刑事訴訟法 第238条
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- 親告罪について共犯の一人又は数人に対してした告訴又はその取消は、他の共犯に対しても、その効力を生ずる。
- 2.前項の規定は、告発又は請求を待つて受理すべき事件についての告発若しくは請求又はその取消についてこれを準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第238条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第238条の条文原文は「親告罪について共犯の一人又は数人に対してした告訴又はその取消は、他の共犯に対しても、その効力を生ずる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第238条は第一章 捜査に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第238条の前の条は刑事訴訟法第237条です。
- 刑事訴訟法第238条の次の条は刑事訴訟法第239条です。
- 刑事訴訟法第238条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第238条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第238条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/238
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法238条は、親告罪で共犯の一人にした告訴やその取消しが、他の共犯全員にも効力を及ぼすと定める。一人を許せば全員を許したことになり、狙い撃ちはできない。
Q · 共犯のうち一人だけを名誉毀損で告訴して、その人だけ罰してもらうことはできますか?
できません。一人への告訴は共犯全員に及びます
刑事訴訟法238条1項により、親告罪について共犯の一人にした告訴は、他の共犯全員に対しても効力を生じます。逆に一人への告訴を取り消せば、全員への告訴が消えます。これを告訴不可分の原則(主観的不可分)といい、被害者が「この人だけ許す/この人だけ罰する」と選り好みすることはできません。ただし親族相盗例(刑法244条2項)が絡む相対的親告罪では、不可分の適用が制限される例外があります。
解説
友人二人があなたの悪口を SNS で書き連ねた。一人は後で謝ってきたから許したい、もう一人は許せないから名誉毀損で告訴したい。ごく自然な感情だが、刑事訴訟法238条はそれを許さない。「親告罪について共犯の一人に対してした告訴又はその取消は、他の共犯に対しても、その効力を生ずる」。つまり、一人を告訴すれば全員が告訴されたことになり、一人への告訴を取り消せば全員への告訴が消える。これを告訴不可分の原則(主観的不可分)という。名誉毀損、器物損壊、侮辱、親族間の窃盗、こうした親告罪では、あなたは「誰を許し、誰を罰するか」を選べない。被害者の気分次第で共犯者の運命がバラバラになるのを、法が禁じているからだ。だから示談も全員一括が原則になる。一人と和解して告訴を取り下げた瞬間、残り全員が手の届かない場所へ消える。
法的な位置づけ
刑事訴訟法238条は告訴の主観的不可分の原則を定める規定であり、親告罪について共犯の一人又は数人に対してした告訴又はその取消しが、他の共犯全員に対しても効力を生ずる旨を規定する。第2項は、告発又は請求を待って受理すべき事件についての告発・請求又はその取消しにこれを準用する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.共犯が複数いるか、親告罪かをまず確認 事件が名誉毀損・侮辱・器物損壊・親族間窃盗などの親告罪に当たるか、加害者が複数(共犯)かを確認する。共犯が複数いる親告罪なら238条の連動が働くため、以後の示談と告訴は全体設計が必須になる
- 2.示談と告訴の順番を最初に設計する 誰か一人と先に和解して告訴を取り下げると、238条で全員が不問になり、再告訴もできない(刑訴237条2項)。本気で全員の刑事責任を追及するなら、個別の取り下げに応じず『全員一括示談』を条件として最初に宣言しておく
- 3.判明している一人を告訴期間内に告訴する 共犯の一部しか特定できなくても、判明している一人を犯人を知った日から6か月以内(刑訴235条)に告訴すれば、238条で後に判明する共犯にも効力が及ぶ。期間切れで告訴権を失う前に、先に一人を押さえる
- 4.親族相盗が絡むなら不可分の射程を弁護士に確認 共犯に被害者の親族が含まれる窃盗等では、相対的親告罪として主観的不可分の適用が制限される。親族か非親族かで結論が変わるため、刑事に強い弁護士に告訴の効力範囲を確認してから動く
よくある質問 AI による整理
Q1告訴不可分の原則とは何ですか?
親告罪で共犯の一人への告訴やその取消しが、共犯全員に効力を及ぼすという原則です。刑事訴訟法238条が根拠で、被害者が共犯者を選り好みして告訴・取消しすることはできません。
Q2親告罪とはどんな犯罪ですか?
被害者などの告訴がなければ起訴できない犯罪です。名誉毀損・侮辱(刑法232条)、器物損壊(刑法264条)、親族間の窃盗などがあり、被害者の意思を尊重する趣旨です。
Q3告訴の主観的不可分と客観的不可分の違いは?
主観的不可分は共犯者間で告訴の効力が及ぶ範囲(238条)の問題、客観的不可分は一個の犯罪事実の一部への告訴が全体に及ぶかの問題です。238条が定めるのは主観的不可分です。
Q4名誉毀損は親告罪ですか?
親告罪です。刑法232条が名誉に関する罪を親告罪とし、告訴がなければ起訴できません。共犯が複数いれば238条の告訴不可分が働きます。
Q5告訴を取り消すと、もう一度告訴できますか?
できません。刑事訴訟法237条2項により、告訴を取り消した者は再び告訴することができません。238条と合わさると、一人と和解して取り消した瞬間に全共犯者への追及の道が閉じます。
Q6告訴がない親告罪を起訴したらどうなりますか?
公訴棄却となります。刑事訴訟法338条4号により、告訴を欠く親告罪の起訴は不適法として判決で公訴が棄却されます。
Q7告発にも告訴不可分は適用されますか?
適用されます。238条2項が、告発又は請求を待って受理すべき事件の告発・請求とその取消しに1項を準用します。独占禁止法の公正取引委員会による告発などが例です。
Q8告訴不可分の原則に例外はありますか?
あります。親族相盗例(刑法244条2項)が絡む相対的親告罪では、主観的不可分の適用が制限され、親族でない共犯には告訴の効力がそのまま及ぶわけではありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1共犯の一人と示談したいんですが、その人だけ告訴を取り下げることはできますか?
できません。238条1項により、一人への告訴の取り消しは共犯者全員に効力が及びます。一人と和解して取り下げれば、和解していない他の共犯者も不問になります。実務のポイント:これを逆手に取り、資力のある一人が示談金を全額負担して被害者に取り下げさせ、無資力の仲間ごと刑事責任を免れる、という防御が組まれることがある。被害者側は「全員一括示談」を条件にしないと、一人だけ払って全員が逃げ切る形を許してしまう
Q2犯人が複数いるけど、一人しか名前が分からない。それでも告訴できますか?
できます。判明している一人を告訴すれば、238条1項により、後で判明する他の共犯者にも告訴の効力が及びます。親告罪の告訴期間(犯人を知った日から6か月、刑訴法235条)に追われて全員の特定を待つ必要はありません。実務のポイント:実務では、まず分かっている一人を告訴して告訴期間を確保し、捜査で残りの共犯者を割り出すのが定石。期間切れで告訴権を失うより、先に一人を押さえる方が安全
Q3親族が共犯にいる窃盗事件、告訴の効力は親族じゃない共犯にも全部及ぶんですか?
一律ではありません。親族相盗例(刑法244条2項)が絡む相対的親告罪では、告訴の主観的不可分の原則の適用が制限されます。親族でない共犯者はそもそも告訴がなくても起訴でき、親族への告訴の効力がそのまま非親族に及ぶわけではありません。実務のポイント:この相対的親告罪の処理は実務上、解釈が分かれている難所で、親族が絡む共犯事件では刑事に強い弁護士でないと不可分の射程を読み違える
間違えやすい点 AI による整理
- 「共犯の一人だけを告訴して、その人だけ罰せる」と思っている人が多いが、逆である。一人への告訴は全員に及ぶ(238条1項)。選んで一人だけ、はできない
- 告訴の取り消しが「全員に及ぶ」ことは知っていても、その取り消しが二度と撤回できない点まで意識している人は少ない。告訴を取り消した者は再び告訴できず(刑訴法237条2項)、238条と合わさると、一人と和解して取り下げた瞬間、全共犯者への刑事責任追及の道が永久に閉じる
- 「主犯格だけ告訴すれば足りるか、全員の名前を告訴状に書くべきか」と悩む人がいるが、その問い自体がずれている。238条がある以上、一人を特定して告訴すれば法律上は全員に効力が及ぶ。悩むべきは記載漏れではなく、誰か一人でも示談で取り下げると全体が崩れる連動リスクの方だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する対象 | 238条:共犯への告訴・取消しの効力の範囲(主観的不可分) | 237条:告訴の取消しと再告訴の禁止 235条:親告罪の告訴期間(6か月) |
| 効果 | 一人への告訴・取消しが共犯全員に及ぶ | 取消しは公訴提起まで可、ただし再告訴は不可 犯人を知った日から6か月を過ぎると告訴できない |
| 実務上の落とし穴 | 一人と先に和解して取り下げると全員が不問になる | 一度取り下げると撤回できず追及の道が閉じる 全員特定を待つと期間切れで告訴権を失う |
他国ではどう定めているか 4 か国
告訴乃論の罪につき共犯の一人への告訴・撤回の効力が他の共犯に及ぶ点で日本238条とほぼ同一の構造を持つ。
親告罪の告訴の主観的不可分を明文化しており、日本法の継受として日本238条と対応する。
告訴(Strafantrag)制度は存在するが、共犯間での不可分の扱いは日本ほど一律ではなく、議論がある。
米国は被害者の告訴を訴追要件としない検察官裁量主義が原則で、親告罪・告訴不可分に相当する一般制度は存在しない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの車に二人組がスプレーで落書きした(器物損壊罪、親告罪)。一人が示談金を持って謝りに来たので告訴を取り下げた。その瞬間、まだ謝ってもいないもう一人も自動的に不問になる。238条を知らずに先に一人と和解すると、本当に罰したかった相手を取り逃がす
- もし、共犯者三人のうち一人だけ住所が分かっていて、残り二人は逃走中だとしたら? 親告罪の告訴期間は犯人を知った日から6か月(刑訴法235条)。判明している一人を告訴すれば、238条で逃走中の二人にも告訴の効力が及ぶ。全員の身元が割れるまで待つ必要はない
- あなたは友人と二人で他人を侮辱した。相手はあなたではなく友人だけを告訴した。それでも、あなたも起訴されうる。238条が告訴の効力をあなたにまで広げるからだ
- 親族間で起きた窃盗(親族相盗例、刑法244条2項)。一緒に盗んだのが、被害者の甥(親族)と、その友人(赤の他人)だった。この場合、甥への告訴の効力はそのまま友人に及ぶわけではない。相対的親告罪では不可分の原則の適用が制限されるという、弁護士でも読み違えやすい例外がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 共犯者が複数いると分かったら、示談と告訴の順番を最初に設計する。誰か一人と先に和解して取り下げると、238条で全員が不問になる2. 本気で刑事責任を追及したいなら全員一括示談を条件にし、個別の取り下げに応じない3. 一部しか特定できなくても、判明している一人を告訴期間内(犯人を知った日から6か月、刑訴法235条)に告訴し、効力を全員に及ぼしておく4. 親族が共犯に絡むなら相対的親告罪の例外があるので、弁護士に射程を確認する
訴えられた側:1. 共犯者がいる親告罪で訴追を避けたいなら、共犯者の誰か一人が被害者と示談して告訴を取り下げれば、238条で自分にも効力が及ぶ2. 資力のある共犯者がいれば全体の示談金を負担してもらい、一括で取り下げを得る交渉を組む3. 被害者が他の一人だけを告訴していても、自分に効力が及んでいる前提で動き、油断して放置しない4. 親族相盗が絡む場合は、自分が親族か非親族かで結論が変わるので弁護士に確認する
時効(請求できる期限):親告罪の告訴期間は、犯人を知った日から6か月(刑訴法235条1項)。告訴の取り消しは公訴の提起があるまで可能(刑訴法237条1項)だが、一度取り消すと再告訴はできない(同条2項)。238条により、これらの効力はいずれも共犯者全員に及ぶ
学説
通説:238条1項は告訴の主観的不可分を定め、共犯の一人への告訴・取消しは全員に及ぶとするのが通説。もっとも、親族相盗例(刑法244条2項)のような相対的親告罪では、非親族の共犯に告訴の効力をそのまま及ぼすと不当な結果を招くため、不可分原則の適用は制限されると解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定により、親告罪の告訴不可分(主観的不可分)と、告発・請求への準用を定める規定として置かれた。
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