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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年9月5日読了 8 分8 分8 分

刑事訴訟法 第350条の13

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  1. 検察官が第三百五十条の二第一項第二号イからニまで、ヘ又はトに係る同項の合意(同号ハに係るものについては、特定の訴因及び罰条により公訴を提起する旨のものに限る。)に違反して、公訴を提起し、公訴を取り消さず、異なる訴因及び罰条により公訴を提起し、訴因若しくは罰条の追加、撤回若しくは変更を請求することなく若しくは異なる訴因若しくは罰条の追加若しくは撤回若しくは異なる訴因若しくは罰条への変更を請求して公訴を維持し、又は即決裁判手続の申立て若しくは略式命令の請求を同時にすることなく公訴を提起したときは、判決で当該公訴を棄却しなければならない。
  2. 2.検察官が第三百五十条の二第一項第二号ハに係る同項の合意(特定の訴因及び罰条により公訴を維持する旨のものに限る。)に違反して訴因又は罰条の追加又は変更を請求したときは、裁判所は、第三百十二条第一項の規定にかかわらず、これを許してはならない。

この条文の基本情報

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 刑事訴訟法第350条の13は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
  2. 刑事訴訟法第350条の13の条文原文は「検察官が第三百五十条の二第一項第二号イからニまで、ヘ又はトに係る同項の合意(同号ハに係るものについては、特定の訴因及び罰条により公訴を提起する旨のものに限る。」で始まります。
  3. 刑事訴訟法第350条の13は第四節 合意の履行の確保に置かれています。
  4. 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
  5. 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
  6. 刑事訴訟法第350条の13の前の条は刑事訴訟法第350条の12です。
  7. 刑事訴訟法第350条の13の次の条は刑事訴訟法第350条の14です。
  8. 刑事訴訟法第350条の13には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の13
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131
  • 本サイト収録刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の13(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/350_13

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点刑事訴訟法350条の13は、司法取引で検察官が合意に違反して起訴した場合、裁判所は判決で公訴を棄却しなければならないと定める。合意に反する訴因変更も許されない。

Q · 司法取引で証拠を渡したあとに検察官が約束を破ったら、その起訴はどうなるの?

いいえ、合意違反の起訴は公訴棄却で無効になります

刑事訴訟法350条の13第1項により、検察官が不起訴や特定の訴因での起訴といった合意に違反して公訴を提起・維持したときは、裁判所は判決でその公訴を棄却しなければなりません。起訴そのものが無効になる、刑事手続で最も強い被告人保護です。さらに第2項は、合意に反する訴因・罰条の追加変更を裁判所が許してはならないと定めます。なお求刑に関する約束は公訴棄却の対象外で、対象犯罪も財政経済犯罪や薬物銃器犯罪等に限られます。

解説

脱税事件で取調べを受けたあなたが、検察官と取引したとする。「上の人間が指示した証拠を出す。その代わり、自分は不起訴にしてくれ」。これが日本版司法取引、協議・合意制度だ。だがここで誰もが抱く不安がある。証拠を全部渡したあと、検察官が約束を破ったらどうなる。350条の13は、その不安に正面から答える条文だ。検察官が「起訴しない」と合意したのに起訴したら、裁判所は判決で公訴を棄却しなければならない。「特定の罪名で起訴する」と約束したのに別の重い罪名で起訴したら、同じく公訴棄却。求刑以外のほぼすべての約束違反に、公訴棄却という最も重い手続的サンクションが用意されている。さらに第2項は、検察官が「訴因はこれ以上重くしない」と合意したのに途中で罪名を上乗せしようとしても、裁判所はそれを許してはならないと定める。協力する側が一方的に裏切られない、その制度的な歯止めがここにある。

法的な位置づけ

刑事訴訟法第350条の13は、協議・合意制度における検察官の合意違反に対する手続的制裁を定める規定である。検察官が同法350条の2第1項所定の合意に違反して公訴を提起・維持した場合に裁判所が公訴を棄却すべきこと、及び合意に反する訴因・罰条の追加変更を裁判所が許してはならないことを規律する。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.合意内容書面を真っ先に確保する 検察官に裏切られたと感じたら、まず350条の3に基づき作成された合意内容書面を手元に確保する。訴因・罰条・手続の種類がどう約束されていたかを逐条で確認する
  2. 2.起訴状と合意書面を突き合わせ違反箇所を特定 現実の起訴状(訴因・罰条・手続種別)と合意書面を一行ずつ照合し、不起訴合意違反・異なる訴因での起訴・即決裁判申立ての懈怠など、どの違反類型に当たるかを特定する
  3. 3.第一審の早期に公訴棄却を主張する 弁護人を通じ、第一審の弁論終結前のできるだけ早い段階で、350条の13第1項に基づく合意違反を理由とする公訴棄却を主張する。合意書面を証拠として提出する
  4. 4.訴因追加請求にはその期日で不許可を求める 検察官が合意に反する訴因・罰条の追加変更を請求してきたら、その審理の期日において350条の13第2項を示し、刑訴法312条の原則にかかわらず裁判所が許可できない旨を主張する

よくある質問 AI による整理

Q1協議・合意制度とは何ですか?

被疑者・被告人が他人の刑事事件の解明に協力する見返りに、検察官が不起訴や軽い訴因での起訴などを約束する日本版司法取引です。刑訴法350条の2以下が定めます。

Q2司法取引の対象犯罪は何ですか?

財政経済犯罪(脱税・談合・詐欺等)や薬物銃器犯罪などに限られます(刑訴法350条の2第2項)。一般の殺人・窃盗・傷害などには使えません。

Q3協議・合意制度はいつから始まりましたか?

平成28年(2016年)改正で新設され、平成30年(2018年6月1日)に施行されました。日本で初めて導入された本格的な司法取引制度です。

Q4公訴棄却とはどういう意味ですか?

起訴そのものを無効として訴訟手続を打ち切る判決です。犯罪事実の有無を判断せず、手続上の瑕疵を理由に裁判を終わらせます(刑訴法338条等)。

Q5合意は口約束でも成立しますか?

成立しません。合意内容は刑訴法350条の3により必ず書面化されます。書面がなければ違反の有無を立証できず、保護も受けられません。

Q6即決裁判の約束を破られた場合も公訴棄却になりますか?

なります。検察官が即決裁判手続の申立てを同時にせず通常起訴した場合も、350条の13第1項の公訴棄却事由に含まれます。

Q7司法取引で名指しされた共犯は反論できますか?

できます。協力者の供述は引き込みの危険があり補強証拠が争点です。合意内容の開示請求や虚偽供述等の罪(350条の15)での弾劾も可能です。

Q8司法取引とリーニエンシーの違いは何ですか?

司法取引は検察官との刑事訴追に関する合意、リーニエンシーは独占禁止法上の課徴金減免で公正取引委員会への申告制度です。併用される場面もあります。

この条文についての質問 AI による整理

Q1司法取引で証拠を渡したあと、検察官に裏切られたら泣き寝入りですか?

泣き寝入りにはなりません。350条の13第1項は、検察官が不起訴や特定の訴因での起訴といった合意に違反して起訴したら、裁判所は判決で公訴を棄却しなければならないと定めます。起訴そのものが無効になる、刑事手続で最も強い被告人保護です。実務のポイント:実務上、検察官が正面から合意を破ることは稀ですが、訴因や罰条の解釈で食い違いが生じやすい。だからこそ協議段階で書面の文言を極限まで詰めておくこと、それが唯一にして最強の防御になります

Q2公訴棄却になったら、もう二度と起訴されないんですか?

合意違反による公訴棄却は犯罪の有無を判断したものではないため、理論上は再起訴の余地が議論されますが、検察官が同じ合意に拘束される以上、合意に沿った形でしか起訴できません。実質的に、約束を守った起訴しかできなくなります。実務のポイント:この制度の対象犯罪は財政経済犯罪や薬物銃器犯罪などに限られています(350条の2第2項)。一般の窃盗や傷害では使えない。自分の事件が対象犯罪かどうかを最初に確認するのが、弁護人選びの第一歩です

Q3途中で検察官が罪名を一つ追加してきました。これは止められますか?

合意が特定の訴因・罰条で公訴を維持する内容だった場合、350条の13第2項により、裁判所は刑訴法312条の訴因変更の原則にかかわらず、その追加を許してはなりません。あなたの側から合意書面を示して不許可を求めるのが筋です。実務のポイント:通常の刑事裁判では訴因追加・変更は『公訴事実の同一性』の範囲で広く認められます。合意があるときだけ、この扉が閉じる。検察官もこの制約を承知しているので、合意書面が精密なほど検察側は身動きが取れなくなります

間違えやすい点 AI による整理

  • 「司法取引で約束しても、検察官の胸三寸でいくらでも覆される」と思われがちだが、それは制度を知らない人の発想だ。検察官の合意違反は、求刑に関するものを除き、ほぼすべてが公訴棄却に直結する。起訴そのものが無効になる、刑事手続で最も強い効果が被告人側に与えられている
  • 公訴棄却は「証拠不十分で無罪になるのと同じ」と誤解されやすいが、性質が全く違う。これは検察官が合意というルールを破ったことへの手続的制裁であり、犯罪事実の有無とは無関係に訴追を打ち切る。あなたが本当に脱税をしていたかどうかは問われず、検察官が約束を破った一点で公訴が棄却される
  • 「合意違反かどうかは検察官や裁判官が勝手に判断する」と受け身に考える人が多いが、現実は逆だ。合意内容は350条の3に基づき必ず書面化される。その書面と現実の起訴を突き合わせれば、違反の有無は誰の目にも明らかになる。武器は最初から被告人側の手元にある
比較の観点この条文ほかの条文
効果350条の13:合意違反の起訴は公訴棄却・違反する訴因追加は不許可312条:公訴事実の同一性の範囲で訴因変更を広く許可
338条:管轄違い・二重起訴等の形式的瑕疵で公訴棄却
発動原因検察官が協議・合意制度の合意に違反したこと検察官の訴因・罰条の追加変更請求
起訴手続が法律の規定に違反する一般的瑕疵
裁判所の対応公訴棄却が義務的、合意違反の訴因変更は職権で不許可公訴事実の同一性があれば原則許可
列挙事由に該当すれば判決で公訴棄却
対象範囲協議・合意制度が利用された事件に限定、求刑の約束違反は対象外全ての刑事事件に適用される一般原則
全ての刑事事件に適用される一般原則

他国ではどう定めているか 3 か国

台湾
中華民国刑事訴訟法 第455条の2以下(認罪協商程序)

台湾は被告と検察官の協商による科刑合意を認めるが、日本の協議・合意制度が『他人の犯罪解明への協力型』であるのに対し、台湾は『自己の罪の認否型』である点で構造が異なる

ドイツ
StPO § 257c(Verständigung im Strafverfahren)

ドイツの公判合意は量刑の上下限等を対象とし裁判所が主体となる協議であり、検察官との捜査協力型取引を中核とする日本の制度とは性格が異なる

アメリカ
Santobello v. New York, 404 U.S. 257 (1972)

米国は検察官が plea agreement に違反した場合、特定履行(specific performance)か答弁撤回(withdrawal of plea)のいずれかの救済を認める。日本は公訴棄却という一律かつ強力な手続的制裁を選択した点が特徴

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • あなたが会社の経理担当で、社長の指示による巨額の脱税に関与した。検察官と協議し「社長の関与を立証する証拠を提供する代わり、自分は不起訴」で合意。証拠を渡したあと、検察官が方針を変えてあなたを起訴してきたら。350条の13第1項により、裁判所はその公訴を棄却しなければならない。あなたは証拠だけ取られて切り捨てられる、という最悪の事態を法が防ぐ
  • 談合・カルテル事件で、あなたの会社が他社の関与を供述する見返りに「独占禁止法違反の特定の訴因でのみ起訴」と合意した。ところが検察官が公判途中で贈賄の訴因を追加請求してきた。第2項により、裁判所は刑訴法312条の原則にかかわらず、この訴因追加を許してはならない
  • もし、あなたが合意に基づいて他人の犯罪を供述したのに、検察官が約束と異なる重い罪名で起訴してきたとしたら、どう動けばいい。答えは黙って受け入れることではない。合意違反を理由に公訴棄却を求める。弁護人は合意内容書面を証拠として、第一審で主張を組み立てる
  • 即決裁判手続にする約束だったのに、検察官が通常の起訴だけして即決の申立てをしなかった。これも第1項の公訴棄却事由に含まれる。手続の種類の約束違反も、見逃されない

取るべき行動

被害を受けた側:ここでの当事者は、合意したのに検察官に裏切られた協力被告人だ。1. まず合意内容書面(350条の3で作成義務あり)を手元に確保、訴因・罰条・手続の種類がどう約束されていたか確認2. 現実の起訴状と書面を逐条で突き合わせ、違反箇所を特定3. 弁護人を通じ、第一審の早い段階で合意違反を理由とする公訴棄却(350条の13第1項)を主張4. 検察官が訴因追加を請求してきた場合は、その期日で第2項に基づき不許可を求める。証拠を提供済みなら、その供述の証拠能力(350条の14)も併せて整理する

訴えられた側:ここでは合意の相手方や、協力供述で名指しされた共犯とされる側を想定する。1. 他人の協議・合意により自分が訴追された場合、その供述の信用性を徹底的に争う。司法取引による供述は引き込みの危険があり、補強証拠の有無が鍵2. 検察官と被告人の合意内容を開示請求し、取引の構造を把握3. 協力者が虚偽供述をしていれば、350条の15(虚偽供述等の罪)の問題として弾劾材料にできる

時効(請求できる期限):特定の時効はない。検察官の合意違反は手続上の瑕疵であり、公訴棄却(第1項)は公判係属中に裁判所が判決で職権判断する。ただし被告人側は、不利益を避けるため第一審の弁論終結前に合意違反を主張すべき。第2項の訴因追加不許可は、検察官が追加・変更を請求したその審理の場で主張する

学説

通説:350条の13の公訴棄却は、合意の拘束力を担保するための義務的・形式的制裁であり、犯罪事実の有無とは無関係に発動される。協力者の信頼保護を制度の根幹に据えることで、検察官の起訴裁量(起訴便宜主義・刑訴法248条)を合意の枠内に封じ込めるものと理解される。

改正沿革 AI による整理

  • 平成28年(2016年)公布、平成30年(2018年6月1日)施行 刑事訴訟法等改正により協議・合意制度(日本版司法取引)を新設。350条の2から350条の15までの一連の規定の一つとして、検察官が合意に違反して公訴提起・訴因変更等をした場合の公訴棄却・訴因追加不許可の効果を新設で定めた

改正の年表

  1. 1.平成28年(2016年) 新設:刑事訴訟法等の一部を改正する法律により協議・合意制度(350条の2〜350条の15)を新設。本条はその一部として、検察官が合意に違反して公訴提起・訴因変更等をした場合の公訴棄却・訴因追加不許可の効果を定めた
  2. 2.平成30年(2018年) 改正:改正法が平成30年6月1日に施行され、協議・合意制度が運用開始。日本で初めて本格的な司法取引制度が稼働した

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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

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