国家公務員法 第98条(法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止)
クイックジャンプ
- 職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
- 2.職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。
- 3.職員で同盟罷業その他前項の規定に違反する行為をした者は、その行為の開始とともに、国に対し、法令に基いて保有する任命又は雇用上の権利をもつて、対抗することができない。
この条文の基本情報
法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止とは何ですか?
定義法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止とは、国家公務員法第98条に定められた規定で、「職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国家公務員法第98条(法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止)は、日本の国家公務員法に含まれる条文です。
- 国家公務員法第98条の条文原文は「職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」で始まります。
- 国家公務員法第98条は第七節に置かれています。
- 国家公務員法の公布日は昭和22年10月21日です。
- 国家公務員法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国家公務員法第98条の前の条は国家公務員法第97条です。
- 国家公務員法第98条の次の条は国家公務員法第99条です。
- 国家公務員法第98条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第98条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000120 - 本サイト収録
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第98条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000120/98
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国家公務員法98条は、職員に法令と上司の職務上の命令への服従を義務づけ、同盟罷業・怠業などの争議行為を禁止する。違反した職員は身分保障を主張できない。
Q · 国家公務員はストライキをしてもいいの?
できない。争議行為は全面禁止で、あおった者は刑事罰の対象
国家公務員法98条2項は、職員による同盟罷業、怠業その他の争議行為と、政府の活動能率を低下させる怠業的行為を禁止しています。参加しただけの職員は刑事罰ではなく懲戒処分(82条)の対象となり、3項により身分保障を主張できません。争議行為を企て、共謀し、そそのかし、あおった者には110条の刑事罰があります。最高裁は全農林警職法事件(1973年)で、人事院勧告などの代償措置を根拠に一律禁止を合憲としました。
解説
日本の国家公務員には、ストライキという選択肢が法律上存在しない。本条は三層でできている。1項は、法令と上司の命令に従う義務。2項は、ストライキや怠業(わざと仕事のペースを落とすサボタージュ)の全面禁止で、しかも「何人も」あおってはならないと書き、公務員以外にも網をかけている。3項は、禁止に違反した職員は、免職や降格に対して身分保障(国家公務員法75条)を盾にできないという宣告だ。1973年の全農林警職法事件で最高裁大法廷は、憲法28条の労働基本権があっても一律禁止は合憲と判断した。その代わりに置かれたのが人事院勧告という代償措置(奪った権利の穴埋め装置)である。見落とされがちなのは1項の語順だ。「上司の命令に忠実に」より前に「法令に従い」が置かれている。重大かつ明白に違法な命令には従う義務がない、というのが通説である。ただし、どこからが「明白」かは実務上、解釈が分かれている。
法的な位置づけ
国家公務員法98条は、一般職の国家公務員の服務に関する規定であり、1項で法令および上司の職務上の命令に従う義務を、2項で争議行為・怠業的行為の禁止とそのあおり等の禁止を、3項で違反職員が任命または雇用上の権利をもって国に対抗できない旨を定める。労働基本権の制約は人事院勧告等の代償措置と一体で理解される。
手順
- 1.違法の疑いがある指示をその場で記録する 口頭で指示を受けたら即座に実行せず、日時・場所・指示者・指示の文言をメモに残す。1項は法令遵守を命令服従より先に置いているため、判断の材料となる事実を確保することが出発点になる
- 2.書面での指示を求め、意見を具申する 指示者に対し、書面またはメールでの指示を依頼し、自分の疑義を文書で具申して送信記録を保存する。後に責任が問われた際、指示の存在と異議の事実を示す証拠になる
- 3.公益通報窓口を確認する 所属府省の内部通報窓口と、府省外の通報先を確認する。公益通報者保護法の枠組みを把握したうえで、通報するかどうかを検討する
- 4.処分を受けたら期限内に審査請求する 不利益な処分を受けた場合は処分説明書を保管し、受領日の翌日から3か月以内に人事院へ審査請求する。審査請求を経ないと取消訴訟を提起できないため、期限の管理が決定的に重要になる
よくある質問 AI による整理
Q1国家公務員法98条とは?
国家公務員の服従義務と争議行為の禁止を定める条文です。1項で法令・命令への服従、2項でストや怠業の禁止、3項で違反者の身分保障の喪失を定めています。
Q2国家公務員 スト 違法?
違法です。98条2項が争議行為を全面的に禁止しています。参加者は懲戒処分の対象、企てやあおりをした者は110条により刑事罰の対象となります。
Q3怠業的行為とは何ですか?
政府の活動能率を低下させる行為を指します。順法闘争や一斉定時退庁のように、形式上は合法でも目的と態様しだいで該当しうるとされています。
Q4公務員 違法な命令 拒否できる?
重大かつ明白に違法な命令には従う義務がないというのが通説です。違法の疑いにとどまる場合は、意見を述べたうえで従うべきとする見解が有力です。
Q5全農林警職法事件とは?
1973年の最高裁大法廷判決です。国家公務員の争議行為の一律禁止とあおり行為の処罰を、人事院勧告などの代償措置の存在を根拠に合憲と判断しました。
Q6国家公務員法98条3項の意味は?
争議行為をした職員は、その行為の開始とともに、法令上の任命・雇用上の権利を国に対して主張できなくなるという規定です。身分保障を盾にできません。
Q7公務員 懲戒処分 不服申立て いつまで?
処分説明書を受領した日の翌日から3か月以内、処分の日の翌日から1年以内に人事院へ審査請求します(国家公務員法90条の2)。
Q8地方公務員もストは禁止?
禁止です。地方公務員は地方公務員法37条が同様に争議行為を禁止しています。国家公務員法98条と並ぶ規定として理解されています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1上司の命令がおかしいと思ったら、断ってもいいんですか?
1項は法令遵守を命令服従より先に置いている。重大かつ明白に違法な命令は無効で、従う義務はないというのが通説である。違法の疑い程度なら、意見を述べたうえで従うべきとする見解が有力で、実務上解釈が分かれる。実務のポイント:断るか従うかの二択で考えるより、疑義を書面で具申した記録を残すことの方が、後で自分を守る力になる
Q2ストに参加しただけで、クビになることってあるんですか?
ありうる。参加だけなら刑罰はないが、懲戒処分(82条)の対象になり、3項により身分保障を盾に争えない。実務のポイント:人事院の「懲戒処分の指針」では、違法な争議行為への参加は減給または戒告、あおり等は免職または停職が標準例とされる(最新の改正状況をご確認ください)。参加と主導で処分の桁が変わる
Q3公務員はストできないのに、給料はどうやって上げるんですか?
人事院が民間給与を調査し、国会と内閣に給与改定を勧告する(国家公務員法28条の情勢適応の原則)。最高裁は全農林警職法事件で、この代償措置があることを争議行為一律禁止を合憲とする根拠の一つにした。実務のポイント:学説では、勧告が完全に実施されない状態が続くと代償措置が機能不全となり、禁止の合憲性の前提が揺らぐとする議論が根強い
Q4民間人がSNSで公務員にストを呼びかけたら、捕まりますか?
2項は「何人も」あおってはならないと定め、110条の罰則は公務員に限られていない。文言上は民間人も対象になりうる。ただし処罰されるのは、違法な争議行為を実行させる目的で決意を生じさせ、または助長する勢いのある刺激を与える行為とされ、抽象的な意見表明との境界は実務上解釈が分かれる。実務のポイント:問題になりやすいのは、日時・方法を特定した具体的な行動の呼びかけである
間違えやすい点 AI による整理
- 「ストに参加した公務員は逮捕される」と思われがちだが、実は違う。国家公務員法110条が刑罰を科すのは、争議行為を企て、共謀し、そそのかし、あおった者である。単に参加しただけの職員は刑事罰ではなく、懲戒処分(82条)と、3項による身分保障の喪失という形で責任を負う
- 職員から見れば「上司の命令だから従った」は免罪符に見える。だが法律から見れば、1項はまず「法令に従い」と命じている。重大かつ明白に違法な命令に従って違法行為をした場合、命令があったことは責任を消さない。この落差が、指示どおりに動いた末端職員を最も深く傷つける
- 「公務員にも労働組合があるのだから、ストもできるはずだ」という問いの立て方自体がずれている。一般職の国家公務員が作るのは労働組合法上の労働組合ではなく、国家公務員法上の「職員団体」(108条の2)である。当局と交渉はできるが、団体協約を結ぶ権利はなく(108条の5第2項)、争議権もない。そもそも土俵が違う
- 怠業的行為が「サボり」程度の話だと思っていると、深刻度を見誤る。規則を過剰に厳格適用して業務を遅らせる順法闘争や、一斉の定時退庁による業務停滞も、目的と態様しだいで「政府の活動能率を低下させる怠業的行為」に当たりうる。形式上は合法な行動の束が、2項違反に化ける
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の内容 | 98条:服従義務と争議行為・怠業的行為の禁止 | 110条:争議行為の企て・共謀・そそのかし・あおり等への刑事罰 82条:法令違反等に対する懲戒処分 |
| 対象者 | 職員(2項後段のあおり等は「何人も」) | 文言上、職員に限られない 職員 |
| 違反の効果 | 行為の開始とともに任命上の権利で国に対抗不可(3項) | 刑事罰(拘禁刑等) 免職・停職・減給・戒告 |
| 争う手続 | 身分保障の主張自体が制限される | 刑事訴訟手続 人事院への審査請求(90条)→取消訴訟 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は服従義務を定めつつ、命令が違法と考える場合の報告義務と、長官が書面署名で下達した場合の服従、刑事法令違反の命令には服従義務がない旨を明文化しており、日本より手続が具体的である
韓国も服従義務と集団行為の禁止を定める。事実上の労務に従事する公務員など一部に例外がある点が日本の一律禁止と異なる
ドイツは官吏のストライキ禁止を伝統的原則として基本法から導き、連邦憲法裁判所も2018年に合憲とした。命令に疑義がある場合の異議申立て(Remonstration)手続が法定されている
米国も連邦職員のストライキを禁止し、刑事罰も規定する。1981年の航空管制官ストでの大量解雇が象徴的事例である
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 上司から「この決裁文書、日付と記載を差し替えておいて」と口頭で指示されたら、従うべきなのか? 1項は法令遵守を命令服従より先に置いている。公文書の改ざんが明白に違法なら服従義務はなく、従えば虚偽公文書作成罪(刑法156条)などの責任を自分が負う側に回りうる
- あなたは職員団体の役員として、掲示板に「来週は全員で残業命令を拒否し、定時一斉退庁しよう」と書き込んだ。集団で業務を滞らせる行為は怠業的行為と評価されうる。参加した同僚は懲戒の対象、呼びかけたあなたは国家公務員法110条の刑事罰の対象にもなりうる。善意の呼びかけが、立場を一段重くする
- SNSで「官僚は全員ストしろ」と投稿した大学生。2項の「何人も」は文言上、民間人にも及ぶ。単なる意見表明と処罰対象の「あおり」の境界は、実務上解釈が分かれている
- 停職3か月の処分説明書が今日届いた。人事院への審査請求期限は受領翌日から3か月。国家公務員の懲戒処分は審査請求を経ないと取消訴訟を起こせない。期限を一日でも過ぎれば、裁判所の扉ごと閉じる
- 税関で働く兄から相談された。「職場で一斉に年休を取って抗議しようという話が出ている。年休は権利だから問題ないよな?」。年休の形をとっても、業務の正常な運営を阻害する目的の一斉休暇は、実質的に同盟罷業と評価されうる(白石営林署事件 最判昭和48.3.2)。「権利の行使」という看板だけでは守られない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 違法の疑いがある命令を受けたら、その場で実行せず、日時・場所・指示者・文言を記録する2. 書面やメールでの指示を求め、疑義をメールで意見具申して送信記録を残す3. 内部の公益通報窓口や、所属府省外の通報先(公益通報者保護法の対象)を確認する4. 不利益な異動や処分を受けたら、処分説明書を保管し、人事院への審査請求や弁護士相談を期限内に検討する
訴えられた側:1. 争議行為への関与を問われたら、自分の行為が「参加」か「企て・あおり」かを切り分ける。刑事責任の有無がここで分かれる2. 事情聴取では、呼びかけの文面・送信範囲・具体的な実行計画の有無を正確に整理する3. 懲戒処分を受けたら処分説明書を受け取り、処分の量定が「懲戒処分の指針」と均衡しているかを確認する4. 不服があれば受領翌日から3か月以内に人事院へ審査請求する
時効(請求できる期限):懲戒処分に対する人事院への審査請求は、処分説明書を受領した日の翌日から3か月以内、処分の日の翌日から1年以内(国家公務員法90条の2)。取消訴訟は審査請求を経た後(同法92条の2)、裁決を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)。争議行為のあおり等(同法110条)の公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項)
学説
通説(服従義務の限界):職務命令は有効と推定され職員は原則として服従義務を負う。ただし重大かつ明白な瑕疵のある命令は無効であり、これに従う義務はないと解される。
判例(代償措置論):公務員の地位の特殊性と職務の公共性、勤務条件法定主義、人事院勧告等の代償措置を根拠に、争議行為の一律禁止を合憲とする。
学説上の批判(限定解釈説):職種や業務の性質を問わない一律禁止は広すぎ、代償措置が十分に機能しない場合は合憲性の前提が揺らぐとする見解が学説に根強い。
改正沿革 AI による整理
- 昭和23年(1948年)改正 マッカーサー書簡と政令201号を受けた国家公務員法改正により、職員の争議行為および怠業的行為の禁止、ならびに違反者が任命上の権利を主張できない旨の規定が整備された。公務員労働基本権の制約の出発点である
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:国家公務員法制定(昭和22年法律第120号)。職員の服務に関する規定として本条が置かれた
- 2.昭和23年(1948年) 改正:マッカーサー書簡と政令201号を受けた改正により、争議行為・怠業的行為の禁止と、違反者が任命上の権利をもって対抗できない旨の規定が整備された
- 国家公務員法 第110条争議行為のあおり等への刑事罰
- 国家公務員法 第82条違反職員に対する懲戒処分
- 国家公務員法 第96条服務の根本基準、全体の奉仕者
- 国家公務員法 第28条情勢適応の原則、人事院勧告の代償措置
- 国家公務員法 第108条の5職員団体の交渉、団体協約締結権の否定
- 行政執行法人の労働関係に関する法律 第17条行政執行法人職員の争議行為禁止の特則
- 公益通報者保護法 第9条国家公務員の公益通報者保護(現行効力を要確認)
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める