刑事訴訟法 第169条
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裁判所は、合議体の構成員に鑑定について必要な処分をさせることができる。但し、第百六十七条第一項に規定する処分については、この限りでない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第169条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第169条の条文原文は「裁判所は、合議体の構成員に鑑定について必要な処分をさせることができる。但し、第百六十七条第一項に規定する処分については、この限りでない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第169条は第十二章 鑑定に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第169条の前の条は刑事訴訟法第168条です。
- 刑事訴訟法第169条の次の条は刑事訴訟法第170条です。
- 刑事訴訟法第169条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第169条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第169条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/169
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法169条は鑑定に必要な処分を受命裁判官に委任できると定めるが、但書により鑑定留置だけは合議体全員の判断を要する。
Q · 鑑定のための処分は、裁判官一人で決められるんですか?
通常の鑑定処分は受命裁判官一人で可、鑑定留置は全員判断が必要
刑事訴訟法169条本文により、合議体は鑑定に必要な処分(立入り・身体検査・物の破壊など)を構成員の一人(受命裁判官)に行わせることができます。手続を速く回すための仕組みです。ただし但書は、第167条1項の鑑定留置、つまり被告人を病院などに強制的に留め置く身体拘束だけを委任の対象から除外します。最も重い処分は必ず合議体全員の判断を経なければならず、合議事件で一人の裁判官だけが鑑定留置を決定すれば、本条但書違反として争う余地があります。
解説
刑事裁判で精神鑑定や DNA 鑑定が必要になったとき、その鑑定に伴う「必要な処分」、たとえば人の住居への立入りや身体の検査、物の破壊などを誰が許可するのか。本条はその答えを定める。重大事件を扱う合議体(裁判官三人または五人)では、本来なら全員で判断すべき鑑定関連の処分を、そのうちの一人(受命裁判官)に任せてよい、とする。手続を速く回すための仕組みだ。だが、ここに見逃せない一線がある。但書は「第百六十七条第一項に規定する処分」、つまりあなたを病院に強制的に留め置く鑑定留置だけは、一人の裁判官に任せてはならないと釘を刺す。身体拘束という最も重い処分は、必ず合議体全員の判断を通さなければならない。あなたが被告人なら、この一行があなたの自由を守る最後の関所になる。
法的な位置づけ
刑事訴訟法169条は、鑑定に必要な処分の受命裁判官への委任を定める規定である。合議体は鑑定関連の処分を構成員の一人に行わせることができるが、但書は第167条1項の鑑定留置を委任対象から除外し、身体の自由を拘束する処分については合議体全体の判断を留保する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.鑑定留置の決定書を受け取ったら署名裁判官の人数を確認 鑑定留置(刑訴167条1項)の決定書を受け取ったら、本文より先に末尾の署名欄を数える。合議事件なのに署名が一人しかなければ、本条但書違反のサインの可能性がある
- 2.合議事件で一人署名なら本条但書違反を弁護人と確認 合議体で審理される事件において鑑定留置が受命裁判官一人の判断で出されていれば、刑訴169条但書違反として適法性を争えるか弁護人と検討する。手続違反は早く突くほど効く
- 3.留置決定に不服なら準抗告を速やかに申し立てる 鑑定留置の決定に不服があれば、準抗告(刑訴429条)で争う。決定を知った時から速やかに動く必要があり、遅れるほど病院での身体拘束が続いてしまう
- 4.鑑定の必要性自体を命令が出る前に争えるか詰める 鑑定留置に至る前段階で、鑑定そのものの必要性を争えるか弁護人と詰める。いったん留置に入れば外からの巻き返しは難しく、命令前の主張がその後の数か月の身柄を左右する
よくある質問 AI による整理
Q1受命裁判官とは何ですか?
合議体の構成員のうち、特定の処分を行うよう裁判所から命じられた一人の裁判官です。刑訴169条本文により、鑑定に必要な処分を委任されることがあります。
Q2鑑定留置と勾留はどう違いますか?
勾留は逃亡・証拠隠滅を防ぐ身体拘束、鑑定留置は心神の状態などを鑑定するための身体拘束です(刑訴167条)。目的は違いますが、いずれも自由を奪う重い処分です。
Q3鑑定留置の期間は刑期に算入されますか?
刑訴167条の2により未決勾留日数として算入され「うる」にとどまり、必ず全部が差し引かれるとは限りません。留置が長引くほど不利になりかねません。
Q4鑑定処分の許可は受命裁判官だけで出せますか?
立入り・身体検査などの通常の鑑定処分は刑訴169条本文により受命裁判官一人で出せます。ただし鑑定留置だけは但書で除外され、合議体全員の判断が必要です。
Q5鑑定留置の決定に不服がある場合どうすればいいですか?
準抗告(刑訴429条)で争えます。決定を知った時から速やかに動く必要があり、遅れるほど身柄拘束が続いてしまいます。
Q6精神鑑定はどんな事件で命じられますか?
責任能力が争われる事件、特に重大事件で命じられます。結果が心神喪失による無罪か有罪かを左右することがあり、事件の結論に直結します。
Q7鑑定留置中に保釈はできますか?
鑑定留置の期間は身体拘束が続くため、事実上、保釈の議論が止まってしまいます。留置に入る前の段階で必要性を争うことが重要です。
Q8鑑定の必要性自体を争うことはできますか?
できます。鑑定が命じられる前の段階で「鑑定の必要性なし」を主張するのが勝負どころで、いったん留置に入ると外からの巻き返しは難しくなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1鑑定留置って、具体的にどれくらい閉じ込められるんですか?
期間は裁判所が事件ごとに定めますが、精神鑑定では数週間から二、三か月に及ぶことが珍しくありません。場所は病院などで、未決勾留と同様に身体の自由が奪われます(刑訴167条)。本条但書は、この重い処分だけは合議体の一人ではなく全員で判断せよと定めています。実務のポイント:鑑定留置の日数は、後で言い渡される刑期に算入され「うる」にとどまり(刑訴167条の2)、必ず全部が差し引かれるわけではない。留置が長引くほど不利になりかねないので、必要性と期間は早い段階で弁護人と争うのが定石です
Q2決定書に裁判官一人の名前しかなかったら、本当に手続違反なんですか?
鑑定に伴う通常の処分なら、本条本文により受命裁判官一人で適法です。しかし鑑定留置(刑訴167条1項)だけは但書で除外され、合議体全員の判断が必要です。合議事件で留置決定に一人の署名しかなければ、適法性を争う余地があります。実務のポイント:誰が決めたかという権限の所在を突く視点は、教科書に太字で書かれないが、手続の適法性を崩す入口になりうる。一度この形式を準抗告で問えば、裁判所は手続を丁寧にやり直さざるを得なくなります
間違えやすい点 AI による整理
- 「鑑定の手続なんて全部裁判官全員でやっている」と思われがちだが、実は鑑定に必要な処分の多くは一人の裁判官(受命裁判官)に任せられる。スピード優先の設計で、あなたが思うほど厳格な合議が毎回行われているわけではない
- 鑑定留置が「一時的な検査入院」程度に思われているが、その深刻さを多くの人は知らない。実際には数週間から数か月、外に出られない身体拘束であり、しかも未決勾留と同じ重みを持つ。本条が但書でわざわざ全員判断を要求したのは、それだけ重い処分だからだ
- 「鑑定処分の許可は誰が出しても同じ」という前提自体が間違っている。誰が出したかで手続の適法性が変わる。鑑定留置を受命裁判官一人が出していたら、その決定は本条但書違反として争える。問うべきは「何が許可されたか」ではなく「誰が許可したか」だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 受命裁判官への委任 | 刑訴169条:鑑定に必要な処分は委任できる(但書で鑑定留置を除外) | 刑訴167条:鑑定留置は委任不可、合議体全員の判断が必要 刑訴168条:鑑定人による必要な処分は鑑定処分許可状による |
| 処分の重さ | 立入り・身体検査・物の破壊など(身体拘束を伴わない) | 病院等への強制的な留め置き(未決勾留に等しい身体拘束) 鑑定人が行う検査・解剖等の処分 |
| 判断主体 | 受命裁判官一人で可(迅速性を確保) | 合議体全員(自由剥奪ゆえ慎重に) 裁判所が発する許可状に基づき鑑定人が実施 |
| 不服申立て | 処分の性質に応じて準抗告等 | 準抗告(刑訴429条)で留置決定を争える 許可状の要件・範囲を争える |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も鑑定の必要処分と鑑定留置を区別し、鑑定留置には鑑定留置票を要求する点で慎重手続をとる
韓国も感情(鑑定)に必要な処分と感情留置(鑑定留置)を規律し、身体拘束を伴う留置には別途の手続を要する
ドイツは被疑者の精神状態の観察のための留置を定め、合議体(参審裁判所)の決定を要するなど慎重手続をとる
米国連邦法は訴訟能力・責任能力の評価のための観察留置を定め、裁判所の命令と期間制限を設ける
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの家族が傷害事件で逮捕され、責任能力を調べる精神鑑定が命じられたら? その鑑定のために自宅へ立ち入る、所持品を調べるといった処分は、合議体の一人の裁判官だけで許可できる。だが病院への鑑定留置だけは三人全員の判断が要る。誰が決めたのかを記録で確認する価値がある
- あなたが被告人で、ある日突然「鑑定のため○○病院に留置する」という決定書を受け取った。署名した裁判官が一人だけなら、それは手続違反のサインかもしれない
- 鑑定留置は最長で数か月に及ぶことがある。決定に異議があるなら準抗告(刑訴429条)で争う道があるが、動き出すのが遅れれば、その間ずっと身柄は病院に置かれたまま。残された時間は決定を知った直後から刻一刻と減っていく
取るべき行動
被害を受けた側:1. あなたが被害者で、加害者側が責任能力を争い精神鑑定が命じられた場合、鑑定はあなたの事件の結論(有罪か無罪か)を左右する重要手続だと理解する2. 鑑定の進行や鑑定留置の有無は、被害者参加制度(刑訴316条の33以下)や検察官との連絡を通じて把握する3. 鑑定結果に疑問があれば、検察官に対し再鑑定や鑑定人尋問の申し出を促す。鑑定の中立性は結論の正統性を支える土台になる
訴えられた側:1. 鑑定が命じられたら、まず鑑定留置(刑訴167条1項)に至るかを弁護人と確認、留置は数か月の身体拘束になりうる2. 鑑定留置の決定書を受け取ったら署名裁判官の人数を確認、合議事件で一人名なら本条但書違反を主張3. 留置決定に不服なら準抗告(刑訴429条)で争う、動きが遅れるほど拘束は続く4. 鑑定の必要性自体を、命令が出る前の段階で争えるか弁護人と詰める
時効(請求できる期限):本条自体に時効はない。鑑定留置の決定に対する不服申立て(準抗告、刑訴429条)は、決定を知った時から速やかに行う必要がある。鑑定留置の期間は裁判所が定め、必要に応じ延長されうるため、起算点は各決定の告知時(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条但書が鑑定留置を委任対象から除外したのは、身体の自由を拘束する処分は未決勾留に準じる重大性をもち、合議体全員の慎重な判断を要するためと解されている。手続の迅速性は身体拘束には及ぼさないという価値判断の現れである。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定に伴い設けられた。鑑定に必要な処分の受命裁判官への委任を認めつつ、但書で鑑定留置を委任対象から除外し、身体拘束への慎重手続を確保した。
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