国家公務員法 第85条(刑事裁判との関係)
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懲戒に付せらるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。この法律による懲戒処分は、当該職員が、同一又は関連の事件に関し、重ねて刑事上の訴追を受けることを妨げない。
この条文の基本情報
刑事裁判との関係とは何ですか?
定義刑事裁判との関係とは、国家公務員法第85条に定められた規定で、「懲戒に付せらるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国家公務員法第85条(刑事裁判との関係)は、日本の国家公務員法に含まれる条文です。
- 国家公務員法第85条の条文原文は「懲戒に付せらるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。」で始まります。
- 国家公務員法第85条は第二款に置かれています。
- 国家公務員法の公布日は昭和22年10月21日です。
- 国家公務員法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国家公務員法第85条の前の条は国家公務員法第84条の2です。
- 国家公務員法第85条の次の条は国家公務員法第86条です。
- 国家公務員法第85条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第85条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000120 - 本サイト収録
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第85条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000120/85
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国家公務員法85条は、刑事裁判の係属中でも人事院または人事院の承認を経た任命権者が懲戒手続を進められると定め、懲戒処分は刑事訴追を妨げないとする。
Q · 公務員が起訴されたら、刑事裁判の判決が出る前でも懲戒処分されるの?
される。人事院の承認があれば判決前でも懲戒手続を進められる
国家公務員法85条前段により、事件が刑事裁判所に係属している間でも、人事院または人事院の承認を経た任命権者は、同一事件について懲戒手続を進めることができます。後段により、懲戒処分を受けても同一・関連事件で刑事訴追を受けることは妨げられません。実務では起訴休職(同法79条)で判決を待つ運用もありますが、それは任命権者の裁量による選択であり、職員が求められる権利ではありません。
解説
「推定無罪」は刑事法廷のルールである。役所の人事の場では、同じ重さでは働かない。国家公務員法85条は、そのことを条文で明らかにしている。起訴されて事件が刑事裁判所に係属していても、懲戒手続は判決を待たずに進められる。進められるのは、人事院か、人事院の承認を得た任命権者(あなたを採用・配置する権限を持つ大臣や長官など)である。後段はさらに厳しい。懲戒処分を受けても、同じ事件や関連する事件で刑事訴追されることは妨げられない。懲戒免職になり、そのうえ有罪判決も受ける。それでも憲法39条の二重処罰には当たらないと解されている。懲戒の目的は組織の秩序を保つこと、刑罰は国家が犯罪を罰する権限であり、目的が違うからである。つまり、あなたが守るべき場所は二つある。刑事弁護人に任せきりにしていると、人事側の事情聴取で口にした一言が、判決より先にあなたの職の行方を決めてしまう。
法的な位置づけ
国家公務員法85条は、懲戒手続と刑事手続の関係を定める規定である。懲戒に付すべき事件が刑事裁判所に係属中であっても、人事院または人事院の承認を経た任命権者は同一事件について適宜懲戒手続を進めることができ、また懲戒処分は同一または関連事件における刑事訴追を妨げない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.刑事と懲戒の二本の手続を把握する 起訴された時点で、刑事裁判とは別に懲戒手続が判決前に動きうること(国家公務員法85条前段)を前提に、刑事弁護人と今後の見通しを共有する
- 2.人事側の事情聴取に備えて説明内容を整理する 人事課から事情聴取の日程連絡が来たら、返答する前に弁護人に連絡し、刑事公判での主張と矛盾しない説明内容を整理してから応じる
- 3.懲戒処分の指針で処分の重さを見積もる 人事院の「懲戒処分の指針」で自分の行為類型の標準的な処分量定を確認し、依願退職の是非を退職手当の差止め・不支給と刑事の情状の両面から弁護人と検討する
- 4.処分説明書を受け取ったら3か月以内に審査請求 懲戒処分を受けたら、刑事判決を待たずに、処分説明書を受け取った日の翌日から3か月以内に人事院へ審査請求を行う。取消訴訟は審査請求を経る必要がある
よくある質問 AI による整理
Q1国家公務員法85条とは?
懲戒と刑事裁判の関係を定める条文です。刑事裁判の係属中でも懲戒手続を進められ、懲戒処分を受けても刑事訴追は妨げられないと定めています。
Q2公務員 逮捕されたら 懲戒免職になる?
逮捕だけで自動的に免職にはなりません。処分の要否と重さは、人事院の「懲戒処分の指針」を参考に、行為の内容や情状から懲戒権者が判断します。
Q3懲戒処分と刑事罰は二重処罰で違法?
違法ではないと解されています。懲戒は組織の秩序維持、刑罰は国家の刑罰権の行使で目的が異なるため、憲法39条の二重処罰には当たりません。
Q4任命権者は人事院の承認なしで判決前に懲戒できる?
85条の文言上、刑事裁判の係属中に任命権者が懲戒手続を進めるには人事院の承認を経る必要があります。承認の有無は処分の適法性を争う論点になりえます。
Q5公務員 起訴 退職金 もらえる?
起訴されると退職手当の支払が差し止められることがあり(国家公務員退職手当法13条)、懲戒免職なら全部または一部が支給されないことがあります(同12条)。
Q6懲戒処分 審査請求 いつまで?
処分説明書を受け取った日の翌日から3か月以内、かつ処分の日の翌日から1年以内に人事院へ審査請求する必要があります(国家公務員法90条の2)。
Q7略式起訴で罰金になった公務員は懲戒される?
罰金刑は国家公務員法38条の欠格事由(禁錮以上)には当たりませんが、非違行為として懲戒の対象にはなりえます。刑の軽重と懲戒の判断は別です。
Q8地方公務員にも同じルールはある?
地方公務員の懲戒は地方公務員法が規律しており、国家公務員法85条は直接適用されません。刑事と懲戒の関係の扱いは、地方公務員法と各団体の条例・運用で確認が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1起訴されただけで、有罪かどうかもまだ分からないのにクビにできるんですか?
できる。85条前段は、刑事裁判の係属中でも、人事院または人事院の承認を得た任命権者が懲戒手続を進めることを認めている。処分の判断は懲戒権者の裁量に委ねられ、社会観念上著しく妥当を欠く場合に限って違法となる(最判昭和52.12.20神戸税関事件)。実務のポイント:実務では起訴休職(79条)のまま判決を待つ例も多い。人事側が判決前に動くかどうかは、本人が事実を認めているかで分かれやすい
Q2懲戒免職になった後に無罪判決が出たら、復職できますか?
自動的には戻らない。懲戒処分は刑事判決とは別の行政処分であり、無罪判決が出ても当然に効力を失うわけではない。争うには人事院への審査請求(90条)や取消訴訟が必要になる。実務のポイント:無罪は「犯罪を証明できなかった」という意味にとどまり、信用失墜行為(99条)などの懲戒事由は別に認定されうる。審査請求の期間は刑事判決を待ってくれないため、無罪を確信していても期間内に出しておくことが保険になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「判決が出るまで処分は保留されるはず」と思われがちだが、85条前段は判決前でも懲戒手続を進めることを認めている。実務では起訴休職(79条)で様子を見る運用も多いが、それは任命権者の裁量による選択であって、職員が求められる権利ではない
- 「懲戒免職になったのだから、刑事は勘弁してもらえるか」という問いは、立て方が誤っている。後段が明示するとおり、懲戒は刑事訴追を妨げない。ただし、職を失ったという社会的制裁は、起訴猶予の判断や量刑の情状として考慮されることはある。法的な免除ではなく、情状の一材料にとどまる
- 本人にとって無罪判決は潔白の証明に見える。しかし法律から見れば、無罪は「犯罪の証明が足りなかった」という意味にすぎず、懲戒の判断は刑事とは別の事実認定で行われる。刑事では無罪でも、職務の信用を傷つけた行為(信用失墜行為、99条)として懲戒が維持されることはありうる。この見え方の違いが、無罪後の復職を難しくする
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 措置の性質 | 国公法85条:刑事係属中でも懲戒手続を進められる(手続の並行) | 国公法79条:起訴休職(懲戒ではない分限上の措置) 国公法82条:懲戒事由と処分の種類(免職・停職・減給・戒告) |
| 判決との関係 | 判決を待たずに懲戒可能、懲戒後も刑事訴追は妨げられない | 判決が出るまで職務から外す暫定的な措置 刑事の有罪・無罪とは別の事実認定で懲戒事由を判断 |
| 職員への影響 | 判決前に懲戒免職となり、職と退職手当を失うことがありうる | 身分は維持され、休職中も給与の一部が支給されうる 処分の種類に応じて職・給与・昇任に影響 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も「刑懲併行」を原則とし、刑事手続中も懲戒審理を停止しない。ただし懲戒が犯罪の成否に左右される場合、懲戒法廷は審理を停止できる。刑罰を受けた行為についても懲戒は可能
韓国は捜査機関から捜査開始通知を受けた事件について、懲戒手続を進めないことができると定め、日本より刑事優先の選択肢を明文で置いている
ドイツは刑事手続が係属する場合、懲戒手続を原則として中止し、刑事判決の事実認定に拘束力を認める仕組みを持つ。刑罰後の懲戒措置にも制限がある点で日本と対照的
米国連邦公務員は、禁錮刑相当の犯罪を犯したと信じる合理的理由がある場合、通常より短い予告期間で不利益処分を行える。刑事手続と行政処分は独立して進行する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 飲酒運転で起訴された同僚が「判決が出るまでは処分されないはず」と言っていたら、その前提は正しいのか? 85条前段がある以上、正しくない。人事院の承認があれば、公判の途中で懲戒免職の辞令が届くことは制度上ありうる
- あなたは省庁の人事担当で、収賄容疑で起訴された課長補佐の処分案をまとめている。人事院の承認を得ずに処分を急げば、あとで処分の適法性を争われる余地を自分から作ることになる。国会で追及される日まで、残りは一週間しかない
- 懲戒で停職6か月を受けた。数か月後、同じ件で略式起訴され、罰金の命令が届いた。「一度罰を受けたのだから」という言い分は通らない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 公務員の非行による被害は、刑事告訴と並行して所属官庁への申告も検討する。85条により、懲戒は刑事の結論を待たずに動きうる2. 職務上の行為による損害なら国に対して国家賠償(国家賠償法1条)を、職務と無関係の私的な行為なら本人個人に対して民法709条の請求を考える3. 懲戒の結果は、公表基準に基づいて公表されることがある。所属官庁の報道発表を確認する
訴えられた側:1. 刑事弁護人に、懲戒手続も同時に動きうることを伝え、人事側の事情聴取での説明内容を事前に整理する2. 人事院の「懲戒処分の指針」で、自分の行為類型の標準的な処分の重さを確認する3. 処分説明書を受け取ったら、3か月以内に人事院へ審査請求を行う(90条、90条の2)。取消訴訟は審査請求を先に経る必要がある(92条の2) 4. 依願退職をするかどうかは、退職手当の差止め・不支給と刑事の情状の両面から弁護人と相談して決める
時効(請求できる期限):懲戒処分に対する人事院への審査請求は、処分説明書を受け取った日の翌日から3か月以内、かつ処分の日の翌日から1年以内(国家公務員法90条の2)。取消訴訟は審査請求を経たうえで、裁決を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)。懲戒処分そのものに時効の規定はない(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:懲戒処分は公務員関係における秩序維持を目的とする行政上の制裁であり、刑罰とは目的・性質を異にする。そのため同一事実について懲戒と刑罰を併科しても憲法39条に反せず、85条後段はこの整理を確認的に明文化したものと解される。
手続保障の観点:判決前の懲戒は無罪推定と緊張関係に立つため、85条が任命権者の手続進行に人事院の承認を要求している点は、第三者機関による歯止めとして重視される。
- 国家公務員法 第82条懲戒事由と処分の種類
- 国家公務員法 第84条懲戒権者と人事院の懲戒手続
- 国家公務員法 第79条起訴休職、懲戒とは別の措置
- 国家公務員法 第90条懲戒処分に対する審査請求
- 国家公務員法 第99条信用失墜行為の禁止、懲戒の基礎
- 国家公務員退職手当法 第12条懲戒免職等の場合の退職手当支給制限
- 国家公務員退職手当法 第13条起訴された場合の退職手当支払差止
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