刑事訴訟法 第362条
クイックジャンプ
第三百五十一条乃至第三百五十五条の規定により上訴をすることができる者は、自己又は代人の責に帰することができない事由によつて上訴の提起期間内に上訴をすることができなかつたときは、原裁判所に上訴権回復の請求をすることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第362条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第362条の条文原文は「第三百五十一条乃至第三百五十五条の規定により上訴をすることができる者は、自己又は代人の責に帰することができない事由によつて上訴の提起期間内に上訴をすることができ…」で始まります。
- 刑事訴訟法第362条は第一章 通則に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第362条の前の条は刑事訴訟法第361条です。
- 刑事訴訟法第362条の次の条は刑事訴訟法第363条です。
- 刑事訴訟法第362条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第362条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第362条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/362
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法362条は、自己または代人の責に帰せない事由で上訴の提起期間内に上訴できなかったとき、原裁判所に上訴権回復を請求できると定める規定である。
Q · 控訴の期限を過ぎてしまったら、もう一切争えないの?
落ち度のない事由なら、原裁判所に上訴権回復を請求できます
刑事訴訟法362条により、自己または代人の責に帰することができない事由で上訴の提起期間内に上訴できなかったときは、原裁判所に上訴権回復を請求できます。請求は事由が止んだ日から上訴期間に相当する期間内(363条)に行う必要があります。鍵は「責に帰することができない」かどうかで、単なる多忙や失念では認められませんが、入院・誤送達・本人が依存せざるを得なかった弁護人の重大な懈怠などは認められる余地があります。
解説
控訴の期限は判決の言渡しから14日。たった14日だ。入院していて出廷も告知も受けられなかった、勾留先で書類が届かなかった、弁護人が手続を失念した。そうした事情で気づいたときには期間が過ぎている。多くの人はここで諦める。判決は確定し、刑が動き出す。だが刑事訴訟法362条は、その確定に一つの非常口を残している。自己または代人の責に帰することができない事由、つまりあなたや代理人のせいではない理由で上訴できなかったとき、原裁判所に上訴権回復を請求できる。鍵になるのは「責に帰することができない」の中身だ。単なる多忙や勘違いでは通らない。だが天災、誤った送達、本人が依存せざるを得なかった弁護人の重大な懈怠など、あなたの落ち度といえない事情なら、閉じたはずの扉がもう一度開く余地がある。確定判決は動かせないという常識は、ここでは半分しか正しくない。
法的な位置づけ
上訴権回復とは、上訴の提起期間を経過した後でも、その徒過が自己または代人の責に帰することができない事由による場合に、原裁判所への請求によって上訴する権利を回復させる制度をいう。刑事訴訟法362条がその要件を定め、363条以下が請求期間と手続を規律する。確定判決の安定と、裁判を受ける権利の実質的保障を調整する例外的な救済手段である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.期間を徒過した「理由」を時系列で記録する 入院、誤送達、勾留先での書類未交付、弁護人の懈怠など、自分の落ち度といえない事情を時系列に整理し、診断書・郵便記録・弁護人とのやり取りなど裏づける資料を集める
- 2.「事由が止んだ日」を確定し起算日を数える 退院した日、書類の存在を初めて知った日など、徒過させた事由が消滅した日を特定する。その日が起算点となり、ここから上訴期間(控訴・上告とも14日)のカウントが始まる
- 3.原裁判所へ上訴権回復請求と上訴申立てを同時提出 起算日から上訴期間相当の期間内に、原裁判所へ上訴権回復の請求(363条)と上訴申立て自体を同時に提出する。回復請求だけ出して様子を見ると、本体の上訴まで失う
- 4.必要に応じて刑の執行停止を申し立てる 収監や執行が現実に始まる前に、回復請求と併せて原裁判所へ刑の執行停止(365条)を申し立てる。争っている間に刑が動き出すのを防ぐ
- 5.弁護人懈怠型は刑事弁護士へ早期相談 弁護人の過誤を理由とする場合は解釈が分かれ、認められない裁判例もある。本人が控訴の意思を伝えていた記録の有無で結論が変わることがあるため、刑事に強い弁護士へ速やかに相談する
よくある質問 AI による整理
Q1上訴権回復とは何ですか?
上訴の期限を過ぎた後でも、本人や代理人の落ち度でない事由があれば、原裁判所への請求で上訴する権利を取り戻せる制度です。刑事訴訟法362条が根拠で、確定判決を覆しうる数少ない手段です。
Q2上訴権回復の請求はいつまでにできますか?
事由が止んだ日から、上訴の提起期間に相当する期間内(控訴・上告とも14日)です(363条)。起算点は判決言渡し日ではなく、入院などの事由が消滅した日である点が重要です。
Q3上訴権回復はどこに請求しますか?
上訴を審理する上級審ではなく、原裁判所(判決を言い渡した第一審または控訴審の裁判所)に請求します。請求と同時に上訴申立て自体も提出するのが実務の定石です。
Q4上訴権回復の請求と一緒に刑の執行を止められますか?
原裁判所は、回復請求についての決定が確定するまで、刑の執行停止を決定できます(365条)。収監や執行が現実に始まる前のこのタイミングを逃さないことが重要です。
Q5入院していて判決を知らなかった場合は上訴権回復が認められますか?
集中治療中など、判決の存在を知り得ず上訴できなかった事情は「責に帰せない事由」と評価される余地があります。診断書など事由を裏づける資料を時系列で集めることが鍵になります。
Q6検察官も上訴権回復を請求できますか?
できます。無罪判決後に検察官が回復請求してくる場合もあります。請求された側は、相手の主張する事由が本当に落ち度を否定できるものか、請求が363条の期間内かを精査して反論します。
Q7上訴権回復が認められなかったら争う方法はありますか?
回復請求についての決定(364条)に不服があるときは、即時抗告で争う余地があります。決定の理由を確認し、刑事弁護に強い弁護士へ早期に相談することが重要です。
Q8送達されたはずの判決が届いていなかった場合はどうなりますか?
誤った送達による徒過は「責に帰せない事由」となる余地があります。送達の有効性を直接争う方法とは別に、362条の上訴権回復という別ルートがあり、主張立証の負担が変わります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1上訴期間を過ぎたら、もう絶対に控訴できないんですか?
原則は不可能ですが、刑事訴訟法362条が例外を用意しています。あなたや代理人の責に帰することができない事由で期限を逃したなら、原裁判所に上訴権回復を請求できます。請求は事由が止んだ日から上訴期間相当の期間内(363条)が限界です。実務のポイント:多くの人は『過ぎたら終わり』で諦めますが、弁護士はまず徒過の『理由』を聞きます。理由が天災や送達ミスなら、回復のカウントは判決日ではなく事由が消えた日から始まる。諦める前に、まず起算日がいつかを確認することが分水嶺になる
Q2弁護士が手続を忘れて期限を過ぎた場合は、私のせいじゃないから当然戻りますよね?
当然とは言えません。弁護人の懈怠が被告人本人の『責に帰せない事由』にあたるかは、実務上、解釈が分かれています(362条の解釈論)。本人がどこまで弁護人に依存せざるを得なかったかが判断材料になり、認められなかった裁判例もあります。実務のポイント:弁護人のミスを理由にする場合、本人が控訴の意思を明確に伝えていた記録(メール、面会記録)があるかどうかで結論が変わることがある。意思表示の証拠を残していた人と、口頭で任せきりだった人とで、同じミスでも救済の可否が分かれる
間違えやすい点 AI による整理
- 「期限を過ぎたか過ぎていないか」をまず気にするが、本当の争点はそこではない。問うべきは『過ぎた理由が、あなたの責に帰せるものか』。期間徒過は出発点にすぎず、勝負は事由の評価で決まる。期間を過ぎた事実だけで諦めるのは、戦う前に土俵を降りているのと同じ
- 弁護人がミスをしたなら当然救済される、と軽く考えがちだが、その深刻さを見誤っている。弁護人の過誤が本人の『責に帰せない事由』にあたるかは実務上、解釈が分かれており、認められなかった裁判例も少なくない。期待して動かずにいると、回復請求の期間まで空費して取り返しがつかなくなる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 362条:上訴権回復の請求要件(責に帰せない事由) | 363条:回復請求の期間制限・手続 358条:上訴提起期間の起算 |
| 起算点 | 徒過させた事由が消滅した日 | 事由が止んだ日から上訴期間相当(控訴14日) 裁判が告知された日 |
| 請求先・効果 | 原裁判所に請求し、閉じた上訴の扉を再び開く | 期間徒過後の請求は不適法として却下 期間徒過で原則として上訴権は消滅し確定 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も『非因過失』で上訴期間を徒過した場合に回復原状の声請を認める。原因消滅後10日以内という期間制限を置く点で日本と構造が近い。
韓国の상소권회복は、本人または代理人の責に帰すべからざる事由を要件とし、日本法の強い影響下にある並行制度。事由消滅から相当期間内の請求を要する点も類似。
ドイツの原状回復制度。期間徒過が無過失(ohne Verschulden)による場合に認め、障害消滅後1週間以内に申立てと懈怠した行為の追完を要する。日本362条の母法的位置にある。
米国連邦刑事では excusable neglect または good cause があれば、裁判所が上訴期間の延長を認めうる。期間制度自体が裁判所の裁量に親しむ点で大陸法系の回復制度と発想が異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 判決の言渡しから14日が過ぎ、もう控訴できないと告げられた。だが言渡し期日にあなたは集中治療室にいて、判決内容すら知らなかったとしたら? 責に帰することができない事由として、上訴権回復が認められる余地がある。動けるのは事由が止んでから上訴期間に相当する期間内、今日が起算何日目かを今すぐ数えること
- 国選弁護人が控訴申立てを失念し、期間を徒過した。被告人本人に落ち度はない。判例上、弁護人の懈怠が被告人の責に帰せない事由にあたるかは、本人がどこまで弁護人に依存せざるを得なかったかで判断される。実務上、解釈が分かれている論点であり、認められない裁判例も相当数ある
- 無罪判決を受け、もう確定したと安堵していた矢先、検察官が上訴権回復を請求してきた。確定したはずの安心が、足元から崩れる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 期間を徒過した『理由』を時系列で記録する。入院、送達不到達、勾留先での書類未交付、弁護人の懈怠など、自分の落ち度といえない事情を裏づける資料(診断書、郵便記録、やり取りの記録)を集める2. 『事由が止んだ日』を確定させる。退院日、書類の存在を知った日が起算点3. その日から上訴期間に相当する期間内に、原裁判所へ上訴権回復の請求(刑事訴訟法363条)と上訴申立てを同時に提出4. 必要なら刑の執行停止も併せて申し立てる(365条) 5. 弁護人懈怠型は解釈が分かれるため、刑事に強い弁護士へ早期相談
訴えられた側:1. 相手方(検察官または被告人)が上訴権回復を請求してきたら、まず請求が法定期間内か(363条の期間制限)を確認する2. 主張された『責に帰することができない事由』が、本当に相手の落ち度を否定できるものかを精査。単なる多忙・失念・調査不足は通常認められない3. 事由が実は相手側の管理可能な範囲だったことを示す資料で反論4. 回復請求についての決定(364条)に不服があれば、即時抗告で争う余地を検討する
時効(請求できる期限):上訴権回復の請求は、事由が止んだ日から上訴の提起期間に相当する期間内にしなければならない(刑事訴訟法363条)。控訴であれば14日、上告であれば14日。起算点は『期間を徒過させた事由が消滅した日』であり、判決言渡し日ではない点に注意(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説的運用:362条の『責に帰することができない事由』は厳格に解され、本人・代理人の落ち度に基づかない客観的にやむを得ない事情に限られる。弁護人の懈怠が本人の不可帰責事由にあたるかは、本人がどこまで弁護人に依存せざるを得なかったかを基準に判断され、結論が分かれる論点とされている。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める