刑事訴訟法 第170条
クイックジャンプ
検察官及び弁護人は、鑑定に立ち会うことができる。この場合には、第百五十七条第二項の規定を準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第170条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第170条の条文原文は「検察官及び弁護人は、鑑定に立ち会うことができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第170条は第十二章 鑑定に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第170条の前の条は刑事訴訟法第169条です。
- 刑事訴訟法第170条の次の条は刑事訴訟法第171条です。
- 刑事訴訟法第170条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第170条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第170条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/170
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法170条は、検察官と弁護人が鑑定に立ち会えると定める規定。157条2項を準用し、鑑定の日時・場所は事前に弁護人へ通知される。被告人本人に立会権はない。
Q · 自分の精神鑑定に、自分は立ち会えるの?
立ち会えるのは検察官と弁護人だけで、被告人本人は不可です
刑事訴訟法170条により、鑑定に立ち会えるのは検察官と弁護人であり、被告人本人は含まれません。証人尋問では本人も立ち会えますが(157条1項)、鑑定では本人が外されています。さらに同条は157条2項を準用し、鑑定の日時・場所を事前に弁護人へ通知することを義務づけます。弁護人が立ち会えば、面接の方法や前提資料の偏りを観察でき、後の公判で鑑定の信用性を争う材料になります。立ち会わなければ、結果の報告書だけと向き合うことになります。
解説
裁判で「責任能力なし」と判断されれば無罪、「耗弱」なら減軽。その分かれ目を握るのが精神鑑定だ。ところが刑訴法170条をよく読むと、その鑑定に立ち会えるのは検察官と弁護人であって、被告人本人ではない。証人尋問なら本人も立ち会える(157条1項)のに、鑑定からは本人が外されている。つまり、あなた自身の脳と心を専門家が分析するその現場を、あなたは横で見ていられない。代わりにあなたの目になるのが弁護人だ。さらに170条は157条2項を準用し、鑑定の日時と場所を事前に弁護人へ通知することを義務づける。この通知を受けて弁護人が実際に立ち会うか否かで、後から鑑定の信用性を争えるかどうかが決まる。立ち会わなかった弁護人は、鑑定がどう行われたかを知らないまま、結果だけを突きつけられることになる。
法的な位置づけ
刑事訴訟法170条は、鑑定への立会権を定める規定であり、検察官及び弁護人が鑑定の実施に立ち会える旨を規定する。あわせて証人尋問に関する157条2項を準用し、鑑定の日時及び場所の事前通知を義務づける。被告人本人は鑑定の被験者であって立会人ではなく、立会権は当事者である検察官と弁護人に限定される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.弁護人選任後ただちに鑑定立会いを依頼 弁護人を選任したら最優先で鑑定への立会いを依頼する。報告書が完成してから方法の問題を指摘しても遅く、現場に立ち会った者だけが瑕疵を具体的に指摘できる
- 2.157条2項準用の事前通知を放棄しない 鑑定の日時・場所の事前通知を安易に放棄しない。通知を受けて初めて立会いの選択権が手元に残る。多忙を理由に通知放棄へ同意した瞬間、後の弾劾材料を集める機会ごと失う
- 3.鑑定の現場で面接方法・前提資料を観察記録 鑑定人の面接方法、参照された供述調書や記録、与えられた情報の偏りを弁護人に観察・記録させる。観察メモが後の鑑定人尋問の具体的な武器になる
- 4.不利な鑑定には私的鑑定を準備し公判で尋問請求 不利な鑑定にはセカンドオピニオンとして私的鑑定を準備し、公判の証拠調べ段階で鑑定人尋問や再鑑定を請求する。結論ではなく前提資料・面接方法の妥当性に焦点を当てる
よくある質問 AI による整理
Q1鑑定の立会いとは何ですか?
検察官と弁護人が鑑定の実施現場に立ち会える権利です。刑事訴訟法170条が根拠で、157条2項の準用により日時・場所が事前に通知されます。被告人本人は対象に含まれません。
Q2精神鑑定に家族は立ち会えますか?
立ち会えません。170条が立会権を認めるのは検察官と弁護人のみで、家族や被告人本人は含まれません。家族が状況を知る窓口は、立ち会った弁護人を通じてになります。
Q3鑑定留置とは何ですか?
被告人を病院等に留置して鑑定を行う処分で、刑事訴訟法167条が定めます。期間や起算点が定められ、不当に長期化していないか弁護人が監視する必要があります。
Q4鑑定の日時はいつ通知されますか?
170条が準用する157条2項により、鑑定の日時・場所は事前に弁護人へ通知されます。この通知を受けて立ち会うか否かで、後に鑑定の信用性を争えるかが決まります。
Q5嘱託鑑定と裁判所の鑑定の違いは?
嘱託鑑定は捜査段階で検察官が依頼するもの(223条)で、170条の立会権が及びません。裁判所が命じた鑑定にのみ立会権が保障される点が大きな違いです。
Q6鑑定人尋問はいつ請求できますか?
公判の証拠調べ段階で請求します。鑑定に立ち会った弁護人ほど、面接方法や前提資料の具体的な問題点を尋問でつくことができ、抽象論で終わりません。
Q7心神喪失で無罪になるとどうなりますか?
無罪でも自由になるとは限りません。心神喪失者等医療観察法により、指定入院医療機関への長期の強制入院に回されることがあります。
Q8鑑定結果に納得できないときはどうすればいいですか?
私的鑑定(弁護側の独自鑑定)を準備し、公判で鑑定人尋問や再鑑定を請求します。争えるのは結論ではなく、前提資料や面接方法の妥当性です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1自分の精神鑑定なのに、なんで自分は立ち会えないんですか?
170条が立会権を与えているのは検察官と弁護人だけで、被告人本人は含まれていません。証人尋問の157条1項が本人・弁護人・検察官の三者を挙げているのと対照的です。本人は鑑定の対象として面接や検査を受ける立場であり、手続を外から観察する立会人とは区別されているからです。実務のポイント:だからこそ弁護人があなたの代理の目になります。鑑定後に「面接でどんな誘導があったか」を争うには、立ち会った弁護人の観察メモが決定的な武器になる。立会いを軽視する弁護人かどうかは、依頼者として最初に見極めるべき点です
Q2弁護人が鑑定に立ち会わなかったら、後で結果を争えなくなるんですか?
争うこと自体は可能ですが、武器が激減します。立ち会っていれば「鑑定人が誤った前提資料を使った」「面接が短すぎた」など方法の瑕疵を具体的に指摘できますが、立ち会わなければ報告書の文面からしか反論できません。実務のポイント:実務では、立会いの有無が公判での鑑定人尋問の鋭さを左右します。現場を見た弁護人は鑑定人に具体的な質問をぶつけられるが、見ていない弁護人は抽象論で終わる。立会いを依頼したかどうかを必ず確認してください
Q3裁判所の鑑定が信用できないとき、自分で別の専門家に頼めますか?
頼めます。これを私的鑑定(弁護側の独自鑑定)と呼び、費用は自己負担ですが、裁判所の鑑定に対抗する有力な手段です。公判ではその専門家を証人として申請し、裁判所鑑定との食い違いを浮き彫りにします。実務のポイント:精神鑑定では鑑定人によって結論が分かれることが珍しくありません。一つの鑑定を絶対視せず、複数の専門的見解を戦わせる土俵に持ち込めるかどうかが、責任能力を争う事件の分水嶺になります(最新の運用をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分の鑑定なんだから、自分も立ち会えるはずだ」と思い込みやすいが、170条が立会権を与えているのは検察官と弁護人であって、被告人本人ではない。精神鑑定の被験者として「そこにいる」ことと、手続の立会人として「観察する権利」を持つことは別物だ
- 「弁護人が立ち会える」ことは知っていても、立ち会わなかった場合の代償の深刻さを知らない人が多い。鑑定の現場を見ていない弁護人は、どんな前提資料が使われ、どう面接が進んだかを知らないまま結果と向き合う。後から「鑑定方法に問題があった」と争おうにも、観察記録がなければ反論は空中戦になる
- 「鑑定は中立な専門家がやるのだから争えない」という前提そのものが誤っている。争えるのは結論ではなく、その手前にある前提資料の選び方、面接の方法、鑑定人に与えられた情報の偏りだ。立会いはその前提を点検する唯一の入口であり、入口を放棄した時点で争う材料を自ら捨てている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 立会権を持つ者 | 170条:検察官・弁護人(被告人本人は不可) | 157条:検察官・被告人・弁護人 223条:立会権の規定なし |
| 対象手続 | 裁判所が命じた鑑定 | 証人尋問 捜査段階の嘱託鑑定 |
| 事前通知 | 157条2項準用で日時・場所を通知 | 157条2項で日時・場所を通知 義務なし |
| 防御上の意義 | 鑑定方法・前提資料を点検し信用性を弾劾できる | 供述を直接吟味できる 弁護人の関与が乏しく後の弾劾が困難 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾は鑑定を行う際、必要なときは当事者・代理人・弁護人へ到場の機会を通知できると定める。立会いの保障という点で日本170条と共通する
韓国は検事・被告人・弁護人が鑑定に参与できると定め、日時・場所の事前通知を要求する。被告人本人にも参与権が及ぶ点が日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの弟が傷害事件を起こし、責任能力を調べるため精神鑑定にかけられた。鑑定室で何が問われ、弟がどう答えたか、家族のあなたは知るすべがない。本人にすら立会権はないのだから。唯一の窓は弁護人だ。弁護人が立ち会えば、後で「鑑定の前提とされた供述は誘導されたものだ」と争う糸口を掴める
- もし鑑定留置(167条)の通知が届いたら、あと何日で鑑定が始まるか確認できているか。鑑定人が本人と面接するその日に弁護人が立ち会えるよう、日時の通知を要求し立会いを段取る時間は、もう限られている
- DNA鑑定で「一致」と出た。だが試料の採取・保管が適正だったかは、鑑定の現場を見なければ分からない。立ち会わなければ、結果だけが独り歩きする
- 検察官もまた立ち会える側だ。あなたが有利な鑑定を引き出そうとしても、その場に検察官が立ち会い、前提の穴をその場で突いてくる。立会権は双方に開かれた諸刃の剣である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 加害者側に精神鑑定が命じられ「心神喪失」で無罪・不起訴になりうる局面では、被害者参加制度(刑訴法316条の33以下)を使い、検察官に積極的な関与を求める2. 検察官も170条で立会権を持つので、鑑定がずさんに流れないよう現場を見て前提を吟味するよう促す3. 鑑定結果に疑問があれば、検察官を通じて再鑑定や鑑定人尋問の請求を検討する4. 鑑定の中立性そのものより、前提資料や方法の妥当性に焦点を当てるのが現実的
訴えられた側:1. 弁護人を選任したら最優先で鑑定への立会いを依頼し、157条2項準用による事前通知を放棄しないよう念を押す2. 鑑定人の面接方法、参照された供述調書や記録、与えられた情報の偏りを弁護人に観察・記録させる3. 不利な鑑定にはセカンドオピニオンとして私的鑑定(弁護側の独自鑑定)を準備し、公判で鑑定人尋問を請求する4. 鑑定留置(167条)の期間と起算点を確認し、不当に長期化していないか監視する
時効(請求できる期限):立会いの機会は鑑定が実施されるその時に限られ、報告書完成後にさかのぼって立ち会うことはできない。事前通知(157条2項準用)を受けたら、鑑定期日までに弁護人と立会いを段取ること。鑑定結果への異議や鑑定人尋問の請求は公判の証拠調べ段階で行う。手続上の権利なので特定の消滅時効はないが、機会を逃せば回復不能(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:170条の立会権は、鑑定の中立性・専門性を保ちつつ当事者の防御権を確保するための手続保障であり、立会権者を検察官と弁護人に限定することで、鑑定人と被験者の関係が観察によって歪むことを防ぎつつ、後の信用性弾劾の余地を残す趣旨と解される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定に伴い、鑑定への立会権と証人尋問規定の準用を定める規定として整備された
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める