刑事訴訟法 第290条の3
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- 裁判所は、次に掲げる場合において、証人、鑑定人、通訳人、翻訳人又は供述録取書等(供述書、供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるもの又は映像若しくは音声を記録することができる記録媒体であつて供述を記録したものをいう。以下同じ。)の供述者(以下この項において「証人等」という。)から申出があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、証人等特定事項(氏名及び住所その他の当該証人等を特定させることとなる事項をいう。以下同じ。)を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。
- 一証人等特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより証人等若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるとき。
- 二前号に掲げる場合のほか、証人等特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより証人等の名誉又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあると認めるとき。
- 2.裁判所は、前項の決定をした事件について、証人等特定事項を公開の法廷で明らかにしないことが相当でないと認めるに至つたときは、決定で、同項の決定を取り消さなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第290条の3は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第290条の3の条文原文は「裁判所は、次に掲げる場合において、証人、鑑定人、通訳人、翻訳人又は供述録取書等(供述書、供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるもの又は映像若しくは音…」で始まります。
- 刑事訴訟法第290条の3は第一節 公判準備及び公判手続に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第290条の3の前の条は刑事訴訟法第290条の2です。
- 刑事訴訟法第290条の3の次の条は刑事訴訟法第291条です。
- 刑事訴訟法第290条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第290条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第290条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/290_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法290条の3は、証人等の申出により、裁判所が相当と認めれば氏名・住所などの特定事項を公開の法廷で明らかにしない決定ができると定める。報復や名誉毀損のおそれが要件となる。
Q · 犯人の裁判で証人になったら、名前や住所を法廷で公開されてしまうの?
申出と裁判所の決定があれば公開法廷で伏せられる
刑事訴訟法290条の3により、証人等が申し出て、裁判所が検察官と被告人側の意見を聴いたうえで相当と認めれば、氏名・住所その他あなたを特定させる事項を公開の法廷で明らかにしない決定ができます。条件は、あなたや親族の身体・財産への加害や畏怖のおそれがあるとき、または名誉や社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあるときです。供述調書に署名した供述者本人も申し出ることができ、証言台に立たなくても名前を伏せられます。重要なのは、これがあなたの『申出』から始まる権利だという点です。
解説
ストーカー被害で警察に協力し、加害者の刑事裁判で証言を求められた。だが証言台に立てば、相手はあなたの氏名も住所も知ることになるのではないか。その恐怖で証言をためらう被害者は少なくない。刑訴法290条の3は、その恐怖に正面から答える。証人、鑑定人、通訳人、翻訳人、さらには供述調書(あなたが署名した供述の記録)の供述者本人が裁判所に申し出れば、裁判所は検察官と被告側の意見を聴いたうえで、相当と認めれば「証人等特定事項」(氏名・住所その他あなたを特定させてしまう事項)を公開の法廷で明らかにしない決定ができる。条件は二つ。あなたや親族の身体・財産に危害が及ぶ、または畏怖させられるおそれがあるとき、もしくは名誉や平穏な社会生活が著しく害されるおそれがあるとき。最も大事なのは、これがあなたの「申出」から始まるという点だ。検察官が気を利かせてくれるのを待つのではなく、あなた自身が手を挙げる権利がここにある。
法的な位置づけ
証人等特定事項の秘匿とは、刑事訴訟法290条の3に基づき、証人・鑑定人・通訳人・翻訳人または供述録取書等の供述者の申出により、裁判所が氏名・住所その他これらの者を特定させる事項を公開の法廷で明らかにしない旨を決定する制度をいう。被害者特定事項の秘匿(290条の2)と並ぶ証人等の保護措置である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.担当検察官に秘匿の申出を明言する 証言を求められた段階で、担当検察官に『証人等特定事項の秘匿決定(刑訴法290条の3)を申し出たい』と固有名詞で伝える。黙っていれば提案されないまま尋問日が来ることが多い
- 2.危害・畏怖のおそれを裏づける資料を整理する 脅迫メッセージのスクリーンショット、過去の接触履歴、相手の前科前歴、転居の経緯など、抽象的な不安ではなく具体的事実を整理して提出する。これが裁判所の『相当』判断を通しやすくする
- 3.公開尋問が始まる前に動く 証人尋問が公開法廷で始まると氏名が明らかになり後戻りできない。公判前整理手続の段階で申出と決定を済ませる。タイミングが秘匿の成否をほぼ決める
- 4.遮へい措置・ビデオリンクを重ねて検討する 氏名を伏せる290条の3に加え、姿を見られない遮へい措置(157条の3)やビデオリンク方式(157条の4)も併せて申し出る。一つの条文だけでは守りに穴が残る
よくある質問 AI による整理
Q1証人等特定事項とは何ですか?
氏名・住所その他、証人・鑑定人・通訳人・翻訳人や供述者を特定させることになる事項を指します。刑訴法290条の3はこれを公開法廷で伏せる対象としています。
Q2証人の秘匿はいつ申し出ればいいですか?
法定の期限はありませんが、性質上、証人尋問が公開法廷で行われる前に必要です。実務では公判前整理手続や尋問期日の前に動くのが鉄則です。
Q3供述調書の署名者も秘匿できますか?
できます。290条の3は供述録取書等の供述者本人にも申出権を認めており、証言台に立たなくても調書上の氏名を公開法廷で伏せられます。
Q4290条の2と290条の3の違いは何ですか?
290条の2は被害者特定事項の秘匿、290条の3は証人・鑑定人・通訳人・翻訳人・供述者という『証人等』の特定事項の秘匿で、保護対象が異なります。
Q5証人の秘匿決定は取り消されることがありますか?
あります。裁判所は秘匿が相当でないと認めるに至ったときは、290条の3第2項により決定で秘匿決定を取り消さなければなりません。
Q6遮へい措置やビデオリンクと秘匿決定はどう違いますか?
290条の3は氏名等を法廷で伏せる措置、157条の3は被告人や傍聴人から姿を見えなくする遮へい、157条の4は別室からのビデオリンク方式で、組み合わせて使えます。
Q7証人等特定事項の秘匿は誰が申し出られますか?
証人・鑑定人・通訳人・翻訳人、および供述録取書等の供述者本人です。裁判所が職権で自動発動するものではなく、本人の申出が起点となります。
Q8秘匿が認められる条件は何ですか?
証人等や親族の身体・財産に加害や畏怖・困惑のおそれがあるとき、または名誉や社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあると裁判所が認めるときです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1証人になったら、絶対に名前と住所を言わなきゃダメなんですか?
いいえ。刑訴法290条の3に基づき申し出て裁判所が相当と認めれば、氏名・住所その他あなたを特定させる事項を公開の法廷で明らかにしない決定が出ます。証言自体はしますが、素性は伏せられます。実務のポイント:この申出は黙っていれば誰も切り出してくれないことが多い。検察官が忙しく、被害者支援に不慣れだと提案されないまま尋問日が来る。自分から『290条の3で秘匿したい』と固有名詞で言えるかどうかで結果が変わる
Q2秘匿してもらっても、結局被告人には誰だかバレるんじゃないですか?
この決定は『公開の法廷で明らかにしない』ものなので、傍聴人や報道に素性が出るのを防ぐ効果が中心です。捜査段階の開示制限は299条の4・299条の5が別途扱います。実務のポイント:被害者保護を本気でやるなら、290条の3の法廷秘匿だけでなく、証人尋問時の遮へい措置(157条の3)やビデオリンク方式(157条の4)、捜査段階の299条の4をセットで組む。一つの条文だけでは守りに穴が残る
Q3被告人側ですが、証人が匿名のまま不利な証言をされたら反論できないのでは?
本条1項は決定前に検察官と被告人・弁護人の意見を聴くことを要件にしています。防御に氏名や経歴の確認が不可欠なら、その必要性を具体的に主張して秘匿の範囲を争えます。実務のポイント:単に『匿名は不当だ』と言っても通りにくい。『この証人が過去に被告人と金銭トラブルがあり虚偽供述の動機がある、だから特定が必要』のように、防御上の具体的必要性に落として主張するのが実務の勘所
間違えやすい点 AI による整理
- 「証人として呼ばれたら、名前も住所も法廷で言わされるのが当然」と思い込んでいる人が多い。実際は申出と裁判所の決定があれば、特定事項を伏せたまま証言できる。知らない人は当然のように素性をさらし、知っている人は守る。この差は制度の有無ではなく、申出という一手を打てるかどうかだけ
- 「被害者なら自動的に守られる」と期待しがちだが、290条の3は裁判所が職権で自動的に発動するものではない。あなたや検察官の申出が起点であり、しかも裁判所が「相当」と認めて初めて決定が出る。守りは降ってこない、こちらから取りにいくものだ
- 「秘匿されれば被告人も一切素性を知れず、完全に匿名になる」と考えるのは前提の取り違え。この決定は『公開の法廷で明らかにしない』ものであって、被告人の防御に不可欠な範囲では別途の調整がありうる。公開法廷での非公開と、訴訟当事者間での完全遮断は次元が違う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 保護対象 | 290条の3:証人・鑑定人・通訳人・翻訳人・供述者(証人等)の特定事項 | 290条の2:被害者本人の特定事項 299条の4:証人等特定事項の捜査段階での開示 |
| 適用場面 | 公開の法廷で氏名等を明らかにしない | 公開の法廷で被害者の氏名等を明らかにしない 公判前の証拠開示の局面での特定事項の取扱い |
| 発動の起点 | 証人等本人の申出 + 検察官・被告人側の意見聴取 + 裁判所の相当性判断 | 被害者等の申出 + 意見聴取 + 相当性判断 検察官の措置 + 必要に応じ裁判所の裁定(299条の5) |
| 取消し | 相当でなくなれば裁判所は決定で取り消さなければならない(2項) | 同様に相当でなくなれば取消し 裁定の不服は299条の5で争う |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は独立の證人保護法を持ち、訊問手続での身分保密や別室訊問を定める。日本のように刑訴法本体に秘匿規定を置く構成とは法典上の位置づけが異なる。
韓国は特定犯罪の申告者・証人について、調書での人的事項の記載省略や身元の秘匿を特別法で定める。対象犯罪を限定する点が日本の一般的な290条の3と異なる。
ドイツは証人尋問において、生命・身体・自由への危険があるときは住所や身元の開示を留保できると定める。裁判官の判断による点で日本と近い。
米国は証人保護を主にプログラム(移転・身元変更)で行う。法廷での匿名証言は第6修正の対質条項により厳しく制限され、原則として被告人に証人を対面・反対尋問させる必要がある。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが暴行事件の唯一の目撃者で、加害者が裁判で「あの証人は誰だ、どこに住んでいる」と知る立場に置かれるとしたら? 証言台での氏名・住所の読み上げを止められるのが290条の3の秘匿決定。申出をしなければ、原則どおり公開法廷であなたの素性が明らかになる
- DV から逃れ住所を秘して暮らす女性が、元夫の傷害事件で証言を求められた。新しい住所が法廷で明かされれば、命がけで隠した居場所が一瞬で相手に渡る。第1項第1号の「身体への加害・畏怖のおそれ」がまさにこの場面を想定している
- あなたが被告人側だとして、検察側証人の氏名も住所も伏せられたまま尋問させられる。誰が証言しているのか分からなければ、その人の信用性(過去のトラブル、利害関係)を弾劾しにくい。弁護人はこの秘匿決定に意見を述べ、防御に必要な範囲では開示を求めて争う
- 公判期日まであと十日。証人尋問が公開法廷で始まってしまえば、その場で氏名が明らかになり、後から「やはり隠したい」と言っても手遅れになりかねない。秘匿の申出は尋問が始まる前に動く必要がある
- 性犯罪の被害者が供述調書に署名した。法廷でその調書が証拠調べされるとき、署名者の氏名が読み上げられる。だが供述者本人も申出ができる。証言台に立たなくても、調書の名前を伏せられる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 証言を求められた段階で、担当検察官に『証人等特定事項の秘匿決定(刑訴法290条の3)を申し出たい』と明言する2. 危害や畏怖のおそれを裏づける資料(脅迫の記録、接触履歴、相手の前科、転居の経緯)を整理して提出、抽象的な不安ではなく具体的事実で示す3. 公開法廷での尋問が始まる前、公判前整理手続の段階で動く4. あわせて証人尋問時の遮へい措置やビデオリンク方式(157条の3、157条の4)も検討し、姿そのものを見られない守りを重ねる
訴えられた側:1. 検察側証人につき秘匿決定の申出があれば、弁護人を通じて意見を述べる機会がある(本条1項は被告人・弁護人の意見聴取を要件とする) 2. 防御に氏名・経歴の確認が不可欠な場合は、その必要性を具体的に主張し、秘匿の範囲を争う3. 秘匿決定後でも、事情が変わり秘匿が相当でなくなったと考えるなら、2項の取消し(裁判所は相当でないと認めれば決定を取り消さなければならない)を促す主張を組み立てる4. 証人の信用性を弾劾する材料は、素性以外の客観事実(供述の矛盾、利害関係の存在)からも構築する
時効(請求できる期限):特定の法定期限を定めた条文はないが、性質上、証人尋問が公開法廷で行われる前に申出と決定が必要。実務上は公判前整理手続または尋問期日の前に動くこと。秘匿が相当でなくなったときは、裁判所は2項により決定を取り消さなければならない(最新の運用状況をご確認ください)
学説
通説:290条の3の秘匿決定は、被告人の証人審問権(憲法37条2項)および裁判公開原則(憲法82条)との調整のため、検察官・被告人側の意見聴取と裁判所の相当性判断を要件とする。公開法廷での非開示にとどまり、防御に不可欠な訴訟当事者間の情報を一律遮断するものではないと解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成28年(2016年) 刑事訴訟法等の一部を改正する法律により新設。被害者特定事項の秘匿(290条の2)に加え、証人・鑑定人・通訳人・翻訳人・供述者という『証人等』の特定事項を公開法廷で秘匿する制度を導入し、報復を恐れる証人の保護を強化した
改正の年表
- 1.平成28年(2016年) 新設:刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成28年法律第54号)により新設。被害者特定事項の秘匿(290条の2)に加え、証人・鑑定人・通訳人・翻訳人・供述者という証人等の特定事項を公開法廷で秘匿する制度を導入し、報復を恐れる証人の保護を強化した。
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