まるわけではないという点だ。療養・休業・障害・遺族などへの補償は決まった基準で支払われるが、精神的苦痛に対する慰謝料は含まれない。国に安全配慮義務(職員の生命と健康を守るよう配慮する義務)の違反があれば、補償とは別に損害賠償を請求できる。この二つ目の請求があると知っているかどうかで、最終的に受け取る額が変わる。
法的な位置づけ
国家公務員法93条は、公務災害補償制度の樹立を国に義務づける規定である。職員が公務に基づき死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、又はこれに起因して死亡した場合に、本人及びその直接扶養する者が受ける損害を補償する制度の樹立・実施を求め、制度の内容を法律で定めるものとする。個別の補償請求権の直接の根拠は国家公務員災害補償法に置かれている。
よくある質問 AI による整理
Q1国家公務員の公務災害とは何ですか?
職員が公務に基づいて死亡・負傷・疾病にかかることです。国家公務員法93条を受けた国家公務員災害補償法により、所属省庁などの実施機関が認定し補償します。
Q2公務災害の申請先はどこですか?
労働基準監督署ではなく、所属省庁の補償担当です。実施機関が公務上の災害かどうかを認定し、補償を行います。
Q3公務災害の認定に不服がある場合はどうする?
人事院に審査を申し立てることができます。手続の細目は人事院規則で定められているため、期限を含めて事前に確認が必要です。
Q4公務災害で慰謝料はもらえますか?
公務災害補償には慰謝料が含まれません。国の安全配慮義務違反があれば、補償とは別に損害賠償として慰謝料を請求できる余地があります。
Q5公務災害補償はいつまで請求できる?
国家公務員災害補償法に時効の定めがあり、補償の種類により期間が異なります。最新の条文を確認し、早めに手続を始めるのが安全です。
Q6国家公務員の過労死は公務災害になる?
長時間勤務など公務による過重負荷が原因と認められれば、公務災害として認定され得ます。勤務記録やPCログの保全が認定の鍵になります。
Q7地方公務員の公務災害は同じ制度?
別制度です。地方公務員は地方公務員災害補償法により、地方公務員災害補償基金が補償を行います。国家公務員法93条の対象は国家公務員です。
Q8独立行政法人の職員は公務災害の対象?
行政執行法人の職員は国家公務員のため対象ですが、それ以外の多くの独立行政法人や国立大学法人の職員は労災保険の対象です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1公務員って労災がおりないって本当ですか?
本当です。労働者災害補償保険法は、国の官公署の事業には原則として適用されません(同法3条2項)。その代わりに、本条を受けてつくられた国家公務員災害補償法が、療養・休業・障害・遺族などの補償を定めています。実務のポイント:手続は所属省庁の中から始まるため、上司が消極的だと止まりやすい。認定をめぐる不服は人事院への審査申立てで争える、と覚えておくと心強い。
Q2非常勤で役所に勤めてるんですが、私も対象になりますか?
一般職の国家公務員であれば、非常勤職員も国家公務員災害補償法の対象です(同法1条)。実務のポイント:同じ「国の仕事」に見えても、国立大学法人や多くの独立行政法人の職員は国家公務員ではないので、使う制度は労災保険です。ただし、行政執行法人の職員は国家公務員です。まず自分の身分がどちらかを確かめるのが第一歩になります。
Q3補償をもらったら、もう国を訴えることはできないんですか?
訴えることはできます。国は職員に対して安全配慮義務を負っているとされており(最判昭和50.2.25)、その違反があれば損害賠償を請求できます。ただし、すでに受けた補償の分は賠償額から差し引かれるなど調整されます。実務のポイント:公務災害の認定で集まった勤務記録や医師の意見は、そのまま訴訟の証拠になる。認定を先に取っておくことが、賠償請求の土台にもなる。
間違えやすい点 AI による整理
- 公務員も民間と同じ労災保険で守られていると思われがちだが、実際は違う。一般職の国家公務員には国家公務員災害補償法が適用され、手続の窓口も、認定をする機関も、不服を申し立てる先(人事院)も、すべて民間とは別になっている
- 本人から見れば「公務災害と認定されて補償を受けた」時点で一件落着に思える。しかし法律から見ると、補償は損害の一部を決まった基準で埋める制度にすぎない。慰謝料は含まれていないのである。この落差に気付かないまま「今後一切請求しない」といった趣旨の書面にサインすると、国への損害賠償請求の余地を自分で狭めてしまう
- 「この条文を根拠に国を訴えられるか」という問いは、そもそも立て方がずれている。本条は、国に対して補償制度をつくるよう命じた規定である。個々の職員が補償を請求する権利の根拠は、国家公務員災害補償法のほうにある。審査の申立てや請求で引く条文を間違えると、主張そのものが空回りする
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 樹立を命じる制度 | 国公法93条:公務上の死亡・負傷・疾病に対する災害補償制度 | 国公法107条:相当年限勤務して退職した場合等の年金制度 |
| 保護される者 | 本人及びその直接扶養する者 | 退職した職員及びその遺族等 |
| 制度の具体化 | 法律で定める(国家公務員災害補償法) | 法律で定める(国家公務員共済組合法等) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾でも公務員の災害は民間の労工保険とは別の体系で扱われ、因公死亡は撫卹制度、執行職務中の安全衛生は保障法が規律する
韓国は公務員年金法から災害補償部分を分離し、公務員専用の災害補償法を置く。民間の産業災害補償保険法とは別体系である点で日本と共通
ドイツの官吏は法定災害保険ではなく、官吏扶助法の Unfallfürsorge(公務災害扶助)で保護される
米国連邦職員は FECA により労働省が補償を行い、州の労災制度とは別枠。FECA は原則として国への不法行為請求を排除する点で日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 本省の係長が、月100時間を超える残業を三か月続けた末に、国会対応の最中に脳出血で倒れた。家族はまず「労災の申請書はどこでもらえるのか」と迷う。しかし提出先は労働基準監督署ではない。所属する省庁の補償担当を通じて、公務災害の手続を進めることになる
- 出張先のホテルで夜に転倒してけがをした場合、公務災害になるのだろうか? 出張中は全体として公務の性質を帯びるとされる。ただ、私的な飲み会の帰りのように業務とのつながりが切れた場面では、否定されることがある。どこで線を引くかは個別の事情によって決まる
- 課長として、部下の災害報告書を上に回す立場になったとする。「本人の持病だろう」と一言添えて上げれば、認定が遅れるだけでは済まない。後に安全配慮義務違反が争われたとき、その一言が国側に不利な証拠として読まれかねない
- 国立大学の事務職員が、学内の階段で転倒した。国立大学法人の職員は国家公務員ではないため、使う制度は労災保険になる
- 公務中の事故で夫を亡くしてから一年半がたつ。遺族補償の手続は後回しにしてきたが、葬祭補償のように2年で時効にかかる補償もある。残された時間は、あと半年しかない(最新の改正状況をご確認ください)
取るべき行動
被害を受けた側:1. 負傷や発症の当日に、業務指示の内容・時刻・場所・目撃者をメモとメールで残す。 2. 所属省庁の補償担当に災害を報告し、公務災害として認定してほしいという意思をはっきり伝える。 3. 過重労働が疑われる場合は、入退館記録やパソコンのログを早めに保全するよう求める。 4. 認定の結果に不服があれば、人事院に審査を申し立てる(国家公務員災害補償法24条)。 5. 補償でまかなえない慰謝料などについては、安全配慮義務違反の請求を弁護士に相談する。
訴えられた側:1. 管理職として部下の災害報告を受けたら、握りつぶさず、事実を歪めずに速やかに上げる。 2. 私傷病か公務災害かを管理職の段階で判断しない。認定するのは実施機関である。 3. 勤務時間や業務量の記録には手を加えない。記録の改変は、後の訴訟で最も不利な証拠になる。 4. 家族から問い合わせがあれば、手続の窓口と流れを文書で示す。
時効(請求できる期限):補償を受ける権利は原則として2年、障害補償と遺族補償は5年で時効により消滅する(国家公務員災害補償法28条、最新の改正状況をご確認ください)。起算点は、それぞれの補償を受ける権利が生じた時である。安全配慮義務違反による損害賠償は、人の生命・身体の侵害の場合、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から20年で時効となる(民法166条、167条)。
学説
通説:本条は国に補償制度の樹立・実施を命じる制度保障的な規定であり、個々の職員の補償請求権は本条2項を受けた国家公務員災害補償法に基づいて発生すると解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:国家公務員法の制定とともに設けられ、公務災害補償制度の樹立と、その内容を法律で定めることを規定した。
- 国家公務員法 第94条補償制度に定めるべき事項(現行効力を要確認)
- 国家公務員法 第95条補償制度の実施責務(現行効力を要確認)
- 国家公務員法 第107条制度樹立を命じる同型の年金規定
- 国家公務員法 第86条過重勤務是正の行政措置要求
- 国家公務員災害補償法 第1条本条2項を受けた補償法の適用範囲
- 国家公務員災害補償法 第24条認定の不服についての人事院審査(現行効力を要確認)
- 労働者災害補償保険法 第3条国の官公署事業への適用除外
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める