刑事訴訟法 第346条
クイックジャンプ
押収した物について、没収の言渡がないときは、押収を解く言渡があつたものとする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第346条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第346条の条文原文は「押収した物について、没収の言渡がないときは、押収を解く言渡があつたものとする。」で始まります。
- 刑事訴訟法第346条は第五節 公判の裁判に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第346条の前の条は刑事訴訟法第345条の4です。
- 刑事訴訟法第346条の次の条は刑事訴訟法第346条の2です。
- 刑事訴訟法第346条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第346条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第346条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/346
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法346条は、判決で没収の言渡しがない押収物について、押収を解く言渡しがあったものとみなすと定める。確定後は還付請求により取り戻せる。
Q · 刑が確定したら、警察に押収された物はもう返ってこないの?
請求すれば戻ります。没収なき押収物は自動で解除済みです
刑事訴訟法346条により、判決で没収の言渡しがない押収物は、判決の確定とともに「押収を解く言渡しがあったもの」とみなされます。つまり返還のための新たな裁判は不要で、押収は法律上すでに解かれています。ただし捜査機関は請求がない限り自分から返却の連絡をしないことが多く、現実に物を取り戻すには検察庁への還付請求(同法123条)という事務手続が必要です。主文に没収・追徴の言渡しがないか確認したうえで、押収品目録と事件番号を揃えて早めに請求するのが安全です。
解説
詐欺の疑いで家宅捜索が入り、あなたのノートパソコン、スマホ、銀行の通帳、引き出しにあった現金50万円までごっそり押収された。半年後、裁判が終わって判決が出る。判決文のどこにも「没収する」とは書かれていない。ここであなたが知らないと損をする仕組みがある。刑事訴訟法346条は、押収した物について判決で没収の言渡しがないときは、それだけで「押収を解く言渡しがあったものとする」と定める。つまり、別途あなたが取り戻すための裁判を起こす必要はない。法律が自動的に「もう国は預かる理由がない」と擬制してくれる。没収とは物の所有権が国に移ること、押収とは捜査の証拠として一時的に預かること。この二つは天と地ほど違う。判決が没収に触れなければ、あなたの財産は返ってくる立場にある。問題は、検察庁や警察署はあなたが請求しない限り、わざわざ「返しますよ」と連絡してこないことだ。倉庫で眠ったまま放置される押収品は山ほどある。
法的な位置づけ
刑事訴訟法346条は押収解除の擬制を定める規定であり、押収した物について判決で没収の言渡しがないときは、その判決の確定をもって押収を解く言渡しがあったものとみなす旨を規定する。押収という暫定的な証拠保全の終期を、別個の手続を経ずに法律上当然に画する仕組みである。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.判決主文で没収・追徴の有無を確認する 言渡し時または判決書で、自分の押収品について「没収する」「追徴する」の文言があるか確認する。なければ346条により押収は確定とともに解除されている
- 2.押収品目録と事件番号を準備する 押収時に交付された押収品目録と、対象事件の事件番号・被疑者氏名を手元に揃え、還付対象物を特定できるようにする
- 3.管轄検察庁へ還付請求書を提出する 押収した捜査機関を管轄する検察庁宛てに、刑訴123条に基づく還付請求書を書面で提出する。第三者の場合は所有を疎明する領収書・契約書等を添付する
- 4.押収物を受領し状態を確認する 返還時に押収品目録と照合し、毀損や欠品がないか確認する。受領前に写真等で状態を記録し、毀損があれば国家賠償の検討材料とする
よくある質問 AI による整理
Q1押収と没収の違いは何ですか?
押収は捜査の証拠として一時的に預かる処分、没収は所有権を国に移す刑罰です。判決主文に「没収する」とあるかないかで財産の運命が分かれ、346条は没収がなければ押収を解くと定めます。
Q2押収物還付請求のやり方は?
押収品目録と事件番号を揃え、押収した捜査機関を管轄する検察庁に書面で還付を請求します(刑訴123条)。346条で押収解除は擬制済みなので、別途の訴訟は不要です。
Q3押収物はいつ返ってきますか?
没収の言渡しがない判決が確定した時点で押収は法律上解かれます。ただし還付請求をしないと倉庫に保管されたままになり、返還時期は捜査機関の運用によります。
Q4押収された現金は戻りますか?
判決主文に没収・追徴の言渡しがなければ346条で押収は解け、還付対象です。ただし犯罪収益と疑われ追徴(刑法19条の2)が付くと別問題になります。
Q5押収物が処分されることはありますか?
所有者が判明しない押収物は公告のうえ国庫帰属となる手続があります。長期間還付請求せず放置すると処分される場合があるため、早めの請求が安全です。
Q6第三者の物が押収されたら還付されますか?
自分が被告人でなくても、押収物の所有を疎明できれば第三者として還付請求できます。領収書や契約書など所有を示す資料を添えて請求します。
Q7押収物の還付請求に弁護士は必要ですか?
346条で押収解除は自動で擬制されるため、必要なのは訴訟ではなく検察庁への還付請求という事務手続です。本人でも請求できますが、複雑な事案は弁護士相談が安全です。
Q8没収と追徴の違いは何ですか?
没収は特定の物そのものを国に移す処分、追徴は没収できない場合にその価額を金銭で徴収する処分です(刑法19条の2)。主文で両方の有無を確認します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1無罪になったのに、押収されたスマホもパソコンも返ってきません。どうすれば?
無罪判決には没収の言渡しがないので、346条によりあなたの押収品はすでに押収を解かれた扱いです。あなたは当然に還付を請求できる立場にあります。押収した検察庁・警察署に押収品目録を示して還付請求をしてください(123条)。実務のポイント:捜査機関は還付請求がない限り、自分から返却の連絡をしないことが多い。「無罪なら自動で戻ってくるはず」と待っていると、押収品は倉庫に眠り続ける。確定したらこちらから動くのが鉄則です
Q2判決で『没収』とは書かれていないのに、現金が返ってこないのはなぜ?
没収の言渡しがなければ346条で押収は解けています。返ってこないのは、還付請求をしていないか、その現金が別途『追徴』(刑法19条の2)や犯罪収益の対象として扱われている可能性があります。判決主文に追徴の言渡しがあるか確認してください。実務のポイント:覚醒剤や詐欺事件の現金は、没収ではなく追徴という形で取り上げられることがある。主文で『没収』の文字だけ探して安心せず、『追徴』の有無も必ずチェックする。この二語の見落としが、戻る財産と戻らない財産を分けます
間違えやすい点 AI による整理
- 「警察に取り上げられた物は、刑が確定したらもう返ってこない」と思い込んでいる人が多いが、没収の言渡しがない限り、刑が確定しても押収は法律上解かれている。返ってこないのではなく、あなたが請求していないから倉庫で眠っているだけだ
- 押収と没収を同じものだと思っている人は、自分の財産が国のものになったと誤解している。実際には、押収は一時的な証拠保全にすぎず、没収こそが所有権を国に移す処分。判決主文に「没収する」の文言があるかないかが、あなたの財産の運命を分ける分水嶺だと気付いていない
- 「還付を受けるには弁護士に頼んで訴訟を起こさないといけない」と思われがちだが、346条の擬制によって押収解除は自動で生じているので、必要なのは訴訟ではなく検察庁への還付請求という事務手続。手続のハードルを過大評価して、戻るはずの財産を諦めている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 346条:押収解除を擬制する効果規定 | 123条:押収物の還付・仮還付の手続規定 345条:無罪等の宣告による勾留状の失効 |
| 効果の発生 | 判決の確定により当然に押収解除が擬制される | 請求または職権による還付処分で物が戻る 判決言渡しにより勾留状が失効する |
| 必要な行動 | 解除自体は不要(自動)、受領には還付請求 | 検察庁への還付請求が必要 不要(自動で失効) |
| 対象 | 没収の言渡しがない押収物 | 押収物一般(贓物以外も含む) 勾留中の被告人の身柄 |
他国ではどう定めているか 4 か国
扣押物が没収の諭知を受けないときは即時に発還すべき旨を定め、日本346条と同種の規律。台湾は「発還」という能動的処分の形を採る点で表現が異なる
没収の宣告がないときは押収を解除したものとみなす旨を定め、日本346条とほぼ同一の擬制構造を採る
押収物の還付(Herausgabe)を規律。ドイツは継続の必要が消滅した時点での還付という構成で、確定による自動擬制という形は採らない
押収物の返還は権利者の申立て(Motion to Return Property)による。自動的な押収解除の擬制ではなく、当事者の能動的請求を前提とする点で日本と構成が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが起訴された事件で無罪判決が出たのに、押収されたスマホもパソコンも戻ってこなかったら? 346条により没収の言渡しがない以上、押収は法律上すでに解かれている。あなたは検察庁に還付(123条)を請求する権利を当然に持つ。黙っていると倉庫で眠り続ける
- 別の人の事件であなたの私物が巻き込まれて押収された。あなたは被告人ですらない。判決はその人に有罪だが、あなたの私物に没収の言渡しはない。第三者であるあなたも還付請求できる立場にある。あと事件記録の保存期限が切れる前に動かないと、所在確認に手間取る
- 覚醒剤事件で押収された現金。判決で「主文 被告人を懲役2年に処する」とだけ書かれ、現金の没収には触れていない。本来この現金は346条で還付対象だが、犯罪収益と疑われると別途追徴(刑法19条の2)の問題が絡む。没収・追徴の言渡しがあるかないかを判決主文で必ず確認する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 判決主文(または略式命令、不起訴・無罪の通知)で、自分の押収品に没収・追徴の言渡しがあるか確認する。なければ346条で押収は解除済み2. 押収品目録と事件番号を手元に揃え、押収した捜査機関を管轄する検察庁に書面で還付(123条)を請求する3. 第三者の私物が巻き込まれた場合も、所有を疎明する資料(領収書、契約書等)を添えて還付請求できる4. 検察庁が引き延ばすようなら、押収解除はすでに擬制されている旨を明示し、応答を求める
訴えられた側:1. 公判段階で、検察官が没収・追徴を求刑しているかを把握する。求刑があれば、対象物が没収の要件(刑法19条、犯罪組成物件・供用物件・取得物件等)を満たすか弁護人と争う2. 没収を回避できれば、346条により判決後に自動で押収が解け、財産が手元に戻る3. 没収の言渡しが出た部分については控訴・上告で争う余地を検討4. 犯罪収益との関連を疑われる現金は、適法な原資であることの説明資料を早期に準備する
時効(請求できる期限):346条による押収解除の擬制は、判決(没収の言渡しを欠くもの)の確定により当然に生じ、別途の期限はない。ただし還付を受ける具体的請求に時効類似の明文はなく、長期間放置すると押収物が処分される場合がある(所有者等が判明しない押収物の公告・国庫帰属等の手続あり、最新の運用をご確認ください)
学説
通説:346条は押収と没収を峻別する前提に立つ。押収は暫定的な証拠保全処分にすぎず、判決で没収の言渡しがない以上、国家が当該物を保持する根拠は消滅する。そこで本条は、当事者の申立てを待たず、判決確定により押収解除の効果を当然に発生させる擬制を置いたものと解される。現実の返還は別途123条の還付手続による。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定に伴い規定。押収物について没収の言渡しを欠く場合の法律関係を、押収解除の擬制という形で明確化した
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める