刑事訴訟法 第512条
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検察官又は裁判所若しくは裁判官は、裁判の執行を受ける者その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第512条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第512条の条文原文は「検察官又は裁判所若しくは裁判官は、裁判の執行を受ける者その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第512条は第二章に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第512条の前の条は刑事訴訟法第511条の2です。
- 刑事訴訟法第512条の次の条は刑事訴訟法第513条です。
- 刑事訴訟法第512条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第512条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第512条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/512
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法512条は、裁判の執行で遺留物や任意提出物を令状なしに領置できると定める。領置物は還付手続を経なければ返還されない。
Q · 裁判の執行のとき、検察官に『この物を出してください』と言われたら、令状なしで持っていかれるの?
遺留物や任意提出物は令状なしで領置できます
刑事訴訟法512条により、裁判の執行の場面では、検察官・裁判所・裁判官が、執行を受ける者などが遺留した物、または所有者等が任意に提出した物を、差押許可状なしで領置できます。強制ではなく任意性・遺留性に基づくため令状審査がない一方、いったん領置された物は押収物と同じ地位に立ち、還付請求(刑訴法123条が準用)という別手続を経なければ返還されません。没収・追徴の対象になっている物は還付されないこともあります。
解説
判決が確定した後にも、もう一つの手続が動いている。裁判の執行だ。罰金を取り立て、没収物を処分し、その過程で検察官や裁判所、裁判官は、あなたが置いていった物、あるいはあなたが『どうぞ』と差し出した物を、令状なしで手元に確保できる。これが領置である。普通の押収には裁判官の令状(差押許可状)が要る。だが領置には要らない。理由は『遺留した物』か『任意に提出した物』だから、強制ではないという建前だ。ここに見落としやすい段差がある。あなたが任意に出した瞬間、その物はあなたの自由処分から離れる。気が変わって『やっぱり返してほしい』と言っても、領置された物は還付という別の手続を経なければ戻らない。任意という言葉に油断すると、自分の所有物が役所の管理下に滑り込む、その瞬間を見逃す。
法的な位置づけ
刑事訴訟法512条にいう領置とは、裁判の執行の場面で、遺留物または任意に提出された物を、捜査機関や裁判所が令状なしに占有・保管する処分をいう。差押えと異なり強制力を用いず、提出者の任意性または遺留の事実に基づくが、領置された物は押収物と同一の法的地位に立ち、還付手続を経なければ提出者の自由処分には復さない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.任意提出か令状による押収かをその場で確認 係官に物を求められたら、差し出す前に『これは任意提出ですか、それとも令状による押収ですか』と一言確認する。任意なら応じる義務はなく、断る余地が残る。一度出して領置されると入口の選択権は消える
- 2.やむを得ず提出する場合は記録と複製を確保 提出する場合も、何をいつ出したかを記録し、領置調書の交付・閲覧を求める。重要なデータや原本を含む物は、提出前に複製・写しを取っておく。没収・追徴の対象になりうるかも検討する
- 3.手続上の必要が消えたら速やかに還付請求 執行や手続上その物を留め置く必要がなくなったと考えられる時点で、検察官または裁判所に対し還付請求を行う(刑訴法123条が準用される)。役所は自発的に返さないため、請求が起点になる
- 4.拒否されたら理由を確認し不服申立てを検討 還付が拒まれた場合、その理由(執行上の必要、没収対象など)を確認する。理由に争いがあれば、準抗告など不服申立ての可否を弁護士に相談する。公告・国庫帰属の前に動くこと
よくある質問 AI による整理
Q1領置とは何ですか?
遺留物や任意提出物を、捜査機関や裁判所が令状なしに占有・保管する処分です。刑訴法512条がその執行段階の根拠で、差押えと違い任意性に基づきます。
Q2領置と差押えの違いは何ですか?
差押えは令状(差押許可状)が必要な強制処分。領置は遺留物・任意提出物が対象で令状不要です。ただし領置後の法的地位は押収物と同じで、自由には返りません。
Q3領置に令状は必要ですか?
不要です。任意提出または遺留の事実に基づくため、裁判官の事前審査がありません。その分『どこまでが任意か』は提出者自身が線引きする必要があります。
Q4領置された物を取り戻すにはどうすればいいですか?
還付請求が必要です(刑訴法123条が準用)。執行や手続上その物を留め置く必要がなくなれば本来は還付すべき物ですが、請求しないと役所は自発的に返しません。
Q5任意提出物と遺留物の違いは何ですか?
任意提出物は所有者・所持者・保管者が自ら差し出した物、遺留物は執行を受ける者などが現場に残していった物です。いずれも512条の領置対象になります。
Q6領置された物が国庫に帰属するのはいつですか?
還付を受ける者の所在不明等で公告され(刑訴法499条)、所定の期間内に還付請求がないとき、その物は国庫に帰属しうります。放置は危険です。
Q7スマホやパソコンも任意提出で領置されますか?
されます。中のデータごと領置されうるため、提出前に複製・写しを確保しておくのが安全です。任意か令状かをその場で確認する余地があります。
Q8領置調書はもらえますか?
領置された物の品目・日時を記録した調書の交付や閲覧を求めることができます。取戻しや不服申立ての前提として、まず記録を確保しておくべきです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1任意提出って、断ってもいいんですか?
断れます。あくまで任意なので、応じる法的義務はありません。ただし相手が差押許可状(令状)を提示した場合は、それは強制処分なので拒めません。実務のポイント:『出してもらえますか』という言葉だけでは、任意か令状かは分かりません。提出する前に『これは任意提出ですか、それとも令状による押収ですか』と一言確認するだけで、応じる・断るの選択権が自分の側に残ります。
Q2一度領置された物は、いつ返してもらえるんですか?
執行や手続上その物を留め置く必要がなくなれば、本来は還付すべき物です(刑訴法123条の還付規定が準用されます)。ただし没収・追徴の対象になっている物は返らないこともあります。実務のポイント:必要がなくなっても、役所は自発的には返してくれません。こちらから還付請求をして初めて手続が動きます。放置すると所在不明として公告(刑訴法499条)され、最終的に国庫へ帰属する危険があるので、請求は早いほど安全です。
間違えやすい点 AI による整理
- 『任意に出したのだから、いつでも返してもらえる』と思いがちだが、領置された物の取戻しには還付請求という別手続が必要で(刑訴法123条)、執行や手続上の必要がある間は還付が認められないこともある
- 領置が令状不要なのは知っていても、その『軽さ』こそが怖い点を見落としている。令状による押収なら裁判官の事前チェックが入るが、領置は任意性さえあれば現場の判断で完結する。チェックが薄い分、『どこまでが任意か』の線引きはあなた自身が守るしかない
- あなたから見れば『ちょっと預けただけ』。だが法律から見れば、領置された時点でその物は押収物と同じ法的地位に立つ。この認識の落差が、後になって『返してくれない』という紛争を生む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 場面 | 512条:裁判の執行の段階での領置 | 101条:公判段階で裁判所が行う領置 221条:捜査段階で捜査機関が行う領置 |
| 主体 | 検察官・裁判所・裁判官 | 裁判所 検察官・検察事務官・司法警察職員 |
| 対象 | 遺留物・任意提出物(令状不要) | 遺留物・任意提出物(令状不要) 遺留物・任意提出物(令状不要) |
| 還付の根拠 | 刑訴法123条の準用 | 刑訴法123条 刑訴法222条による123条の準用 |
他国ではどう定めているか 4 か国
遺留物や任意提出・交付された物を留存した場合に押収の規定を準用する点で、日本の領置と同じ構造を持つ
韓国も任意提出物・遺留物について令状なしの押収(領置)を認め、日本法と同系統の規律をとる
ドイツは任意の引渡しによる確保(Sicherstellung)と、拒否された場合の差押え(Beschlagnahme)を区別し、令状主義の例外を画する
米国は令状主義を原則としつつ、任意の同意・自発的な提出があれば令状なしの確保を適法とする判例法理による
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 確定判決後、検察官から『この書類を提出してもらえますか』と求められ、深く考えずに渡した。あれは本当に任意だったのか。一度領置されると、還付を請求しない限り手元に戻らない。任意提出と令状による押収は、入口の手触りは違っても、出口の拘束力は同じだ
- 没収の言渡しを受けたあなたが、執行の現場に物を残して立ち去った。その『遺留品』は領置の対象になる。置き忘れたつもりが、放棄したものとして扱われる
- 領置された自分の物を取り戻したい。だが還付を請求しないまま時が過ぎ、還付を受ける者の所在不明として公告された(刑訴法499条)。公告から一定期間内に申し出ないと、その物は国庫に帰属しうる。残された時間は、あなたが思うより短い
取るべき行動
被害を受けた側:1. 領置された物の品目と日時を控え、領置調書の交付・閲覧を求める2. その物が手続上もう必要ないと考えられるなら、検察官または裁判所に対し還付請求を行う(刑訴法123条が準用される) 3. 還付が拒まれた場合、その理由(執行上の必要、没収対象など)を確認し、必要があれば準抗告など不服申立ての可否を弁護士に相談4. 還付を受ける者の所在不明として公告される前に動くこと、放置すると国庫帰属の危険がある
訴えられた側:1. 『任意提出か、令状による押収か』をその場で確認し、任意であれば応じる義務はないと理解しておく2. やむを得ず提出する場合も、何をいつ出したか記録し、領置物の還付見込みを確認3. 提出した物が没収・追徴の対象になりうるかを検討、対象なら還付されない可能性が高い4. 重要なデータや原本を含む物は、提出前に複製・写しを確保しておく
時効(請求できる期限):領置という行為そのものに期限はない。ただし領置・押収物の還付については、還付を受ける者の所在が分からない等の場合、検察官が公告し(刑訴法499条)、所定の期間内に還付の請求がないとき、その物は国庫に帰属しうる(最新の改正状況をご確認ください)。取戻しを望むなら、執行や手続上の必要が消えた時点で速やかに還付請求を行うこと
学説
通説:刑訴法512条の領置は、遺留物または任意提出物について令状を要さずに行えるが、領置された物は差押えによる押収物と同一の法的地位に立ち、その還付には123条の規定が準用される。任意性の判断は提出時の客観的状況により慎重に行うべきとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定(昭和23年法律第131号)に伴い、裁判の執行に関する領置の規定として設けられた。
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