児童福祉法 第3条の2
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国及び地方公共団体は、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならない。ただし、児童及びその保護者の心身の状況、これらの者の置かれている環境その他の状況を勘案し、児童を家庭において養育することが困難であり又は適当でない場合にあつては児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう、児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合にあつては児童ができる限り良好な家庭的環境において養育されるよう、必要な措置を講じなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 児童福祉法第3条の2は、日本の児童福祉法に含まれる条文です。
- 児童福祉法第3条の2の条文原文は「国及び地方公共団体は、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならない。ただし、児童及びその保護者の心身の状況、これらの…」で始まります。
- 児童福祉法第3条の2は第一節 国及び地方公共団体の責務に置かれています。
- 児童福祉法の公布日は昭和22年12月12日です。
- 児童福祉法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 児童福祉法第3条の2の前の条は児童福祉法第3条です。
- 児童福祉法第3条の2の次の条は児童福祉法第3条の3です。
- 児童福祉法第3条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第3条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164 - 本サイト収録
児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第3条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000164/3_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点児童福祉法3条の2は、国と自治体に保護者支援を義務づけ、家庭養育が困難な場合は里親等の家庭と同様の環境、それも適当でなければ良好な家庭的環境で養育するよう定める。
Q · 児童相談所に「施設に入所します」と言われたら、それで決まりなの?
いいえ。まず里親など家庭と同様の環境が検討されるべきです
児童福祉法3条の2は、国と自治体にまず保護者を支援する義務を課しています。家庭での養育が困難または適当でない場合は里親・ファミリーホーム・養子縁組といった「家庭と同様の養育環境」が優先され、施設などの「家庭的環境」はそれも適当でない場合の選択肢です。本条は直接の請求権を生みませんが、措置(27条)の裁量を統制する基準となるため、里親を検討した経過の記録があるかどうかが争点になります。
解説
2016年、この国の子ども政策の優先順位が一行で書き換えられた。児童福祉法3条の2は、子どもを育てる場所に法律上の序列を置いている。第一に実の家庭(だから国と自治体は保護者を支援する義務を負う)、それが困難または適当でないときは里親・ファミリーホーム・養子縁組といった「家庭における養育環境と同様の養育環境」、それも適当でないときに初めて「できる限り良好な家庭的環境」(小規模グループケアや地域小規模の施設)。つまり大規模施設は最後の選択肢に格下げされた。児童相談所の面談室で「施設に入所することになります」と告げられたとき、あなたが出せる問いはひとつ増える。「なぜ里親ではないのですか」である。条文が順序を書いた以上、順序を飛ばした判断には理由の記録が要る。その記録があるかないかが、後の争い方をすべて決める。
法的な位置づけ
児童福祉法3条の2は、家庭養育優先原則を定める規定であり、国及び地方公共団体に対し、児童が家庭で健やかに養育されるよう保護者を支援する責務を課すとともに、家庭養育が困難又は不適当な場合には里親等の家庭と同様の養育環境、それも適当でない場合にはできる限り良好な家庭的環境での養育を確保する措置を講じるよう義務づける。
手順
- 1.在宅で使える支援を具体名で申し込む 3条の2本文は保護者支援を第一の道としている。面談では「支援が必要です」と抽象的に言うのではなく、子育て短期支援事業(ショートステイ・トワイライトステイ)、養育支援訪問事業、生活保護や就労支援など、制度名を挙げて利用を申し込み、その記録を残してもらう
- 2.検討経過の記録を開示請求する 施設入所の方針を告げられたら、里親・親族里親を検討した経過と援助方針会議の記録について、保有個人情報の開示請求を行う。記録の有無が、後の審査請求や訴訟で最も効く材料になる
- 3.親族里親・里親の受け皿を書面で示す 祖父母など引き取り可能な親族がいる場合、親族里親の制度名を挙げて申し出る。養育できる体制(住居、就労、支援者、通院先)を一式の資料にまとめ、口頭ではなく書面で提出する
- 4.措置決定後は期限内に不服申立てを検討する 措置決定通知の教示欄で審査請求の期限と宛先を確認する。審査請求は処分を知った日の翌日から3か月、取消訴訟は6か月以内。28条の家裁承認が申し立てられた場合は家事審判が主戦場になるため、早期に弁護士へ相談する
よくある質問 AI による整理
Q1家庭養育優先原則とは何ですか?
子どもはまず実の家庭で、困難なら里親等の家庭と同様の環境で、それも難しい場合に小規模な施設等で育てるという順序の原則です。児童福祉法3条の2が根拠です。
Q2児童福祉法3条の2はいつできた条文ですか?
2016年(平成28年)の児童福祉法改正で新設されました。翌2017年の「新しい社会的養育ビジョン」はこの条文を具体化する方針として示されました。
Q3家庭と同様の養育環境には何が含まれますか?
里親(養育里親・専門里親・養子縁組里親・親族里親)、ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)、養子縁組が該当すると整理されています。
Q4家庭的環境とはどんな施設ですか?
地域小規模児童養護施設や、施設内の小規模グループケアなど、少人数で家庭に近い生活単位を作る形態を指します。大規模施設とは区別されます。
Q5児童相談所は保護者を支援しなければならないのですか?
はい。3条の2本文は、国と自治体に対し、児童が家庭で養育されるよう保護者を支援する義務を定めています。分離は支援で対応できない場合の選択です。
Q6里親委託率の目標はどれくらいですか?
新しい社会的養育ビジョンは、未就学児の里親委託率75%以上、学童期以降50%以上を目標に掲げました。具体的な数値は各都道府県の推進計画で確認できます。
Q7施設入所の措置に不服があるときはどうすればいいですか?
処分を知った日の翌日から3か月以内に審査請求、6か月以内に取消訴訟を検討できます。3条の2の順序を飛ばした判断は不当の主張材料になります。
Q8家庭養育優先原則は児童の権利条約と関係ありますか?
あります。児童の権利条約20条は家庭環境を奪われた児童への代替的養護を定め、国連の代替的養護指針も家庭を基本とする養育を重視しており、本条の背景となっています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1里親に預けるって、親権を取られるってことですか?
違います。里親委託(児童福祉法27条1項3号)では親権は保護者に残り、里親が担うのは日常の監護です。親権が実際に移るのは特別養子縁組(民法817条の2)が成立した場合だけです。実務のポイント:この誤解のせいで里親委託に同意しない保護者が多く、結果として子どもが施設に長く滞在します。職員は説明していますが、面談の緊張の中では耳に入りません。「親権は動かないという理解でいいですか」と自分の口で一度確認すると、選べる道が一つ増えます
Q23条の2を根拠に、里親委託を「させる」ことはできますか?
直接の請求権にはなりません。3条の2は国と地方公共団体の責務規定で、具体的にどの措置を採るかは27条に基づく都道府県の裁量です。ただし裁量の統制基準としては機能し、順序を飛ばした判断は違法・不当の主張材料になります。実務のポイント:審査請求や訴訟で実際に効くのは条文解釈より「里親を検討した記録が存在しない」という一点です。だから先に取りに行くべきは法律書ではなく、援助方針会議の記録の開示請求です
Q3祖父母が引き取りたいと言っているのに、施設と言われました
親族里親という類型があり(児童福祉法6条の4)、3条の2の「家庭と同様の養育環境」に該当します。養育里親と比べ研修要件が緩和される一方、支給される手当の構成が異なります。実務のポイント:親族が申し出ても「生活に余裕がないでしょう」と流されることがありますが、養育にかかる費用は措置費でかなりの部分が賄われます。経済面を理由に諦める前に、支給される費目の一覧を出してもらってください
Q4施設で育つのはかわいそう、という前提は正しいんですか?
条文は施設を否定していません。3条の2の但書は、家庭と同様の環境が適当でない場合に「できる限り良好な家庭的環境」を求めており、小規模化された施設がその受け皿です。専門的ケアが必要な子どもには施設が最適な場合もあります。実務のポイント:実務上は、支援体制が伴わないまま里親委託を優先し、委託解除(不調)を繰り返すと子どもの傷が深くなるという指摘があり、評価が分かれています。現場の実質的な争点は「里親か施設か」ではなく「支援体制があるか」です
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば「子どもを取り上げられた」だが、法律から見れば「家庭養育を支援する責務を果たしたうえでの最終手段」である。この落差が痛いのは、実際には支援が届いていなくても、記録上は支援したことになっている場合があるからだ。だから最初の一手は条文解釈ではなく、援助方針会議の記録と支援経過の開示請求になる
- 3条の2が理念規定にすぎないことは、多くの人が知っている。知られていないのは、その軽視が実務でどれだけ高くつくかだ。理念規定は直接の請求権を生まないが、27条の措置における裁量の統制基準として働き、都道府県社会的養育推進計画の里親委託率目標の法的根拠にもなっている。理念だから無力、という理解が判断を一段遅らせる
- 「家庭的環境」と「家庭における養育環境と同様の養育環境」は同じ意味に読まれがちだが、条文上は別の段階である。後者は里親・ファミリーホーム・養子縁組、前者は小規模化された施設(地域小規模児童養護施設、小規模グループケア)。似た日本語が、優先順位では一段違う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の性質 | 3条の2:国・自治体の責務と養育環境の優先順位(責務規定) | 27条:都道府県が採る具体的措置(里親委託・施設入所等) 28条:保護者の意に反する措置の家庭裁判所承認 |
| 保護者の意思との関係 | 同意の有無を問わず適用される一般原則 | 親権者等の意に反して措置を採ることはできない(27条4項) 家裁の承認があれば保護者の意に反しても措置可能 |
| 争い方 | 直接の請求権はなく、裁量統制の基準として主張 | 審査請求・取消訴訟 承認審判に対する即時抗告 |
| 期間 | 定めなし | 定めなし(定期的な見直しが前提) 原則2年、更新には家裁の承認が必要 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も家庭外安置の受け皿として寄養家庭(里親)と機構(施設)を並べ、主管機関に家庭処遇計画の作成を求める。家庭再統合を重視する点で日本と方向は近い
韓国も国と自治体の責務として、児童が家庭で成長できるよう支援し、困難な場合は家庭と類似した環境での養育を求める方向を示している
ドイツは教育援助(Hilfe zur Erziehung)の体系のなかで里親養育と施設養育を並置し、実親家庭への復帰に向けた協働を重視する
米国は予防的支援への連邦資金を拡充し、施設養護(congregate care)への資金を制限することで家庭型養育への移行を促している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、離婚後に生活が崩れて、ある朝「お子さんを一時保護しました」と児童相談所から電話が来たら? 一時保護は原則2か月(児童福祉法33条)。その2か月で行政が見ているのは、あなたが家庭で養育できる状態に戻せるかどうかだ。3条の2の本文は、まず保護者を支援せよと国と自治体に命じている。支援を求めるのは弱みの露呈ではなく、条文が第一に予定した道である
- 自治体の児童福祉担当者として措置方針を起案する側に立つと、景色が反転する。施設入所を選ぶなら「里親を検討したが、こういう事情で適当でない」と経過を記録に残さない限り、後の審査請求や訴訟で説明が立たない。3条の2は序列を書いた条文であり、序列を飛ばした判断は、結論ではなく理由の記載で評価される
- 里親登録を考えている共働き夫婦。研修と家庭訪問で半年、登録しても委託までさらに待機が続く。それでも3条の2は、あなたを施設より先に検討されるべき選択肢として法律上に位置づけている
- 施設入所の措置決定通知が届いて、今日で40日目。審査請求は処分を知った日の翌日から3か月、取消訴訟は6か月(行政事件訴訟法14条)。残り時間で集めるべきは感情的な訴えではなく、「家庭と同様の養育環境が用意できた」と示す事実の資料である。就労状況、住居、支援してくれる親族、通院記録、その一式
- 祖父母として孫を引き取りたいと申し出たのに、児童相談所からは施設入所を告げられた。親族里親という制度があり、3条の2の「家庭と同様の養育環境」に正面から当てはまる。制度名を知らないまま「うちでは無理でしょう」と言われて引き下がった親族は、全国に相当数いる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 面談では、3条の2の本文が「まず保護者支援」であることを確認し、在宅で使える支援(子育て短期支援、訪問型支援、経済支援)を具体名で求める2. 施設入所を告げられたら、里親・親族里親を検討した経過の記録を情報公開請求で取りに行く3. 措置決定通知は最後の教示欄(審査請求の期限と宛先)から先に読む4. 28条の家裁承認が申し立てられたら、子ども事件を扱う弁護士に早期に相談する。家裁審判が事実上の主戦場になる
訴えられた側:1. 通告の事実を全面否定しても効果は薄い。行政が判断しているのは過去ではなく「今後この家庭で安全に養育できるか」だ2. 抗議より、生活再建の具体策(就労、住居、医療、支援サービスの利用申込)を書面にして提出する3. 面会・通信の制限に不服があれば審査請求ができる4. 一時保護の開始に裁判官が関与する司法審査の仕組みが導入されており、手続を知っているかどうかで打てる手が変わる(最新の改正状況をご確認ください)
時効(請求できる期限):3条の2自体に期限の定めはない。実務上効く期限は関連条文にある。一時保護は原則2か月(児童福祉法33条)、施設入所等の措置決定に対する審査請求は処分を知った日の翌日から3か月(行政不服審査法18条)、取消訴訟は処分を知った日から6か月(行政事件訴訟法14条)、保護者の意に反する措置(28条)の期間は2年で更新には家庭裁判所の承認が必要。起算点はいずれも通知を受けた日である
学説
実務上の一般的理解:3条の2は国と地方公共団体の責務規定であり、個人に特定の措置を求める直接の請求権は生じない。ただし27条の措置における裁量を方向づける基準として働き、順序を考慮しない判断は裁量の逸脱・濫用や不当の主張材料となりうる。
改正沿革 AI による整理
- 平成28年(2016年)児童福祉法改正 本条を新設。家庭での養育支援を第一とし、困難な場合は家庭と同様の養育環境(里親・ファミリーホーム・養子縁組)、それも適当でない場合はできる限り良好な家庭的環境という三段階の序列を初めて法律に明記した。翌2017年の「新しい社会的養育ビジョン」と、その後の都道府県社会的養育推進計画の法的根拠となっている
改正の年表
- 1.平成28年(2016年) 新設:児童福祉法等の一部を改正する法律により新設。家庭での養育支援を第一とし、家庭と同様の養育環境、良好な家庭的環境という三段階の優先順位を初めて法律に明記した。
- 児童福祉法 第1条児童の権利条約に則った福祉保障の原理
- 児童福祉法 第2条保護者の第一義的責任と公的責任の配分
- 児童福祉法 第27条里親委託・施設入所措置の具体的根拠
- 児童福祉法 第28条保護者の意に反する措置の家裁承認
- 児童福祉法 第33条一時保護の期間と分離の入口
- 児童虐待の防止等に関する法律 第4条国及び地方公共団体の予防・支援責務の特則
- 民法 第817条の2特別養子縁組、家庭養育の最終形
- こども基本法 第3条家庭養育優先を支えるこども施策の基本理念
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