国家公務員法 第86条(勤務条件に関する行政措置の要求)
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職員は、俸給、給料その他あらゆる勤務条件に関し、人事院に対して、人事院若しくは内閣総理大臣又はその職員の所轄庁の長により、適当な行政上の措置が行われることを要求することができる。
この条文の基本情報
勤務条件に関する行政措置の要求とは何ですか?
定義勤務条件に関する行政措置の要求とは、国家公務員法第86条に定められた規定で、「職員は、俸給、給料その他あらゆる勤務条件に関し、人事院に対して、人事院若しくは内閣総理大臣又はその職員の所轄庁の長により、適当な行政上の措置が行われることを要求…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国家公務員法第86条(勤務条件に関する行政措置の要求)は、日本の国家公務員法に含まれる条文です。
- 国家公務員法第86条の条文原文は「職員は、俸給、給料その他あらゆる勤務条件に関し、人事院に対して、人事院若しくは内閣総理大臣又はその職員の所轄庁の長により、適当な行政上の措置が行われることを要求…」で始まります。
- 国家公務員法第86条は第一目に置かれています。
- 国家公務員法の公布日は昭和22年10月21日です。
- 国家公務員法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国家公務員法第86条の前の条は国家公務員法第85条です。
- 国家公務員法第86条の次の条は国家公務員法第87条です。
- 国家公務員法第86条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第86条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000120 - 本サイト収録
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第86条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000120/86
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国家公務員法86条は、職員が俸給や超過勤務などあらゆる勤務条件について、人事院に適当な行政上の措置を要求できると定める。組合を通さず一人でも申し立てられる。
Q · 国家公務員は残業や給料に不満があるとき、一人でもどこかに正式に訴えられるの?
できる。人事院に行政措置の要求を出せる
国家公務員法86条により、職員は俸給・超過勤務・休暇・執務環境などあらゆる勤務条件について、人事院に適当な行政上の措置を求めることができます。職員団体への加入は要件ではなく、一人でも申し立てられます。人事院は審査・判定を行い(87条)、必要があれば自ら措置を実行するか、内閣総理大臣や所轄庁の長に勧告します(88条)。ただし求められるのは行政上の措置であり、法律改正そのものは対象外です。
解説
国家公務員は、ストライキができない。団体協約を結ぶ権利もない。では給料や残業、職場の環境に不満があるとき、黙って耐えるしかないのか。答えは否で、その出口が国家公務員法86条の「行政措置の要求」である。職員は一人でも、俸給・超過勤務・休暇・執務環境などあらゆる勤務条件について、人事院に「適当な措置をとらせてほしい」と正式に申し立てられる。人事院は審査したうえで判定を出す(87条)。措置が必要と判断すれば、人事院の権限内のことは自ら実行し、それ以外は内閣総理大臣や各省大臣に実行を勧告する(88条)。上司に相談しても「上に伝えておく」で終わってきた不満が、ここを通すと記録に残る公式の手続に変わる。組合を通さなくても、職場の空気を読まなくても、一人の職員が人事院という第三者機関を直接動かせる。この事実を知っているかどうかで、同じ不満を抱えた二人の公務員の行動はまったく変わる。
法的な位置づけ
国家公務員法86条は勤務条件に関する行政措置の要求を定める規定であり、職員が俸給、給料その他あらゆる勤務条件について、人事院に対し、人事院、内閣総理大臣または所轄庁の長による適当な行政上の措置を要求できる旨を定める。争議行為の禁止および団体協約締結権の否定に対する代償措置の一環と位置付けられ、手続の細則は人事院規則13-2に委ねられている。
手順
- 1.求める勤務条件を一文で特定する 何が不当なのかを具体化する。例:超過勤務の実態と手当支給額の乖離、空調故障の放置など。法律改正ではなく「行政上の措置」として実行可能な形に書き直す
- 2.証拠と経緯を集める 勤務記録、PC のログオン・ログオフ記録、メール送信時刻、上司への相談の日付・相手・回答を整理する。非公式に改善を求めた経緯も材料になる
- 3.人事院の苦情相談で制度を確認する いきなり要求書を出す前に、人事院の苦情相談窓口で対象となるか、どの規則が関係するかを確認する。ここで職場の運用が改善される場合もある
- 4.人事院規則13-2に従い行政措置要求書を提出する 人事院所定の様式に沿って要求事項と理由を記載し、証拠資料を添えて提出する。要求後に不利益な扱いを受けた場合は、その記録も別途残す
よくある質問 AI による整理
Q1行政措置要求とは何ですか?
国家公務員が勤務条件の改善を人事院に正式に求める制度です。国家公務員法86条が根拠で、人事院が審査し判定を出します(87条)。
Q2国家公務員 残業 どこに訴える?
まず人事院の苦情相談で制度を確認し、改善されなければ国家公務員法86条に基づき人事院へ行政措置要求を出す方法があります。
Q3行政措置要求の対象になる勤務条件は?
俸給・手当、超過勤務、勤務時間、休暇、執務環境など幅広く対象です。一方、組織の管理運営事項は対象外とされうる点に注意が必要です。
Q4行政措置要求に期限はありますか?
86条自体に法定の申立期限はありません。ただし証拠の散逸や異動による事情変化を考えると、問題が続いている間の申立てが現実的です。
Q5行政措置要求で法律の改正を求めることはできる?
できません。86条で求められるのは行政上の措置で、国会が定める法律の改正そのものは対象外です。求める内容の書き方が重要です。
Q6行政措置要求の判定に不服がある場合はどうする?
要求を退ける判定も行政処分として取消訴訟の対象となりうると解されてきました。提訴期間などは弁護士に確認してください。
Q7非常勤の国家公務員も行政措置要求できる?
86条の主語は「職員」で、一般職の国家公務員であれば非常勤も含まれうると考えられます。個別の適用範囲は人事院に確認するのが確実です。
Q8行政措置要求を出したら不利益な扱いを受けない?
要求を理由とする不利益な扱いがあれば、それ自体が不利益処分として90条の審査請求の対象となりうります。経緯の記録を残すことが重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1組合に入ってないんですけど、一人でも人事院に訴えられるんですか?
できます。86条の主語は「職員」なので、職員団体への加入は要件ではありません。手続の詳細は人事院規則13-2で定められています。実務のポイント:職場では「組合を通すもの」と思い込まれていることが多く、個人の申立てが来ること自体、所轄庁にとっては想定外で重く受け止められやすい。件数が少ない手続だからこそ、一件が目立つ
Q2要求しても結局『措置の必要なし』で終わったら、もう打つ手はないんですか?
人事院の判定(87条)については、判例上、要求を退ける判定も行政処分として取消訴訟の対象となりうると解されてきました(地方公務員の措置要求について最判昭和36.3.28)。実務のポイント:判定を取り消させることより、審査の過程で所轄庁が資料を出し、実態が記録に残ること自体に意味がある。判定が出る前に職場の運用がこっそり改善される例も珍しくない
Q3パワハラも行政措置要求で扱ってもらえますか?
職場環境のあり方は勤務条件に関わるので、ハラスメント防止措置の実施を求める形なら対象になりうると考えられます。人事院規則10-16が各省に防止措置を義務付けているため、その不履行を具体的に指摘できます。実務のポイント:加害者個人の処分を求めるより「所轄庁が規則上の防止義務を果たしていない」という構成にした方が、行政上の措置という86条の枠にきれいに収まる
間違えやすい点 AI による整理
- 「勤務条件の改善は組合か人事院勧告に任せるもの」と思われがちだが、86条の主語は「職員」である。組合に入っていなくても、組合が動かなくても、一人の職員が自分の名前で申し立てられる。集団の交渉ルートと個人の要求ルートは、別の道として並んでいる
- 行政措置要求は知っていても、それが労働基本権を制限することの憲法上の正当化を支える装置の一部だという重みを知る人は少ない。最高裁は公務員の争議行為禁止を合憲とする際、人事院などの代償措置が整っていることを理由に挙げた(全農林警職法事件、最大判昭和48.4.25)。この仕組みが形だけになれば、公務員の争議行為禁止の正当性そのものが問われることになる
- 職員から見れば「こんな不公平な給与法を変えてくれ」と要求したくなる。だが法律から見れば、86条が求められるのは「行政上の措置」であって、国会が決める法律の改正そのものではない。また組織の管理運営に関する事項は、勤務条件にあたらないとして対象外とされうる。何を求めるかの書き方を誤ると、中身を審査される前に門前払いになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 目的 | 国公法86条:勤務条件の改善を求める(将来に向けた措置) | 国公法90条:受けた不利益処分の取消し等を求める 地公法46条:地方公務員の勤務条件措置要求 |
| 申立先 | 人事院 | 人事院(審査請求) 人事委員会または公平委員会 |
| 前提となる行為 | 特定の処分は不要、勤務条件への不満があればよい | 懲戒処分・降任など職員に対する不利益処分 特定の処分は不要、勤務条件への不満があればよい |
| 結果 | 判定(87条)→ 人事院の措置実行または勧告(88条) | 処分の承認・修正・取消しの判定 判定 → 権限ある機関への勧告等 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では服務機関の管理措置や工作条件の処置に不服がある公務員が、申訴・再申訴を公務人員保障暨培訓委員会に提起できる。第三者機関に個人が申し立てる構造は日本の行政措置要求と近い
韓国は公務員の苦情処理制度を設け、勤務条件や人事管理に関する苦情を審査機関に申し立てられる
ドイツの連邦官吏は職務上の経路を通じて申請や苦情を提出できる。官吏にはストライキ権がない点で日本と共通する
米国の連邦職員は団体交渉協定に基づく苦情処理手続を利用する。ストライキ禁止と苦情処理制度を組み合わせる設計
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 霞が関の本省勤務で、毎月の超過勤務は100時間近い。なのに勤務記録上は45時間程度に収まっていて、手当もそれに見合う分しか出ていない。課長に言っても「どこも同じ」で終わる。それなら、勤務時間の適正な管理と手当の支給を求めて、人事院への行政措置要求を検討する余地がある
- 地方の出先機関に異動したら、執務室の空調が壊れたまま夏を越し、予算がないと言われ続けている。執務環境も勤務条件に含まれうる。短い要求書一通で、この問題は人事院の審査対象になる
- あなたが管理職の側で、部下が人事院に行政措置要求を出したと知らされたら、どうなる? 人事院から事情の聴取や資料の提出を求められ、判定次第では所轄庁の長に勧告が届く。ここで要求した部下に冷たく当たれば、今度はそれ自体が不利益処分として90条の審査請求の火種になる
- 育児中の職員が、特定の部署だけ早出遅出勤務の申請が事実上通らない運用になっていると気づいた。来月から保育園の送迎時間が変わる。あと数週間しかない中で、まず人事院の苦情相談で制度の確認をし、職場の運用が変わらなければ行政措置要求へ進む、という二段構えが考えられる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 何が勤務条件として不当なのかを一文で特定する(例:超過勤務の実態と手当支給額の乖離) 2. 勤務記録、PC のログオン記録、メール送信時刻、上司とのやりとりの日付を集める3. まず人事院の苦情相談で制度面を確認し、改善されなければ人事院規則13-2に従って行政措置要求書を出す4. 法律改正ではなく「行政上の措置」を求める書き方にする5. 要求後に不利益な扱いを受けたら、その記録も残す
訴えられた側:所轄庁の管理職として要求を受けた側なら:1. 要求した職員への報復と受け取られる配置換えや評価の変更は厳に避ける。それ自体が89条・90条の紛争の火種になる2. 人事院の照会には勤務時間管理や予算措置の実態を正確に示す資料で対応する3. 指摘された問題に理由があるなら、判定を待たずに自主的に改善する方が組織の傷は浅い
時効(請求できる期限):86条の要求自体に法定の申立期限はない。ただし証拠の散逸や人事異動による事情変化を考えると、問題が続いている間に申し立てるのが現実的である。手当の未払い部分を後から請求する場合は、消滅時効の問題が別に生じうる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:行政措置要求は、労働基本権を制約された国家公務員に対する代償措置の一環であり、職員個人に認められた手続上の権利である。要求を受けた人事院は審査・判定の義務を負い、判定は取消訴訟の対象となりうる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:国家公務員法の制定により、勤務条件に関する行政措置の要求制度が設けられた
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